経理の知識!修理をしても修繕費にならない費用とは?
経理業務では業務上の取引を科目ごとに仕訳する作業が必須です。 仕訳では取引を勘定科目に分類して計上します。 創業間もない会社の場合、経営者自ら経理業務を兼任する場合もあるでしょう。 今回ご紹介する【修繕費】と【消耗品費】は経理業務の中でも仕訳に迷いやすい勘定科目です。きちんと理解しておきましょう。
1.修理にかかった費用は全て【修繕費】?
事業を開始すると、様々な備品や設備の故障やトラブルは付き物です。
飲食店であれば、冷蔵庫や水道・トイレのトラブルなど、IT企業ではパソコンや周辺機器の故障など、様々なトラブルがあるでしょう。
もちろん、経営を続けるためには故障した部分の修理が必要ですよね。
機材や設備の修理に使用した費用は【修繕費】として仕訳をします。
もちろん、会社としては修理にかかった金額は全部【修繕費】である経費として計上したいところですが、【修繕費】として計上できない場合もあるのです。
2.【修繕費】はあくまで元に戻すための費用!
会社資産を、【通常の維持管理・原状回復】のために修理した場合の金額のみ修繕費として計上されます。
資産を購入した時と同様に修理した場合の費用が修繕費で、元の状態より改善された状態になっている場合は修繕費として計上することはできません。
故障したパソコンの修理、古くなったトイレのリフォームなどがあります。
では、会社資産を修理した費用の中で【修繕費】として計上できない金額とはどのようなものなのでしょうか?
3.価値が付く修理は【資本的支出】
会社資産が故障して修理をした際に、新しい機能を加えたため改良された場合、修繕費として計上することはできません。
修理をする前の状態が改良されることで、会社資産の価値が高くなったと判断される場合、【資本的支出】となります。
資本的支出となる場合の具体例として
- 老朽化によって立替えた事務所に避難シューターを新しく設置した
- 使用用途を変更するための改装や改造
- 故障したパソコンを修理した際の部品を改良されたものに変更した
等が挙げられます。
【資本的支出】となると、固定資産と同様の計上方法で、使用できる期間で原価償却します。
4.修理と改良を同時に実施した場合は修繕費?
会社資産のトラブルによって修理を実施した場合、資産価値を高める改良も同時に実施されることも少なくありません。
しかし、原状回復のための修理と価値を高める改良を同時に実施すると、どこまでの金額が【修繕費】で、どの部分が【資本的支出】なのか、判断が難しいでしょう。
判断が難しく、曖昧な感覚で仕訳をしないためにも以下の基準が設けられているので、確認しておきましょう。
◆修繕費として計上できる基準
- 修理にかかった費用が20万円未満or3年以内の周期で修理や改良が必要なものである
- 修理にかかった費用が60万円未満or資産購入時の価格の約10%以下である
上記の基準に当てはまる場合は、改良があった場合でも【修繕費】として計上できます。
5.【修繕費】と【消耗品費】
会社資産の修理に利用した費用を【修繕費】として計上しますが、
- 新しい電球を購入して取り替えた
- パソコンの消耗している部分を購入して取り替えた
上記のような場合、【消耗品費】として計上されます。
一見、修繕費として計上しても問題が無いようにも感じますが、以下の基準を目安にして【修繕費】と【消耗品費】を区別しましょう。
(1)10万円未満の消耗品で改善される場合は【消耗品費】
電球やIT機器などの部品で、10万円以下で購入できる部品で会社資産が改善された場合は「消耗品費」として計上します。
(2)資産の修繕に業者を利用した場合は【修繕費】
修理に必要な部品を購入する費用に加え、修繕のために業者に依頼する金額が発生した場合は【修繕費】として計上します。
判断のポイントとしては
消耗品の取り換えだけでなく業者のサービスを利用した点
が挙げられます。
6.細かい判断は経営者次第!
経理業務で仕訳をする場合、【修繕費】と【消耗品費】のどちらに計上しても大きな問題はありません。
前述のような判断ポイントはありますが、細かい判断基準は経営者自身で設定しておきましょう。
しかし、判断基準があいまいで、仕訳をするごとに計上する科目が変わってしまっては意味がありません。
会社の経費をきちんと管理するためにも、毎回同一の判断基準で仕訳をすることが大切です。
まとめ
今回は会社資産を修理した時の仕訳についてご紹介しました。
費用として計上できる場合の【修繕費】と【消耗品費】、減価償却の必要がある【資本的支出】のいずれかに分類されます。
それぞれの判断基準を確認しておきましょう。
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