業界未経験者でも日本政策金融公庫からの融資を受けるポイント
融資を受ける際の落とし穴が、事業経験です。
例えば、花屋で働いたことがない方に「花屋を開業したいから500万円融資をしてくれ」と言われたら、どのように事業を成功させるのか疑問に感じる人もいるでしょう。
実際の経営者は別にいて、”自分はあくまでお金を借りるだけなので未経験” このような相談をされる方もいますが、未経験の業種で事業資金の融資を受けられるのか、また、未経験で融資の申込を行う際のポイントは何かを解説していきます。
1.原則:アルバイトでもいいので申込者本人の業界経験が必要
日本政策金融公庫の融資を受ける際は、申込者本人がこれから始めようとしている事業と同じ業界経験をもつかを審査されます。未経験なのであれば、アルバイトでもいいので半年~1年ほどの経験を積んでから申込みをするのが、融資を成功させるために必要なことの1つです。
花屋を開きたいのであれば花屋でのアルバイト、焼き肉屋を開きたいのであれば焼き肉屋でのアルバイトなど、どんなに本やネットで情報を得ていても、実際に働かなくては分からないこともあります。業界経験は、起業後の財産となるため、働いていて気づいた点はノートやアプリを使ってメモをとっていきましょう。
2.業界経験がなくてもカバーできる!経験を埋めるポイントは?
「実際の経験はなくても、創業計画はばっちり!今すぐ起業して成功する自信がある」という方も中にはいるかと思います。確かに、未経験でも成功しているオーナーは存在します。
しかし、その場合は地齋の経験面以外での努力が必要になるでしょう。業界未経験でも、これからご紹介するポイントを押さえることで、融資の審査で評価される可能性があります。
① 人脈がある
例えば、あなたが業界未経験ながら英会話スクールを開くとしましょう。しかし、あなたの配偶者が外国人で英会話スクールに勤務していて、さらに配偶者の生徒があなたのスクールに移動してくれるという確約があるとすると話は変わってきます。業界未経験でも、”配偶者から多くのアドバイスを受けることができる” ”見込み客がある” と判断され融資に成功するチャンスがあります。
自分自身の人脈がない場合は、配偶者、親、兄弟などと少しずつ範囲を広げて、人脈がないか洗い出しましょう。人脈は、実際に話し合うなかでなくても、ネット上のSNSでも可能です。SNSで突然事業の話をしても相手が驚いてしまうため、まずは実際に会って「こんな事業をしたい」「こんなことを手伝ってくれると嬉しい」とさりげなく切り出してみることも人脈を広げる方法の1つです。
② 自己資金がある
経験不足を、お金でカバーすることもできます。これはアウトソーシングという発想です。経験のある専門家にお金を払い、アドバイスをしてもらう方法です。業界の経験には、少なからず1年~5年など長期間が必要です。
自己資金に余裕があれば、例えば温泉宿の起業に詳しい専門家、介護施設の起業に詳しい専門家などに間に入ってもらう事も可能です。その際は、創業計画書にコンサルタント費用を漏れなく記入しましょう。
③ 計画が練られている
創業融資は、まだ事業利益がでていない段階で金融機関がお金を貸します。そのため、その分事業の計画が重視されます。
また、創業融資では創業への想いや経緯、どのような内容の事業を行うかなどの項目を記載した〔創業計画書〕という書類を提出しなくてはいけませんが、融資を受けるのであれば、以下のポイントを全て盛り込む創業計画書を作りましょう。
〔会社の理念〕 会社として一番大切にしていること、なぜその考えに至るかの背景 |
〔自身の略歴〕 会社勤務経験や成績、資産状況の詳細 |
〔事業内容〕 市場ニーズ、製品紹介、ターゲット層、これらをどのように展開するか |
〔仕入れ・販売〕 どこから仕入れてどこに販売するのか |
〔客単価・原価率〕 何人にいくら売って、いくら純利益が発生するのか |
〔販売計画〕 年間を通じてどのように販売するのか |
〔返済計画〕 年間を通じてどのように返済するのか |
〔利益計画〕 短期・中期・長期でどのような利益推移を目指すのか |
ここでの注意点として、それぞれの項目で良く見えるように無理のある計画を立てても逆効果となってしまいます。例えば利益計画で、最初から黒字経営ができるお店はごくわずかのため、短期で黒字となる利益を無理やり記載しても、”客単価や原価率からして、黒字にするのは不可能では?” と思われてしまいます。
短期では赤字となるものの、徐々に営業を重ねていく中で黒字となる計画を立てることや、赤字となった際の対処法などを考えておき、融資担当者を納得させられる創業計画にしましょう。
④ 熱意がある
事業主本人の熱意があるかどうかが問われることもあります。熱意があれば、事業で何らかのトラブルや失敗があったとしても、改善できる場合が多いからです。事業に対しての熱意が薄いと、調査や研究もおろそかにしがちです。結果、利益にも結びつかず、融資の返済も困難になるケースが増えています。
起業は会社員でいるよりも大変なことも多いのですが、夢がありワクワクすることです。起業や事業に熱意があれば、あなたの言動や資金や経験にも反映され、結果として融資の審査に影響する可能性もあります。
まとめ
未経験だと融資が受けづらいのは事実です。しかし、経験だけがあっても人脈・自己資金・計画・熱意がないのであれば、融資審査の評価は良くありません。
融資の審査に確実に通りたいのであれば、上記で挙げたポイントをカバーできるように計画的に準備しましょう。
未経験での創業に関しては別記事でも解説していますので、合わせてご確認ください。
創業融資ガイド|未経験のビジネスモデルで創業する場合、融資は受けられるか?
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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