「少人数私募債」という言葉をご存知ですか?
あまり耳にしたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。
少人数私募債は、社債の一種です。
中小企業が資金調達するために社債を発行するというと、「自分の会社でも出来るのか?」と疑問を感じる経営者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、少人数私募債とはどういったものなのか? また、少人数私募債を発行して資金調達するメリットとデメリットとあわせて解説していきます。
1.少人数私募債とは?
少人数私募債とは、株式会社や合同会社など、法人であれば発行可能な資金調達手段のひとつです。
下記の4つの条件を満たすことで、少人数私募債を発行することができます。
(1)法人である
前述しましたが、株式会社や合同会社など、法人であれば社債の発行が可能です。
つまり、個人事業主の方は発行することができません。
(2)社債の購入を勧誘する対象者が50名未満
少人数私募債は49名までしか勧誘することができません。
ここで、注意しなければいけないのが、社債を引き受ける人が50名未満ではない、ということです。
この50名未満の中には、勧誘したけれど結果的に申し込まなかった人も含まれます。
また、少人数私募債は、短期間のうちに何回も発行することが可能ですが、「6か月以内に発行した利率と償還期限が同じ社債は同一のものとみなす」と法令で定められています。
6か月以内に同一とされる社債を発行する場合は、募集人数が50名以上とならないように注意しましょう。
勧誘対象者は会社の役員や従業員、株主、取引先などの縁故者に対して、直接募集します。
自社のホームページや新聞などで、不特定多数の一般投資家を募ってしまうと「公募」となりますので、注意してください。
(3)発行する社債一口が発行総額の50分の1以上
社債を発行するには、「発行総額」と「一口の金額」を決め、その一口が最低額となります。
少人数私募債は、発行総額を一口の金額で割った口数が「50未満」で発行しなければなりません。
例えば、社債総額が2,000万円であり、一口の金額が100万円の場合は、
2,000万円÷100万円=20
20>50となり、要件を満たしているのでOKです。
また、社債の募集額は1億円未満となります。
(4)「譲渡制限」を設ける
(2)で説明したとおり、少人数私募債は対象者が50名未満でなければなりませんが、この要件は発行後も満たす必要があります。
そのため、少人数私募債発行後に不特定多数の人に譲渡されることがないよう、発行の際に「譲渡制限」を設けることで社債の分散を防ぎます。
具体的には、
・譲渡するときは会社の承認が必要であること
・一括譲渡以外の譲渡を禁止すること
などを社債の募集要項に記載しておかなければなりません。
2.少人数私募債のメリットは?
金融機関からの融資に比べて、多くのメリットが得られます。
3.少人数私募債のデメリット
少人数私募債は、引受先が身近な人たちとなるため、信頼関係が大事になってきます。
信頼を得るためには、明確な事業計画の明示や経営の安定など、定期的な報告や説明を行っていくことが不可欠です。
4.少人数私募債で資金調達する流れ
少人数私募債を発行して資金調達する流れは、下記のとおりです。
まとめ
募集できる人数に限りはありますが、中小企業にとって、少人数私募債は有効な資金調達手段のひとつです。
要件を満たしていれば発行することが可能ですので、「金融機関からの融資はハードルが高い…」という経営者の方は、資金調達手段の選択肢として検討してみるのも良いでしょう。
ただし、デメリットもありますので、うまくいかなかったときの対応策など、計画をしっかりと練っておくことが大切です。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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