清酒製造業退職金共済制度に新規加入するなら掛金の助成金を知っておこう

清酒製造業退職金共済制度に新規加入するなら掛金の助成金を知っておこう 助成金・補助金 – 助成金の基礎知識
清酒製造業退職金共済制度に係る掛金助成

清酒は酒税が課税されることから、日本経済を左右する重要な事業の一つです。

しかし、清酒製造業での労働者の数は過去15年で500事業者ほど減少しています。一方、国内でのビール消費量が減ったとニュースで話題となりましたが、海外への清酒の酒輸出量は安定しています。業界全体の売上高は4350億で、売上高営業利益率は 6.5%以上と利益率は決して悪くありません。

今回の記事では、そんな清酒製造業に関わるみなさまが安心して働けるための制度の「清酒製造業退職金共済制度」と掛金の助成金についてご説明いたします。

 なお、清酒業ではなく別の業種の退職金共済制度について記事をお探しの方は、ぜひ当サイトの以下の記事もご参照ください。

【建設業・清酒製造業・林業以外の業種】

中小企業退職金共済の助成金で掛金をGet!さかのぼりと外国人はOK?

【建設業】

建設業退職金共済制度の助成金で掛金が支給!一人親方・外国人はOK?

 1.清退共についての最近のニュース

清酒製造業退職金共済制度(略して清退共)についてご説明をする前に、清退共についての最近の話題にも触れたいと思います。

  •  清退共では平成30年度に被共済者のうち受給権がなく、10年以上共済手帳の更新手続を行っていない人を脱退扱いとする処理を行ったため、被共済者が5,000人を割り込むこととなった。
  • 一般の中小企業退職共済制度(中退共)よりも運用にかかるコストが高く、資産運用の効率性が低いことから、一般の中退共との合同運用を開始することが適当だとした。
  • 「清退共や林退共は規模や将来の見通し、運営の効率化等を考えると制度の在り方自体を検討する時期に来ているのではないか」などの声もあった。

【参照:特定業種退職金共済制度の財政検証|厚生労働省雇用環境・均等局

 運用にはいろいろ課題もありそうな清酒製造業退職金制度ですが、勤労者退職金共済はもともと以下のように①建設業の退職金共済組合②清酒業の退職金共済組合③林業の退職金共済組合という順番で整備していきました。そして、このあとに中小企業退職金共済組合ができあがります。

 【沿革】※一部抜粋

昭和39.10 建設業退職金共済組合

昭和42.9 清酒製造業退職金共済組合

昭和56.10 建設業・清酒製造業退職金共済組合

昭和57.1 建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合

【参照: 独立行政法人 勤労者退職金共済機構(非特定)

 4つの退職金共済制度を維持するには国のコストも非常にかかるようです。しかしながら、長い間わが国の清酒製造業をになう方々の退職金制度として長く活躍したことには変わりありません。

 では、清退共制度の概要について確認していきましょう。 

2.清酒製造業退職金共済制度の概要

制度の名前

清酒製造業退職金共済制度

概要

清酒・しょうちゅう乙類・泡盛・みりん2種の製造業で働く人のために国が作った退職金制度。

対象者

清酒製造業の蔵元で働くすべての従事者

※作業種別(杜氏・蔵人・びん詰め・ラベル張り・事務員・技術員など)や雇用形態(月給制、日給制、出来高制)に関係なく、すべての人が対象です。

 ①変則的な勤務体系の清酒製造業労働者を守る退職金共済制度

清酒製造業では通常のサラリーマンのような働き方とは異なり、「夏場は蔵元での仕事がないから別の事業所で働く」といった変則的な働き方をしている方がたくさんいらっしゃいます。

 画像

【参照:清酒製造業退職金共済事業本部

清酒製造業退職金共済制度はそんな清酒製造業で働く方のために国がつくった退職金共済制度です。(略して清退共)清酒製造業を営む事業者がこの共済制度に加入すれば、従業員は安心して将来の退職金の準備をしながら働くことが可能です。

 国が運営する退職金共済制度は、この他に「中小企業」と「建設業」と「林業」の3つがあります。中小企業以外の清酒製造業、建設業、林業の3つを合わせて特定業種退職金共済制度といいます。

【参照:厚生労働省|特定業種退職金共済(特退共)制度について】

 清酒業退職金共済制度に加入する従業員は、特定業種退職金制度の中の他の退職金共済制度(建設業、林業)そして中小企業退職金共済制度と重複して加入はできません。

 ②清酒製造業退職金共済制度の加入~退職金をもらうまでの流れ

この退職金共制度に申し込むには、①事業主が②独立行政法人「勤労者退職金共済機構」で手続きすることからスタートします。

 加入から実際に従業員型退職金をもらうまでの流れは、以下の通りです。

流れ

まず事業主が(独) 勤労者退職金共済機構に退職金共済に加入の申込みをする。

(独) 勤労者退職金共済機構が事業者に共済契約者証と従業員用の共済手帳を支給する。

事業者は毎月の掛金の支払いを従業員ごとに行う。掛金の支払い時に金融機関から渡される「共済証紙」は毎月従業員に渡す。

従業員は事業主から渡される「共済証紙」を忘れずに手帳に貼る。

従業員が退職する際、退職金を受け取る本人が(独) 勤労者退職金共済機構へ「退職金請求書」をと共済手帳を提出する。

(独) 勤労者退職金共済機構は共済手帳に貼られた共済証紙の枚数で支払われた掛金を確認し、退職金を退職者の口座に振り込む。

 ③問合せ先の勤労者退職金共済機構って何?

清酒製造業退職金共済制度を運営する「(独)勤労者退職金共済機構」は平成 15 年 10 月1日に設立され、東京都豊島区東池袋に所在します。 

問合せ先

独立行政法人 勤労者退職金共済機構 清酒製造業退職金共済事業本部

電話 03-6731-2823

 (すでに制度に加入済の方は以下のリンクで支部を調べられます↓)

清酒製造業退職金共済事業本部|地域別清退共支部所在地

 2.清退共へ加入するメリットとデメリット

①期間雇用者でも通年雇用者でも加入できる

清退共制度は期間雇用者のための退職金制度となっていますが、通年雇用者は「期間雇用」が連続していると考えることができます。

 そのため、実質的には清酒業に携わる労働者であればどなたでも加入することができます。

 ②掛金は非課税で法人なら損金扱いにできる

事業主が払い込む掛金は、法人では損金、個人では必要経費として全額非課税となります。(法人税法施行令第135条第1項第1号、所得税法施行令第64条第2項による)

  ③退職しない場合は、企業内や特定業種間で移動して掛金を通算できる

清酒業は建設業や林業とおなじく、季節や時期により仕事量が左右されます。清酒業界の中で働くのであれば、本人と事業者の申し出をすれば企業内の別事業所や特定業種内での掛金の通算が可能です。(各退職金共済制度の同時重複加入は不可)

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上記の図では、最初は中小企業退職金共済制度のある会社で働いた方が転職して清酒製造業へ入社するケースを示しています。最初に渡される共済手帳は「中小企業退職金共済制度」のものですが、退職して同じ国が運営する退職金共済制度を持つ事業で就職する場合、前職での加入歴が引き継がれます。(共済手帳に貼られた掛金の共済証紙を合算できる)

 共済手帳の通算は、以下の書類に記入して申し込む必要があります。

  •  共済手帳更新申請書

ダウンロードはコチラ

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3.清酒製造業退職金共済制度への加入方法

①加入の手続き

各都道府県の酒造組合(連合会)内にある清退共支部で「共済契約申込書」と「共済手帳交付申込書」に必要事項を記入して申し込みます。申し込みの手数料はかかりません。

【参照:加入するにはどうすればいの|清酒製造業退職金共済制度事業本部

 ②加入したら

(1)共済契約書者証の発行

加入の事業者の区分により、紫または緑色の共済契約者証が発行されます。 

中小企業事業主

(従業員数が300人以下又は、資本金が3億円以下)

大手企業事業主

(従業員数が300人を越えかつ、資本金が3億円を越える)

紫色

緑色

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(2)共済手帳の発行

新規に加入した従業員(被共済者)の方には、「黄色」の共済手帳(掛金助成)が交付されます。2冊目以降の方へはピンク色の共済手帳が交付されます。

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なお、共済手帳は従業員が会社を退職する場合や他の酒造会社へ移られる場合は、必ず被共済者本人にお渡しください。退職金の請求は従業員が直接(独)勤労者退職金共済機構へ行うからです。

 ③掛金を納めるには

指定された金融機関(下記※参照)で共済契約証を見せ、共済契約証と同じ色の共済証紙を必要な枚数分購入しましょう。 

紫色証紙の場合(中小企業事業主用)

1日券 300円 10日券 3,000円

緑色証紙の場合 (大手企業事業主用)

1日券 300円 10日券 3,000円

 (※指定金融機関とは?)

都市銀行・地方銀行・第二地方銀行のうち、清退共が指定した店舗で取り扱っています。詳細は、清退共本部や最寄りの清退共支部へご確認ください。 

問合せ先

独立行政法人 勤労者退職金共済機構 清酒製造業退職金共済事業本部

電話 03-6731-2823

 ④共済証紙の貼り方

事業主は共済証紙を購入したら、従業員が働いた日数分の共済証紙を以下の方法で共済手帳に貼ります。 

  • 1.共済手帳に共済証紙を働いた日数分貼る
  • 2.会社名と日付が入った消印を貼った共済証紙の上から押す

 ⑤退職金の受け取り方

(1)手続き方法

退職金の請求は退職した従業員がみずから手続きを行います。申込み書類は各都道府県の酒造組合(連合会)にある清退共支部へ提出します。手続きから約1ヶ月後に記入した銀行口座などへ振り込まれます。

 【退職の手続きに必要な書類など】

  • 退職金請求書…ダウンロードはこちらから
  • 共済手帳
  • 住民票
  • 退職金請求事由による証明書

 この中で、最後の「退職金請求事由による証明書」ですが、以下のように退職金請求の理由ごとに提出すべき書類があります。

 〈一部抜粋〉

独立して仕事を始めた

最後の事業主・酒造組合(連合会)・杜氏組合のいずれかの証明

無職になって今後どこにも就職しなくなった

最後の事業主・酒造組合(連合会)・杜氏組合のいずれかの証明

清酒製造業関係以外の事業主に雇われた

新しい事業主の証明

清酒製造業関係の事業所の社員や職員になった

現在の事業主の証明

【参照:清酒製造業退職金共済制度事業おんぶ|手続きのご案内】 

(2)退職者死が死亡した場合は12ヶ月以上、それ以外は24カ月の加入期間が必要

退職金を受け取るには、最低の掛金加入月数を満たしていなければいけません。退職金を受け取る前に、共済手帳に貼られた共済証紙の数が以下の月数分あるか確認しましょう。共済証紙15日分=1ヶ月分としてカウントします。

 【退職理由】

死亡

12ヶ月分

死亡以外の理由(引退など)

24ヶ月分

 (3)退職金を受け取れるのは普通預金口座のみ

退職金は退職者(請求人)が指定する銀行などの金融機関の普通預金口座に振込まれます。

取扱い金融機関は、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農業協同組合の各本支店です。また、ゆうちょ銀行への振り込みも可能です。

 4.掛金の助成について

新規で清酒製造業退職金共済制度に加入する場合、特に申請せずに掛金の60日分が自動的に免除されます。どのように手続きすればいいのかいうと、新規で加入させる従業員に交付される共済手帳は、黄色い「掛金助成手帳」であり、60日分(1日分の掛金は300円)の掛金免除欄が設けられている(印刷されている)のです。

 【清酒製造業退職金共済制度の新規加入における掛金の一部助成】

実施機関

厚生労働省

助成金の種類

労働関係

【参照:労働条件等関係助成金のご案内|厚生労働省

対象地域

全国

掛金免除のパターン

①事業所自体が新規加入

②事業所としては既に加入しているが、新規の従業員を加入させる

【参照:清酒製造業退職金共済制度に関わる掛金助成PDF

 一日300円の掛金×60日分は計算すると18,000円です。

 「掛金助成手帳」の証紙貼付欄に1日券120日分の「共済証紙」を貼り、掛金助成欄に60日分の消印をし終わったときは、「掛金助成共済手帳更新申出書」に必要事項を記入し、貼り終わった「掛金助成手帳」を添えて各都道府県にある清退共支部に提出して、新しい「共済手帳」の交付を受けてください。

 まとめ

清酒製造業退職金共済性の概要や掛金の助成について解説させていただきました。掛金の助成は一名につき18,000円ですが、もしこれが100名分だとしたら非常に大きな助成額になりますよね。

従業員のための退職金制度がしっかりしている事業所では従業員が安心して長く働けるというメリットがあります。国の掛金助成を賢く利用しましょう。

 

 

 

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
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