助成金に税金は発生する???
助成金は仕訳の際、ちょっと特殊な扱いになります。
かかる税金とかからない税金があったり、処理の仕方によって払う税額が変わったりと、注意をしなければならない点があります。
もらった助成金を最大限活用できるよう、助成金と仕訳、税金の関係性について知っておきましょう。
1.助成金は消費税“不課税”
行政機関からもらえる助成金・補助金などのお金について、消費税は“不課税”という扱いになります。
要は、消費税はかからない、という扱いになるということです。
そもそも消費税の課税基準として、「対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引」であると定められています。
つまり、何かものを売ったときにのみかかるのが消費税なのです。
助成金は対価を得ているわけではないので、課税はされません。
ちなみに、「対価を得て資産を譲渡・輸入」したという定義に当てはまらず、消費税が課税されない場合を“不課税”というのに対し、この定義に当てはまるが、土地や有価証券など一定の取引に対して課税しない場合“非課税”と言います。細かい違いですが、覚えておくとよいかもしれません。
2.仕訳上は「雑収入」として計上される
助成金は、損益計算書などの仕訳上では、売り上げではなく「雑収入」として計上されます。
これは、「企業の営業活動上、どこにも分類されないお金ですよ」という意味です。
注意点として、助成金を受け取った日ではなく、支給決定日(受給決定通知書が届いた日)に計上し、振り込みが行われたときにもう一度入金処理をするようにしてください。
例えば150万円の助成金を受ける仕訳の例は、以下のようになります。
支給決定日
(借方)未収入金 150万円 (貸方)雑収入 150万円
振り込みがされた日
(借方)普通預金 150万円 (貸方)未収入金 150万円
例外として、支給決定から入金まで短期(決算月をまたかず1か月以内)で済む場合は、直接「普通預金」と「雑収入」で計上しても構いません。
3.利益が出たら法人税はかかる
助成金は前述の通り消費税はかかりませんが、「収入」として扱われるので、利益に対する法人税の対象となります。
例えば、助成金を除いた赤字が50万円、助成金の給付が200万円の場合、利益は150万円として計上され、150万円に対して税金がかかります。
助成金には課税されないと勘違いしていると、思いがけない税金支出が発生することになるので、注意が必要です。
4.助成金で固定資産を取得する際の、「圧縮記帳」
こんな場合を考えてみましょう。
あなたの会社は、助成金を受けなければ、毎年50万円の赤字を計上してしまうとします。
そこで2018年度、300万円の助成金を受け、耐用年数3年の機械を購入しました。
上で書いたように助成金300万円は収入として計上されるので、今後3年間の税金支払い額は以下のようになります(税率を一律で20%とする)。
年度 利益 法人税
2018年度 250万円 50万円
2019年度 △50万円 0円
2020年度 △50万円 0円
計 150万円 50万円
この場合、3年を通して、利益の総額は150万円、法人税の支払い総額は50万円となります。
利益総額に対して、1/3も法人税がかかっていることになります。
こういった場合、「圧縮記帳」という方法を使うことで、法人税の支払いを減らすことができます。
圧縮記帳を簡単に言うと、補助金の収入を毎年分割して受けたことにして計上する処理のことです。
より詳しく言うと、受けた補助金を一度「圧縮損」として損失計上し、毎年決算時にだんだんと機械の評価額を下げていくことで、圧縮損を減らしていきます。
この方法を使い、助成金300万円を毎年100万円の収入として計上していくと、上の会社の税金支払い額は以下のようになります。
年度 利益 法人税
2018年度 50万円 10万円
2019年度 50万円 10万円
2020年度 50万円 10万円
計 150万円 30万円
上の企業の例はかなり極端な例ですが、黒字企業の場合でも一度の税金負担を減らすことで、手元のキャッシュフローに余裕ができたり、予期せず赤字になった時の節税になったりといったメリットにもなります。
固定資産の購入について助成金を受けた場合は、ぜひこの圧縮記帳について検討してみてください。
まとめ
・助成金に消費税はかからない
・助成金は収入に計上され、利益が出た場合は法人税がかかる
・固定資産を助成金で取得した場合は、圧縮記帳を使うと得になることもある
以上です!
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