日本政策金融公庫の面談を控えている人の中には、面談のポイントが気になる人もいるでしょう。面談での質問内容が知りたい人もいるかもしれません。
当記事では、日本政策金融公庫の面談を受けるときのポイントを解説します。面談前に準備することも紹介するため、日本政策金融公庫の面談を控えている人は参考にしてみてください。
ポイントは面談の目的を理解すること
日本政策金融公庫の面談を受けるときのポイントは「面談の目的を理解すること」です。日本政策金融公庫の面談では、審査担当者と個別に30分〜1時間程度話すことになるため、担当者が何を確認したいのかを理解しておくことにより、要点を押さえた説明ができる可能性があります。
【面談の目的例】
- 申告内容の裏付け
- 事業の実態把握
- 申込人の人柄
面談の目的として挙げられるのは「申告内容の裏付け」「事業の実態把握」「申込人の人物性」です。こうした観点から公庫の担当者は話を聞き取って融資の妥当性を判断する傾向にあるため、日本政策金融公庫の面談を控えている人はそれぞれの観点を確認してみましょう。
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申告内容の裏付け
日本政策金融公庫の面談における目的のひとつとして「申告内容の裏付けをとること」が挙げられます。面談では、事前に提出された事業計画書や決算書などに記載した内容に対して、口頭での説明も含めて整合性を確認しています。
【申告内容の裏付けをとる例】
確認される内容 | 裏付けとなる資料の例 |
---|---|
自己資金 | 預金通帳、入出金履歴 |
資金の使い道 | 設備の見積書、資金繰り表 |
売上や利益の見込み | 過去の売上実績、取引履歴、試算表 |
既存借入の返済状況 | 借入残高証明書、返済予定表 |
たとえば、自己資金の裏付けとなる資料を確認される場合があります。「預金通帳」「入出金履歴」など、自己資金が計画書の記載どおり確保されているかを確認するためです。開業資金の一部として示している金額と、実際の口座残高や入金状況に差がないかを見られます。
また、売上や利益の見込みの裏付けとなる資料を確認される場合があります。「過去の売上実績」「取引履歴」「試算表」などが該当します。将来の収益予測が根拠のあるものかどうか、日本政策金融公庫は具体的な数字や実績をもとに判断しようとします。
申告内容と資料が一致しない場合は、一貫性のなさを面談時に懸念される可能性があります。記載した計画や数字の信頼性を疑われると、審査において不利になるおそれがあるため、申告内容と資料の整合性をあらかじめ確認し、口頭でも説明できるように準備しておきましょう。
事業の実態把握
日本政策金融公庫の面談における目的のひとつとして「事業の実態を把握すること」が挙げられます。事業計画書や決算書だけでは把握しづらい事業の実態を、ビジネスモデルや管理体制などの質問を通して申込人本人から確認しています。
【事業の実態を把握する例】
確認される内容 | 質問例 |
---|---|
ビジネスモデルの全体像 | ・なにを提供して収益を得るのか? ・競合との違いは? |
商品やサービスの特徴 | ・主力商品は? ・価格は? |
営業状況 | ・客層は? ・従業員は? |
資金管理 | ・経理担当は? ・締め日は? |
たとえば、ビジネスモデルの全体像について「なにを提供して収益を得ているのか」「競合とどう差別化しているのか」といった質問がされることがあります。主力商品やサービスの特徴、価格設定などもあわせて説明できるようにしておくと、審査担当者が事業内容を理解しやすくなります。
また、営業状況や日々の運営体制についても確認される場合があります。「どのような客層が中心か」「従業員の人数や役割分担はどうなっているか」といった質問に加え、「経理を誰が担当しているか」「締め日はいつか」など資金管理の具体的な運用方法も問われる可能性があります。
なお、面談では専門用語を多用せず、できるだけ平易な言葉で説明することが大切です。審査担当者は必ずしも業界に詳しいとは限らないため、誰が聞いても事業内容や収益構造が理解できるように説明することを意識しましょう。
申込人の人柄
日本政策金融公庫の面談における目的のひとつとして「申込人の人柄を把握すること」が挙げられます。経営者としての資質や熱意など、提出書類だけでは分からない部分を直接のやり取りを通じて確認するためです。
【申込人の人柄を確認する例】
確認される内容 | 質問例 |
---|---|
動機や指針 | ・なぜこの事業を始めようと思ったのか? ・経営指針はあるか? |
経営に対する考え方 | ・今後の事業に対する展望はあるか? ・現場への関与はどれくらいか? |
借入に対する姿勢 | ・家族の理解は得られたか? ・返済が難しい場合の対応策はあるか? |
たとえば、「なぜこの事業を始めたのか」「経営指針はあるのか」といった質問を通じて、創業の動機や経営に対する姿勢が確認されることがあります。また、「今後の展望はどうか」「どの程度現場に関与しているか」といった質問では、事業への熱意や実行力を判断する意図があるかもしれません。
また、「家族の理解は得られているか」「返済が難しくなった場合の対応策はあるか」といった質問を通じて、借入に対する考え方や責任感も確認されます。返済に対して現実的な計画やリスクへの備えがあるかどうかを問われる場面もあるため、事前に自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。
人柄に対する評価は数値化できるものではなく、明確な正答もありません。しかし、事業への姿勢や日々の行動を具体的に説明できるようにしておくことにより、信頼のおける経営者と評価される可能性があるため、面談を控えている人は自身の事業に対する思いを伝えられるようにしておきましょう。
面談前に準備すること
日本政策金融公庫の面談前には、いくつか準備しておくことがあります。事前準備の質により面談当日の手応えが変わってくるため、日本政策金融公庫の面談を控えている人は、面談前に準備することを確認してみてください。
【面談前に準備することの例】
- 必要書類をそろえる
- 想定問答を用意する
面談前に準備することとして「必要書類をそろえること」「想定問答を用意すること」が挙げられます。準備する内容によっては時間がかかるものや手間がかかるものもあるため、日本政策金融公庫の面談を控えている人はそれぞれの項目を確認してみましょう。
必要書類
日本政策金融公庫の面談では、必要書類の持参を依頼されます。書類の内容は人によってさまざまですが、申告内容の裏付け資料として持参を依頼される可能性があるため、日本政策金融公庫の面談を控えている人はその前提を踏まえておきましょう。
【面談時に依頼される書類の例】
書類の種類 | 具体例 |
---|---|
本人確認書類 | ・運転免許証 ・在留カード |
入出金の履歴が分かる資料 | ・預金通帳 ・入出金明細書 |
売上が分かる資料 | ・売上帳 ・請求書 |
資金使途が分かる資料 | ・設備の見積書 ・資金繰り表 |
借入の状況が分かる資料 | ・返済予定表 ・借入残高証明書 |
たとえば、本人確認書類として「運転免許証」「在留カード」などが求められるほか、入出金の履歴を確認するために「預金通帳」「入出金明細書」などを持参するよう案内されることがあります。これらの書類は、自己資金の保有状況や資金の動きが申告内容と一致しているかを確認する目的で使用されます。
また、売上実績や資金使途を証明するための資料も必要です。「売上帳」「請求書」などの売上の裏付けが分かるものや、「設備の見積書」「資金繰り表」などの資金使途の妥当性を判断する資料を依頼される可能性があります。
面談時に持参する書類は、審査担当者から個別に案内されます。面談時に書類の不足があると、審査期間が延びてしまう可能性や書類管理が苦手な印象を与える可能性があるため、スケジュールに余裕をもって書類をそろえることを心がけましょう。
想定問答
日本政策金融公庫の審査では、30分〜1時間程度の個別面談があります。書類だけでは把握できない情報を確認する目的のもと、さまざまな質問が投げかけられるため、あらかじめ想定される質問と回答内容を整理しておくことを検討してみてください。
【想定問答の例】
項目 | 具体例 |
---|---|
決算内容に関する質問 | ・売上が増加(または減少)している要因は? ・経費の○○という科目の内訳は? |
資金使途に関する質問 | ・今回の借入資金の使い道は? ・設備資金は相見積もりしたか? |
支払い振りに関する質問 | ・税金の支払いは滞っていないか? ・取引先への支払いが遅れた理由は? |
今後の見通しに関する質問 | ・今回の借入ができなかった場合の対応策はあるか? ・今後は収益の増加が見込まれるか? |
たとえば、決算内容や資金使途に関する質問では、「売上が増加した理由」「経費の内訳」「借入金の具体的な使い道」「相見積もりの有無」などを聞かれることがあります。提出した書類をもとに質問されるため、書類の内容を把握し、その根拠を説明できるように準備しておく必要があります。
また、支払い状況や今後の見通しに関する質問として、「税金や取引先への支払いが遅れていないか」「借入が不調に終わった場合の代替策」「今後の売上見込み」なども問われる可能性があります。現在の支払い振りに懸念がある場合は、改善策と将来の見通しを具体的に説明することが重要となります。
面談では、準備していないと答えづらい質問をされることもあります。とくに、経理業務を自身でおこなっていない場合は決算内容の詳細が分からないこともあるため、税理士や経理担当者と連携をとりつつ、想定問答を準備することも検討してみてください。
日本政策金融公庫の面談に関するQ&A
今回は、日本政策金融公庫の面談に関する質問をまとめてみました。日本政策金融公庫の面談を控えている人は参考にしてみてください。
【日本政策金融公庫の面談に関するQ&A】
- 面談時の服装はどうすればいいか?
- 第三者の同席は可能か?
- 面談した担当者の役職は審査に影響するか?
- 面談の結果はいつ分かるか?
面談に関する基本的な疑問を解決することにより、余裕を持って面談に臨むことができる可能性があります。日本政策金融公庫の面談に関する疑問がある人は確認してみてください。
面談時の服装はどうすればいいか?
日本政策金融公庫の面談では、服装に関する決まりはありません。とはいえ、服装は印象を左右する要素となるため、ビジネスマナーを押さえた清潔感のある服装で臨みましょう。
【ビジネスマナーを押さえた服装の例】
- スーツまたはジャケットスタイル(色は黒・紺・グレーなど落ち着いた色味)
- 襟付きシャツ
- シンプルなパンプスまたは革靴
- 書類が折れずに入るカバン
たとえば、美容室や飲食店などスーツを着ない業種であっても、面談当日はジャケットや襟付きシャツを選ぶことにより、印象を損ねにくい可能性があります。服装に迷った場合は、普段の商談や取引先への訪問に適した格好を基準に考えるとよいでしょう。
一方で、普段の業務に即した服装のほうが自然と判断される場合もあります。たとえば現場作業が主な業態では、作業服での訪問が許容されるケースもあるため、判断に迷った場合は事前に公庫へ確認することも検討してみてください。
面談では、事業の内容をどう話すかが評価の中心となります。ただし、服装が整っていることにより第一印象が安定し、話す側としても落ち着いて受け答えしやすくなる可能性があるため、自信を持って面談に臨むための準備のひとつとして、服装にも一定の配慮をしておきましょう。
第三者の同席は可能か?
第三者の同席は可能な場合もありますが、必ずしも認められるとは限りません。税理士や経理担当者など、第三者の同席可否の判断は日本政策金融公庫の審査担当者に委ねられているため、事前確認が必要です。
同席が認められない理由のひとつは「プライバシーに関わる質問をする可能性があるから」です。「現在の収入額」「代表者個人の借入有無」など、経営者へ個人的な質問をする可能性があるため、審査担当者は第三者が面談に同行することを断る場合があります。
同席が認められないもうひとつの理由は「経営者自身から事業の話を聞きたいから」です。「事業計画の話」「決算書類の話」など、事業の実態を経営者が理解しているかどうかを知りたいため、審査担当者は第三者が面談に同行することを断る場合があります。
なお、後継者や共同経営者など、経営に深く関わる人物であれば同席が認められるケースもあります。判断は日本政策金融公庫の審査担当者によって異なるため、第三者を同席させたい場合は事前に確認をとってみてください。
担当者の役職は審査に影響するか?
日本政策金融公庫の融資では、担当者の役職によって審査結果が変わることは原則としてありません。審査は複数人で行われるため、個人の裁量で結果が左右される仕組みではないからです。
たとえば、相手が課長や課長代理といった役職であっても、その場で融資が決定するわけではありません。申込人の信用情報や事業計画、返済能力などをもとに、複数人の審査により総合的に判断されます。
ただし、担当者の経験値や理解度によって、面談時のやりとりがスムーズになるかどうかは異なります。質問の深さや資料の読み取り方など、対応の違いを感じることもあるかもしれません。
申込人が担当者を指名することは原則としてできません。どの担当者であっても審査で確認される本質は共通しているため、提出書類の確認や想定問答の用意などの事前準備を徹底するようにしましょう。
面談の結果はいつ分かるか?
日本政策金融公庫の面談結果は、通常1〜2週間後に通知される傾向にあります。審査には一定の時間を要するため、即日で回答があることはほとんどありません。
日本政策金融公庫の公式サイトにある「よくあるご質問」には、「ご融資が決まるまでの平均所要日数は2週間程度(土日、祝日を含む)です。ただし、ご融資の条件などによっては、多少日数を要する場合もあります」といった旨が記載されています。
たとえば、追加融資のため提出書類が少なく、担当者が事業内容をすでに理解している場合は、1週間ほどで結果が届くことがあります。一方で、創業融資のため提出書類が多く、担当者が書類の精査や事業計画の理解に時間を要する場合は、2週間よりもさらに日数がかかることもあります。
なお、支店の混雑状況によっても審査にかかる日数は前後します。とくに年末や年度末は繁忙期となる関係上、審査に2週間以上かかるケースも想定されるため、あらかじめ余裕を持ったスケジュールで申請することも検討してみてください。
まとめ
日本政策金融公庫の面談を受けるときのポイントは「面談の目的を理解すること」です。日本政策金融公庫の面談では、審査担当者と個別に30分〜1時間程度話すことになるため、担当者が何を確認したいのかを理解しておくことにより、要点を押さえた説明ができる可能性があります。
日本政策金融公庫の面談前に準備することとして「必要書類をそろえること」「想定問答を用意すること」が挙げられます。事前準備の質により面談当日の手応えが変わってくるため、日本政策金融公庫の面談を控えている人はそれぞれの項目を確認してみましょう。
今回は、日本政策金融公庫の面談に関する質問をまとめてみました。面談に関する基本的な疑問を解決することにより、余裕を持って面談に臨むことができる可能性があるため、日本政策金融公庫の面談を控えている人は参考にしてみてください。
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平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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