提出書類が多い?!人事評価改善等助成金の制度整備助成の申請方法とは?
今年新たに設定された人事評価改善等助成金は、企業内で生産性をアップし離職率を低下させることでもらえる助成金です。しかし、「生産性をアップ」や「離職率を低下」と言われても抽象的で、具体的に何をすればいいのか分かりづらいですよね。
今回の記事では、人事評価改善等助成金をもらうために必要な要件や申請方法などをまとめてご紹介していきます。
※人事評価改善等助成金は平成30年度から「人材確保等支援助成金(人事評価改善女性コース)」へ統合されました。
助成金としていくらもらえるのか、利用できる助成金にどんな助成金があるのかなど、専門家の意見を聞いてみたいという方は下記診断をご利用ください。助成金の受給資格の有無など3分で確認できます。
1.人事評価改善等助成金の概要
人事評価改善等助成金をもらうための条件をみていく前に、まず大まかな内容について触れていきましょう。
人事評価改善等助成金が新設された目的は、「正規労働者向けの評価制度を導入」し、「評価の対象と基準を明確にする」という正社員向けの分かりやすい評価制度の導入です。
要は、能力のある人は給料を上げるよ、という制度を明文化、規約化するのです。
評価制度を導入することで、どのような事が起こるでしょうか?次のような事が起こると想定できます。
能力を認められ給料が上がる
⇒やる気を出しもっと頑張る
⇒生産性がアップする
というように、生産性のアップが期待できるのではないでしょうか。また、労働者のモチベーションがアップすれば、それに応じて離職率も低下するでしょう。
日本は、世界の先進国の中では低水準の生産性(2016年度世界第18位)です。
そこで、厚生労働省は生産性をアップするための本助成金を考案しました。
もらえる助成金は、50万円です。
さらに目標達成をすれば追加で80万円が支給されます。
総額では130万円になります。
ちなみに概要については、当サイトの別記事(人事評価改善等助成金~平成29年4月1日新設~)や(どっちがもらいやすい?人事評価改善等助成金と職場定着支援助成金の違いとは?)も是非ご参照ください。
2.制度整備助成とは
この助成金では、①制度整備助成と②目標達成助成という2種類の支給要件(=助成金をもらうための条件)が設定されています。
今回の記事では、まず①制度整備助成についてお話します。何故なら、制度整備助成でもらえる50万円をクリアしないと、次の目標達成助成の80万円はもらえないからです。
制度整備助成と書くと難しいように感じますが、要は、人事の評価「制度」を「整備」したら、「助成」金を支給するよ、という事です。以下、1つ1つのワードをみていきましょう。
制度
人事評価制度の事です。人事とは、これから新しい労働者を採用する事、そして採用後の教育や研修、また既に働いている労働者への研修や昇給・労務関連を指します。
人事評価制度を分かりやすくし、働く人のモチベーションを上げて生産性をアップできるようなものにします。
整備
人事評価制度なんて、うちの会社にはないよ、とお思いになる事業主の方もいるかもしれません。
しかし、人事評価制度は既に企業の中に存在します。人事評価制度がなければ、事業主はそもそも給料をあげることもできません。人事評価制度、とたいそうな名前がついているのでピンときませんが、通常初任給と20年働いた労働者には同額の給料ではないはずですよね。
人事評価制度を整備する、とは、既にある人事評価制度を、厚生労働省の方針に沿った内容に当てはまるように加工する、というようなイメージを持っていただくと分かりやすいと思います。
助成
人事評価制度を整備したら、以下でご紹介する書類(人事評価制度等整備計画(変更)書)労働基準監督署に提出します。そして、その計画が認定されたら、助成金をもらうための支給申請を別途します。助成金(50万円)をもらうには、1回の書類提出ではなく、最低2回の書類提出が必要です。
3.提出書類のこと
それでは、ここから実際に提出書類についてみていきましょう。書類は、大きく分けて以下の2つに分類されます。
- ①行動計画申請のための書類
- ②助成金申請のための書類
①行動計画申請のための書類
①には、こんな書類があります。
(1)人事評価制度等整備計画(変更)書
本助成金をもらうためには、人事評価制度等整備計画(変更)書、という計画を作成して提出します。既に計画をたてて一度認定されている場合には、~計画書ではなく~変更書という名称で提出します。一回目で提出するには、書面内にある人事評価制度等整備計画(変更)書というタイトルの(変更)を二重線で消しましょう。
この書類は、事業主管轄の労働局長に提出するものです。厚生労働省のサイトから書式はダウンロードできます。PDFとWordの形式がありますので、印刷して手書き、またはWordで記入して捺印のみ手で行うという事もできます。
この申請書の記入は、事業主であれば特に難しいところはありません。この申請書を社会保険労務士が代筆できるように、社会保険労務士記載欄、もありますので、社会保険労務士に依頼することも可能です。
(2)整備する人事評価制度等の概要票(別紙)
この概要票では、フリースペースで人事評価制度の現状や新たに新設する人事評価制度の概要・目的・対象者・処遇の繁栄時期や賃金支払日について記入します。
また、注意するところですが、就業規則の労働基準監督所への届け出予定日または労働協約の届出予定日を記載する欄があります。
人事評価制度は、勝手に事業主が「今日からこういう制度を導入するよ~」と導入できるものではありません。きちんと就業規則に盛り込み、それを労働署へ提出するか、もしくが労使間で労働協約を結ぶ必要があります。労使間、とよく聞きますが、経営者側と労働者側のことです。
その他には、整備する人事評価制度のアンケートのような欄があります。該当すれば、以下図のように〇をつけていくのです。
(抜粋)
正規労働者党を適用対象とする制度である | |
人事評価の評価対象と基準が明確である | 〇 |
人事評価が年1回以上は行われる | |
賃金表を定めていること | 〇 |
表に〇をつけることで、作成した人事評価制度が助成金の適用になるかどうかチェックすることができます。
(3)賃金アップ計算書
新制度の対象者となる労働者(正社員等)が、1年後にどれくらい給与がアップするかを証明する書類です。この書類の記入は簡単な計算のみで記入できます。
ポイントは、1年後に給与の2%をアップできるかどかという点です。2%以上アップできないのであれば、この書類は提出できません。
(4)合意書
この助成金をもらうには、人事評価制度を整備するだけではなく、就業規則を変更し就業規則を労働基準監督署へ提出するか、もしくは労使間の合意書を労働基準監督署へ提出する必要があります。労使間の合意書を提出する場合は、書式(フォーマット)を厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。(この記事の下部にリンクを貼っておきます)
②助成金申請のための書類
続いて②には、こんな書類があります。
(1)人事評価改善等助成金(制度整備助成)支給申請書
この書類には、以下の添付と共に提出する必要があります。
(2)事業所確認表
(3)人事評価制度等の適用者名簿
人事評価制度対象者(正社員等)の名前、雇用保険被保険者番号、職種、勤務事業所等を記入します。また、対象労働者本人が確認し署名する欄も設けられています。
(4)整備した人事評価制度を確認できる以下のいずれかの書類
- ・労働協約
- ・就業規則
- ・賃金規定
- ・賃金表
- ・賃金アップ計算書(これは、書類①と同じ様式です)
- ・労働条件通知書または雇用契約書
- ・人事評価をおこなったことが確認できる書類
- ・・対象労働者の出勤簿など出勤状態が分かるもの
- ・支給要件確認申立書
- ・その他管轄労働局が必要と認める書類
以上で説明しました様式(フォーマット)は、以下リンクよりまとめてダウンロードできます。
4.行動計画書の提出期限と提出先
人事評価制度を整備する月の初日からさかのぼり、6か月前から~1か月前の日の年月までに提出することが必要です。
人事評価改善計画(変更)書は、本社を管轄する労働局に提出します。提出後、適切な人事評価制度計画と認定されると「認定通知書」が郵送されてきます。
あとは、作成した人事評価制度計画に沿って人事評価制度を実施します。
4.助成金支給申請期限と提出先
人事評価制度の実施日の翌日から起算して2か月以内に、申請書を各都道府県労働局に提出してください。
助成金や補助金は取得までに時間がかかる?
助成金や補助金は、すぐに取得できるものはほとんどありません。
中でも、1年から1年半経過後に取得できるものが多いです。
助成金申請が実行される前に、資金繰りが悪くなってしまう会社が多い傾向があります。
そこで、多くの経営者が助成金とは別に、
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中でも、政府が100%出資している日本政策金融公庫については、
下記サイトで詳しく説明されていますので、情報収集しておくと万が一に備えられるでしょう。
まとめ
人事評価改善等助成金は、行動計画の提出と助成金申請の申請時期のタイミングに注意が必要です。また、離職率は過去1年に遡って計算するのもポイントです。提出する書類は数種類あるので、計画的に申請を行いましょう。
しかしながら、記入する書類自体はそれほど難解なものではありません。しっかり事前準備をして助成金を受給しましょう。
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平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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