所得税と法人税から法人化のタイミングを検討しましょう!
個人事業主の方であれば、1度は「法人化」を悩まれたことがあるのではないでしょうか? そして、その悩みに直面するタイミングが、2月中旬~3月中旬、「確定申告シーズン」ではないでしょうか?そんな、個人事業主の皆さんの悩みを解決すべく、法人化(法人成り)のタイミングを税金面から考えてみたいと思います。そして、併せて、会社設立に必要な費用の目安をご紹介します。
1.基本の基本。個人と会社の税金とは?
法人成りを行うか、個人事業のまま続けるかを決める前に、個人事業と法人の税金の違いを確認しておきましょう。
個人事業主にも法人にも、基本的には同じような種類の税金があります。
個人事業の方の場合、個人事業税や消費税以外は一般的に個人に課税される税金ですね。一方、法人の場合には、法人という別人格が生まれることになりますので、法人に課税される税金が生まれることになります。
つまり、個人事業主の方が法人成りするということは、ご自身の立場は法人の代表者となるため、法人そのものに課税される税金とご自身に課税される税金が区別される形となります。
個人と法人の細かい税金の違いについては下記に詳しく記載していますので、併せてご確認ください。
2.所得税と法人税から見る!法人成りのボーダーは??
個人事業の所得に課税される税金は所得税、法人の所得に課税される税金は法人税です。
個人事業主の方が法人成りを検討する理由のひとつがこの「所得税」です。所得税は累進課税という方法で、所得が増えれば増えるだけ税率が高くなります。
個人事業主の所得は収入-経費です。収入が増えると必然的に所得は増えます。
つまり、事業がうまく行けば行くほど、所得税は高くなってしまいます。その結果、確定申告時に「え?!こんなに所得税を払うの?!」ということになるという訳です。
一方、法人税は下記のような税率となります。
800万円を基準に、800万円を超えた部分に対しては23.4%(23.2%)という税率が課税されます。
では、具体的に数字を入れて考えてみましょう。
所得税と法人税のボーダーは800万円という結果になりました。個人事業主の方の所得が800万円を超える場合、法人成を検討するタイミングと言えます。
ただし、所得控除や事業以外に所得がある場合など、個々の条件によっては必ずしも800万円で法人化が得とは言い切れません。あくまでも、一つの目安としてお考え下さい。
3.消費税の支払いのタイミングを考慮して法人成をするという方法も
消費税は、事業開始から2年以内の方や前々年の課税売上高が1,000万円を超えていない方は免税事業者となります。消費税を納めなくても良いということになるわけです。
個人事業主の方で、課税売上高が1,000万円を超えた!という場合には、法人成りを検討するタイミングと言えます。
このタイミングで法人化すると、法人を設立してから2年間は消費税の免税事業者となります。個人事業主のまま事業を続けると、前々年の課税売上高が消費税の対象になりますから2年後には消費税の課税対象事業者となります。
しかし、個人事業主から法人成を行うと、個人事業を一度廃業し、新たに法人を設立することになるため、創業後2年間は免税事業者に該当することになります。
4.法人成りの費用はどれくらいかかる?
個人事業の場合には、開業や廃業は届出を提出すればOKでした。そのため、すごくお金がかかったあるいはすごく大変だったという印象は少ないのではないでしょうか?
しかし、法人の場合には、設立に伴い発生する費用があります。
(1)登記のための費用
法人成りということは会社を設立することになります。会社の設立には定款を作成し、法務局にて登記申請を行ないます。これによって、法人というひとつの人格が誕生することになります。人間でいうところの出生届のようなイメージでしょうか?
この登記申請には以下の費用がかかります。
定款を電子定款にすると定款にはる収入印紙代4万円を削減することが出来ますが、電子定款のための専用機器を導入すると結果的に高くつくこともあります。
会社設立は司法書士などに代行してもらうことも可能です。代行業を行っているところでは電子定款を導入しているところがほとんどです。収入印紙代と手数料を比較してみて下さい。
(2)会社の実印の作成
会社を設立すると、会社の印鑑が必要となります。実印、角印、認め印の3本セットを準備しておくと便利です。印鑑の費用は4,000円~8,000円程度です。
印鑑の作成はインターネットで調べるとたくさん出てきます。金額を比較してなるべく費用を抑えて作成出来るところを探してみましょう。
(3)資本金も準備する
会社法が改正されて、株式会社は資本金1円から設立することが可能です。
しかし、信用面などを考えるとあまりにも低い金額は避けるようにしましょう。資本金は、運転資金の3ヶ月分程度を目安として参考にしてみてください。
会社を設立するためには、最低でも登記費用は必要です。それ以外にも資本金も準備する必要があるため、ある程度資金に余裕があるタイミングがベストと言えます。
5.個人事業主と法人は融資に影響がある?
日本政策金融公庫の融資の場合には、個人事業主であっても法人であっても融資の確立や可能性に大きな違いはありません。
法人として融資を受ける場合には、登記が完了していることが条件となりますので、個人から法人成をして融資を受けたいという場合には、先に法人の設立を行う必要があります。
個人事業主の方で既に事業をされている方が融資を受ける場合には、直近2年分の確定申告書が必要となります。
まとめ
個人事業主の方が法人成りをするタイミング目安は課税所得が800万円を超えたタイミングとなりますが、法人化にはメリットもデメリットもあります。
本当に法人化することが良いかどうかをしっかりと検討して法人成りに踏み切って下さい。また、法人成に関しては司法書士など専門家に相談しながら進めることを検討してみてください。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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