アパレル向け事業計画書で重要な項目と書き方のサンプルを紹介

アパレル向け事業計画書で重要な項目と書き方のサンプルを紹介 更新日:2025.08.28 公開日:2018.06.27起業のための資金調達 – ファッション・アパレル
アパレル 事業計画書

アパレル事業を立ち上げたいと考えながらも、事業計画書の作成に不安を感じる人もいるでしょう。「何から手をつければいいのかわからない」と思っていたり「専門的な知識がない」という悩みを抱えていたりする人もいますよね。

本記事では、初めての起業でアパレル事業を立ち上げようとしている人に向け、アパレルの事業計画書において重要な項目や書き方を解説します。事業計画書の項目ごとに書き方のサンプルを示しながら紹介するので、作成に役立ててください。

アパレル事業の事業計画書において重要な項目

アパレル事業の事業計画書において重要な項目は、以下の通りです。

項目 概要
経営者の経歴等 日本政策金融公庫の創業時の融資では特に重要。
取得資格・サービス 古着を扱う場合には「古物商」の許認可が必要。
事業の見通し 創業当初、1年後の売上高等。既存客をアピールする。

アパレル事業の事業計画書を作成する際、これらの項目は具体的に記述するようにしましょう。特に創業融資を申し込む場合、事業の実現可能性や信頼性を示すためにも、計画書は説得力のある内容にする必要があります。

「経営者の経歴等」において、過去にアパレル企業のデザイナーや販売員として勤務した経験は強みになります。勤務期間や売り上げ達成などに言及した具体的な職務経験や、「商品企画」「顧客対応」など具体的なスキルを記載すると良いでしょう。

また、取り扱う商品に応じて必要な資格や許認可も明記します。古着を扱う場合は、各都道府県の公安委員会に申請して取得する古物商許可が必須です。これらを明確にすることで、事業の適法性や専門性をアピールできます。

さらに、事業の見通しを記載します。特に創業当初1年間の売上計画は、客観的なデータに基づいて策定することが重要です。市場調査や競合分析を行い、想定される客層やターゲット層を明確にしましょう。

既存客がいる場合は、その顧客基盤をアピールします。SNSやオンラインストアで既にフォロワーや顧客リストがある場合、具体的な人数やエンゲージメント率は、安定した収益が見込める根拠となります。これらは、事業の確実性や成長性を金融機関に伝えるうえで有効な情報となるでしょう。

アパレルの事業計画書に含めるべき項目と書き方のサンプル

アパレルの事業計画書に含めるべき項目は、以下の通りです。

含めるべき項目 詳細
事業の概要
  • コンセプトとビジョン
  • ターゲット市場と顧客
  • 商品・サービスの優位性
資金計画と財務予測
  • 資金の使い道
  • 資金調達の内訳
  • 売上・費用の予測
  • 返済計画の信頼性
マーケティング戦略
  • SNS活用方法
  • プロモーション計画

上記の各項目で示す要素は、事業の実現可能性と収益性を証明するために重要です。これらの項目を網羅することで、事業の全体像を客観的に把握し、出資者や金融機関からの信頼を得られる可能性が高まるでしょう。

事業の概要

アパレル事業計画書において「事業の概要」の項目は、どのような価値を誰に提供するのかという事業の根本的な理念を言語化するものです。事業の概要を伝えるには、以下の3点を事業計画書に記載します。

【事業概要に記載するべき点】

  • コンセプトとビジョン
  • ターゲット市場と顧客
  • 商品・サービスの優位性

「事業の概要」がなければ、事業の独自性や魅力が伝わりません。アパレル業界は競争が激しいため、「なぜあなたの事業が成功するのか?」という問いに対し、事業の概要を用いて答える必要があります。

たとえば、「環境配慮と普遍的なデザインの両立」をコンセプトに、サステナビリティに関心の高い20代から30代の男女をターゲットとしたアパレルブランドを展開するような場合には、「商品・サービスの優位性」を具体的に記載することが必要になります。「認証素材の使用」や「環境負荷の削減率」といった定量的・客観的なデータを盛り込むことで、事業の独自性と収益性を論理的に証明し、計画全体の説得力を高めてくれるでしょう。

「事業の概要」の項目で示す要素は、金融機関や投資家に対して、事業のビジョンと計画性を示すうえで欠かせないものといえるでしょう。

コンセプトとビジョン

「コンセプトとビジョン」では、どのような事業を作りたいのか、その思いを明確に伝えるようにします。事業計画書における書き方のサンプルは以下の通りです。

【「コンセプトとビジョン」の書き方サンプル】

私たちは、「日常に溶け込む、洗練されたベーシックスタイル」 をコンセプトに掲げ、シンプルでありながらも質の高い素材と、細部にまでこだわったデザインを追求するブランドを立ち上げます。

ブランドのビジョンは、流行に左右されないタイムレスなアイテムを通じて、お客様一人ひとりの個性を引き立て、自信と喜びを提供することです。単なる衣服ではなく、着る人のライフスタイルそのものを豊かにする存在となることを目指します。

コンセプトとビジョンは、事業の根幹となる最も重要な部分です。読者の共感を呼び、応援したいと思わせるような熱意を伝えるようにしましょう。

コンセプトとビジョンを書くときは、まず「なぜこの事業を始めたいのか」という動機を明確にします。さらに、社会的な課題や自身の原体験など、具体的なエピソードを交えることで説得力が増します。

次に、「どのような価値を顧客に提供したいのか」という点を具体的に表現しましょう。たとえば、「着ることで自信を持てる服」「環境に配慮したサステナブルな服」など、顧客が商品を通じて得られる感情や体験を想像させることでコンセプトの魅力がより伝わりやすくなります。

最後に、「将来的にどのような事業に成長させたいのか」というビジョンを明確に示します。「地域社会に貢献するブランド」「海外進出を果たすブランド」など、具体的な目標を掲げることで、事業の将来性をアピールできます。事業計画書全体の一貫性を保つためにも、コンセプトとビジョンは、ターゲット顧客やマーケティング戦略などほかの項目にも一貫して反映させることが重要です。

ターゲット市場と顧客

「ターゲット市場と顧客」では、誰にどのような価値を提供するのかを具体的に設定しましょう。事業計画書における書き方のサンプルは以下の通りです。

【「ターゲット市場と顧客」の書き方サンプル】

30代後半から40代前半のファッションに敏感な男性

「ターゲット市場と顧客」は、事業の成功を左右する重要な項目です。この項目を作成する際は、誰に売るのかを明確にすることを意識しましょう。以下に示すような事項を具体的に設定することで、事業の方向性がブレるのを防げます。

  • 性別
  • 年齢
  • 職業
  • ライフスタイル
  • 価値観 など

また、ターゲット市場の規模や成長性を調査し、事業の実現可能性を検証することも大切です。さらに、顧客が抱える不満や、解決したい課題を深く理解することで、自社の商品やサービスが提供できる価値を明確にできます。

「ターゲット市場と顧客」を記述する際は、市場調査に基づいた客観的な情報を用いることが重要です。総務省の家計調査や各種リサーチ会社の統計データ、業界団体の発表資料などを参考にすると、説得力のある事業計画書を作成できます。顧客インタビューやアンケート調査を実施して、生の声を集めることも有効です。

そして、ターゲットに関する架空の顧客像を設定し、その人物像を具体的に記述することでより深く顧客を理解し、事業の戦略を立てやすくなります。たとえば、「どのような雑誌を購読しているか」「休日はどのように過ごしているか」といった項目まで掘り下げて設定することで、事業計画書の説得力を高められるでしょう。

商品・サービスの優位性

「商品・サービスの優位性」では、競合にはない、あなたの商品の強みや魅力を明確にします。事業計画書における書き方のサンプルは以下の通りです。

【「商品・サービスの優位性」の書き方サンプル】

《環境に配慮した素材と製造工程》

独自の強み:

  • 廃棄されるバナナの茎から抽出した繊維「バナナクロス」を主要な素材として使用。
  • 国内の小規模工房と提携し、職人の手作業による丁寧な縫製を実現。
  • 製造工程での水の使用量を従来の綿製品に比べて50%削減。

顧客への提供価値:

  • 環境意識の高い消費者層に「サステナブルな選択」という付加価値を提供。
  • 長く愛用できる高品質な製品を通じて、使い捨てのファッションからの脱却を促す。
  • 他社にはないユニークな素材で差別化を図り、高いブランドロイヤリティを構築する。

《デザイン性と機能性の両立》

独自の強み:

  • 著名なデザイナーとコラボレーションした、トレンドを取り入れた洗練されたデザイン。
  • 吸湿速乾性やストレッチ性に優れた高機能素材を独自に開発。
  • 縫い目のないシームレスな製法により、快適な着心地を実現。

顧客への提供価値:

  • 街着としてもトレーニングウェアとしても着用できる汎用性の高い商品を提供。
  • デザイン性と機能性を両立させることで、多様なライフスタイルを持つ顧客のニーズに応える。
  • 快適な着心地とスタイリッシュな外観により、顧客の満足度を高める。

 

「商品・サービスの優位性」の項目を作成する際は、単に「高品質」や「おしゃれ」といった抽象的な表現に留まらず、具体的な強みを明確にすることが重要です。以下に挙げるような、他社には真似できない独自の価値を具体的に記述しましょう。

  • 使用する素材の独自性
  • 製造方法の特許
  • デザイナーの知名度
  • 他にはない機能性 など

この項目を記述する際は、客観的な視点を持つことが重要です。競合他社の製品やサービスを徹底的に分析し、それらと比較して自社が優れている点を明らかにします。「価格」「品質」「デザイン」「機能性」「アフターサービス」など、さまざまな観点から比較表を作成し、自社の優位性を数値やデータで示すことで事業計画書の説得力は格段に増します。また、なぜその優位性が顧客にとって価値があるのか、顧客の課題をどのように解決するのかという視点も忘れてはいけません。

最後に、優位性をどのように維持していくかについても言及しましょう。以下のような模倣されにくい仕組みを構築していることを示せると、事業の持続性に対する信頼性が高まります。

  • 素材の独占契約
  • 特許の取得
  • 職人の育成 など

単発的な強みではなく、継続的な優位性をアピールすることで、投資家や金融機関からの評価も高まり、資金調達や事業提携の成功に繋がるでしょう。

資金計画と財務予測

アパレルの事業計画書において「資金計画と財務予測」の項目は、事業の収益性と資金繰りの安定性を具体的に示すものです。この項目は、融資や投資を受けるうえで特に重視されます。

【資金計画と財務予測に盛り込む具体的な内容】

  • 資金の使い道
  • 資金調達の内訳
  • 売上・費用の予測
  • 返済計画の信頼性

資金の使い道を明確にすることで、必要な資金が何にどれだけ使われるのか、その計画が現実的であることを証明します。次に、資金調達の内訳を示すことで自己資金と借り入れのバランスが適切であることを示し、事業主のコミットメントをアピールします。

さらに、売上・費用の予測は、事業が将来的にどれだけの利益を生み出すかという収益モデルを具体的に示します。この予測が現実的であるほど、事業の成功確率が高いと判断されます。そして、返済計画は、融資された資金を確実に返済できる財務的な裏付けを提供します。

これらの情報は、事業が収益を上げ、安定して運営できるという保証になります。そのため、金融機関や投資家からの資金提供を受けるうえで重要な項目といえます。

資金の使い道

融資された資金を何に使うか、内訳を詳細に記述しましょう。事業計画書における書き方のサンプルは以下の通りです。

【「資金の使い道」の書き方サンプル】

・設備投資費用
  • ミシン(3台):150万円
  • 検品機:50万円
・運転資金
  • 原材料費:100万円
  • 人件費:120万円
  • 広告宣伝費:80万円
・その他
  • 店舗改装費用:100万円

「資金の使い道」は、事業の実現可能性を審査するうえで重視される項目です。資金の用途を具体的に、かつ明確に記述することが重要です。たとえば、「設備投資」と一括りにするのではなく、「ミシン」「検品機」のように、具体的な品目と金額を記載しましょう。事業の規模感や計画の信憑性が増し、融資担当者への説得力が高まります。また、見積書や購入予定先のウェブサイトなど、根拠となる資料を添付することでさらに信頼性を向上させられます。

資金の使い道を記述する際は、融資額の合計と内訳が一致しているかを必ず確認しましょう。数字が合わないと、計画全体が杜撰な印象を与えてしまいます。また、支出項目ごとに、その費用が事業の成長にどう貢献するのかを明確に説明することも大切です。単なる費用の羅列ではなく、「高性能なミシンを導入することで、生産効率を20%向上させられる」など、投資対効果を意識して記述しましょう。

さらに、「何に」「いくら」必要かだけでなく、「なぜ」その資金が必要なのかを論理的な説明も必要です。運転資金であれば、「事業開始後3ヶ月分の人件費と原材料費を賄うため」といった具体的な期間や目的を示しましょう。想定外の事態に備えた予備費を計上することも、堅実な計画であることを示すうえで有効です。資金計画全体に一貫性を持たせ、事業の成功に向けた明確なビジョンを提示することが融資の獲得につながるでしょう。

資金調達の内訳

自己資金や融資など、どのように資金を調達するのか内訳を示します。事業計画書における書き方のサンプルは以下の通りです。

【「資金調達の内訳」の書き方サンプル】

  • 自己資金:200万円
  • 日本政策金融公庫からの融資:300万円
  • 合計:500万円

資金調達の内訳を作成する際は、根拠を明確に示すことが重要です。単に金額を羅列するだけでなく、「なぜその金額が必要なのか」「どのように使われるのか」を詳細に説明することで事業計画の信憑性が高まります。たとえば、自己資金については、預貯金の証明書などを準備しましょう。また、融資を予定している場合は、借り入れの目的や返済計画についても言及することで貸し手側への安心材料となります。

事業計画書に資金調達の内訳を記載する際は、複数の調達方法を検討し、それぞれのメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。たとえば、日本政策金融公庫の融資は比較的低金利で利用できる一方、審査に時間がかかることがあります。一方で、ベンチャーキャピタルからの出資は大規模な資金調達が可能ですが、経営への関与が強くなる可能性があります。自社の事業フェーズや目指す方向性に合わせて、最適な資金調達方法を選びましょう。

資金調達の内訳は、事業計画全体の実現可能性を判断するうえで重要な項目です。そのため、具体的な金額だけでなく、資金繰りの計画や、予備資金など資金がショートした場合の対応策についても言及しておくと良いでしょう。創業補助金や助成金など、返済不要な資金についても調査し、活用できるものがあれば積極的に盛り込むことで事業の安定性を高めることができます。

売上・費用の予測

具体的なデータに基づき、現実的な収益予測を立てましょう。事業計画書における書き方のサンプルは以下の通りです。

【「売上・費用予測」の書き方サンプル】

売上予測

年月 商品名 単価 販売数 売上高
2026年4月 TシャツA 5,000円 200枚 1,000,000円
2026年5月 TシャツA 5,000円 300枚 1,500,000円
2026年6月 TシャツB 6,000円 250枚 1,500,000円

費用予測

年月 項目 金額 備考
2026年4月 商品仕入れ 500,000円 売上高の50%
2026年4月 広告宣伝費 200,000円 SNS広告、インフルエンサー依頼
2026年4月 地代家賃 150,000円 店舗家賃
2026年4月 人件費 250,000円 アルバイト2名

「売上・費用の予測」を記述する際は、客観的な根拠に基づいた現実的な数値を記載することが重要です。単なる希望的観測ではなく、「市場調査データ」「競合他社の実績」「過去の販売データ」などを参考にしましょう。特に、アパレル事業では季節変動や流行が影響するため、月次や四半期ごとの詳細な予測を立てることでより説得力が増します。売上予測においては、商品ごとの単価と販売数を明確にし、それぞれに根拠を添えることが大切です。

事業運営にかかるあらゆるコストを洗い出し、費用の内訳を詳細に記述することも忘れないようにしましょう。特に、店舗内装費や什器購入費など、立ち上げ初期にかかる初期費用も内訳に含める必要があります。これらの費用を正確に予測することで、必要な資金の全体像を把握し、資金ショートを防ぐことができます。

事業計画書は、資金調達の際に金融機関や投資家へ提出する重要な資料です。なかでも「売上・費用の予測」は、融資担当者や投資家が事業の採算性や成長性を見極めるための最も重要な項目となります。予測に不確実性がある場合は、「楽観的」「標準」「悲観的」など複数のシナリオを用意しましょう。それぞれのケースで事業がどのように推移するかを説明できるようにしておくと、より信頼性が高まります。また、事業開始後も定期的に予測と実績を比較し、必要に応じて事業計画を修正しましょう。

返済計画の信頼性

融資された資金をどのように返済していくか、具体的なシミュレーションを示すようにします。事業計画書における書き方のサンプルは以下の通りです。

【「返済計画の信頼性」の書き方サンプル】

  • 返済開始時期:事業開始から〇ヶ月後
  • 返済期間:〇年間(元金均等返済)
  • 返済額:月々〇万円

「返済計画の信頼性」は、金融機関からの融資を検討する上で重要な項目です。まず具体的な返済期間と返済方法を明確に記載しましょう。たとえば、「元金均等返済」や「元利均等返済」といった返済方法や、「何年で完済するのか」という返済期間を具体的に示すことで金融機関が計画の妥当性を評価しやすくなります。さらに、返済開始時期を具体的に設定することも重要です。

また、返済計画の説得力を高めるには、どの収益から返済を行うかを明確に説明する必要があります。たとえば、「初年度の売上目標が〇円であり、営業利益は〇円を見込んでいる。この営業利益の中から、毎月の返済額である〇万円を無理なく捻出できる」といった形で、財務予測との整合性を示すことが大切です。売上や利益の根拠が明確であればあるほど、返済計画の信頼性は増します。

さらに、返済が滞るリスクの回避策にも触れておくと、より信頼性の高い計画書になります。「売上が計画通りに伸びない」「突発的なコストが発生する」など想定されるリスクを挙げ、具体的な対策を記載することで経営者としての危機管理能力を示すことができます。「運転資金の余裕を持たせる」「コスト削減策を講じる」など具体的な対策を示すことで、単なる理想論ではなく、現実的な事業計画であることをアピールできるでしょう。

マーケティング戦略

「マーケティング戦略」の項目では、どのように顧客を獲得し、売上を向上させるかという具体的な実行計画を示します。アパレル業界は競争が激しいため、ブランドの存在を知らせ、顧客の興味を引き、最終的に購入につなげるための明確な手段を提示することが必要です。

たとえば、InstagramやTikTokなどのSNSを活用して顧客に直接アピールする方法があります。ブランドのストーリーや制作過程の発信によって、単なる商品ではなくブランドの世界観を伝えられます。さらに、インフルエンサーとのコラボレーションやフォロワー限定のキャンペーンの実施によって、新規顧客の獲得や顧客ロイヤリティの向上を狙えます。

また、オープニングキャンペーンとして、購入者へのノベルティプレゼントや期間限定の割引を実施するなどのプロモーション計画は事業の成功において重要です。ブランドの認知度を効果的に高め、初期の売上を確保するうえで重要な役割を果たすでしょう。

「マーケティング戦略」の項目を詳細に記載することで、事業の実現性や成長に対する信頼性を証明できます。金融機関や投資家に対して、事業の売上目標達成への確信などをアピールする効果も期待できるでしょう。

SNS活用方法

SNSでどのように顧客と繋がり、ファンを増やすのかを具体的に示しましょう。書き方のサンプルは以下の通りです。

【「SNS活用方法」の書き方サンプル】

《Instagramの活用》

アカウントのコンセプト:

ブランドの世界観を表現する統一されたフィード。新商品の紹介だけでなく、コーディネート提案や製作過程の裏側も投稿。

投稿内容:

  • 週3回のフィード投稿(新商品、着用モデル、ブランドストーリー)
  • 毎日ストーリーズを更新(Q&A、アンケート、ライブ配信)
  • リール動画を活用し、コーディネートの動きを魅力的に伝える

KPI:

フォロワー数、エンゲージメント率(いいね、コメント、保存数)、ECサイトへの流入数

「SNS活用方法」を事業計画書に記述する際は、具体的な目標と戦略を明確にすることが重要です。単に「SNSを活用する」と書くだけでは不十分です。どのプラットフォームをメインに使うのか、どのようなコンテンツを投稿するのか、そしてその目的は何なのかを具体的に示しましょう。ターゲット顧客がどのSNSを主に利用しているかを考慮し、最も効果的なプラットフォームを選択することが大切です。

費用対効果についても言及することが求められます。たとえば、インフルエンサーマーケティングを行う場合は、どのくらいの費用でどのくらいのリーチやエンゲージメントが見込めるのかを予測しましょう。また、広告予算を設定する場合は「フィード広告」「ストーリーズ広告」など具体的な広告の種類と、「ブランド認知度向上」「ECサイトへの流入促進」など目的を明記すると、計画の説得力が高まります。

SNSは、顧客との直接的なコミュニケーションの場でもあります。そのため、単なる情報発信だけでなく、コメントへの返信やライブ配信を通じて顧客と積極的に交流する計画を盛り込むことでブランドのロイヤリティ向上に繋がることを示せます。さらに、どのような指標(KPI)でSNSの効果を測定し、その結果をどのように次の戦略に活かすのかを明記すれば計画の実行性と事業の成長性を示せるでしょう。

プロモーション計画

プロモーション計画を詳細に立てることは、販売促進とブランド認知度向上に直接的に貢献します。プロモーション計画の書き方のサンプルは以下の通りです。

【「プロモーション計画」の書き方サンプル】

《初期プロモーション計画(事業開始から3ヶ月)》

期間 目的 手法・チャネル ターゲット 費用
開始1ヶ月目 ブランド認知度向上

・Instagram広告

・インフルエンサーとのコラボレーション

30代前半の男性 200,000円
開始2ヶ月目 商品の販売促進

・Googleリスティング広告

・Instagramでのプレゼントキャンペーン

既存フォロワー、検索ユーザー

150,000円
開始3ヶ月目 リピーター獲得

・LINE公式アカウントでのクーポン配信

・メルマガ配信

購入者、既存顧客 50,000円

「プロモーション計画」を作成する際は、ターゲット顧客に合わせたチャネル選定が重要です。アパレル事業の場合、InstagramやTikTokといったSNSは、視覚的な訴求力が高いことから特に有効です。また、ターゲット層が利用する雑誌やウェブメディアへの広告掲載、インフルエンサーとのコラボレーションも効果的でしょう。各チャネルでどのようなメッセージを発信し、どのような行動を促すのかを具体的に記述すると、計画の実行可能性が高まります。

次に、プロモーションの目的とKPI(重要業績評価指標)を明確にする必要があります。たとえば、「ブランド認知度向上」が目的であれば、「Instagramのフォロワー数」「ウェブサイトへのアクセス数」などがKPIとなります。「商品の販売促進」が目的であれば、「売上件数」「コンバージョン率」などを設定することが考えられます。目的とKPIを明確にすることで、プロモーション活動の効果を測定し、必要に応じて戦略を修正できます。

最後に、プロモーションにかかる費用の内訳と予算配分を詳細に記述しましょう。制作費、人件費など、具体的な金額を明記によって資金計画との整合性が取れます。特に、事業初期はプロモーションへの投資が先行することが多いため、予算が不足しないよう現実的な計画を立てることが重要です。

なお、新商品の発売キャンペーンや季節ごとのイベントを計画することで、顧客の購買意欲を刺激し、売上を最大化します。さらに、事業の成功に向けて、明確で実行可能なアクションプランがあることを示せるでしょう。

まとめ

アパレルに限らず、事業の成功には明確な事業計画書が必要です。事業計画書は融資獲得のためだけでなく、ビジネスの羅針盤としての役割も果たします。

アパレルの事業計画書において特に重要なのは、事業の根幹となる「事業の概要」です。ブランドのコンセプトやビジョンを明確にし、ターゲット顧客、そして他社にはない商品やサービスの優位性を具体的に記述する必要があります。

次に、事業の持続性を証明する「資金計画と財務予測」も必要です。資金の使い道、調達の内訳、売上・費用の現実的な予測、そして無理のない返済計画を示すことによって、金融機関や投資家からの信頼を得られます。

最後に、どのように顧客を獲得し、売上を向上させるかの具体的な実行計画である「マーケティング戦略」も重要です。SNSの活用方法やプロモーション計画を詳細に立てると、事業の実現性と成長性をアピールできます。これらの要点を網羅し、客観的なデータに基づいた説得力のある事業計画書を作成するようにしましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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