資金調達について調べていると、ビジネスローンとカードローンという言葉をよく目にします。この2つに違いはあるのでしょうか?
特に気にせず記事を見ている方が多いようですが、この2つには大きな違いがあります。
今回の記事では、ビジネスローンとカードローンの違いについてお話しましょう。
1.ビジネスローンとは?
ビジネスローンとはその名の通り個人向けのローンではなく、事業資金を貸す金融サービスです。要は事業融資と同じ意味合いを持ちます。
①「事業融資」よりもユーザーの心理的ハードルが下がる
ビジネスローンは銀行や日本政策金融公庫の行う一般的な事業融資と少し趣が異なります。宣伝の打ち方の違いが大きいのですが、「事業融資」という言葉を使いWebなどで広告を出すと「書類を揃えるのが面倒」「審査が厳しそう」と融資への申込を遠慮してしまう傾向が大きいのです。
ビジネスローンという言葉が登場した背景としては、事業融資よりも気軽な雰囲気を出して事業主の融資への心理的ハードルを下げたいという金融機関などの戦略があるのです。
②あくまでビジネス専門のローン
世の中には使用用途が原則自由のフリーローンや住宅購入のための住宅ローンなど様々な種類のローンが存在します。ビジネスローンはこの中で事業用の資金のみを金利付きで貸しています。そのため、ビジネスローンを利用するためには事業資金として利用するのを確認するために以下のような書類を提出する必要があります。
- 法人のお客様
代表者ご本人様を確認する書類、登記事項証明書(商業登記簿謄本)、決算書原則2期分 等
- 個人事業主のお客様
ご本人様を確認する書類、確定申告書原則2年分 等
③借入限度額の上限が高い
個人のリボ払いやカードローンの場合はせいぜい~500万円ぐらいが借入限度額です。しかし、ビジネスローンの場合は審査にもよりますが最大~3,000万円ぐらいまでの借入が可能です。限度額が高いので、個人のカードローンよりは全体的に審査は少し厳しめになっています。
④担保「あり」と「なし」がある
個人のカードローンの場合はたいてい無担保・無保証人でお金を借りられますが、ビジネスローンの場合は「不動産ビジネスローン」のような担保ありのローン、そして担保がないローンとの2種類があります。
担保ありの方が金利は低いですが、不動産鑑定や抵当権設定の手数料がかかるため相対的に節約できるかは不動産の評価額しだいです。
⑤ビジネスローンにはどういうものがあるの?
ビジネスローンを扱っているのは銀行や消費者金融などたくさんあります。有名なところでは以下のようなものがあります。
- しずぎんビジネスクイックローン
金利5.0~14.9%:利用限度額50~500万円まで
- ビジネクスト
金利8.0~15.0(100万円以上)、13.0~18.0%(100万円以下):利用限度額1~1,000万円まで
- 三井住友銀行ビジネスセレクトローン
金利2.125%~:利用限度額1億円以内
最後の三井住友銀行のものはビジネスセレクトローンとなっていますが、中身は事業融資です。業歴2年以上で黒字決算続き、そして代表者の滞納歴がなく自己資本もあるというように審査が厳しめとなっています。
2.カードローンとは?
カードローンはカードを使って1万円単位でコンビニや駅にあるATMでお金を引き出すことができる便利な金融サービスです。金利は高めですが、緊急時などにいつでもお金を引き出せるカードローン。キャッシュが手元になくなる月末などに期間を決めてカードローンを利用する事業主もいらっしゃいます。
ビジネスローンでもカードを発行するので、「ビジネスカードローン」という言葉でも広告されています。ですので、余計にビジネスローンとカードローンという言葉遣いで混乱する元になるのです。
カードローンは現在、総量規制問題で衰退した消費者金融業者(アイフル、アコムなど)に代わって銀行のカードローンが増加傾向です。しかし、あまりに貸し過ぎの銀行側に対して総務省は目を光らせているのが現状です。
カードローンには以下のようなものがあります。
(例)
- アイフル「ファーストプレミアムカードローン」
金利3.0~9.5% 利用限度額100~800万円まで
- 楽天スーパービジネスローン
金利3.0~15.0% 利用限度額50~3,000万円まで
- 三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」
金利1.8~14.6% 利用限度額10~500万円まで
3.ビジネスローンとカードローンの違いを表にしました
ビジネスローンとカードローンの違いは借入限度額の違い、総量規制対象であるかないか、そして金利の違いです。各広告では「ビジネスカードローン」「事業主向けカードローン」というように表現が混ざっている商品もたくさんあります。
結局は金利付きでお金を借りるというだけで大差はありません。今すぐ返さなければいけない借金がある、という事情がないのであれば、できるだけ低金利で借りられるところを選択した方が無難です。
|
審査スピード |
審査の厳しさ |
借入限度額 |
総量規制 |
金利 |
ビジネスローン |
仮審査は即日 本審査は2~3日 |
やや厳しい |
50万~1億円 |
対象外 |
1.8~18.0% |
カードローン |
早い 最短1時間 平均1~2日 |
ブラックでなければ大丈夫 |
10万~500万円 |
対象 |
6.0~18.0% 30日間無利息もある |
どちらのローンにも言えることですが、借入額が300万円以上~500万円以上など高額になる場合には源泉徴収票や住民税決定通知書などの収入証明書類を1点提出しなければいけません。
4.ビジネスローンを使うべき人はこんな人
ビジネスローンはカードローンよりも借入限度額が高く総量規制の対象外のため、大きな額が必要な方に向いています。借入額が大きい時は必要書類の種類も増えます。また、三井住友銀行のビジネスローンのように変動金利(2%ぐらい)という低金利を採用しているものはビジネスローンという名前はついていますが、中身は事業融資です。
そのため、事業歴は2年以上、事業黒字を出していること、代表者の信用情報がブラックでないこと、など借入条件について審査が厳しめになるので気を付けましょう。
5.カードローンを使うべき人はこんな人
カードローンはいざという時に現金を引き出せるのでとても便利な資金調達法です。また、ビジネスローンにはない独自のサービス(30日間無利息など)があるのも魅力です。
あらゆる事業主の方、特に事業をスタートしたての方や個人事業主の方であれば一枚はカードローン用のカードを持っていても損はないのではないでしょうか。
しかし、個人向けのカードローンで借りたお金を事業資金として利用するのはNGです。事業資金に使うのであれば事業用カードローンを選ぶか、個人的に代表者がカードローンを使うかのいずれかにしましょう。
まとめ
ビジネスローンでもカード発行されており、カードローンでも事業向けの商品が出ているためこの2つの言葉は混ざって使われていることが多々あります。
しかし、どちらにしても要はお金を借りるというサービスです。カードローンでは事業用と明記されていないものは事業用資金として使うことは禁じられていますので気を付けましょう。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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