日本の少子化が深刻になっている中、待機児童の3歳未満児については劇的な成果がありました。しかし、依然として4歳児以上の待機児童は全国で47,198人※もいます。
そんな中、国の政策としての保育園事業だけでは不十分という声も多く、企業が行う「企業主導型保育園事業」に注目が集められています。
※参照:厚生労働省:平成30年10月時点の保育所等の待機児童数の状況について
そんな中、国の政策としての保育園事業だけでは不十分という声も多く、企業が行う「企業主導型保育園事業」に注目が集められています。
企業主導型保育事業の補助金は新たに保育事業を行う企業に与えられる補助金なのですが、開始後3年目の今年(令和元年)、残念ながら補助金の募集はいまだ未定です。
今回の記事では、企業主導型保育事業の補助金にご興味があり「次の募集はいつなの?」「なんで今年は募集しないんだー!」と思われている事業主様に向け、企業主導型保育事業の補助金真相に迫ってみたいと思います。
1. 企業主導型保育事業は、深刻な少子化を打破する目的の政府による事業
企業主導型保育事業は、割と最近はじまった事業で平成28年度に内閣府がスタートしました。企業主導型保育事業の補助金の概要は、当サイトの以下の記事で書かせていただいています。
企業が常時雇用する従業員を雇う場合、以下の条件に該当する従業員であれば、企業はその従業員に対し厚生年金を支払わなければいけません。
- 週に20時間以上の勤務
- 雇用期間が1年以上見込まれる
- 賃金の月額が8.8万円以上
- 学生でない
企業は従業員の厚生年金を日本年金機構へ支払っていますが、その際に一緒に支払っているのが「子ども・子育て拠出金」です。
企業主導型保育事業の補助金は、この子ども・子育て拠出金から成り立っています。つまり、従業員を抱える企業が少しずつ少子化対策のための税金を負担しているわけですね。
2.最近始まったのに、なぜ平成31年度の補助金の募集はないのか
企業主導型保育事業の補助金は少子化に対する試行錯誤で生まれた新たな試みでした。平成28年度の実績では、企業主導型保育事業のおかげでなんと20,284人もの定員(保育児童の受け皿)が産まれたのです。
【引用:内閣府|企業主導型保育事業パンフレット・会社がつくる保育園P13】
しかし、助成金あるあるでご存知のように、企業主導型保育事業でも不正受給という悲しい事件が発生しました。今年の夏に公開された、以下のニュースをご存知でしょうか。
企業主導型保育また問題発覚 審査する事業者もずさんに選ばれていた 検討委の評価「48点満点中、21.2点」
※上記URLをクリックすると、東京新聞「子育てすくすく」サイトへリンクします
簡単に言えば、企業型保育事業の補助金をもらう条件を十分に満たしていないにも関わらず、政府はずさんな審査で補助金を与えていたという内容です。
3.少子化関連の助成・補助金は今後も投入されるが、審査は厳しくなるだろう
日本ではここ数十年間ずっと「少子高齢化」と言われ続けていますが、日本政府としてもボーっと何もせずにいたわけではありません。企業主導型保育事業は日本政府が1990年頃からずっと継続している少子化対策のうちの一つに過ぎません。
例えば、1990年から2010年の10年間では、エンゼルプラン・・新エンゼルプラン、仕事と子育ての両立支援等の方針、少子化社会対策基本法などさまざまな施策が実行されてきました。
2010年以降も、待機児童解消加速化プラン、少子化危機突破のための緊急対策、子育て安心プラン、などさまざまな試みが継続されています。(まるで携帯電話のプラン名のようですが、、)
【引用:内閣府:内閣府ホーム > 内閣府の政策 > 子ども・子育て本部 > 少子化対策 > 国の取組み】
一定の効果はあるにせよ、抜本的な解決をするのはなかなか難しい状況です。
少子化は単にわたしたちにお金があれば解決するわけでもなく、根本的な原因として「働き続けるための受け皿(保育園の枠)がない」ことや「未婚化が進んでいる」ことも関係しているからです。
今後も、日本政府による少子化関連の助成金・補助金の募集は続くことでしょう。しかし、今回の不正受給のニュースにより、受給の条件や提出書類などはより厳しきなるのでは、という見方ができます。
2.企業主導型保育事業ポータルでは「未定」の文字が
今後の企業主導型保育事業の補助金はどうなるのでしょうか?企業主導型保育事業ポータルでは以下のように「未定」の文字が掲載されています。
これから企業として保育事業に携わろうとしていた方は、が~ん!というショックを覚えたことでしょう。しかし、先日新たな動きがありました。企業主導型保育事業の委託予定事業者が「株式会社ニチイ」に決定にしたのです。
3.企業主導型保育事業の委託予定事業者とは
企業主導型保育事業の財源は日本国から拠出されていますが、実際の補助金の支給や保育事業の運営の相談等は「児童育成協会」と事業主が行います。
児童育成協会は、前述でご紹介しました「企業型主導型保育事業ポータル」を運営しています。児童育成協会は企業主導型保育事業を政府から任されていますが、企業主導型保育事業は保育園の運営事業のみを行っているわけではなく、セミナー主催や保育安全研修などを行っています。
【引用:内閣府|自治体において企業主導型保育を推進するメリット】
児童育成協会は実際の業務を行う事業者(例、ニチイ、ベネッセ)を選定し、任せる立場にあります。
最新の情報(2019年10月4日)では、新たに企業主導型保育事業での委託事業者がニチイに決定していますので、徐々に企業主導型保育事業の補助金についての調整もスタートするのではないかとみられています。
まとめ
企業主導型保育事業の平成31年度の補助金募集は見送りとなる可能性がありますが、新たに委託予定事業者が児童育成協会により決定されていますので、今後も補助金の募集は継続されると思われます。
保育園や幼稚園などの事業資金が不足していてお急ぎの方、助成金・補助金へのご相談をされたい方は、お気軽に当サイトまでご相談ください。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
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