日本政策金融公庫から融資を受けるまでの流れを解説

日本政策金融公庫から融資を受けるまでの流れを解説 更新日:2025.07.17 公開日:2018.02.28起業のための資金調達 – 日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫 流れ

日本政策金融公庫の融資を検討している人の中には、申込から融資を受けるまでの流れが気になる人もいるかもしれません。融資を受けたことがない人であれば、どのような工程を経てお金が借りれるのか知りたい人もいるでしょう。

当記事では、日本政策金融公庫から融資を受けるまでの流れを解説します。日本政策金融公庫から融資を受けたいと考えている人は参考にしてみてください。

融資を受けるまでの全体像を確認する

日本政策金融公庫から融資を受けるまでには、いくつかの工程があります。創業融資や追加融資にかかわらず、融資を受けたい人はすべての工程を順番に進めることになるため、日本政策金融公庫の融資の流れを知りたい人は工程の全体像を確認してみましょう。

【融資を受けるまでの流れ】

  1. 事前準備
  2. 申込
  3. 面談
  4. 審査
  5. 契約
  6. 融資実行

融資を受けるまでの流れは、上記のように6つの工程に分けられます。それぞれの工程の内容や注意点を理解しておくことにより、スムーズに手続きを進められる可能性があるため、順を追って確認していきましょう。

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事前準備

日本政策金融公庫から融資を受けるための1つめの工程は「事前準備」です。日本政策金融公庫から融資を受けるためには、事前に時間や手間をかけて準備しておく必要があるため、まずは事前準備の内容を確認してみましょう。

【事前準備しておくこと】

  • 自己資金を用意する(創業時の場合)
  • 創業計画書を作成する(創業時の場合)
  • 企業概要書を作成する(初回融資の場合)
  • 見積書を依頼する(設備資金の場合)

事前準備しておくことは個人の状況によって異なります。創業時の場合は「自己資金」「創業計画書」が必要となるため、資金の確保と事業内容の整理を早めに進めておきましょう。事業計画には仕入れや販売の流れ、収支見込みなど具体的な数字が必要です。

また、初めて融資を申し込む場合は「企業概要書」が必要となります。概要書には経営者の略歴や事業の沿革、事業内容などを記載します。設備資金を希望する場合は、業者からの「見積書」も事前に準備しておくとスムーズに進みます。

なお、日本政策金融公庫は窓口や電話による事前相談を受け付けています。担当者が審査における疑問や悩みに回答してくれるため、審査に関して気になることや確認したいことがある場合は事前相談することも検討してみましょう。

申込

日本政策金融公庫から融資を受けるための2つめの工程は「申込」です。日本政策金融公庫は事前準備のときに用意した書類に加え、申込時にいくつかの書類を提出することになるため、それぞれの書類や申込方法を押さえておきましょう。

【申込に関する情報】

項目 内容
申込方法 ・窓口
・郵送
・インターネット
必要書類 ・確定申告書または決算書(直近2期分)
・履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人のみ)
・試算表(直近6か月以内/法人のみ)
・創業計画書または企業概要書
・見積書(設備資金の場合)
・本人確認書類
・送金先口座の通帳コピー
・許認可証のコピー
・電子契約サービス利用申込書(電子契約を利用する場合)

申込方法は「窓口」「郵送」「インターネット」の3つがあります。急ぎの場合は窓口申込が確実ですが、インターネットだと24時間受付しているため利便性に優れています。どの申込方法においても、書類不備があると再提出が求められるため注意しましょう。

提出書類は申込者の状況によって異なります。「法人の場合は登記簿や試算表が必要」「設備資金を希望する場合は見積書が必要」など、申込者の状況に合わせて求められる書類を準備しなければなりません。

なお、申込時に提出した書類は返却されません。「許認可証」「預金通帳」などは原本を提出せず、コピーしたものを提出するように留意してください。

面談

日本政策金融公庫から融資を受けるための3つめの工程は「面談」です。申込が完了したあとは、公庫の審査担当者と30分〜1時間程度の個別面談があるため、面談対策もおこなっておきましょう。

【面談におけるポイント例】

項目 具体例
持参書類を忘れないこと ・預金通帳の原本
・返済予定表(他に借入がある場合)
・クレジットカードや公共料金の明細
・税金の領収書
想定問答を用意しておくこと ・売上の増減に関する要因は?(事業を開始している場合)
・なぜ起業しようと思ったのか?(創業時の場合)
・今後の収益見通しに対する根拠は?
ビジネスマナーを押さえておくこと ・名刺交換のやり方
・清潔な服装
・遅刻せず支店に到着する

面談におけるポイントのひとつは「持参書類を忘れないこと」です。「預金通帳の原本」「公共料金の明細」「税金の領収書」など、申込時に提出した書類に加え、面談時に持参を依頼される書類がある場合は面談前に準備が必要です。

また、面談におけるもうひとつのポイントは「想定問答を用意しておくこと」です。起業理由や今後の収益見通しなど、想定される質問に対する回答をあらかじめ整理しておくことにより、当日焦らず説明できる可能性があります。

なお、面談は原則として申込者ひとりで対応しましょう。「個人の資産状況」「個人の借入状況」など、面談ではプライバシーに関わる質問もする関係上、経理担当者や税理士など第三者の同席を断られる可能性がある点を留意しておきましょう。

日本政策金融公庫の面談における情報を知りたい人は「日本政策金融公庫の面談を受けるときのポイントを解説」の記事も参考にしてみてください。

審査

日本政策金融公庫から融資を受けるための4つめの工程は「審査」です。提出書類や面談時の対応を踏まえて、公庫が融資の可否を判断する工程となります。通常、審査には面談後1週間〜2週間程度の時間がかかります。

【審査で確認されるポイント】

項目 内容
財務状況 ・直近2期分の収支や利益状況はどうか?
・債務超過になっていないか?
・収益状況の推移はどうか?
個人信用情報 ・他の借入の返済状況に延滞はないか?
・クレジットカードの支払いは問題ないか?
・信用情報に事故履歴などの記録はないか?
資金の使い道 ・融資金額と使い道の整合性があるか?
・見積書の内容は具体的か?
・私的流用の懸念がないか?
創業計画の内容(創業融資の場合) ・事業の収益モデルが現実的か?
・事業継続の見通しは立っているか?
・競合との差別化はできているか?
自己資金額(創業融資の場合) ・自己資金が創業資金の3割程度あるか?
・自己資金の貯め方は?
・生活費を除いた実質的な資金余力はあるか?

審査で確認されるポイントとして、財務状況や信用情報が挙げられます。「赤字が続いている」「返済に延滞がある」などの場合は、返済能力に懸念があると判断されやすくなるため審査に通らない可能性があります。

また、創業融資を受けたい場合は創業計画の内容や自己資金額も重要な審査ポイントです。事業のニーズや差別化の根拠など、事業の収益性を審査される点に加え、自己資金の準備状況も問われるため、数字による説得材料がない場合は審査に通らない可能性があります。

なお、審査の結果は電話もしくは書面により通知されます。審査担当者によって結果の通知方法は異なるため、気になる人は面談時に結果の通知方法を確認することも検討してみてください。

契約

日本政策金融公庫から融資を受けるための5つめの工程は「契約」です。審査に通過したあとは、日本政策金融公庫と融資契約を締結することになりますが、「紙での契約手続き」と「電子上での契約手続き」のいずれかを選択することになるため、それぞれの手続き方法を確認してみましょう。

【契約手続きの違い】

項目 紙での契約 電子上での契約
手続きの概要 公庫から郵送された書類に記入・押印して返送する 専用システムにログインし、電子署名・必要書類のアップロードを行う
契約書類の提出 借用証書などを紙で提出(郵送) 電子上で契約書類に署名、本人確認書類等はアップロード
印鑑証明書の提出 原本を郵送 紙の原本を郵送(※電子契約でも必要)
入金までにかかる時間 郵送のやり取りがあるため1週間程度 手続き完了したのち、4営業日後に送金
署名・押印の方法 実印での押印が必要 電話番号へSMS送信される認証コードを使った電子署名
収入印紙 融資金額に応じた収入印紙が必要 電子化された契約書のため収入印紙は不要

紙で契約手続きを進める場合、公庫から郵送された書類に記入・押印し、印鑑証明書や収入印紙とともに返送する流れとなります。公庫の契約センターに到着が確認されたのち融資が実行されます。

電子上での契約手続きの場合、専用システムに電子署名し必要書類をアップロードする流れとなります。印鑑証明書は原本の郵送が必要となりますが、契約書類は電子化されたものに電子署名するため、収入印紙の購入は不要です。

日本政策金融公庫は現在、電子契約を推進していると考えられます。ペーパーレス化の促進や契約手続きが迅速に進められる背景から、電子契約を案内される可能性があることを留意しておきましょう。

融資実行

日本政策金融公庫から融資を受けるための最後の工程は「融資実行」です。申込者が事前に指定した口座に送金されるため、契約手続きが完了したあとは送金日まで待つことになります。

電子契約の場合は、融資予定日が設定されています。融資予定日の4営業日前までに契約手続きを完了させると、融資予定日に指定した口座へ融資金額が送金されます。

融資金額が送金されたあとは、返済予定表が送付されます。返済予定表には毎月の引き落とし額や適用金利などの返済条件が記載されているため、大切に保管しておきましょう。

なお、融資予定日を変更したい場合は支店へ連絡が必要です。最短での融資を希望する場合は融資予定日の変更手続きが必要となるため、支店の担当者へ確認してみてください。

申込から入金までは2週間~1ヶ月程度

日本政策金融公庫で融資を受けるまでには、申し込みから実際の入金までに一定の時間がかかります。一般的には2週間から1ヶ月程度が目安ですが、各工程ごとの所要時間を把握しておくと、スケジュールの見通しが立てやすくなります。

【各工程にかかる期間の目安】

 項目 所要期間の目安と補足
事前準備 ≪期間の目安≫
数日~
≪補足≫
書類作成や自己資金の蓄積状況によって異なる
申込 ≪期間の目安≫
1日~数日
≪補足≫
提出書類の準備状況によって異なる
面談 ≪期間の目安≫
申込から1週間程度
≪補足≫
支店の混雑状況によって異なる
審査 ≪期間の目安≫
1週間~2週間程度
≪補足≫
書類不備や確認事項があると期間が延びる可能性がある
契約 ≪期間の目安≫
数日~1週間程度
≪補足≫
電子契約のほうが早く完了する傾向がある
融資実行 ≪期間の目安≫
契約完了から4営業日後~
≪補足≫
休日を挟むと時間がかかる

融資実行までには複数の工程があり、それぞれに一定の時間がかかります。とくに「審査」や「契約」の工程は、書類の不備や手続き方法によって所要時間が前後するため、余裕をもったスケジュールを立てることが大切です。

また、最初の工程である「事前準備」は、人によって必要な期間に大きな差が出る工程です。「計画書の作成に不慣れな場合」「見積書の取得がまだの場合」などは、数日以上かかる可能性もあるため、希望する融資実行日から逆算して準備を始めることが大切です。

なお、融資にかかる期間の情報を知りたい人は「日本政策金融公庫の審査期間は長い?目安や長引く理由も解説」の記事も参考にしてみてください。

まとめ

日本政策金融公庫から融資を受けるまでの流れは、6つの工程に分けられます。創業融資や追加融資にかかわらず、融資を受けたい人はすべての工程を順番に進めることになるため、順を追って確認していきましょう。

日本政策金融公庫で融資を受けるまでには、申し込みから実際の入金までに一定の時間がかかります。一般的には2週間から1ヶ月程度が目安ですが、各工程ごとの所要時間を把握しておくと、スケジュールの見通しが立てやすくなります。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。8,000件以上の融資サポートの実績から、日本政策金融公庫の融資をサポートできるため、気になる人は無料診断をお試しください。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
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