企業の負担を減らすために雇用保険料を安くする方法

企業の負担を減らすために雇用保険料を安くする方法 助成金・補助金 – 助成金の基礎知識
企業の負担を減らすために雇用保険料を安くする方法

雇用保険料を負担している企業にとっては税金のようなもの

雇用保険に加入する働き手にとって、失業時や休業時の給付などメリットになるものですが、保険料を負担しているのは企業となるため、企業にとっては税金のような存在です。企業側は、”社会保険料を削減できるのであれば削減したい” という思いを抱えていることも少なくありません。

そして、平成29年には対象者の拡充も行われ、負担額で頭を抱える企業も増加しました。今回の記事では、雇用保険料の基本的な知識から、負担を企業が合法的に軽くするためのヒント、をご紹介していきます。

1.雇用保険料の基礎知識

雇用保険料とは

労働者が失業してしまった時や、育児や介護で休業することになった際に、給付という形で労働者を支援する目的で雇用保険料が存在します。また、定年後の再就職時で賃金が減少してしまった場合においても、労働を断続できるように給付を受けることができる点も特徴です。

雇用保険を管理しているのは国である厚生労働省ですが、実際に手続きや給付を行うのは各都道府県にあるハローワークです。給付資金は、加入している事業主が納める保険料が多く割合を占めますが、国も雇用保険を維持するために、一部の割合を負担しています。

加入条件

雇用保険の加入条件を確認していきます。加入条件は、下記の4点です。

雇用形態にはパートやアルバイトなどがありますが、下記の条件に該当する場合は、事業主また労働者からの加入希望の回答問わず、加入の義務があります。

  1. 1週間以上の所定労働時間が20時間以上
  2. 31日以上続けて雇用される見込みがある
  3. 雇用保険の適用事業所に雇用されている
  4. 65歳以上の労働者は雇用保険への新規加入不可

③については、個人事業主や会社の区別なく労働者を一人でも雇っている場合は対象となります。

適用範囲の拡充

平成28年12月31日までの雇用保険適用要件の中には、「65歳以上の労働者は雇用保険への新規加入不可」という内容が含まれていました。しかし、平成29年1月1日に雇用保険の適用範囲拡大が行われ、65歳以上の新規雇用の労働者も雇用保険に加入できるようになったのです。

また、雇用保険は社会保険の一部であり、原則として雇用保険のみに加入することはできず、社員を雇用保険に加入させるということは、原則として併せて社会保険に加入させる必要があるのです。

雇用保険の適用範囲拡大が適用されるということは、事業主がより多くの社会保険料を負担しなくてはいけないということです。

厚生労働省:【重要】雇用保険の適用拡大等について~ 平成29年1月1日より65歳以上の方も雇用保険の適用対象となります ~              

 

2.雇用保険料の事業主の負担額

事業主が労働者一人につき負担する雇用保険料は、一般の事業であれば保険率は6/1000(0.6%)、農林水産と清酒製造の事業は7/1000(0.7%)、建設業であれば0.8/1000(0.8%)の負担率となります。(令和2年4月1日~令和3年3月31日までの雇用に適用)

労働者に支払う月給や賞与に、負担率をかけることで負担額を算出することができます。

〈例〉

Aさんは一般事業の会社にお勤めで、月給が20万円でボーナスはなしと仮定します。一般事業の保険率は0.9%、本人負担額が0.3%、会社負担額は0.6%の内訳となっています。

Aさんの負担額:(月給)20万円 × (保険負担率)0.3% ÷ 100 = (負担額)600円

事業主の負担額:(月給)20万円 × (保険負担率)0.6% ÷ 100 = (負担額)1200円

月給20万円の従業員に対し毎月1,200円、年間で計算すると14,400円の負担です。これが従業員100名だと144万円となり、1000名であれば1440万円と非常に高額になり、さらに社会保険料も追加されることがありますので、企業の負担額は大きいことが分かります。

次に、事業主の負担額を少しでも軽減するための方法を解説します。

 

3.合法的に雇用保険料を安くする方法

① 短時間勤務の労働者を増やす

雇用保険の加入条件①では、週の労働時間は20時間以上の労働と規定しているため、週に20時間以下の従業員には保険料を支払わなくていいことになります。

先ほどの例で挙げたAさんが、週に40時間の勤務をしているのであれば、Aさんの仕事ができるBさんとCさんへ19時間以下ずつ仕事をシェアするという方法があります。この方法は、アルバイトで十分できる内容の仕事や仕事量の場合は非常に有効です。

また、季節性の高い仕事の場合には、加入条件②にある、31日以上継続して雇用という部分に注目しましょう。

雇用を31日以下にすることで保険料を負担せずに済むのです。これはデパート、スーパー、飲食店など季節限定イベントの際にアルバイトを雇い、社員には別の仕事を任せるなどをすることで対応することができます。

② 従業員から執行権を持つ役員への変更を検討する

会社役員などは、雇用保険の対象外となるため、保険料がかかりません。しかし、小売店の店長や工場長などは執行権を持たないため、役員ではなく従業員扱いとなります。

保険料は、従業員の給与に負担率をかけて算出されるため、給与が高くなればなるほど保険料も高くなります。そのため、高額給与の従業員を執行権付き役員とすることで、雇用保険料をカットすることが可能です。

③ 人材派遣会社を活用する

雇用保険は雇用する側とされる側で結ばれる保険のため、人材派遣会社を通じて雇った従業員には雇用保険をかけずに済みます。この場合、人材派遣会社が雇用保険料を負担することになります。

しかし、高額な時給を払わなければいけないというデメリットもありますので、総合的に考え雇用保険を払っても自社で雇った方が得策なのかどうか、検討する必要があります。

④ 出向者を上手に活用する

出向者とは、親会社から給料をもらいながら、実際の仕事は子会社で行うといったように、給与の支払い先と働く場所が異なる働き手を指します。

出向者の場合、雇用契約と給与の支払い義務は親会社側にあるため、子会社側では雇用保険料の負担はありません。規模の大きい会社でなければ、この方法を活用することはできませんが、実際に多くの工場や企業で活用されている方法です。

⑤ 賞与の一部を保険料の対象から外す

雇用保険料の計算は、従業員に支払う給与と賞与から計算するとお伝えしましたが、以下のような賃金が保険料の対象となります。

  • 超過勤務手当
  • 深夜手当
  • 休日手当
  • 扶養手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 通勤手当

これらの賃金とは反対に、保険料の対象とならないものは以下のような一時金です。

  • 退職金
  • 結婚祝い金
  • 災害見舞金
  • 出張旅費
  • 宿泊費
  • 解雇予告手当
  • 会社が全額負担する生命保険の掛金

休日手当を結婚祝い金にすることはさすがに無理がありますが、賞与を退職金に組み込むということはできそうです。入社時の規定として”賞与の半分は退職金にまわします”といった内容をあらかじめ説明しておくことで、1名当たりの雇用保険料負担は半分で済みます。

                           

まとめ

雇用保険料を含む社会保険料の負担は年々増加しており、今回解説した雇用保険料についても高齢者の従業員が新規に加入できることになるなど、企業の負担額の増大が見込まれます。合法的に保険料の削減が可能な方法を活用し、企業にとってやりやすい保険料負担削減の方法を、この記事を参考に模索して頂ければ幸いです。

また、社会保険に加入していることで助成金の対象になる可能性が非常に高いです。返済不要の資金調達方法である助成金を活用して、社会保険料の負担をカバーできるように計画することもオススメします。

助成金を申請し、受給できる会社でも申請していないことが多く、まずは助成金がもらえるかどうかをしっかり確認しておきましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
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【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。