公庫から借入をしていて、完済する前に別途借入が必要になる場合もあるでしょう。借り入れしたお金を返済中だからではないでしょうか?
日本政策金融公庫(旧:国民政策金融公庫)で既に借入がある場合は、完済するまで事業融資を受けることはできないのでしょうか?
1.【結論】日本政策金融公庫での追加融資は可能
今現在、日本政策金融公庫や別のローンで借入をしていて返済中だとしても、事業融資を申し込むこと自体は可能です。日本政策金融公庫で追加融資を受ける場合、以下のようなパターンが連想できます。
日本政策金融公庫で 追加融資を受ける場合の状況パターン |
日本政策金融公庫での追加融資 |
現在、 日本政策金融公庫で教育ローンや普通貸付を返済中 |
可能 |
現在、 日本政策金融公庫で創業融資を受け借入を返済中 |
可能 |
現在、 他社のビジネスローンやリボ払いなどを返済中 |
可能 |
いずれの場合も、日本政策金融公庫での追加融資は可能です。しかし、もちろん審査があります。そして、追加融資での審査は新規の時の審査とは少し状況が異なるのです。
2.日本政策金融公庫で追加融資を受けるためのポイント
①公庫で教育ローンを返済中で追加融資を受けるには?
日本政策金融公庫では事業融資(ビジネス用のお金を貸してくれること)だけではなく、一般の方向けの融資や教育ローンも取り扱っています。教育ローンの場合、こども一人につき350万円までという原則がありますので、長男の分を返済中で新たに次男の教育費を借りたい、というのは全くアリなのです。
教育ローンを返済中で事業融資を追加融資したい、という方も多数いらっしゃることでしょう。この場合については、教育ローンの残債が審査の評価の際に「借入」として記録されます。ただし、教育ローンの審査に通ったからといって、事業融資も通るわけではありません。
事業融資の融資はあなたの事業の売上だけでなく経費を差し引いた手残りと将来性などで審査される傾向にあります。その際に借入額が大きいと、返済できない可能性があるとして、融資を受けにくくなる可能性があります。
事業融資の追加申込をする前に、できるだけ残債を少なくすること。また、返済はきちんと期日通りに行うのが大原則です。保険商品や証券などで現金化できるものがあればそれらをアピールすることが大切です。
②公庫で創業融資を返済中で追加融資を受けるには?
創業融資を返済中の人が追加融資を受けるには、申込のタイミングが重要です。返済中に追加融資を受けたい時は、以下のすべてに当てはまるタイミングで公庫に申請することが望ましいです。
- 創業から1期終えている
- 追加融資前に残債の2割以上を返済済みの上、延滞したことがない
- 決算書で利益がでている
まず、事業が1期を終えていることが望ましいです。1期を終えていない事業は、まだ安定していないと考えられるため、審査に不利になる可能性があります。とくに開業から1年以内は倒産率が60%を超えるため、追加融資をしても貸し倒れになってしまうかもしれないからです。
なお、完済している場合は最後の支払いから3年以内に申込できた方が良いです。完済から3年以上経過してしまうと、日本政策金融公庫の支払いに関するデータが消えてしまうため、初回申込と同様の審査が必要になるからです。完済から3年以内に申込をすれば、融資を返済した計画性と返済能力が評価されるため、審査に通りやすくなるでしょう。
次に、創業融資の残債を2割は返済しており、公庫への返済を滞納したことがないことが望ましいです。期日通りに返済を続けていけば返済実績が評価され、追加融資の審査でプラスに評価されます。一方で、返済期日に間に合わない場合や毎月の返済額を見直す場合は、リスケ(Re-Schedule)をしてもらうケースもありますが、リスケしていると追加融資の審査は不利になります。
返済予定を守れないから返済の見直しをしているのであり、リスケをする人は追加融資を出来るほどの返済能力がないと、公庫の担当者に判断されてしまうためです。
最後に、決算書で利益が出ていると審査に有利になります。決算書で利益が出ていれば、創業融資を受けて利益が出ていることを証明できるからです。創業融資を受けて利益を出していることが分かれば、追加融資をすることでさらに利益を出せる事業だという判断が可能になり、審査に通りやすくなるでしょう。
上記の条件に当てはまらない場合は、追加融資の審査を通過することは難しいです。それでも融資を受けたい場合、融資希望額を50万円未満の少額にする、または自己資金を用意して、無理なく返済できることをアピールできれば、融資の可能性はあります。
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③他社のビジネスローンやリボ払いなどを返済中で追加融資を受けるには?
教育ローンの場合と同様で、事業所の代表者の他社の借り入れは審査の上でマイナス評価となります。原則、融資は売り上げから経費を引いた手残りが赤字かどうかという決算書の額で審査をされますが、借入がある場合は手残りからさらに借り入れ分を差し引かれて審査されます。
他社からリボ払いなどで借り入れをしていても、追加融資の審査に通る場合があります。それは、融資希望額と借入額のバランスを見ているからです。
- 事業での利益がかなり出ている
- これまでの返済履歴でキズがない
- 事業の将来性がある
- 追加融資の希望額に対し、他社借入額の%が20%以下である
毎月利益が500万円以上出ている会社の代表者の個人的なリボ払いの残債が50万円あったとしても、審査への悪影響は少ないことでしょう。しかし、毎月の利益が100万円なのにたいしてリボの残債が100万円あるのであれば、おそらく追加融資は厳しいことでしょう。
まとめ
創業融資と違い、日本政策金融公庫からの追加融資では、自己資金だけでなく返済実績や事業年数など複合的な審査になるため、コレといった必勝法はありません。
とはいえ、日本政策金融公庫で創業融資を受けた場合も、ベストなタイミングで挑めば追加融資の審査に通ることも十分可能です。その際は、できるだけ創業後3年以内に申し込むことを検討してみてください。もし、日本政策金融公庫からの追加融資を検討する際に、疑問や不安がある場合は、SoLaboの専門家にご相談ください。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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