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塾経営を失敗しないために!開業地はどのように選ぶべき?

少子化が問題視されていますが、子ども一人に対する教育費は上昇しており、受験比率の高い東京都心部では、月額10万円が教育費の相場と言われています。そのため塾の開業数は増加しており、競合との競争も激化しています。

「子供に勉強を教えるのが好きで塾を開業したい」「将来は今勤務している塾から独立して開業したい」という方もいらっしゃるかと思いますが、塾を開業するにあたり、どのような場所で塾を開くのかは最も重要な項目です。

そこで今回は、塾の経営を成功させるにあたって最も重要な開業場所について、どのような基準で選ぶと良いのか4つのポイントを説明していきます。

塾経営の現状

ここ最近、少子化が懸念されておりますが、経済産業省が公表している『平成30年 特定サービス産業実態調査報告書』によりますと、全国にある学習塾の事務所数は46,734事務所となっており、横ばいで推移しています。

少子化が進む一方で、自分の子供の教育にお金をかける両親が増加していることが大きな要因です。
文部科学省が実施した『平成28年度 子供の学習費調査』の結果を見てみると、年間の学習塾費で支出した額は、中学校で平均27.8万円、高等学校で平均34.8万円と進学につれ増加傾向にあります。
また、国立教育政策研究所の『平成29年度 全国学力・学習状況調査』において、中学生の通塾率の全国平均は61.4%、小学生の通塾率は45.8%と、いずれも高い結果となっていることからも子供の教育に関心が高い両親が多いことがうかがえます。

このように塾の需要が高く、今後も塾や予備校の数は一定数を保つ傾向にありますので、まだまだ成長の余地のある分野といえるでしょう。
そのため塾経営に可能性を見いだし、塾の開業に乗り出す方も多いです。しかし、結果として競合が増え、塾同士の競争が激化していることも事実です。

厳しい競争環境のなかで生き残っていくためには、開業する場所はどこにするのか、どのように集客していくのかなど、しっかりとした経営戦略を立てることがこれからの塾経営を成功させるためには必須です。

塾の開業場所選びに大切なこと

塾経営を成功させるにあたって、開業地選びは非常に重要です。どんなに質の高い塾であっても開業する場所によっては、まったく生徒が集まらないということも考えられます。では、塾の開業場所はどのような基準で選ぶと良いのでしょうか。

選択基準はたとえば、次の4つが挙げられます。

①立地
②家賃
③規模
④競合他社の数

開業場所を選ぶ基準①立地

学校からの徒歩圏内を選ぶ

学校が終わった後、そのまま直接塾へ向かうという傾向があります。

東京都内であればバスを利用するなどして塾へ通うことも可能ですが、地方の場合、交通の便が悪い場所に塾があれば、生徒は両親に車で塾まで送ってもらう必要があります。

しかし、最近は共働きの家庭が増えていることもあり、いつも保護者が送り迎えをすることができるとは限りません。また、何とか送り迎えができたとしても、毎回車を出すことは保護者にとって大きな負担になります。
そのため、どこの塾にしようか選ぶ際、徒歩で通えないという理由で、あなたの塾が選択肢から外されてしまう可能性があるのです。
逆にいえば、生徒が毎日無理なく通えるように学校から近い場所で塾を開業することで、生徒を確保しやすくなります。

駐車場がある場所を選ぶ

車で送り迎えをしている両親のために、塾の近くに駐車場があることは必須です。

駐車場がないと、送り迎えをすることが難しくなり、両親に路上駐車を強いることになることもあります。そのため、ある程度の広さのある駐車場が近くにあるか、無ければ自分で最低4台程度は車がとめられるような駐車スペースを作れる場所を選びましょう。

人目に付きやすい場所

開業したての塾にとって、生徒を獲得できるかどうかが、その後の経営を左右します。

どんなにすばらしい塾でも開業当初は誰もその塾については知りませんので、まずは知名度の向上が必要です。そのためにはなるべく人目に付きやすい場所を選んで、開業することをおすすめします。

具体的に言えば、駅前や幹線道路沿いが一目に付きやすく、知名度の向上には良いでしょう。

 

しかし、駅前などは家賃が高いケースも多いです。毎月固定費として支払う家賃は、開業当初は特に経営の負担となりますので、無理のない範囲で選ぶようにしましょう。

開業場所を選ぶ基準②家賃

 ランニングコストが安い場所

安定した経営を続けていくためには、家賃や管理費といったランニングコストはなるべく抑える必要があります。

駅前や幹線道路沿いなど条件の良い場所を選ぼうとすれば、それなりに家賃が高くなる可能性があります。

地域や広さによって異なりますが、個別指導の塾の場合は10万円~15万円、クラス指導の塾の場合は20万円~25万円を家賃の目安としましょう。
また、敷金や礼金にも注意が必要です。高い場合ですと、6か月分以上も必要なことがあります。

仮に家賃25万円で敷金・礼金が6か月だった場合、初期費用として最低150万円はかかるということになります。物件によっては敷金や礼金が不要な場合もありますので、なるべく開業時や今後の経営に負担のかからない物件を選びましょう。

 

なお、マンションの一室で塾の開業を検討している方もいらっしゃるかもしれません。広い物件を借りるより費用を安く抑えられるというメリットはありますが、いくつか注意点もあります。
まず、塾として活用しようと思っているマンションの一室が事業用として使用可能か管理会社や大家さんに確認が必要です。
また、マンションは他にも住人がいます。塾を開業することで不特定多数の人がマンションに出入りすることを不安に感じる人も出てくるでしょう。マンションのエントランスや出入り口付近で生徒が集まって騒いでいるなど苦情につながる恐れもあります。こうしたトラブルを避けるために塾の運営方法を工夫する必要が出てきます。

開業場所を選ぶ基準③規模

個別指導は15坪~20坪、クラス指導は30坪以上の広さを目安に選ぶ

物件の広さによって、どのくらいの生徒数を受け入れられるかの目安になります。
一般的に個別指導の塾の場合は15坪~20坪、クラス指導の塾の場合には30坪以上必要とされていますので、あなたがどのような塾を開業しようと考えているのかによって物件の広さを選ぶと良いでしょう。

塾の経営が安定するまでは小規模な物件でも問題ありませんが、あまり狭すぎる物件を選んでしまうと何度も移転が必要になるなど、追加で余計な費用がかかってしまいますので、将来を見越して多少余裕を持った規模の物件を選ぶことを検討してください。

 

自習室まで確保できるとなお良い

生徒の学習環境を整えるためには、しっかりとした広さが必要です。

そのためには、日頃の授業を行う教室以外にも自習室まで確保できるような物件を選びましょう。

 

自習室があることで、塾がただ授業を行う場所ではなく、日頃から好きなときに立ち寄って気軽に勉強できる場所というイメージを持つことができ、生徒からの人気を集めることができます。

開業場所を選ぶ基準④競合他社の数

開業する前に必ず競合チェックはしておきましょう。
外部の調査会社に依頼するのもひとつの方法ですが、自分自身でも簡単に競合他社の調査をすることが可能です。
例えば、秋葉原周辺で塾の開業を検討しているとしましょう。Googleマップで「秋葉原 塾」と検索すると、秋葉原駅周辺にある塾が表示されます。表示される数が多いほど競合が多いということです。
ただし、一口に「塾」と言っても、小中高どの生徒がターゲットなのか、学校の授業内容をサポートする補習塾なのか、それとも受験対策がメインの進学塾なのかなど、塾の特徴によっては競合しないケースもあります。
また、塾の数が少ない場所だから生徒数が見込める、と安易に開業場所に決めるのは危険です。そもそも塾の需要がないという可能性もありますので、開業場所周辺にどのくらいターゲットとなる人口がいるのか必ず調べておきましょう。
総務省が公表している『国勢調査』では、対象地域の人口統計や世帯年収などを知ることができます。ライフスタイルを分析し、マーケティングに有効活用してください。

開業場所の目星がついたら、実際に足を運んでみることが大切!

開業場所の候補地がいくつか決まったら、必ずその場所に行って実際に自分の目で見てみることが大切です。
確認すべきポイントは次のとおりです。
・外観
・物件の広さ
・トイレや空調などの設備
・駐車場や駐輪場
・周辺の雰囲気
・車の通行量 など
曜日や時間帯によって周辺の雰囲気も変化しますので、時間が許す限り何度でも足を運んでみると良いでしょう。昼間は賑やかな通りでも夜は街灯が少なく人通りもないといったケースもありますので、生徒たちが安心して塾に通えるように、実際に塾の授業が行われる学校終わりの夕方から夜にかけても物件を見に行ってみることを検討してください。

まとめ

学習塾の経営を成功させるためには、開業場所が非常に重要です。塾の魅力やクオリティ向上はもちろんですが、まずは生徒が集まらなければ売上はたちません。
顧客ターゲットとなる学生がどのくらいいるのか調べ、「立地」「家賃」「規模」「競合他社の数」を踏まえて、開業場所を選ぶようにしましょう。すべての条件を満たす場所はなかなか見つからないかもしれませんが、優先順位をつけて選択してください。

特に立地選びによって、生徒がその塾を選んでくれるかどうかが変わります。開業場所を選ぶ際は、実際に自分が生徒になったつもりで考え、その場所に通いたいと思えるような場所を選ぶようにしましょう。

塾の開業については、こちらの記事もあわせてご参照ください。
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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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