川崎市で創業時に利用できる特定創業支援等事業の特徴

川崎市で創業時に利用できる特定創業支援等事業の特徴 公開日:2025.06.18起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
川崎市 特定創業支援等事業

特定創業支援等事業とは、起業に関するセミナーや個別相談を修了した証明書を元に、創業時に関する優遇措置を受けられる制度です。この制度は、創業時の税金や融資に関する優遇措置を受けられるため、事業のスタートアップ期における資金負担を軽減できるメリットがあります。

この記事では、川崎市で利用できる特定創業支援等事業の具体的な優遇措置から、利用条件、川崎市ならではの多様な支援機関とプログラムについて詳しく解説していきます。

特定創業支援等事業の優遇措置

川崎市の特定創業支援等事業による支援を受け、証明書の交付を受けた方が利用できる優遇措置は次の通りです。

【優遇措置の項目と内容】

優遇措置 内容
登録免許税の軽減 ・会社設立時の登録免許税が通常よりも軽減
・株式会社は資本金の0.7%が0.35%に、合同会社は6万円が3万円に引き下げ
信用保証枠の拡大 ・日本政策金融公庫から融資を受ける場合、創業関連保証の特例として通常1,000万円が2,000万円まで拡大
・事業開始6ヶ月前から利用可能
新規開業資金の優遇 日本政策金融公庫から融資を受ける場合、通常の新規開業資金よりも利率が引き下げられる
小規模事業者持続化補助金における「創業枠」の適用 ・小規模事業者持続化補助金の「創業枠」の利用が可能
・補助上限額が優遇される(通常枠50万円→創業枠100万円)

これらの優遇措置は中小企業庁が定める特定創業支援等事業の「産業競争力強化法における市区町村による創業支援/創業機運醸成のガイドライン」に基づいています。そのため、全国どの自治体でも基本的な優遇措置の内容に大きな違いはありません。

証明書の交付を受けるには、川崎市の認定を受けた支援機関が実施する経営、財務、人材育成、販路開拓に関するセミナーや個別相談会を利用する必要があります。これにより、単なる資金優遇だけでなく、事業を成功させるための実践的な知識とノウハウを体系的に習得することができるでしょう。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。8,000件以上の融資サポートの実績から無料診断できるため、特定創業支援等事業の優遇措置と合わせて日本政策金融公庫から融資を受けられるか気になる人は無料診断を試してみてください。

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証明書の交付対象者

特定創業支援等事業による支援を受けたことを証明する書類の交付対象者は次のような人です。

【証明書の交付対象者】

  • これから創業する人
  • 個人事業主としての開業後5年未満の人(後に法人化した人を含む)
  • 営利法人(株式会社、合同会社、合資会社、合名会社)設立後5年未満の人
  • 非営利法人(社団法人、NPO法人等)設立後5年未満の方

注意点として挙げられる1点目は、証明書の交付対象者は「個人事業主としての起業時点の開始日が起算日になる」という点です。たとえば、6年前に個人事業主として起業しており1年前に法人化していたような場合は、「個人事業主としての開業後5年未満の人」の要件が優先されるため、証明書の交付を受けることはできません。

注意点として挙げられる2点目は、2社目以降の創業になる人や事業承継をした人についても証明書の交付対象外という点です。投擲創業支援等事業は「新たな創業者の支援」を目的とした制度であり、2社目や事業承継はこの条件からはずれてしまうためです。

なお、証明書の交付対象者になれない場合でも、川崎市の認定特定創業支援等事業のセミナーや相談窓口は利用できるケースもあります。とくに新たなノウハウを学びたい場合や事業の相談をしたい場合は、証明書と関係なく専門家を利用するのも良いでしょう。

川崎市の特定創業支援事業の支援内容

川崎市で特定創業支援等事業を利用する場合、次のような支援を受けることができます。

川崎市の特定創業支援等事業の支援内容
支援項目 概要
創業の相談窓口 創業に関する疑問や課題について、個別に相談できる窓口
創業セミナーとイベント 経営、財務、人材育成、販路開拓など、創業に必要な知識を学ぶセミナーやイベント
専門家の個別支援 中小企業診断士や税理士など、各分野の専門家から個別の助言

特定創業支援等事業の証明書交付を受けるには、上記のいずれかの支援を受ける必要があります。これらの支援の中からどれを選ぶかは、自身の事業フェーズと具体的な課題によって異なります。

たとえば、事業アイデアの段階であれば創業の相談窓口を選択し、具体的な事業計画の策定段階であれば創業セミナーで体系的な知識を、より専門的な課題解決には個別支援を活用すると良いでしょう。川崎市では一般的な支援に加え、K-NICやKSPといった研究開発型支援機関、複数の地域金融機関など、多岐にわたる連携機関がこれらの支援を提供しているのが特徴です。

なお、提供されるセミナーや個別支援の中には有料となるものもあります。中には最大40万円近くかかる個別支援もあるので、受講や相談を申し込む際には事前に費用を確認しておきましょう。

創業の相談窓口

川崎市で創業を検討する際、創業の相談窓口は事業のアイデア段階に向いている支援です。創業相談窓口では事業のアイデア段階から具体的な計画策定、制度利用に関する疑問まで幅広い相談に対応しているためです。

たとえば、相談窓口では事業計画の漠然としたアイデアを具体化する相談や、どのような業種で創業が可能かといった市場調査に関する相談が可能です。初めての創業で何から手をつけて良いかわからない場合や、制度全体の流れを知りたい場合に役立つでしょう。また、許認可の要不要、資金計画の立て方、法人設立の手続きなど、より実践的な疑問についても相談できます。

これらの相談窓口は、創業に関する情報を効率的に収集し、自身の事業計画を具体化するための第一歩となります。疑問を解消し、適切な支援へと繋がるきっかけとして積極的に活用することをおすすめします。

創業セミナーとイベント

川崎市が開催する創業セミナーやイベントは、創業に必要な知識を体系的に学ぶのに向いている支援です。短期間で経営、財務、人材育成、販路開拓といった多岐にわたる分野の基礎を効率的に習得できるためです。

たとえば、創業セミナーでは、事業計画書の作成方法や融資のポイント、マーケティングの基礎など実践に役立つ内容を段階的に学ぶことができます。とくに川崎市では、ソーシャルビジネスや女性起業家向けなど特定のテーマに特化した講座も開催されており、自身の興味や事業内容に合わせて選択できます。

これらのセミナーやイベントへの参加は、創業に必要な知識を網羅的に身につけるだけでなく、同じ志を持つ仲間との出会いの場にもなります。情報交換やネットワーク構築を通じて、創業後の事業展開へと繋げることができるでしょう。

専門家からの個別支援

専門家からの個別支援は、自身の事業に特化した具体的な課題解決に向いている支援です。事業計画の具体的な数字の精査や、複雑な法務・税務に関する問題など、個別の状況に応じた専門的なアドバイスを得られるためです。

たとえば、事業計画のブラッシュアップでは中小企業診断士が市場分析や競合優位性について客観的な視点から助言します。税理士には節税対策や確定申告、社会保険労務士には雇用に関する相談ができ、法的な側面では弁護士がサポートします。川崎市では、技術系の創業を目指す方向けにK-NICなどで専門家による個別相談も提供されており、より高度な知見を得ることが可能です。

このような個別支援は、自身では解決が難しい専門的な問題に直面した際に的確な解決策を見つける手助けとなります。事業の成長段階に応じて必要な専門知識を取り入れ、リスクを低減しながら事業を推進できるでしょう。

川崎市の支援機関

川崎市の支援機関は、特定の分野に強みを持つ多様な支援機関と連携して創業を支援しているという特徴があります。これらの機関が提供するプログラムは、一般的な創業支援に加えて、川崎市特有の産業構造やニーズに対応した内容が特徴です。

川崎市の支援機関
事業名 開催方法と費用負担 主な受講対象者
K-NIC起業相談プログラム オンライン・無料 研究開発型(独自技術を研究開発により事業化を目指すビジネス)の起業を予定している方
商業者創業支援プログラム(かわさき店舗出店支援プログラムNOREN) 対面・受講料2万円(税込) 市内の商業エリアにて、店舗での創業を予定、または検討している方。市内で開業後3年以内で事業の見直し等を検討されている方
川崎市ソーシャルビジネス連続講座 対面・無料 市内でコミュニティビジネス・ソーシャルビジネスの起業・創業を目指す方、地域や社会の課題解決にビジネスの手法で取組む、コミュニティビジネス・ソーシャルビジネスを志す方
オンライン創業支援セミナー「みらい海図」 オンライン・無料 市内で1年以内に創業予定、または検討している方。創業後3年以内の方
女性起業家ビギナーズ向け「起業プラン作成支援講座」 対面・受講料6千円(税込) 近年中の創業を考えている女性、創業して7年以内の女性(川崎市内在住・在勤・在学の方を優先)
かわさき起業家塾 対面・受講料1万円(税込) 起業・創業に関心のある方、ビジネスプランのブラッシュアップに意欲を持つ起業家の方
KSPビジネスイノベーションスクール 対面・受講料39.6万円(税込) 具体的な事業テーマをもち、起業を志す方
起業セミナー・インキュベーション事業 オンライン・受講料は実施機関に確認 創業予定の方、または創業者

※ 川崎市公式サイト「特定創業支援等事業について」の25年6月時点の情報を参照に株式会社SoLaboが作成

川崎市は研究開発型ビジネス、店舗型ビジネス、ソーシャルビジネス、女性起業家支援など、特定の領域に特化した多様なプログラムを提供しています。たとえば、K-NICやKSPといった専門性の高い機関を利用すれば、技術系ベンチャーで創業予定の人にとっては証明書を受けながら専門性を高めるチャンスになります。

オンラインでの受講が可能なプログラムや、無料のセミナーも多く提供されており、自身の状況に合わせて柔軟に学習機会を選択できます。事業内容や創業フェーズに合わせて、自社に合った支援機関を選択するようにしましょう。

いずれの支援機関を利用すればよいか悩む人は、当サイトを運営する「株式会社SoLabo(ソラボ)」の専門家にご相談ください。特定創業支援等事業と合わせた資金調達のフローまで、総合的な相談を受け付けております。

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優遇措置を受けるステップ

特定創業支援等事業による優遇措置を受けるには、川崎市が発行する証明書が必要です。この証明書は、川崎市が認定する創業支援等事業の支援を継続的に受けることで取得できます。証明書取得から優遇措置を受けるまでの主なステップは次の通りです。

  1. 特定創業支援等事業を受講し証明書類(修了証等)の交付を受ける
  2. 川崎市へ証明書の交付を申請する
  3. 各種優遇措置を受ける

まず、川崎市の認定を受けた創業支援等事業者が提供する「継続的な支援」を受けて証明書の交付を受ける必要があります。継続的な支援とは経営、財務、人材育成、販路開拓に関する知識習得を目的としたセミナーの受講や個別相談などを指し、1ヶ月以上の期間にわたり4回以上の支援を受けることが証明書を発行するための要件となります。

継続的な支援を全て受講・修了した後、川崎市へ証明書交付申請を行います。川崎市への申請はオンラインの手続きか川崎市労働局の窓口、郵送かのいずれかで行います。申請には証明書の他にも事業フェーズに応じた必要書類を提出する必要があるので、事前に必要書類を確認しておきましょう。

証明書交付の申請が完了した後、優遇措置の利用が可能です。会社設立の際には法務局へ、融資を受ける際には日本政策金融公庫へ証明書を提出することで、登録免許税の軽減や金利優遇を受けられるようになります。

川崎市に提出が必要になる書類

特定創業支援等事業の証明書の交付を川崎市に申請する際には、次のような書類が必要になります。

川崎市に提出が必要になる書類
  修了証等 申請書 開業届の写し 法人設立届出書又は登記事項証明書の写し
これから創業する方 必要 必要 - -
個人事業主としての開業後5年未満の方 必要 必要 必要 -
営利法人設立後5年未満の方 必要 必要 - 必要
非営利法人設立後5年未満の方 必要 必要 - 必要

修了証等とは、特定創業支援等事業の実施機関が発行する支援等を受けたことを証明する書類のことです。修了証の提出は必須なので、申請前に交付を受けておきましょう。

オンライン申請ではフォーム上で自動申請されるため、申請書の別途作成や添付は必要ありません。窓口か郵送で申請する場合は、 川崎市公式サイト「特定創業支援等事業について」のページにある「認定特定創業支援事業により支援を受けたことの証明に関する申請書」をダウンロードし、記入する必要があります。

その他の書類については、自身の事業状況や法人形態によってことなります。書類が揃っていないと手続きを完了できませんので、申請に行く前に提出しなければならない書類を忘れずに準備しておきましょう。

まとめ

特定創業支援等事業を利用することで、会社設立時の登録免許税の軽減や日本政策金融公庫の融資における金利優遇、小規模事業者持続化補助金の創業枠適用など、創業初期の資金負担を大幅に軽減できる優遇措置を受けられます。

川崎市の特定創業支援等事業には、K-NICのような研究開発に特化した支援機関や、複数の地域金融機関、さらにはソーシャルビジネスや女性起業家向けのプログラムなど、幅広いニーズに応える多様な支援機関とプログラムが提供されている点が特徴があります。これらのセミナーや個別相談を通じて、経営、財務、人材育成、販路開拓に関する実践的な知識とノウハウを体系的に習得できます。

特定創業支援等事業の証明書は、これらの継続的な支援を受けることで取得が可能です。自身の事業フェーズや目指す分野に合わせて最適な支援機関を選び、優遇措置を活用することで、資金的な負担を減らして事業をスタートすることが可能になるでしょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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