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エステサロンを開業するときに必要となる資格や準備を解説

独立してエステサロンをやりたいと考え、開業に必要な資格や準備を知りたい人もいますよね。エステサロンを開業するために必要な資金を知りたい人もいるでしょう。エステサロンを開業するためには、原則として資格や許可は必要ありません。しかし、提供するメニューによっては、美容所としての届出をしなくてはいけない場合があります。

当記事では、エステサロンを開業するときに必要となる資格や準備を解説します。

エステサロンを開業する場合は原則として資格や許可は不要

エステサロンを開業する際に、原則として資格や許可は必要ありません。エステサロンは法律に基づく業種ではないからです。

たとえば、美容師や理容師は国家資格である美容師免許や理容師免許を取得しないと、業務を行うことができません。しかし、エステティシャンは国家資格がないため、資格を取得することなく、お客さんに対してエステのサービスを提供できます。

エステサロンに勤務したことがない(未経験の)場合でも、自身をエステティシャンと名乗ることができ、エステサロンを始めることもできます。

メニュー次第で保健所に届け出る必要がある

エステサロンの開業には、原則として資格や許可が必要ありませんが、提供するメニュー次第では保健所に届け出る必要があります。美容師法の美容に該当する施術を行う場合には、美容所における構造設備を満たさなければならないためです。

たとえば、マツエク(まつ毛エクステンション)は目の粘膜や角膜を傷つけてしまう可能性があることから、美容師免許がないと施術を行ってはいけません。

フェイシャルケアに特化したサロンの場合、状況によっては美容所としての届け出が必要になることがあります。しかし、自治体によって見解が異なることがあるため、提供予定のメニューをもとに管轄の保健所に相談するようにしましょう。

民間資格を取得しておくことで技術力のアピールにつながる

エステサロンの開業に際して必須ではありませんが、エステ関連の民間資格を取得しておくことにより、技術力のアピールにつながる場合があります。

【エステ関連の資格の一例】

  • AJESTHE認定エステティシャン
  • AEA認定エステティシャン
  • CIDESCO認定エステティシャン

これらの資格はあくまで一例です。これらの資格を取得するには、一定のカリキュラムを履修するか、もしくは実務経験が求められます。他にもアロマセラピストやハンドセラピストなどの美容に関する民間資格があります。

また、資格だけでなく、日本エステティック機構から「エステティックサロン認証」の認証を受ける方法もあります。

日本エステティック機構とは、エステティックに関する認証活動を行っている機関であり、エステティックサロン認証とは、経済産業省の報告書に基づいた基準を満たしているサロンに対して、日本エステティック機構が認証を付与する制度です。

自身の資格だけでなく、サロンとして認証を受けることでお客さんからの信用が高まり、集客につながる可能性があります。そのため、開業時期が未定の人は、エステや美容関連の資格を取得することを検討してみましょう。

エステサロンを開業するまでの流れ

エステサロンを開業するまでの流れとしては、次の通りです。

  1. サロンに来てほしいターゲットを考える
  2. 競合他店を調査する
  3. 店舗場所を決める
  4. 内装工事をする
  5. エステ機器を購入する
  6. 開業届を提出する
  7. 広告宣伝をする
  8. オープンする

スケジュールに余裕がないと、抜け漏れが生じる可能性があり、後々後悔することにもなりかねません。仕事や子育てをしながら開業準備を行う場合はとくに、開業までの流れと準備すべきことを整理するようにしましょう。

サロンに来てほしいターゲットを考える

自身のサロンに来てほしいターゲットを考えましょう。自身の提供するサービスとお客さんの満足度がマッチせず、結果としてリピートにもつながらず、売上が安定しないためです。

サロンを訪れる人が抱える悩みとしては、「二の腕や腰などの気になる部分を引き締めたい」「毛穴の開きや黒ずみを改善したい」「結婚式に向けて、短期間でウエディングドレスが似合うようになりたい」などが想定されますが、どういう悩みを抱えている人であれば、自身提供するサービスによって解決に向けた手伝いができるのかを考えてみましょう。

今までの経験から自身の強みを活かせるサービスに需要がある人を考えると良いでしょう。

競合他店との差別化ができるメニューを考える

競合他店との差別化ができるメニューを考えましょう。大手サロンを含めた既存店舗と比較された際に、差別化ができていない新規サロンは選ばれにくい傾向があるからです。

エステサロンといっても提供しているサービスは、「痩身」「小顔」「エイジングケア」「リラクゼーション」「アロマテラピー」「脱毛」などさまざまですが、「都度払いメニューあり」「キッズスペースあり」「カップルでの利用可」「夜20時以降も受付可」などの特徴を併せて打ち出すことで、他店との差別化を図れる場合があります。

実際に競合他店を訪れ、オプションサービスやトレンドなどの情報収集を行うのも良いでしょう。

サロンの場所を決める

自宅ではなく賃貸物件での開業を考えている場合は、サロンを開く場所を決めましょう。

エステサロンを含めた店舗系ビジネスの場合、駅近や路面店などの人が集まりやすい場所を選ぶ傾向があります。しかし、人が集まりやすい場所は、集客がしやすい半面、家賃が高額に設定されていたり、近隣に大手サロンが出店していたりします。

周辺店舗や施設なども調査して、設定したターゲットが訪れやすいかどうかを基準に選びましょう。

自宅サロンは近隣住民や家族の理解が必要

空いている部屋を利用して自宅でサロンを始めたいと考えている場合、事前に近隣住民や家族の理解が必要です。サロンには不特定多数が訪れるようになるため、近隣住民や家族とトラブルになる場合があるからです。

また、自宅が賃貸の場合、居住用として契約した賃貸物件で事業を行うと、契約違反で退去しなければならなくなることもあります。必ず貸主に確認してから、開業の準備を進めるようにしましょう。

清潔感を重視した内装工事をする

清潔感を重視した内装工事をしましょう。お客さんは「きれいになりたい」「美しくなりたい」という思いでサロンを訪れる場合があり、お店に対して清潔感を求める傾向にあるからです。

内装によっては、お客さんの満足度にも影響し、次回以降来店するかどうかの判断材料になる可能性があります。初期費用を抑えるために、最低限の内装だけをしてしまうと、オープン後に後悔してしまいかねません。

清潔感に加えて、「カウンセリング」「着替え」「施術」の時間を合わせると、1~2時間程度過ごすことになるため、居心地の良さも考慮すると、よりお客さんの満足度を高められる場合があります。

自身のサロンのターゲットやサービスに近いエステサロンの内装を参考にしてみるのも良いです。

メニューに応じてエステ機器を購入する

メニューに応じて必要なエステ機器を購入しましょう。

機器としては主に「フェイシャルスチーマー」「美顔器」「脱毛器」「ボディトリートメント機器」「吸引器」などが挙げられますが、導入する機器によっては、周辺のエステサロンと差別化にもつながります。

美容機器の販売業者によっては機器の体験会を開催していて、機器の使い方や施術のポイントなどを学ぶことができます。導入する機器を迷っている場合は、体験会に参加すると良いです。

管轄の税務署に開業届を提出する

管轄の税務署に開業届を提出しましょう。所得税法によって、開業届を出すことが義務付けられているためです。

開業届のフォーマットは国税庁の公式サイトからダウンロードできます。管轄する税務署は、国税庁の公式サイト「税務署の所在地などを知りたい方」で調べられるので、確認してみてください。

エステサロンの開業に必要な資金は300万円

エステサロンの開業に必要な資金としては300万円程度です。主に「賃貸マンションを借りるための費用」「内装工事をするための費用」「消耗品や備品を揃えるための費用」「エステ機器を購入するための費用」「広告宣伝をするための費用」が挙げられますが、店舗の場所や規模、導入する機器などによって、必要になる費用は異なります。

自宅で開業する場合は店舗を借りるための費用が不要となるため、必要な資金が100~200万円程度になるケースもあります。

賃貸マンションを借りるための費用

賃貸マンションを借りるためには、主に「保証金(敷金)」「礼金」「仲介手数料」「前家賃」が必要となります。

事業用で賃貸マンションを借りる場合は、住居用として借りるときよりも費用がかかる傾向があり、保証金(敷金)が賃料の3~6か月分必要になることがあります。

【家賃が10万円の場合】

目安金額
保証金(敷金) 40万円(賃料の4ヶ月分)
礼金 10万円(賃料の1ヶ月分)
仲介手数料 10万円(賃料の1ヶ月分)
前家賃 20万円(当月分と翌月分の賃料)
合計 80万円

家賃だけでなく、保証金(敷金)がいくら必要なのかを確認するようにしましょう。

内装工事をするための費用

エステサロンに必要な内装工事としては、主に「壁」「床」「空調」「電気」「水道」「照明」「トイレ」「カーテンレール」が挙げられ、数十万円~200万円以上かかります。

内装は「おしゃれにしたい」「かわいくしたい」など、こだわればこだわるほど費用がかかってしまいます。そのため、自身の中で優先度を決めて、こだわる箇所を絞るようにしましょう。照明器具や装飾品でも店舗空間を演出できる場合もあります。

内装業者によって対応内容や費用などが異なります。予算範囲内でより理想とする内装をしてくれる業者を探すために、複数の業者から見積もりをとりましょう。

消耗品や備品を揃えるための費用

エステサロンに必要な消耗品や備品を揃えるため、数十万円程度かかります。消耗品や備品としては、「施術ベッド」「いす」「ソファー」「ワゴン」「タオル」「ガウン」「スリッパ」「ペーパーシーツ」「ペーパーショーツ」「ユニフォーム」「シートマスク」「マッサージオイル」「マッサージクリーム」などが挙げられます。

消耗品や備品は一つ一つが高額ではなくても、一様に揃えると費用がかかってしまいます。

開業当初は必要最低限のものに絞って揃え、予約状況に応じて徐々に買い足すようにしましょう。

エステ機器を購入するための費用

エステ機器を購入するために、数十万円~数百万円程度かかります。メーカーや機能によって異なります。

【主なエステ機器と目安金額】

機器 目安金額
痩身機器 120~500万円
美顔器 10~40万円
脱毛器 300~550万円

開業当初はお客さんの来店が読めず、売上も半年程度安定しない可能性があります。そのため、まずはレンタルしてみて、お客さんの需要や反応に合わせて購入するかどうかを検討するのが良いでしょう。

広告宣伝をするための費用

お店を知ってもらうための広告宣伝費用として、5~20万円程度かかります。

主な集客方法としては、次の通りです。

  • ホットペッパービューティー
  • 折込チラシ
  • ポスティング
  • SNSやブログでの発信

また、ホームページを制作する場合は、数万円~100万円以上かかる場合があります。しかし、広告宣伝費をかけても、集客できるとは限りません。設定したターゲットによって効果的な方法は異なるため、自身のサロンにおける集客方法を見つける必要があります。

なお、集客をする上で店舗周辺の市場調査が欠かせません。競合他店や周辺施設を把握し、状況に応じてはメニューやサービスの見直しを行いましょう。

個人サロン開業で失敗する要因はリピーターに繋がらないため

個人サロンでは、開業後にリピートにつながらず、売上が安定しなくて失敗する場合があります。

新規客を獲得するためには広告宣伝費がかかるため、利益として残る金額が限られます。一方で、リピーターが増えると広告宣伝費を抑えつつ、継続的な売上が見込めるようになります。

お客さんはそれぞれの目的を持ってサロンに来ているため、施術後に効果が感じられないと他のサロンに移ってしまいます。効果が実感できれば、定期的に通ってくれるようになりやすい傾向があります。

しかし、技術だけでなく、お客さんの要望を引き出すコミュニケーション能力も必要となります。加えて、肌の構造や身体の仕組みなど美容に関する知識も求められます。

施術後にお客さんにアンケートを記入してもらい、自身の接客の改善に役立てましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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