銀行から融資を受ける!審査を通すポイントとは?

銀行からの融資で審査に通るためのポイントをご紹介!! 更新日:2018.01.24 公開日:2018.01.24起業のための資金調達 – 銀行/信用金庫からの融資
銀行から融資を受ける際に読んでおきたい審査を通すポイントとは

経営者であれば、融資による資金調達を一度は経験したことがあるはずです。 融資と言っても色々な融資方法があり、中でも審査が厳しいとされているのが、銀行からの融資です。 今回は、審査が厳しい銀行からの融資で資金調達をするためのポイントについてご紹介します!!

1.銀行の融資の4形態について

銀行からの融資の審査に通るためには、銀行で行われている融資の4形態をまずは知っておきましょう。

資金調達を行うにあたり、銀行からの融資では主に①証書貸付②手形貸付③手形割引④当座貸越の4形態があります。

この中で、510年ほどの長期で返済をしていきたい方が利用するのは①の証書貸付です。証書貸付では事業融資の審査に通った事業主へ、銀行が「貸付証書」という書類を交付して融資が成立します。

一般的には、日本政策金融公庫や信用金庫・信用組合、地方銀行などでの事業融資は証書貸付となります。

②と③の手形貸付と手形割引は、いずれも手形を利用した融資です。手形とは、取引先への支払いをすぐに行うのではなく「〇月〇日までに支払います」と約束した証券です。

手形は法律上で必ず支払われることが約束されていますので、銀行は手形貸付で「手形に書かれた金額までを貸し付けますよ」「手形に書かれた額まで割り引きますよ」と手形を担保として融資をしてくれます。

最後の④当座貸越ですが、これはつまりカードローンのことです。カードローンでは決められた限度枠内であれば、あなたは何度も自由にATMからカードで現金を引き出せます。

銀行融資の4形態の特徴をまとめると、以下となります。

銀行融資 審査 図1

どの形態にも、それなりにメリットとデメリットが存在します。

それぞれのメリットとデメリットは、以下の通りです。

 

メリット

デメリット

①証書貸付

全体的に低金利で、日本政策金融公庫の場合は年利で2.5%前後(2020年2月現在)

・書類提出が多い

・着金まで1か月~1.5か月かかる

②手形貸付

銀行が審査でOKを出した企業へ対して作成する手形は、換金性が高い

事業主が返済できない場合、銀行側が裁判所に申し立てれば、すぐに財産の差し押さえが可能

③手形割引

手持ちの手形を現金化できる

銀行への手形割引料が発生する

④当座貸越

・WEBのみで申込み~着金まで完結できる

・はっきりと使途が決まっていない時でも気軽に利用できる

金利が証書貸付より高く、10%以上で取引されていることが多い

 

上記の中で、③の手形割引に関してはいまお手持ちの手形がない場合は利用できません。

また、②の手形貸付はだんだんと実施する国内銀行数と貸付金額はともに減ってきています。

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上記は、大和総研による「銀行の貸出種類別貸出の構造変化」という資料の一部を引用したものです。

グラフ内の黄緑色のラインが手形貸付ですが、左の貸付金額と右の実施割合ともに右肩下がりとなっています。

そのため、実質的には①の証書貸付か④の当座貸越の2つが現実的な選択になると言えるでしょう。

融資をお急ぎでない方(着金が11.5か月後で大丈夫)のなら、より低金利な①の証書貸付を検討してください。

 

2.銀行融資のポイント~書類作成編

①借入希望額は適当に決めず、根拠書類を元にした金額とする

融資を申し込む際の融資を受けたい金額のことを「借入希望額」と言います。借入希望額は、融資の際の借入申込書に記入する数字です。借入希望額を決めるには、以下のようなフローで考えると良いでしょう。

①「こんな店を開きたい」というイメージを決める

出店場所の家賃・内装費・人件費・仕入れ費・許認可取得代金・駐車場代・インターネット代などの毎月の固定経費(運転資金)の金額を調べましょう

②「その店を開くには、不動産取得費用で〇〇〇万円、運転資金で〇〇万円必要だ」という根拠書類を揃える

業者からの見積やネット・書籍での情報をプリントアウトしたものをまとめる、過去の実績があればそれも加えましょう

③「で、いま手持ちの自己資金は〇〇万円しかない。そのため、差額の〇〇〇万円の融資を受けたい」と、最終的な借入希望額を決めていく

自己資金なしで必要資金の100%を借入するのは基本的にNGです

 上記のフローを参考に、お望みの事業をするのにどれだけの資金があれば足りるのか、まずは紙に書き出して考えてみましょう。

②審査に必要な書類は手を抜かずに万全の完成度とする

銀行の融資はキャッシングのように「とにかく今週中には借りたいんだけど!」と焦って借りることは不可能です。

法人でも個人事業主でも、銀行での事業融資を受けるには提出書類が複数あり、その完成度の高さが審査の重要ポイントです。事実、提出資料は審査の中身の80%以上を占めるとも言われています。

銀行での融資に最低限として必要な書類は、以下の通りです。以下の書類は自宅で探すだけなので、難易度は低めです。

【①探すだけでOKの融資に必要な書類】

  • 身分証明書
  • 源泉徴収票
  • 印鑑証明
  • 銀行通帳
  • 住民票
  • 自己資金の額がわかる書類
  • 23年分の課税証明書
  • (リボなどの借入がある場合)借入残高のわかる明細書
  • (購入する物件がある場合)購入物件の契約書※仮契約書で可
  • 確定申告書類

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次に、これから行う事業で初めて融資を行う場合は、「創業計画書」という書類を作成する必要があります。

【②事業計画がわかる書類】

・創業計画書

創業計画書は、以下のようなフォーマットとなります。

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いま株式会社などの法人を立てていて、その法人で事業融資を受けたい場合は以下の書類も必要となります。

 

銀行融資 審査 図2

これだけの資料が必要となる事を覚えておきましょう。

この中で最も重要視されるのが、創業計画書または事業計画書です。

現在の経営状況があまり良くなかったとしても、提出する事業計画書には、前向きに、今後成長の見込みがあるという事が分かるような事業計画書にすれば、銀行融資の審査に通る確率がアップします。

銀行融資 審査 図3

 

融資を受けると決めた際には、審査で必要となるであろう書類等はあらかじめ調べておき、早めの準備・提出ができることが最も望ましいと言えます。

③決算書(損益計算書)を慎重に作成する

決算書とは、上記の提出書類の中の損益計算書の事を指します。決算書は会社の経営成績を表すものでもあり、どのくらいの売上があり、どのくらいの費用を使っていて、利益としていくら残っているのか、という事がひと目で分かる書類です。

決算書はポイントに気を付けて作成するだけで、銀行が融資をしたくなる書類にもその逆にもなります。

作成する際は、以下のように営業外収益、差額補修法、自己資本比率の上昇、特別償却と圧縮帳の活用などのポイントに気を付けていきましょう。

銀行融資 審査 図4

 

④返済の財源を書類で提示する

近年では、返済だけではなく、融資を受けた後の資金の使用用途も重視されるようになってきました。

そのため、あなたが返済できるということを口だけでなく明確な根拠のある資料で提示する必要があります。明確な根拠のある資料は、事業計画書(または創業計画書)と資金繰り表です。

資金繰り表を使って、どこにどれだけの資金を掛け、どこでどのくらいの儲けがあって返済にあてるのか、という事が見て分かるようにしておけると良いでしょう。­

銀行融資 審査 図5

事業計画書はいま現在の事業内容を文章で書いた書類です。一方、資金繰り表は主に融資後の会社の活動内容を数字で表した書類です。

事業計画書と資金繰り表の内容に統一性があるかも審査ではチェックされます。この2つの書類に統一性が無ければ、目指したいものの考えがあやふやだと銀行から判断されてしまいます。

3.銀行融資のポイント~申込時の条件編

①税金の支払いに滞納がないこと

税金の滞納があることは、銀行側から「返済について期日を守らない」という判断をされてしまうため、マイナスイメージを与えてしまうことになります。

また、税金を支払っていない会社には「社会性がない」という印象を受けるため、社会性を重視する銀行からの融資は受けることが困難となります。

②審査に通りやすい時期に申込む

銀行融資を申し込むのは、いつでも可能ですが、実は1年の中でも審査に通りやすい時期というのが決まっています。

銀行融資 審査 図6

上記の図を見て、まず3月、9月、12月は「年度末決算月」や「中間決算月」に当たるため、この時期は銀行側も「業績を上げたい」「ノルマ達成を目指したい」と思うため、融資に対して積極的になると言われています。

その為、この時期に合わせて業績を上げるために、銀行側も積極的になります。

銀行融資 審査 図7

ちなみに、銀行融資の審査では前述したように複数の書類作成をしなければなりません。そのため、審査に通りやすい月に入ってから準備をするのでは間に合いません。

準備には時間がかかることを前もって頭に入れておき、審査が通りやすい月の最低2カ月前から準備をしておくようにしましょう。

4.銀行融資のポイント~面談編

①銀行との信頼関係を高めておく

提出する書類のみが審査の対象となるわけではなく、人柄や融資を受ける姿勢等も審査の結果に2割は影響すると言われています。

誰でも、全く知らない人から「お金を貸してほしい」と言われれば、怪しいと思うだけですよね。ですが、長年の付き合いでその人の事を良く知っていたらどうでしょうか?

銀行の融資もこれと同じです。いくら融資を受けたい銀行でも、普通預金の口座もなくいきなり「貸して」と言うよりは、普段から付き合いのある銀行がより貸してくれるのではないでしょうか。

②取り繕わず、素直に正直に話す

銀行側が一番聞きたいことというのが、なぜ融資を受けたいのか、という事です。この理由を正直にハッキリと伝えることができなければ、融資からは遠ざかってしまいます。

よく言えば、自社をアピールすることでもあります。

銀行側は、確実に返済してくれる相手なのかどうかを見極めているため、融資を受けたい理由が明確で、融資後のメリットも感じ取れるという事が分かれば、尚いいでしょう。

審査と聞くと、どうも緊張してしまいがちですが、銀行側が聞きたいことを読み取り、聞かれる前に自身から話すこと、聞かれてもすぐに答えられる状態にしておきましょう。

5.銀行融資の審査でのアピールポイント

銀行融資の審査のアピールポイントは主に2つあります。①事業が伸びて利益を出せそう、②事業主が融資資金の返済が可能、という2点です。

そして、その2点を判断するための要素は以下となります。

【①事業が伸びて利益を出せそう】

  • 事業主のこれまでの経験、事業の売上成績、創業計画書または事業計画書の内容、事業で利益が出ている証拠(決算書など)

【②事業主が融資資金の返済が可能か】

  • 事業主の信用情報(自己破産していないか、など)、事業主の現在のクレジッドカードや住宅ローンなどの借入額、事業主の自己資金の額

単純に言うと、①事業主の経験②事業主の自己資金③事業主の信用情報④事業計画の4点に問題がなければ、銀行融資の審査に通る可能性があります。

7.審査通過を防ぐこんなNG行為はやめよう!

①「借りられるだけ借りたい」という発言は基本的にアウトです。

事業融資の審査では、銀行側からは、「自分がやりたいものにいくらかかるのか分かっていない」「やりたいことがはっきりしていない」などと見られてしまい、融資を受けるのは難しくなってしまうでしょう。

②電話や面談で話した内容を勝手に変更してしまう

お客様でたまにいらっしゃるのですが、電話では「自己資金が600万円あります」と話していたのに、面談時では急に「スイマセン、やっぱり100万円でした」と金額を下げてしまうと、銀行からの信頼を損ねてしまう可能性があります。

8.数ある銀行の中で、どの銀行ならアプローチしやすいのか?

銀行とひとことで言っても、大手メガバンクから街の信用金庫までさまざまな種類があります。

融資がまったくはじめての場合は、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」か「信用組合」の利用を検討してください。

その次のステップとしては、信用金庫、地方銀行の順で融資を受けやすいと言われていますので覚えておきましょう。

日本政策金融公庫から融資を受ける際、どの程度可能性があるのか、無料でシミュレーションや相談を行うことができますので、ぜひお気軽にご利用ください。

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まとめ

今回は、銀行融資の審査を通過するためのポイントをまとめました。

厳しいと言われている審査ですが、この審査のポイントをおさえておくことで、融資に前進し、将来の事業拡大にも繋げることができるかもしれません。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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