親族間の借入でも金銭消費賃借契約書を作成しましょう。
開業資金の調達などの理由で親族や友人からお金を借りることもあるでしょう。また、自身が貸主となることも考えられます。
親族間や友人との金銭のやり取りであっても借用書、金銭消費賃借契約書を作成することで返済などに関するトラブルを防ぐことができます。
借用書や金銭消費賃借契約書は自身で作成することができるので、正しい作成方法を知ってきましょう。
1.借用書と金銭賃借契約書
モノや金銭のやり取りをした場合に作成する借用書。借用書の中でも金銭のやり取りをした場合に作成する書面が金銭消費賃借契約書です。
借用書は借主が作成し、借主の署名捺印をして貸主が保管します。
金銭消費賃借契約書は、原則貸主が作成し【貸主・借主両方の署名捺印をして両者が保管】します。
金銭のやり取りをする場合、借用書ではなく金銭消費賃借契約書を作成を検討してください。金銭消費賃借契約書を全員が保管することで、トラブルの発生をより防ぐことができるでしょう。
2.金銭消費賃借契約書を作成しよう
(1)作成するのは誰?
金銭消費賃借契約書は原則貸主であるお金を貸した人が作成します。
金利や返済方法、返済期間について貸主に不利が無いよう、貸主が主導権を持つことが一般的です。
(2)いつ作成するべき?
個人間のやりとりの場合、金銭消費賃借契約書に記載する利息や返済期間などの条件を話し合い決定し、貸主が金銭消費賃借契約書を作成します。
作成日は必ず記載し、実際に金銭のやり取りをした日時も記載しておきましょう。
また、借主が作成した借用書のみで金銭のやり取りをした場合、やり取りの発生後に貸主が金銭消費賃借契約書を作成することもできます。
3.金銭消費賃借契約書作成のメリットを知っておこう
(1)契約成立を証明できる!
金銭のやり取りは口約束でもすることができますが、契約書を作成することで借入と返済の契約が成立していることを証明することが可能です。
契約成立を証明することができると、トラブルが発生した場合の裁判でも証拠として提出が可能です。
(2)貸主と借主の記憶違いがなくなる!
金銭消費賃借契約書は借主と貸主の両者がそれぞれ保管するため、返済や利息、遅延弁済金などについて両者の記憶に差異が生じる可能性がほとんどなくなります。
(3)損害賠償が立証できる
借主が、返済が出来ずに債務不履行になった場合の賠償について明記しておくことができます。
金銭消費賃貸契約書を作成しておくことで、実際に借主が債務不履行になった場合改めて損害賠償の立証をする必要がなくなります。
(4)借主と貸主が納得できる!
借用書は借主が作成、署名捺印することで作成することができます。
しかし金銭消費賃借契約書は、貸主が作成し【貸主と借主両方の署名捺印】が必要です。
つまり、貸主と借主の両者が納得し本人が署名捺印することで作成するため、契約後のトラブルが少なくなります。
(5)デメリットもある?
金銭消費賃借契約書を作成した場合、収入印紙を貼らければいけないので作成に費用が掛かってしまいます。また、借主と貸主両方の同意がいるので契約内容に不満があり署名捺印をどちらか一方がしない場合、契約までに時間がかかってしまう可能性もあるでしょう。
4.実際に金銭消費賃借契約書を作成しよう!
(1)正しい金銭消費賃借契約書作成のポイント
正しい金銭消費賃借契約書を作成するためには以下の項目を必ず記載しましょう。
・金銭消費賃借契約書の作成日
・やり取りした金額と実際にお金が動いた日時
・利息
・担保を付ける場合は担保について
・連帯保証人を付ける場合は連帯保証人について
・返済方法と返済期日
・遅延損害金について
・債務不履行について
・貸主、借主の住所、氏名、捺印
それぞれの項目作成における注意点は以下の記事でご確認ください。
借用書や契約書を作成するススメ!親族や知人からお金を借りる際必須!
(2)自身で作成する
金銭消費賃借契約書の作成は自身で行うことができます。
しかし白紙から作成することは手間になってしまうでしょう。インターネット上には様々な条件に合わせた金銭消費賃借契約書のテンプレートがあり、ダウンロードして利用することが可能です。
以下の記事でテンプレートを紹介しているので、是非ご活用ください。
また、金額等の数字を記入する場合には偽造を防ぐために漢数字を利用し、鉛筆ではなくボールペンを利用します。
(3)印紙の貼付を忘れずに
どのような書面であっても金額が記載されている契約書には印紙の貼付が必須です。
やり取りする金額によって貼付する印紙代も変わるので以下の表で確認しておきましょう。
また、印紙を貼付せずに金額を記載した契約書を交わした場合、罰則が科せられることもあるので注意が必要です。
(4)専門家に依頼しれ作成
金銭消費賃借契約書は行政書士や弁護士に依頼して作成してもらうことができます。
より精度の高い契約書を作成したい方や、作成する時間がない方は依頼して作成してもらいましょう。
しかし、専門家に依頼することで作成費用が発生してしまいます。
金銭消費賃借契約書はインターネット上や書籍で多くの形式が公開されているので、参考にして自身で作成しても問題ありません。
5.正しい金銭消費賃借契約書は訴訟の役に立つ!?
記載内容や印紙の貼付など、注意点を守り作成した正しい金銭消費賃借契約書は債務不履行になった場合の裁判で役に立ちます。
お金を貸し、借主が返済することに同意している内容が明記された契約書を作成しておきましょう。
正しく作成された金銭消費賃借契約書は、裁判に至った際に重要な証拠として提出することができ、トラブル解決のカギとなります。
6.公正証書にした方が良い?
作成した金銭消費賃借契約書をさらに証明力のある書面にするために公正証書にしておきましょう。
借主が返済を怠り債務不履行になった場合、裁判をして貸付けた金額を回収するケースがほとんどでしょう。しかし公正証書にしておくことで裁判をしなくても借主の財産の差し押さえが可能です。
金銭消費賃借契約書を公正証書にする場合、公証役場に申込をし、作成してもらいます。借主と貸主だけでなく、公的機関でも書面を保存してくれるため安心です。
公正証書を作成せずに、債務不履行によって裁判に至った場合、弁護士費用がかかり裁判の期間が長くなる可能性もあるので公正証書を作成しておく事を検討してください。
まとめ
正しい金銭消費賃借契約書を作成することで、金銭のやり取りによって発生する様々なトラブルを防げる可能性があります。
専門家に依頼して作成することも可能ですが、テンプレートを利用することで十分な金銭消費賃借契約書が作成できるので、今回ご紹介した方法で作成してみましょう。
また、作成した金銭消費賃借契約書を公正証書にしておくことで、より効力を発揮することが可能です。
親族や友人との金銭のやり取りにおいて、借用書や契約書を発行することで関係が崩れてしまうかもしれません。しかし、貸したお金が返ってこないことで相手えの信頼を全て失ってしまうよりも、信頼関係を崩さないために正しい方法で金銭消費賃借契約書を作成しておきましょう。
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