家族からの借入や自己資金なしは危険?融資の自己資金要件について

家族からの借入や自己資金なしは危険?融資の自己資金要件について 2017.11.29起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
融資 自己資金

自己資金は融資審査で見られるポイントの一つ

日本政策金融公庫や銀行から融資を受ける際に、自己資金を見られることがありますが、自己資金は融資審査で見られるポイントの1つであり、自己資金の準備過程も重要になってきます。自己資金が足らずに家族から借入を行うことは、見せ金と誤解されやすく、融資審査に通らないことになる可能性も大いにあります。

今回は、融資での自己資金について、家族からの借入を自己資金に充てることや、自己資金として認められるもの、また自己資金なしでの融資や開業についても解説していきます。

1.家族からの借入や見せ金について

自己資金を少しでも多くしようと、家族からの借入やカードローンのお金を一時的に通帳に振り込んだ場合、“見せかけのお金” つまり “見せ金” と判断されやすくなります。融資担当者が通帳を見たときに、まとまったお金が振り込まれているだけで目立ち、コツコツと貯めてきたお金ではなく、借入などによって振り込まれたお金だということが見抜かれてしまいます。

通常、過去6か月~1年前の通帳を確認されますが、見せ金と思われる入金があることで信用を失い、融資審査に通ることは難しくなります。

また、見せ金ではなくきちんとした自己資金だが、口座の移動、株式の売却、貸付金の回収などでまとまったお金が振り込まれるケースもあるかと思います。口頭で説明をしたところで、融資担当者の疑いを晴らすことは難しく、この場合、誤解をされないためにも、証拠となる資料を持参することが大切です。

口座の移動であれば前口座の通帳と移動時の契約書、株式の売却であれば売買契約書、貸付金の回収であれば貸付時の契約資料など、第3者が見ても見せ金ではないということが分かる資料の準備を行うようにしましょう。

2.自己資金として認められるものと認められないもの

自己資金の定義

自己資金は、自身名義の通帳で貯めており、返済の必要がないお金のことを指します。創業までに働いていた会社やアルバイトでの給与から、少しずつ通帳に入金し、貯めてきたお金は自己資金の典型でもあり、融資審査で評価されるものの1つでもあります。

また、借入ではなく親族から受け取ったお金で、贈与の意思が明らかでないお金に関しては、自己資金として認められることは難しくなります。その理由として、現在は良くても将来、返済をしてほしいと言われる可能性がゼロではないためです。

親族から受け取る際のお金に関しては、〔贈与契約書〕や相手側の通帳を用意することで自己資金として認められやすくなります。

○自己資金として認められるもの

自己資金の定義を理解したうえで、自己資金に認められるものについて確認していきましょう。

① 自身で貯めてきた通帳預金

融資審査で1番評価される自己資金が、毎月の預金額を決めて数年かけて貯めてきた通帳預金です。

毎月少しずつでも貯めていくことは、創業への準備をきちんとしていると捉えてもらいやすく、計画性も見てもらえることに繋がります。

② 配偶者名義の通帳預金

結婚をしている場合、配偶者へ事前確認をし、配偶者の預金を自己資金として通帳を提出することで認めてもらうことができます。

③ 退職金

会社勤めを終了した際に会社から出る退職金も自己資金となります。

退職前であれば、事前にいくらの退職金が出るのかを確認しておきましょう。

④ みなし自己資金

店舗の賃貸契約など、創業や事業のために既に使用しているお金を自己資金として認めてもらうことをみなし自己資金と言います。

この場合、事業のために購入や支払いをした、ということが分かる領収書等が必要となるため、忘れずに準備しましょう。

※ 創業や事業計画とは関係の無いものを購入しても自己資金としては認められません。思いつきで購入をしたものを提示しても自己資金として認められないため注意しましょう。

⑤ 親族からの贈与金

贈与をされたお金、ということが分かる贈与契約書があり、親族の財務状況にも問題がない場合は自己資金として認められます。

※ 自身で貯めてきたお金がゼロ、もしくは極端に少ない状態で贈与されたお金のみの場合、計画性に欠けると判断され、融資を受けることは難しくなる可能性が大いにあります。

⑥ 保有株式・投資信託・有価証券

保有しているということが分かる書類や、HPの印刷等をして持参することで自己資金として認めてもらうことができます。

⑦ 保険などの解約返戻金

生命保険にて積み立て型で加入をしている場合や、子供の学資保険などは、解約することで解約返戻金があることがあります。

事前に保険会社に確認をし、解約返戻金の有無やいくらの返戻金なのかを確認しておくと良いでしょう。

×自己資金として認められないもの

次に自己資金に認められないものを確認していきます。

① 友人や知人からの借入金

借りたお金 = 返済の必要があるお金 となることから、仲の良い友人等でも借入金を自己資金に充てることはできず、認めてもらうこともできません。

② 振込金で説明のできないお金

融資申込の前に通帳へ入金のあったお金で、どのような経緯で入金があったのか、どこからの入金なのか等に説明ができないお金は、自己資金として認められません。

③ タンス預金

銀行口座ではなく、自宅で保管している、あるいは貸金庫で保管しているなどのお金のことをタンス預金と言います。

タンス預金を通帳に振り込んだとしても、一時的なお金として見られ、タンス預金を説明したとしても信用に欠けてしまうため、自己資金には認められません。

3.融資での自己資金要件や目安

融資の決定は自己資金がすべてではなく、計画性や事業内容からも判断されます。そのため、この金額の自己資金があれば融資に通る、というものでもありません。

しかし、最低条件として必要な自己資金の目安としては、“受けたい融資額の3分の1” と考えておくと良いでしょう。コツコツ貯めた自己資金は多ければ多いほど審査では評価されるポイントとなります。

また、数多くの個人事業主や中小企業に対して創業時に資金を融資している日本政策金融公庫のHPでも、「いくらの自己資金があれば融資を受けられるのか?」という質問に対し、「平均でも創業資金の3割程度」という回答になっています。

自己資金要件10分の1で受けられる制度がある

日本政策金融公庫が行う制度の1つで、〔新創業融資制度〕というものがあります。新しく事業を開始する方や事業を開始して間もない方のために、無担保・無保証という条件で融資を受けることができることから、創業者の多くが利用する制度の1つです。

本制度を利用するための条件の一つとして、『融資額の10分の1以上の自己資金が必要』という自己資金要件が定められています。

「これから創業したく1,000万円の融資を希望していて、自己資金は100万円を準備しているのですが、融資を受けることはできますか」という質問をいただくことがあります。結論としては1,000万円満額の融資を受けるのは難しい場合が多いです。

先ほど説明した自己資金要件はあくまで最低限必要な金額であり、10分の1ですと借入に依存していると判断される可能性が高いです。そのため、できれば受けたい融資額の3分の1以上の自己資金を準備しましょう。

自身の自己資金の状況で融資を受けられる可能性があるのかどうかなど、自己資金に関して不安がある方は当社SoLaboの借入診断をお試しください。3,700件を超える融資支援実績から診断いたします。

日本政策金融公庫から融資を受けられる?
無料診断

電話で無料相談
【受付】平日9:00~19:00

4.自己資金なしでの融資や開業

自己資金がない場合の融資について、上記で説明した新創業融資制度を利用する他にも、制度融資という融資があります。

制度融資は、各都道府県もしくは市区町村と金融機関、小規模事業者や中小企業の金融面を円滑化するために設立された公的機関である信用保証協会の3者が連携して提供する融資のことを指します。

創業の具体的な計画があり、事業を行っていない個人であれば利用できる可能性があります。自治体によりますが、制度融資では日本政策金融公庫の新創業融資制度のような自己資金要件がない場合があります。ですが、内容や利用条件が異なる場合もあり、金利面でも違いが生じる場合があるため、制度融資の利用を考える際は、開業地の自治体に問い合わせをしましょう。

また、たとえ自己資金要件がなくても信用保証協会が信用保証を行うため、厳しい審査があり、自己資金がない分、明確な見込み客や売上の見通しが必要となります。自己資金があるときに比べて、より細かで説得力のある事業計画にすることが重要です。

※ 自己資金なしでの融資や開業の注意点

自己資金がない場合でも、事業計画や制度によっては融資を受けることができますが、自己資金がないことで融資を受けられる確率は低くなります。その反面、少しでも多くの自己資金を貯めてから、融資を申し込む方が融資成功率は高くなるため、創業を急いでいない場合には、自己資金を確保してから融資の申込を行いましょう。

また、融資を受けることができたとしても、受けられる金額は少なくなるということも覚えておきましょう。自己資金がなく、融資を申し込んだ場合、300万円を超える金額の融資を受けることは困難となり、結果、創業後に事業計画通りの経営にならず、廃業となってしまう可能性も考えられます。

事業計画通りの創業を目指すには、少しでも多くの自己資金を準備しておくことが大切です。

まとめ

融資を受ける際の自己資金は、融資希望額の3分の1が目安とされており、コツコツ貯めてきた自身の預金通帳を提示することが融資成功へのポイントです。

また、まとまったお金の入金が通帳で確認出来た際には、何のお金でどこから入金されたものなのかを説明できる書類の準備が必要です。出所を説明ができないお金に関しては、見せ金と判断されてしまうため、注意しましょう。

自己資金については下記も合わせてご確認ください。

参考:起業時の融資は自己資金がなくても受けられる?融資を受けるための自己資金とは

資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/