創業する際の融資方法の一つとして、日本政策金融公庫があります。 融資を受けるという事は、当然返済もあります。 そして、返済と合わせてかかってくるのが金利です。 この金利を低くできるのなら、誰もが低くしたいものです。 今回は、日本政策金融公庫の金利を低くする方法と金利に大きく関わっている【特利】についてご説明していきます。
1.日本政策金融公庫の金利について
日本政策金融公庫の金利を決める資料には2つあり、この2つの資料によって、金利が決定されているのです。
では、2つの資料とは何か、以下の図でご説明します。
第一の資料と第二の資料が金利を決める重要な資料となっているのです。
言葉だけではなかなか伝わりにくいことなので、実際に2018年1月の金利で見比べていきましょう。
担保が必要時と不要時での金利の違い
担保必要時の基準金利が「1.16~2.35%」に対して、担保不要時の基準金利は「1.81~2.40%」、担保必要時の方が「0.05~0.65%」も低金利となる事が分かります。
無担保・無保証人(新創業融資制度)を利用時と利用無しでの金利の違い
担保不要時の基準金利が「1.81~2.40%」に対し、無担保・無保証人を利用時の基準金利は「2.26~2.85%」となり、代表者の連帯保証を付けた場合の担保不要時の方が「0.45%」も低金利となります。
2.低金利にするには?
上記に記載されていることから考えて、日本政策金融公庫で融資を受け、金利を低くしたい場合は、以下のようなことに気を付けたら、低金利となる事が分かりました。
これらの事に気を付けていたら、ある程度、金利を低くすることができます。
ですが、「目次1」の表中にも出てきている【特別利率】いわゆる【特利】を見ると、金利が格段と低いことが分かります。
金利を通常よりも低くすることができたら、言う事無しですが、【特利】を適用することができたら、尚更嬉しいことです。
ではこの【特利】とは、どういうもので、どのように決められているものなのかを一緒に見ていきましょう。
3.日本政策金融公庫の【特利】とは?
特利というのは、融資の契約を結ぶ際の条件によっては、低い金利で融資を受けることができる金利利率の事を指します。
その条件というのが、返済期間であったり、担保や保証人であったり、様々です。
条件が合っていると、低金利である特利で融資を受けることができます。
知らない方からすると、特利と聞いても分からず、一歩引いてしまいがちですが、もしも融資の条件に合っているのならば、上手く活用すると良いでしょう。
当サイトを運営している株式会社SoLaboは認定支援機関として、融資サポートを1,600件以上行ってきました。これまでの融資実績を基に、どのくらいの金利で融資が受けられるのかなど概算ですがお伝えすることもできますので、ぜひお気軽にご相談ください。
4.【特利】が適用される条件について
【特利】を適用する為の条件は、融資制度によって異なり、日本政策金融公庫のHP内にある「融資制度一覧」から、特利が適用される融資はどれか、チェックすることができます。
ここでは、日本政策金融公庫のHPを参考にし、代表的な融資制度を例に出し、ご説明していきます。
普通貸付
普通貸付での利率は、基準利率のみとなり、どのような条件であっても、特利が適用されることがないことを示します。
セーフティネット貸付 「経営環境変化対応資金」
セーフティネット貸付とは、経営状態が良くない、上手くいってなく、悪化している企業が受ける融資となります。
特利の条件を見ると、融資を受けるほとんどの人が、特利が適用されるようになっています。
セーフティネット貸付は、「経営環境変化対応資金」の他にも「取引企業倒産対応資金」「金融環境変化対応資金」がありますが、「経営環境変化対応資金」以外の2つに関しては、いずれも【特利】の設定がない融資制度となります。
新企業育成貸付 「新規開業資金」「女性、若者/シニア企業科支援資金」
新企業育成貸付の中の「中小企業経営力強化資金」以外の融資制度に関しては、どの融資制度にも「技術やノウハウ等に新しい新規性が考えられる場合」に〈特利B〉が適用されるようになっています。
新企業育成貸付 「新事業活動促進資金」
この融資制度の特利の条件に関しては、日本政策金融公庫のHPに載っている「新事業活動促進資金の概要」の中の項目でもある、「ご利用いただける方」を見ないと、どの特利の条件が適用となるのか分かりません。
その「ご利用いただける方」に記載されている内容というのが、以下の通りです。
新企業育成貸付 「中小企業経営力強化資金」
この融資制度に関しては、他の融資制度とは特利の条件が異なり、〈特利S〉に限らず、〈基準利率〉に関しても、「中小企業の会計」を適用中または、適用予定としている方は〈基準利率-0.1%〉となるような条件になっています。
「中小企業の会計」というのは、中小企業に関連する4つの団体(企業会計基準委員会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・日本公認会計士協会)が、会社上の計算にまつわる書類(決算書)の作成で、重い負担とならないように、会計処理の根拠とするべき指針を明らかにした、「中小企業の会計に関する指針」「中小企業の会計に関する基本要領」の事を指します。
この「中小企業の会計」を守り、経営を行っていることで、〈基準利率-0.1%〉〈特利S-0.1%〉が適用となります。
5.○○計画の承認や認定があることでどの融資制度も【特利】が適用となる?
「経営革新計画」や「新連携計画」など、これらの計画は新事業に取り組もうとしている、中小企業者に向けて、その事業の向上を目的とし、支援されているものです。
その為、都道府県からこの計画の承認や認定があることは、企業にとって有利なことであり、日本政策金融公庫側としても、「信頼性がある」「事業に対しての意欲がある」と見られます。
【特利】の条件として、「事業の新規性・拡大」が判断点として見られる日本政策金融公庫の融資では、これらの計画の承認や認定が、いかに重要なものか、という事が分かります。
低金利でもある【特利】を適用させるための方法として、○○計画の承認や認定を受けるという考え方も、一理あると言えます。
6.日本政策金融公庫の金利を下げる方法として
ここまでの話の中で、最終的にどんな方法で低金利を目指すことができるのかをまとめていきたいと思います。
上記の方法を1つ1つクリアにしていくことで、低金利が目指せるという事になります。
また、「Ⅳ. 基準金利や【特利】の中でも低金利を目指す」についてですが、日本政策金融公庫の融資に限らず、銀行融資等でも、低金利が適用されやすい会社の共通点として、
・事業年数が長い
・売上や利益の安定
・借入が他にない
などがあり、これらの理由が金利にも大きく関係してきます。
日本政策金融公庫で融資を受ける際は、面談の段階で、確実に返済が可能という事を伝えることが大切であり、日頃から実績を出しておくことも非常に大切です。
まとめ
融資を受ける際に気になる金利ですが、低い金利で融資を受けることができるのなら、嬉しいことです。
「金利なんか気にしなくて大丈夫」と、安易な考えでいると、いざ融資を受けることができても、金利が高いことで、返済に息詰まるという事も少なくありません。
日本政策金融公庫で融資を考える際は、金利の事まで十分に考えて、低金利での融資を目指すようにしましょう。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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