会社都合による従業員の解雇・退職勧奨は助成金に影響する?会社都合の解雇とは

会社都合による従業員の解雇・退職勧奨は助成金に影響する?会社都合の解雇とは 更新日:2020.09.15 公開日:2018.09.27助成金・補助金 – 助成金の基礎知識
会社都合による従業員の解雇・退職勧奨は助成金に影響する?会社都合の解雇とは
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会社都合で退職する従業員が出た場合、助成金を返還しなければならない場合があります

厚生労働省が管掌している助成金は主に雇用に関係します。新しく従業員を雇用する、今いる従業員を教育することを目的とした助成金の場合、会社都合による「解雇」は不支給の要件に該当します。 そのため、場合によっては支給された助成金を返還しなければならないことも起こり得ます。 会社都合の解雇とはどのようなことを言うのでしょうか?

1.雇用関係の助成金の支給要件

雇用関係の助成金には、事業主に対して様々な要件があります。主に、従業員を雇い入れる時に申請することができる助成金の多くは、「該当する従業員を雇い入れる日の前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までの間に、事業主都合の解雇をしていない」という旨の要件があります。

以下に代表例の助成金とその要件のうち解雇に関する記載があるものを記載します。

(1)トライアル雇用奨励金

「基準期間(トライアル雇⽤を開始した⽇の前⽇から起算して6か⽉前の⽇からトライアル雇⽤期間を終了する⽇までの期間をいう。)に、トライアル雇用に係る事業所において、雇⽤保険被保険者を事業主都合で離職させたことがある事業主以外の事業主」

(2)特定求職者雇用開発助成金

「対象労働者の雇入れ日の前後6か月間(以下「基準期間」という)に事業主の都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと」

(3)キャリアアップ助成金 正社員化コース

「当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者※6を解雇※7等事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること。」

(4)キャリアアップ助成金 人材育成コース

職業訓練計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から、その職業訓練でのキャリアアップ助成金の支給申請書の提出日までの間に、職業訓練計画を実施した事業所で、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた適用事業主」

以上、(1)~(4)の助成金の支給要件を見て分かる通り、事業主都合で解雇した場合は、助成金の申請が不可能であることが分かります。

助成金としていくらもらえるのか、利用できる助成金にどんな助成金があるのかなど、専門家の意見を聞いてみたいという方は下記診断をご利用ください。助成金の受給資格の有無など3分で確認できます。

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2.会社(事業主)都合の退職・勧奨退職とは

従業員が会社をやめる場合は大きくわけて下記5つのパターンがあります。

  • ①会社都合の解雇
  • ②期間満了による退職
  • ③自己都合退職
  • ④会社都合による自己都合退職(退職勧奨)
  • ⑤懲戒解雇

雇用関係の助成金の多くは、従業員の雇用の安定を目的としている為、④の会社(事業主)都合による退職や解雇は、助成金の目的に反していると取られます。

では、具体的にどのような例が会社都合の解雇・退職勧奨に当てはまるのか、解説します。

(1)会社(事業主)都合による解雇

会社(事業主)都合による解雇とは、会社(事業主)側に主な原因があり従業員が離職することになることを言います。

会社都合の解雇には懲戒解雇は含まれません。

  • 法的倒産及びそれ以外の事業廃止、事業の再開見込みなし
  • リストラ等による解雇
  • 希望退職の募集(早期退職者優遇制度は該当しない)
  • 退職勧奨

(2)退職勧奨

退職勧奨は、結果によって「自己都合」になる場合と「会社都合」になる場合に分かれます。

会社から退職勧奨した後、従業員から退職を伝えた場合は、「自己都合」の退職となり、会社都合にはなりません。

一方、会社から退職を伝えた場合や、退職勧奨後に従業員が退職を拒否し、会社が解雇した場合は「会社都合」の退職となります。

どちらに当てはまるのか以下のフローチャートを参考にしてみてください。

(3)希望退職での注意点

従業員から失業保険を早くもらいたいから希望退職にしてほしいと言われて、希望退職にしてあげた場合も、事業主都合による解雇とみなされてしまいます。

良かれと思ってした行為が、結果、助成金の受給に支障を来すこともあります。要件の解釈をしっかり行うことが重要です。

3.解雇した場合、受給した助成金は返還しなければならない

助成金を申請しようと考えている日から6ヶ月以内に従業員の解雇を行っている場合は、助成金は支給されないわけですが、万が一、支給された後に解雇が発覚した場合は、支給された助成金を返還しなければならない場合があります。

4.どうしても「解雇」しなければならないならば、タイミングが重要

とは言え、どうしても「解雇」しなければならない事態になっていしまった場合は、助成金の申請をあきらめる、もしくは、助成金を申請するタイミングをずらす以外ありません。

どうしても従業員を解雇しなければならない事態になってしまった場合は、助成金の申請をあきらめる、もしくは、助成金を申請するタイミングをずらすことを検討してみてください。。

会社都合の退職はこのように助成金の受給ができなくなってしまうというデメリットがあります。一方、助成金に申請していない企業や今後も支給を受ける予定がない企業の場合、このデメリットはありません。

また、助成金をもらうことを目的として、退職理由を「自己都合」に持っていくなどの行為は不正受給にあたり、不正受給となると、処分が下りた日から3年間は助成金の申請が出来なくなってしまいます。

 

5.助成金・補助金は至急まで時間がかかる 借入も検討を

助成金や補助金は、すぐに支給されるものはほとんどありません。1年から1年半経過後に支給される場合が多いです。

そのため、助成金申請が実行され、助成金が入金される前に、資金繰りが悪くなってしまう会社が多い傾向があります。

そこで、助成金とは別に金融機関や日本政策金融公庫からの借入も検討してみてください。

日本政策金融公庫は中小企業を支援するという目的の下、無担保・無保証人で受けられる融資制度もあります。

さらに、申請から審査に通過し、着金されるまでの期間が1ヵ月~1ヵ月半程度なので助成金・補助金より早く資金を確保できます。

創業・起業後に日本政策金融公庫から融資を受けたいという方は別記事「起業後、初めて日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイントとは?」もぜひご一読ください。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)は融資のサポート実績が4,500件を超える認定支援機関です。日本政策金融公庫の融資に関して質問や不安がある人は、まずはお気軽に当社にご相談ください。

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まとめ

助成金を受給するためには、事前の準備が必要な場合が多々あります。準備していざ申請となった時に、「解雇」した履歴があるから受給資格がないことが発覚することを避けるため、助成金ごとの受給資格をしっかり確認しておきましょう。

また、助成金が欲しいがために、退職理由を変更する行為は助成金の申請ができないどころか詐欺罪に問われることにもなりかねません。絶対にやめましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
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