ただ押印すればOKじゃない!割印のルールを紹介
事業を行っていると、対価がきちんと支払われたことを証明するため、取引先から提出を求められる「領収書」。
事業主の活動証明にもなる、重要な文書です。
5万円以上の紙の領収書を出す場合、金額に応じた額の「収入印紙」を貼って、領収書にまたがるように事業主自身の押印をする「割印」をする必要があります。
今回は、領収書の基本を押さえつつ、領収書に貼った収入印紙への割印の押し方や注意点、紙を使わない領収書の発行のためのクラウド型サービスの活用ポイントを見ていきましょう。
1.事業主の活動証明を兼ねる「領収書」
領収書は、対価が支払われたことを証明する重要な書類です。
身近な例で言えば、商品を買い、お金を支払った後に渡されるレシートと同じものです。
事業主であれば、領収書を作成する機会も多くなるのではないでしょうか?似た文書に請求書がありますが、報酬が支払われる前に提出する文書が「請求書」で、報酬が支払われてから提出する文書が「領収書」ですので、2つの文書の違いはきちんと押さえておきましょう。
事業主にとっては、領収書は単に金銭の授受証明だけでなく、どの仕事にどれだけ対価を受け取ったかという事業活動を証明する文書にもなります。
また、受け取った領収書はきちんと管理・整理し、確定申告の税務処理に備えましょう。
2.5万円以上の領収書は印紙を貼って割印を!
税抜で領収した金額が5万を超える場合、収入印紙を貼る必要があります。
収入印紙は郵便局やコンビニで購入可能です。
収入印紙には種類があり、金額によって貼るべき印紙が異なります。必要な印紙の種類は、次の一覧を参考にしてください。
記載金額 |
税額 |
5万円未満のもの |
非課税 |
5万円以上100万円以下のもの |
200円 |
100万円を超え200万円以下のもの |
400円 |
200万円を超え300万円以下のもの |
600円 |
300万円を超え500万円以下のもの |
1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの |
2,000円 |
詳しくは「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」(国税庁ウェブサイト)もあわせてご確認ください。
収入印紙が必要なのにもかかわらず、領収書に貼らずにいると、過怠税として印紙の額面の3倍にあたる金額の支払いを課せられますので注意しましょう。
印紙を貼り付けなかった場合の過怠税|国税庁ウェブサイト
3.収入印紙に割印をする場合のルール
印紙を貼った際には、割印をするルールがあります。
割印(わりいん)とは、2つ以上の紙にまたがるように判子を押すことです。消印(けしいん)とも呼ばれます。
領収書の場合、印紙とその領収書の紙にまたがるようにして押印します。
切手が貼られた葉書が届いたとき、切手に郵便局の消印がありますが、それも切手と葉書にまたがって、判子が押されていますよね。「切手をその葉書に使ったと示すこと」「切手を再利用できないようにすること」などを目的としているのは、きっと知っているはずです。
領収書と印紙に割印が必要なのも、同じ理由からです。
割印がない場合、税金は「仮払い」という扱いになってしまうため、必ず割印をしましょう。万が一割印を忘れてしまった場合、割印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。
割印の有効な押し方とダメな押し方
割印は、消えないインクで誰が押したかが判別できるように押印しましょう。
代表印や会社実印はもちろん、氏名や社名の入った角印や日付印、一般的な丸い苗字だけの判子、油性のボールペンでの手書きサインであっても有効です。
一方、鉛筆や消えるボールペンで記載したサインや斜線、単に印とだけ記載したものは割印として認められません。
4.電子発行なら印紙も割印も不要!
電子発行された領収書であれば、収入印紙も割印も不要です。
領収書の電子発行とは、具体的には、作成した領収書のデータをメールやFAXで送付するケースを指します。
電子発行やFAXによる領収書について収入印紙が必要ないことは国税庁のホームページから確認することができます。
コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い(問2)の項目をご参照ください。
“請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。” 引用:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い |
領収書を電子発行する場合の注意点
電子発行した領収書を紙に印刷して手渡しする場合や郵送で送付する場合には、課税対象となります。つまり、収入印紙が必要になりますので注意しましょう。
5.文字入力だけでOK!領収書はクラウド型サービスで作ろう!
領収書を発行するとき、インターネットで探せば自由に使える領収書テンプレートはたくさんあります。
カラフルだったりデザイン性が高かったりするものもありますが、企業によっては経費削減でカラー印刷を禁止していたり、ペーパーレスを進める企業でも意味なくカラフルな資料は保管するにも表示するにもデータ容量を圧迫するために嫌われがちです。
領収書に限らず、事務的な文書は、白黒印刷でもはっきり読める、シンプルなテンプレートが好まれます。
そのため、シンプルなデザインかつ必要な項目も網羅するためにWordやExcelなどの文書ソフトウェアで領収書を作る方がほとんどでしょう。
しかし、領収書を文書ソフトウェアで作ると、文書ファイルを使いまわした際に修正もれや修正ミスを起こしやすいデメリットがあります。
但し書きの内容や日付が間違う程度であれば、再度、作り直せばいいだけですが、宛先を間違えて別の取引先名で発行すると、信用を失うトラブルに発展する危険性があります。
また、パソコンそのものが故障してしまうと、今まで作った領収書を閲覧できなかったり、領収書の発行がとどこおったりする可能性もあります。
パソコン以外に領収書データのバックアップをとるなどの対策が必須です。
このような問題を解決するためによい方法が、文字入力だけで手軽に領収書を発行できる「クラウド型サービス」の利用です。クラウド型サービスとは「ネット環境さえあれば、専用のソフトウェアをパソコンに準備しなくてもすぐ使える」という、ウェブサービス全般を指す一般的な概念です。
クラウド型サービスを活用するメリット
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ウェブサイト側にデータを保管するため、万が一パソコンが故障してしまっても、別のパソコンからサイトにアクセスすれば、これまで通り領収書を閲覧したり発行したりできます。
何より、見た目や文字の位置調整に悩む必要がないのが最大のメリットです。
必要項目に文字を入力するだけでいいので、パソコンでの文書作成に苦手意識がある方でも、簡単に作ることができます。
PDF形式で保存した領収書のデータ取引先にメールで送付すれば、印紙も割印の作業も必要ありません。領収書の電子発行になるため、印紙代を節約できます。
なお、PDF形式とは、ExcelやWordなど他のデータ形式と違い、情報の改ざんがしにくいため、正式な書類データに採用されるファイル形式の名称です。
もし印刷が求められるケースでもPDF形式は、印刷時に文字の表示や位置が崩れにくいため、印刷すれば画面で見た通りの領収書が手に入るでしょう。
また、領収書は税務書類であるため、保存義務があります。
申告の条件により変わりますが、確定申告の期限日から数えて最短で5年間、最長で7年間、領収書を保存する必要があります。
現在、電子帳簿保存法の改正によって、領収書のデータを正しく電子保管していれば、紙の原本の廃棄は認められています。領収書の保管で場所を占有していた物理的なスペースが節約になるため、領収書のデータ需要は今後も増えることでしょう。
無料で利用可能「クラウド請求サービスRAKUDA」で領収書を作成しましょう
領収書の電子発行ができるクラウド型サービスの中でも、無料で利用できる「クラウド請求サービスRAKUDA」をおすすめします。
無料の会員登録をすれば、これまでの領収書を一覧で確認できるだけでなく、見積書の入力内容を流用して請求書や納品書を作れたり、過去の請求書を流用して新しい請求書を作れたりと機能が充実しています。
作成できる文書数に制限がないのも魅力的です。
また、入金や受注のステータス管理もできるので、案件の進捗管理にも便利です。
詳細はこちらから確認できます。無料で利用できますので、まずは実際に試してみてください。
まとめ
紙の領収書は、その額面の金額に応じた種類の収入印紙が必要で、収入印紙には割印が必須であること、電子発行を行った領収書は印紙と割印が必要ないことを覚えておきましょう。
領収書は、ビジネスにとって重要な文書ですが、なるべく手をかけたくないものです。無料のクラウド型サービスを活用し、作成も管理も手軽に済ませるのがベストと言えるでしょう。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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