公的融資とは?民間融資と何が違うのか

公的融資とは?民間融資と何が違うのか 更新日:2019.03.13 公開日:2019.02.19起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
公的融資とは

10万円以上などのまとまったお金を金利付きで貸してもらうことを融資と言います。この融資に公的融資と民間融資があるのはご存知ですか?

公的融資は民間融資よりも低金利になりやすい傾向があります。

この記事では、①代表的な公的融資と②民間融資との違いについて解説します。

 1.公的融資とは国や自治体を通してお金を借りること

アイフルなどの消費者金融や銀行カードローンに比べて、低金利になりやすい傾向にあるのが公的融資です。公的融資は以下のように、大きく分けると「事業融資」と「事業融資」以外に分けられます。

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公的融資は金利が低いのがメリットですが、一方で「手続きが面倒」「書類を揃えるのが大変」という声もよく聞きます。しかし、気軽にカードローンやリボ払いに手を出すのは考え物です。手軽に借りられるローンほど高金利になる可能性があります。元本返済が進まず自己破産する場合もあります。

公的融資が利用できる状況なのであれば、まずは公的融資を優先し、公的融資が使えない場合の一時的融資として民間融資の利用をおすすめします。

2.代表的な公的融資

①各自治体の融資

公的融資とは公的機関から金利付きでお金を借りることです。公的機関と聞いてすぐに思い浮かべるのは市役所や区役所ではないでしょうか?公的融資でまず私たちが頼りたい存在として、各自治体の行う融資があります。自治体の行う融資は事業用融資の他に、低所得者層向けの生活費貸付、求職者支援貸付、高齢者用の年金を担保にした貸付、母子または父子家庭向けの貸付、そして教育ローンなどを行っています。

 【代表的な自治体融資の制度】

・社会福祉法人「全国社会福祉協議会」の生活福祉資金

・融資制度名

・対象者

・貸付金の種類と利用目的・融資限度額

生活福祉資金

①低所得世帯(市区町村民税非課税と同等)

②障害者世帯

(各障害者手帳の交付を受けた者)

③高齢者世帯

65歳以上の高齢者の属する世帯

 

①総合支援資金

・生活支援費(二人以上:月20万円以内)

・住居入居費(40万円以内)

・一時生活再建費(60万円以内)

②福祉資金

・生業を営むために必要な経費

・災害を受けたことにより必要な臨時に必要な経費など

(580万円以内)

③教育支援資金

高校、大学または口頭専門学校に就学するための必要経費など

(月3.5万円~月6.5万円以内)

④不動産担保型生活資金

要保護の高齢者世帯に対し、一定の住居用不動産を担保のした生活費貸付(土地・建物評価額の70%程度)

 

 自治体の行う融資制度は、単独で自治体が貸すタイプと大学や企業と連携して貸すタイプの2種類があります。 

例えば、明治大学では上記の生活福祉資金をホームページに掲載しており、生活費が足りない学生が大学側に申請すれば、大学が社会福祉協議会と自治体に申し込み内容の確認と審査を行います。大学、社会福祉協議会、自治体の3者がOKを出せば無事に融資を受けられるという流れになります。

 いずれにしても、自治体は金融機関ではないため自治体からお金を借りる場合、自治体の推薦を経て自治体と連携している金融機関と契約するという流れになることを頭に入れておきましょう。

 ②日本政策金融公庫の融資

また、日本の公的金融機関である「日本政策金融公庫」が行っている各種融資があります。日本政策金融公庫は日本政府が100%出資してできた政策金融機関です。な事業内容は事業融資がですが、その他に教育ローンやセーフティネット貸付・農漁業向けの貸付を行っています。

 【代表的な日本政策金融公庫融資の事業融資の制度】

融資制度名

ご利用いただける方

融資限度額

融資期間(うち据置期間)

新規開業資金

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

設備資金:20年以内(2年以内)

運転資金: 7年以内(2年以内)

 

融資制度名

ご利用いただける方

融資限度額

融資期間(うち据置期間)

新創業融資

新たに事業を始める方または事業開始後で税務申告を2期終えていない方

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

設備資金:20年以内(2年以内)

運転資金: 7年以内(2年以内)

 

融資制度名

ご利用いただける方

融資限度額

融資期間(うち据置期間)

中小企業経営力強化資金

新事業分野の開拓のために事業計画を策定し、外部専門家(認定経営革新等支援機関)の指導や助言を受けている方

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

設備資金:20年以内(2年以内)

運転資金: 7年以内(2年以内)

 

事業融資を公的融資で検討されているなら、日本政策金融公庫の利用を検討してみてください。あなたの街にある美容室も飲食店も整骨院も、この日本政策金融公庫から融資を受けて開業している可能性があります

 ③商工会議所の融資

商工会議所は街にある事業者をバックアップする公的機関です。商工会議所の融資で有名なのはマル経融資です。平成31年2月14日現在。金利1.1%となっています。会議所も金融機関ではありませんが、あなたを推薦することが可能です。 

融資制度名

ご利用いただける方

融資限度額

融資期間

(うち据置期間)

マル経融資

以下のすべての要件を満たす方

· 従業員20人以下(宿泊業と娯楽業を除く

商業・サービス業は5人以下)の法人・個人事業主

·  商工会議所の経営・金融指導を受けて

事業改善に取り組んでいる

· 最近1年以上、同一会議所の地区内で

事業を行っている

· 商工業者であり、日本政策金融公庫の

融資対象業種を営んでいる

· 税金(所得税、法人税、事業税、住民税)を完納している

 

2,000万円

運転資金7年以内

設備資金10年以内

 商工会議所へ相談をするのは無料です。「マル経融資を受けたいのですが」と相談をして無事推薦を受けられたら、実際にお金を借りる金融機関は日本政策金融公庫となります。マル系融資の注意点として、金利は低いのですが各商工会議所に支払う負担金(会費)がかかるといいう点があります。

 ④信用保証協会の融資

信用保証協会も金融機関ではありません。普通の人が銀行に行ってお金を借りられるケースは非常に低いため、信用保証協会で信用保証をしてもらうことで金融機関からお金を借りるという流れになります。

 信用保証を受けるには審査があり、無事に融資が確定すれば、信用保証料という手数料を支払う必要があります。

 

融資制度名

ご利用いただける方

融資限度額

融資期間(うち据置期間)

信用保証協会の保証付融資

業種ごとに設定する資本金と従業員数を超えない事業所

(例、製造業で3億円、300人以下、小売業で5千万円、50人以下など)

無担保8,000万円

有担保2億円が最大

運転資金10年以内

設備資金15年以内

 

 ⑤日本政策金融公庫の教育ローン

日本政策金融公庫の貸付する教育ローンがあります。金利は1.7%程度です。国がやっている教育ローンは他にも日本学生支援機構の奨学金があります。(0.1~0.2%前後)教育ローンは民間でも三井住友銀行やイオン銀行などでも行っていますが、だいたい3%強の金利です。(平成31年2月19日現在)金利だけで言えば、国の教育ローンに軍配が上がります

 日本政策金融公庫の教育ローンは日本学生支援機構の奨学金と併用も可能です。資金が足りなくなった際の一つの選択肢として覚えておきましょう。

 ⑥住宅金融支援機構の住宅ローン

フラット35でおなじみの住宅金融支援機構の住宅ローンがあります。住宅の公的融資と言えば自治体融資と財形住宅融資がありますが、住宅支援金融機構の住宅ローンは半分民間・半分公的機関を使った官と民のちょうと中間に位置する制度です。

 

 ⑦ハローワークの求職者支援資金融資

年3%の金利で職業訓練を受講する方を対象に貸付しています。転職活動中に何かの理由がありどうしても生活費が足りないなどの場合は、頼りになる融資ですね。

融資制度名

ご利用いただける方

融資限度額

融資期間(うち据置期間)

求職者支援資金融資

・ハローワークの実施する職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方

・返済する意思がある

・貸付希望理由が適当である

・暴力団員でない

月額8万円または10万円×受講予定訓練日数

5年以内(労働金庫から自動引き落とし)

 

 3.民間融資とは何が違う?

公的融資と民間融資の違いはいくつかありますが、大きな部分では低金利で借りられる可能性があるということです。

 また、審査が民間よりも厳しめで手続きに時間がかかるという特徴もあります。生活保護の不正受給の問題もあったように、公的融資は税金を元に運用されているため、何か落ち度があった場合(返済されないなど)はその金融機関や自治体がクレームの対象となるからです。

その反面、きちんと条件をクリアし手続きを適切に行えば、民間企業のように独自のルールから審査をする訳ではないので、公的融資の審査に通る可能性は十分にあります。

 まとめ

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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