会社設立には独自ドメインの取得も重要です
会社設立を考えている人の中には、会社の独自ドメインの取得を検討している人もいるでしょう。
会社HPの作成時や、メールアドレスの作成時にはドメインが必要となるため、会社が独自で使用できる「独自ドメイン」の取得も行っておくことが重要です。
取引先との連絡のやり取りを、無料で使用できるメールアドレスで行おうと考えている場合は、取引先や他企業からの信用を得ることが難しく、ビジネスメールとして適切ではないため、会社独自のドメイン取得をし、企業からの信用を得ることも考えましょう。
今回は独自ドメインがどのようなもので、会社設立との関連性やドメインの取得方法についてご紹介します。
1.ドメインとは?
ドメインはインターネット上における “住所” とも言われ、不特定多数の方があなた自身のホームページやメールの宛先を特定するために必要なものです。ホームページで言うと「○○○.jp」「○○○.com」の部分がドメインにあたり、メールアドレスで言うと「@」以降に並んでいる文字部分がドメインにあたります。
例えば当サイトである【資金調達ノート】の場合は、URLが【https://start-note.com】ですが、「start-note.com」の部分がホームページ上のドメインとなり、メールサーバーを準備することで「○○○@start-note.com」というアドレスを作ることもできます。
独自ドメインとは?
当サイトのドメインは「start-note.com」ですが、先頭にある “start-note” の部分は自由に決めることができ、自身で決めた文字列を当てはめて作られたドメインこそが独自ドメインとなります。
※豆知識~IPアドレスとは?~
インターネット上の住所を示す場所としてドメインの他に、「IPアドレス」が使用されていることがあります。
パソコンやスマートフォンなどの機器を使って何かの検索や、メールの送受信は、ネットワーク通信を介して行われます。IPアドレスは、ネットワークでの通信を利用する際に使用されるものであり、IPアドレスがあることによってインターネットへのアクセスや閲覧が可能となります。
IPアドレスは全ての通信機器に設定されていて、通信機器自体に設定されているIPアドレスを「プライベートIPアドレス」、インターネットなどへの接続でネットワーク通信を使用する際に設定されるIPアドレスを「グローバルIPアドレス」と言います。
IPアドレスもドメインと同じ役割を持っていますが、ドメインはユーザーが覚えやすい文字列での構成に対し、IPアドレスは【123.456.789】のような数字で設定されている点で異なります。これは、ドメイン名のみではコンピューターが識別できないため、ドメイン名とIPアドレスを紐づけることで識別しやすくするシステムになっているのです。
ドメイン名はユーザーのための住所、IPアドレスはコンピューターのための住所と思っておくといいでしょう。
2.会社設立時に独自ドメインを取得する重要性
会社の紹介や宣伝をするためのHP、仕事上での大事なやり取りを行うためのメール、これらを作成するためにもドメインが必要となりますが、そのドメインを会社独自のドメインにすることの重要性には下記が挙げられます。
〈独自ドメインの取得で会社が得られるメリット〉 ・ 会社の認知度アップ ・ ドメイン自体の価値の向上 ・ SEO対策において有利に働く ・ 会社の信頼度アップ ・ 一度作成してしまえば永遠に使用できる |
会社名をドメインに使用することや、覚えやすいドメインを作成することで、会社自体の認知度されやすくなることが期待できます。会社の認知度が上がれば、ネット検索やHPへのアクセス数も上がり、会社のことや事業のことを多くの方に知ってもらえる、その結果顧客へ繋がるというメリットにもなります。
また、誰でも使用できるフリーのメールアドレスなどでは、会社の信頼性に欠けてしまうという欠点があります、会社の信頼度を高めるためにも独自ドメインの取得は重要と言えます。
他にも、検索サイトで上位のランキングを目指す(SEO)には、ドメインが関係しているため、独自ドメインを使ってサイトを運営し、その中で蓄積された情報や別サイトからのリンクでドメイン価値が向上し、SEOにも有利に働きます。
もしも無料ドメインで自社サイトの運営を行っていたとすると、無料ドメインを提供している外部サービスが終了したと同時に、自社サイトが閉鎖されてしまうリスクがあります。独自ドメインは、該当する外部サービスが終了してしまったとしても、自社サイトが閉鎖することや外部サービス終了と同時に削除されるリスクも無いことはメリットです。一度作成したアドレスはどこでも使用できるため、サイトの運用サーバーを変えたとしても同じアドレスを使用することができます。
これらのことから、会社設立時に独自ドメインを取得することは、会社にとっての利益にもつながる重要なことでもあるのです。
3.独自ドメインの取得方法
(1)独自ドメインにする文字列を決める
① トップレベルドメインの決定
当サイトのドメイン「start-note.com」を例にすると、トップレベルドメインは後半の “.com” の部分を指します。独自ドメインを取得するためにまずこの部分を決めることから始めます。
トップレベルドメインは、「分野別トップレベルドメイン(別名:gTLD)」「国コードトップレベルドメイン(別名:ccTLD)」の2つに分類されます。
また、国コードトップレベルドメインのみのドメインを「汎用JPドメイン名」、国コードトップレベルドメインの手前(セカンドレベルドメイン)に、指定の文字列が入るドメインを「属性型JPドメイン名」と言います。セカンドレベルドメインは、組織ごとに取得できる文字列が決まっています。
法人で会社設立を行った場合は、取得できる条件があるという点で信頼度を得る “属性型JPドメイン名” での取得を検討してください。下記の表でも記載しましたが、「co.jp」の取得条件は日本で登記登録を行っていることであり、取得している会社の97%は上場企業であるというデータもあります。
個人で会社設立を行った場合は、“分野別トップレベルドメイン” もしくは “汎用JPドメイン名” のどちらかでの取得になります。「.com」や「.net」のトップレベルドメインはよく目にすることからも分かる通り、世界中で利用されているため独自ドメインとして使用したくても、既に使用されている可能性がありますが、覚えてもらうという意味では馴染みがあるためおススメです。
“汎用JPドメイン名” は、その国内に住んでいるということを証明することにもなるため、信頼度も高くなります。しかし、分野別トップレベルドメインに比べ、取得にかかる費用や更新時の費用が割高となる点で欠点となります。
■ 分野別トップレベルドメイン(別名:gTLD)
取得者が住んでいる地域や国に関係なく誰もが取得可能なトップレベルドメインのことを言います。
ドメインの種類 |
ドメインが表す意味 |
com |
制限なく、主に商業サービス提供者を表している |
net |
制限なく、主にネットワーク提供者を表している |
info |
制限はく、主に情報の提供者を表している |
biz |
ビジネス利用者で、主にビジネスを表している |
org |
制限なく、非営利組織を表している |
■ 国コードトップレベルドメイン(別名:ccTLD)/汎用JPドメイン名
国や地域に割り当てられたトップレベルドメインであり、日本であれば “jp” となります。実際にその国や地域に住んでいたり、活動していないと取得はできません。
ドメインの種類 |
ドメインが表す国 |
jp |
日本 / Japan |
us |
アメリカ / United States |
au |
オーストラリア / Australia |
uk |
イギリス / United Kingdom |
cn |
中国 / China |
■ 属性型JPドメイン名
“国コードトップレベルドメイン” と “セカンドレベルドメイン” で構成されたトップレベルドメインのことを言い、ネッワークサービスを表す「ne.jp」以外は、1つの組織で1つのみの取得に限られます。
ドメインの種類 |
取得が可能な組織 |
ne.jp |
日本でのネットワークのサービス別に取得可能 |
co.jp |
日本で登記登録を行っている企業が取得可能 (株式会社・合同会社・有限会社 など) |
ac.jp |
教育法の定めにより運営を行っている組織が取得可能 (大学校・大学共同利用機関・学校法人・職業訓練法人 など) |
go.jp |
日本国の政府機関、各省庁が所轄する研究所、独立行政法人、特殊会社を除く特殊法人が取得可能 |
or.jp |
特定する法人組織が取得可能 (財団法人・独立行政法人・生活協同組合・企業組合 など) |
② 独自ドメインの先頭に入れる文字列の決定
当サイトのドメイン「start-note.com」で言うと、“start-note” の部分のことを指します。上記の「独自ドメインとは?」の中でもご説明した通り、この部分には自身で決めた文字列を入れることができます。
理想の文字列の決め方は、ドメインと会社名に関連性があることです。ドメインを見て会社名を連想させるような文字列にできると、会社名も同時に覚えてもらいやすくなります。だからと言って長い文字列にしてしまうと、覚えにくくなってしまうため、文字数はなるべく最小限に抑えましょう。
また、SEOのことを考えると一度取得したドメインは変更することなく使用し続けた方がいいと言えます。そのため長期間使うということを考え、慎重に考えましょう。
ドメインは、〈A~Z・0~9の半角英数字〉〈半角ハイフン( - )〉で構成し、〈3文字以上63文字以下〉の文字数で設定しましょう。
【※取得できるドメイン名かどうかを調べましょう】 全世界の企業が独自ドメインを作成していることを考えると、会社名が似ていることや同じ名前の会社などはゼロとは言えません。ドメインは住所のようなものであるため、決めた文字列が既にどこかで取得されていたとしたら、また決め直さなければなりません。 決めたドメイン名が取得できるものかどうかの確認を忘れずに行いましょう。 取得できるかどうかの確認は、この後に契約するドメイン提供会社のHPなどを利用して確認することができます。 |
(2)ドメイン取得のために必要な契約をする
ドメインを取得するためには、「レンタルサーバーの契約と同時に取得をする」か「ドメインを提供する専門会社に依頼して取得をする」のどちらかの方法があります。ドメイン取得にかかる費用は、ドメインの種類、ドメイン取得時に利用する会社によって異なりますが、数百円~数千円の違いがあると思っておくと良いでしょう。
〈ドメイン種類別の取得費用目安〉
ドメインの種類 |
レンタルサーバー契約時 |
ドメイン専門会社へ依頼 |
属性型JPドメイン名 |
5,000円 ~ 9,000円 |
3,500円 ~ 10,000円 |
分野別 トップレベルドメイン |
2,000円 ~ 6,000円 |
500円 ~ 2,000円 |
汎用JPドメイン名 |
3,000円 ~ 9,000円 |
3,000円 ~ 4,000円 |
【※取得と同時にwhoisで個人情報を公開する必要がある】 ドメインを取得すると同時に、ドメイン契約者の個人情報(氏名・連絡先・住所など)を、インターネットを通して誰でも見ることが可能な「whois」というデータベースに登録し、公開をする必要があるため、覚えておきましょう。 |
① レンタルサーバーの契約と同時に取得をする
通信機器からの要求に対して、必要情報を提供するコンピューターのことを「サーバー」と言います。そのサーバーを借りることができるサービスこそが「レンタルサーバー」です。
サーバーがあることで、HPの公開であったり、メールの送受信が可能となるため、会社設立と同時にどの会社でサーバーをレンタルするのかを考えておきましょう。また、レンタルサーバーの契約と同時にドメインを取得できることが多く、下記のドメイン専門会社に依頼するよりも費用は高くなりますが、全ての設定を契約するレンタルサーバー会社が行ってくれるという点があります。
また、レンタルサーバーの契約を移行する際には、ドメインの引っ越しもする必要があり、この引っ越し作業が専門的なため、会社側は面倒と感じることがほとんどです。しかし、この引っ越し作業もレンタルサーバー会社が行ってくれるため、会社側にとっては利点となります。
② ドメインを提供する専門会社に依頼して取得をする
ドメインのみを専門会社に依頼して取得する場合は、上記のレンタルサーバー契約時に比べ、費用が安くなることがほとんどです。ただし、複雑な設定を自身で行わなければならないため、パソコン作業が得意ではない場合は、少し大変かもしれません。
レンタルサーバー契約時に比べて利点となることは、費用が安いということに加え、個人情報が公開されている “whois” に、自身の代わりにドメイン専門会社が代理となって登録し、公開をする「whois代理公開」というサービスを行っている場合があります。自身にとって大切な個人情報が公開されないということは大きな利点となります。
(4)ドメインを使用できるように設定をする
レンタルサーバーの契約時やドメイン専門会社にてドメインの取得は完了したものの、ドメインを使用できるようにするには、ドメインとIPアドレスを関連づけるための複雑な設定を行わなければなりません。この関連づけるために行う設定を「DNSサーバー設定」と言います。
DNSは、インターネットを支えるためには欠かせない大切な技術です。この設定を怠ることで、WEBサイトの表示やメールの送受信が正常に行われなくなってしまいます。
パソコンに関しての基本的な知識と、契約したレンタルサーバーのコントロールパネルの利用方法を理解していれば、自身で設定を行うことができます。設定のなかで、DNSレコード(DNS情報)が必要となるため、まずはレンタルサーバーの各社から、指定されるコントロールパネルを使用したDNSレコードの設定から行います。
■ DNSレコードの代表的な種類
DNSレコード名 |
レコード名が意味すること |
SOA |
ドメイン情報 |
NS |
ドメインのDNSサーバー名 |
MX |
ドメインのメールサーバー名 |
A |
運用サーバー名にIPアドレスを関連付ける |
PTR |
IPアドレスと対応する運用サーバー名 |
CNAME |
運用サーバー名の別名 |
HINFO |
運用サーバー名のハードウェア情報など |
TXT |
運用サーバー名に関連付けるテキスト情報 |
WKS |
運用サーバー名で行われるサービス情報 |
レンタルサーバー会社や、新規ドメイン取得、他社からの引っ越しなど、ケースによってもDNSレコードの設定方法、DNSサーバーの設定方法が異なるため、契約したレンタルサーバー会社へ問い合わせ、もしくはマニュアルを参考にするようにしましょう。
【※ドメイン更新手続きを忘れずに】 ドメインは、利用できる権利を期間ごとに購入する契約になるため、利用可能期限がきた際に、そのまま断続をして利用を希望する場合は、更新の手続きをしなければなりません。1年間の利用権利で契約を行う場合が多くを占めますが、更新手続きの際には、更新費用がかかることを覚えておきましょう。 また、更新を忘れてしまって万が一利用可能期限を過ぎてしまった際には、更新猶予期間内に手続きを行うことでドメインの利用が復活します。 更新猶予期間も過ぎてしまった場合は、復旧猶予期間内で更新を行うことでドメインの利用を復活させることが可能ですが、復旧猶予期間内での更新は、手続きを行う側の手間となってしまうため、更新費用に加え、所定費用も必要となります。そのためドメインの更新は利用可能期限日までに済ませておくようにしましょう。 ドメイン取得サイトの多くは、自動で更新料を引き落とし、更新してくれるサービスを実施しているため、確認をし、あらかじめ設定をしておくことをおススメします。
〈ドメイン種類別の更新料目安〉
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4.レンタルサーバーやドメイン専門会社の選び方
レンタルサーバー
ドメイン取得をレンタルサーバーの契約と同時に取得する場合、下記のことに気を付けてレンタルサーバーを選ぶと良いでしょう。
- 付随する機能はどの程度か
- 取得と更新にかかる費用
- セキュリティの対策内容
- SSL化が無料で常時行ってくれるか
- DNSサーバーなどの複雑な設定への対応有無
レンタルサーバーによっては、データの保管、HPの複数作成、メールアドレス作成、無料で取得可能なドメイン数など、契約によって付随する機能が多いものもあれば数少ない場合もあるため、どのような機能が付いてくるのかを比較するようにしましょう。
また、ネットが普及している近年だからこそ、ネットユーザーをターゲットとした犯罪が増えているのも現状です。会社の情報が漏洩してしまわないよう、セキュリティ対策や対応を行ってくれるサービスがあるレンタルサーバーを選ぶようにしましょう。
セキュリティ対策について例を挙げると、ネットの利用時に盗聴やデータ改ざんが行われないようにするための「SSL」があります。このSSL化を常時、無料で行ってくれるレンタルサーバーも存在します。会社の情報を守るためには、検討できる材料の一つではあります。
ドメイン専門会社
次に、ドメイン取得をレンタルサーバー契約時とは別にドメイン専門会社に依頼し、取得をする場合です。ドメイン専門会社を選ぶ際には、下記のことに気を付けて選べると良いでしょう。
- 取得と更新にかかる費用
- whois情報公開代行サービスの有無
- 該当会社の信頼性やサポート体制
- ドメインを移行する際の対応の有無
whoisでの個人情報公開をドメイン専門会社が代行して行ってくれるサービスは、無料の場合と有料の場合があります。ドメインの種類によって対応しているものもあれば非対応のものなど、ドメイン専門会社だからと言って必ずしも代行サービスに対応してくれるものでもないため、依頼の前に確認するようにしましょう。
また、有名なドメイン専門会社では、ドメイン申込実績などをHPに提示しているところもあります。申込実績や実際の利用者の口コミなどは、その会社を信頼できるかどうかの判断材料ともなります。
早急に解決したいトラブルでも、対応や問い合わせがメールのみの会社もあれば、24時間休みなく電話とメールどちらの対応も可能としている会社など、利用者へのサポート体制も大きく異なります。“費用が安いから” という理由だけで決めるのではなく、契約内容の中身を見て判断するようにしましょう。
まとめ
今回は、会社設立と独自ドメイン取得の関係性から、独自ドメインの取得方法をメインにご紹介しました。
独自ドメインを取得するまでは手続きや設定などで苦労するかもしれませんが、独自ドメインの取得は、会社の認知度、信頼度、売上を上げるため、会社設立に必要な手続きの一つであるということを頭に入れておきましょう。
会社を設立し、HPの開設やアドレスの作成、外部会社に依頼することもあるでしょうが、ドメインの取得はインターネットの普及により、自身で行う方が増加しています。会社経営には役立つ知識ともなるため、知っておくことが大切です。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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