日本政策金融公庫の創業融資で利用すべき制度は2つ!
起業したい方が開業時に利用することが多い日本政策金融公庫。その日本政策金融公庫で創業融資として利用すべき制度は「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」の2つです。
今回は、この2つの制度を「金利」という点から比較してみたいと思います。
1.日本政策金融公庫の金利の特徴
①日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは全国の各都道府県にある、日本政府が100%出資している金融機関です。個人向けの教育ローンも取り扱っていますが、基本的には、資金繰りに困っている中小企業や災害で困っている地域などの「日本国内で困っている」事業への融資を積極的に行っています。
※上記URLをクリックすると、日本政策金融公庫の公式ページへリンクします
②基準金利と特別利率とは
日本政策金融公庫の金利は基本的に「基準利率」と「特別利率」の2種類があります。基準利率は、その名の通り、融資の審査でベースとなる金利です。特に根拠がなければ、多くの方が基準金利での融資を受けることになるでしょう。
これに対し、特別利率(略して特利)とは何かの「根拠」がある場合に適用される特別な利率です。では、根拠とはいったいなんでしょうか?根拠とは、融資申込者が提出する資料で証明する内容を言います。
例えば、日本政策金融公庫では「災害復旧貸付」という指定の災害にあわれた中小企業向けの融資があります。
※上記URLをクリックすると、日本政策金融公庫の公式ページへリンクします
もしあなたが災害にあった事業主であれば、それを証明する資料を日本政策金融公庫へ提出することにより、特別利率が適用されるのです。
特別利率については、当サイトの以下の既存記事にて詳しく解説しております。ぜひ併せてご覧ください。
③どの融資制度を使うかでも金利は異なる
日本政策金融公庫にはおよそ105種類の融資プラン(制度)があります。(例、農業改良資金、平成30年7月豪雨特別貸付など)しかし、あなたが105種類の融資プランの中から自由に選べるわけではありません。
特別利率の時と同じように、日本政策金融公庫の審査であなたが提出した書類により「今回はこの融資制度を使えるね」と公庫の融資担当者から判断されるのです。
そのため、あなたが日本政策金融公庫でより低金利の融資を希望するのであれば、自分がどの融資プランを利用できるのか、そして、その融資プランを使うにはどんな条件を満たす必要があるのか(提出書類は何か)を知っておく必要があります。
2.日本政策金融公庫で創業時に融資を受けるなら・・・
日本政策金融公庫で創業時に利用すべき融資制度は、「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」の2つがあります。
どちらの制度も、無担保・無保証人で融資を受けることができる制度です。それぞれの制度の細かな要件等は、下記に詳しく記載していますので併せてご確認ください。
*新創業融資/日本政策金融公庫の融資で資金調達!新創業融資制度って何?
*中小企業経営力強化資金/日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金で有利な資金調達!
3.新創業融資制度と中小企業経営力強化資金の金利の違い
新創業融資制度も中小企業経営力強化資金もどちらも、無担保・無保証人で融資を受けることが可能ですが、金利には少し差があります。
(1)新創業融資制度の金利
<新創業融資制度/税務申告を2期終えていない方対象>
無担保・無保証人の融資をご希望の方※令和元年11月1日現在・年利%
基準利率 |
特別利率A |
特別利率B |
特別利率C |
特別利率E |
特別利率J |
2.16~2.45% |
1.76~2.05% |
1.51~1.80% |
1.26~1.55% |
0.76~1.05% |
1.11~1.40% |
上記は抜粋です。新創業融資制度の基準利率と特別利率はA・B・C・E・J・N・P・R・Uと9つに分類されています。
新創業融資制度とは、以下の融資制度利用する場合に使うことができる無担保・無保証人の特例措置のことを示しています。
~わかりやすく言えば~
マクドナルドでバリューセットを購入する場合に、プラス100円を支払えばドリンクをミネストローネに変更できるような仕組みです。あなたが以下の融資制度を使って日本政策金融公庫から融資を受ける場合に、あなたが条件に当てはまっていれば「ご一緒に新創業融資制度を使えますがいかがですか?」という感じで、新創業融資制度の金利を利用できるのです。
上記の融資制度を利用される方が、各融資制度の特別利率の条件を満たしている場合には、特別利率が適用され、金利優遇を受けることができます。
例えば、女性、若者/シニア起業家支援資金で確認してみましょう。
女性、若者/シニア起業家支援資金の要件は女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方となります。
そして、新創業融資制度の要件「創業の要件」「雇用創出等の要件」「自己資金要件」をクリアしている方の場合、担保と保証人は原則不要となり、以下の要件を満たす場合には特別利率が適用されます。
(2)中小企業経営力強化資金の金利
中小企業経営力強化資金は金利そのものが特別利率Sとなっています。
まず、特別利率Sとなる要件は融資限度額のうち2,000万円以内で無担保・無保証人で融資を受ける方が対象となりますが、一定の要件をクリアすることで、上記の金利から-0.1%の金利優遇を受けることができます。
中小企業経営力強化資金は、利用にあたり中小企業経営強化法の定める認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の指導や助言が必要となります。つまり、認定支援機関を経由していないと利用することが出来ない制度です。
*上記2つの金利情報は平成30年2月9日現在の情報です。金利は定期的に変更になりますので、日本政策金融公庫HPより最新の金利情報をご確認ください。また、融資の条件等によって上記の金利と異なる金利が提示されることがございます。
4.創業時の融資はどちらがベスト?
新創業融資制度と中小企業経営力強化資金の2つの金利の違いは上記の通りですが、それでは、果たしてどちらの融資制度を利用することがベストなのでしょうか?
新創業融資制度の適用を受ける場合、利用する融資制度や要件によって金利が異なります。特別利率に該当する場合には、新創業融資制度の方が金利を抑えることができます。
しかし、基準利率となると、中小企業経営力強化資金の方が金利を抑えることができます。融資制度や金利の部分は利用される方の条件などによって大きく異なります。
ただし、中小企業経営力強化資金は認定支援機関を経由しないと利用することが出来ません。
金利優遇以外にも認定支援機関を経由することで得られるメリットがあります。適用できる制度や金利について、事前に認定支援機関に相談してみることをオススメします。
当サイトを運営している株式会社SoLaboも認定支援機関です。準備できる自己資金や金融機関からの借入等のご状況などから融資の可能性についてご説明させていだきますので、融資に関する疑問や不安のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
5.制度融資との違い
日本政策金融公庫で創業のための融資を受ける方は、よく「制度融資」という自治体経由の融資と比べています。なぜかというと、制度融資の金利も日本政策金融公庫の金利と非常に似ていて、1~2%台だからです。
しかしながら、制度融資と日本政策金融公庫には異なる点もたくさんあります。制度融資のメリットとデメリットは以下の点です。
【制度融資のメリット】
- 信用保証協会が保証してくれるので、担保や保証人が必要ない
- 低金利である
- 自治体による利子補給があるので、実質金利がかなり低い
- 自治体による信用保証料の補助がある
【制度融資のデメリット】
- 自治体間の地域格差がある
- 申込みから着金するまで2か月以上かかる
- 自治体、金融機関と2か所で手続きしなくてはいけない
- 実際に融資してもらえる額は日本政策金融公庫より少なめの場合がある
- 認定支援機関が使えないため、融資担当者を選べない
- 事業がつぶれたら、信用保証協会に対して返済しなければいけない
- 税金未納者は融資を受けられない
上記の詳細は、当サイトの以下記事でご案内しています。あわせてご覧ください。
6.金利は1%でも低いほうが絶対に良い!!
日本政策金融公庫の金利は、民間の金融機関よりも低いことが多いです。さらに、認定支援機関を経由することで金利優遇を受けることが出来ます。金利が1%低いとどれだけの差がでるのかをざっくりとご紹介します。
据置期間を設定せずに、固定金利、元金均等返済として1,000万円借りた場合、金利が1%下がることで年間の支払い金額がこんなに違います!
金利/ 返済期間 |
5年 |
6年 |
7年 |
8年 |
9年 |
10年 |
10% |
2,541,647円 |
3,041,647円 |
3,541,343円 |
4,041,643円 |
4541,638円 |
504,1627円 |
5% |
1,270,809円 |
1,520,805円 |
1,770,801円 |
2,020,798円 |
2,270,797円 |
2,520,785円 |
3% |
762,480円 |
912,471円 |
1,062,464円 |
1,212,460円 |
1,362,458円 |
1512,460円 |
2% |
508,306円 |
608,300円 |
708,295円 |
808,290円 |
908,258円 |
1,008,279円 |
1% |
254,139円 |
304,132円 |
354,127円 |
404,121円 |
454,117円 |
504,113円 |
少しでも低い金利で融資を受けることができるように、認定支援機関などのプロに相談しながら融資を進めて下さいね。

平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup » https://inqup.com/
【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。