銀行からの融資審査で実施される「財務分析」とは?

銀行からの融資審査で実施される「財務分析」とは? 起業後の資金調達 – 銀行/信用金庫の融資
財務諸表

銀行が企業に融資をするかどうかの審査で財務分析をします

財務分析によって融資の成功、失敗が決まるのですから、事業者は熟知している必要があります。

また、融資のためだけでなく安定した経営のためにも財務分析は非常に頼りになる存在です。今回の記事では、銀行からの融資を攻略する上で最重要課題の「財務分析」を説明していきましょう。

 1.財務分析って何?

①財務分析を一言で言うと?

財務分析とは、人間に例えると企業の人間ドッグのようなものです。身体は外からだけ見ても本当に健康かどうかはわかりません。元気そうにみえる人が、翌日いきなり他界して周囲を驚かせることだってありますよね。企業も同じです。

 ②まず企業のお金の洗い出し=財務諸表の作成

財務分析は1960年代にアメリカで最初に考案され、現在では世界中の企業や投資家などの間で活用されています。企業の「財務=お金」を「分析」するのですから、まずは企業のお金について知るところから財務分析はスタートします。

 企業のお金を知る方法は、ご存じの通り財務諸表があります。財務諸表を作成することで、企業のお金について見える可(可視化)するのです。財務諸表はたった一つの表ではありません。

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上記の図のように、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等計算書の4つを合わせて財務諸表と呼びます。(株主資本等計算書については使用しない企業もあります)

 ③分析にもいくつかの種類がある

分析とはデータをある視点で掘り下げることですので、財務分析にもいくつかの分析スタイルがあります。投資家の場合、この企業に投資をして損をしないかという視点ですので投資分析をします、

 融資をする銀行が行うのは、融資分析です。と言いたいところですが、融資分析という言葉は存在しません。その代わり、融資をするかの分析の際は定量的分析定性的分析という2つの指標から分析されます。

 定量的分析と定性的分析の内容については、見出し3で詳しく解説していきます。ここまでを簡単にまとめると、銀行が融資を決める際に行う財務分析とは以下の2点に集約できます。

1.企業のお金を財務諸表作成という形で洗い出す

2.財務諸表を元に融資用の分析をする 

 2.財務諸表とは主に3種類の計算書のこと

融資を受けようとする際、財務諸表を提出してくださいと言われることがあります。また、カードローンなどで融資を受ける際は「貸借対照表と損益計算書を提出してください」サイトに記載されている場合があります。

 ここでは、主に使われている33種類の計算書の概要についてご説明しましょう。

 ①企業の財政状態を知ることができる貸借対照表

事業主であれば、貸借対照表をつけたことがある方も多いのではないでしょうか。最近では会計ソフトで自動入力しているから、細かい中身についてはサッパリといった方もいらっしゃるかもしれません。                      

資産     

負債

流動資産   510,000

流動負債   145,000

現金預金   160,000

支払手形  80,000

受取手形  140,000

買掛金   55,000

売掛金   200,000

短期借入金 10,000

商品    10,000

固定負債   100,000

固定資産 560,000

社債     100,000

土地   340,000

純資産    825,000

建物   220,000

資本金    825,000

合計:  1,070,000

合計:    1,070,000

 貸借対照表は、上記の図のように左の部分に資産を、右の部分に負債を記載します。企業が現在持つお金と借金について一目でわかるのがこの表です。資産=負債+純資産になるように、左右の合計額が一致していなければなりません。

 ②企業の経営成績を知ることができる損益計算書

営業した結果、どれだけ売上がでて、どれだけ費用がかかって、どれだけの利益がかかったが把握できる書類です。税引き後の数字をみれば、純粋にいくら企業が稼いだのかが分かります。

 例、ある製造会社の損益計算書     

売上高

              200,000

売上原価

           120,000

売上純利益

            80,000

販売費・管理費

            40,000

営業利益

            40,000

営業外収益

            6,000

営業外費用

            5,000

経常利益

            41,000

特別利益

            2,000

特別損失

            3,000

税引前当期純利益

            40,000

法人税

            9,360

当期純利益

            30,640

 ③企業の資金の状況を知ることができるキャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は企業の家計簿と言われています。貸借対照表では企業のお金を大きな枠(資産)で捉えていますが、キャッシュフロー計算書ではその名の通り、現金の出し入れの流れを記した書類です。                      

キャッシュインの例  

キャッシュアウトの例

商品の販売代金の回収            50,000

商品仕入れ代金の支払い           35,000

新規の借入                 100,000

借入の返済、利息の支払い          40,000

預金利息の受け取り                 3,000

配当金の支払い              70,000

 3.どうやって銀行は分析するのか?

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財務諸表の概要がわかったところで、次はその書類を銀行がどのようにチェックし分析するのかをお話しましょう。

 ①定量的分析とは

財務諸表の数字から企業の成長性、収益性、生産性、安全性を判断する分析方法です。信用取引という言葉もありますが、実際に融資の現場では9割以上はこの定量分析の結果により融資をするかが決定されています。

 (1)成長性の分析

まず、一つ目の表である貸借対照表で企業の成長性は判断されます。単純に負債が資産を越えている場合はアウトです。また、長期の借入がある場合はきちんと返済できているのか、あと何年返済しなければいけないのかをキャッシュフロー計算書で確認します。

売上金額が多くても借入額が多いと返済部分に回ってしまい、企業の将来性が見こめないからです。

次に、損益計算書の売上高と当期純利益のバランスも大切です。売上がたっているのに利益が少ない場合、経費をかけすぎている=上手に経営できていない、法人税対策ができていない企業と判断されます。

 (2)収益性の分析

 損益計算書の売上純利益を売上高で割った数字は売上高純利益率と呼びます。例えば、売上純利益80,000、売上高2,000,000の企業があるとしましょう。80,000を2,000,000で割ると4%となります。4%がこの企業の売上高純利益率です。

 何%以上であると融資が通るのかという目安は銀行では公表していません。超優良企業で35%、優良企業で10~20%前後の売上高純利益率です。融資を通すためには10%程度が一つの目安と言えるかもしれません。

(3)生産性の分析 

生産性については生産効率が一つの指標とされています。生産効率はアウトプット(例、アイスクリームという商品)をインプット(例、牛乳、砂糖、アルバイト代、冷蔵庫などの光熱費)を割ることで求められます。 

生産効率=アウトプット(成果物)÷ インプット(資源)

 少ない資源で多くのアウトプットを生み出す企業ほど、生産性が高いと判断されます。生産性の割に従業員の人数が多すぎる場合は、融資の際にマイナスポイントとして影響するかもしれません。

 (4)安全性の分析

貸借対象表の売掛金が重要です。売掛金とは商品を販売しながらまだ代金を回収できていない金額です。売掛金回収の回転率がどうかは、銀行融資の重要なポイントです。

 ②定性的分析とは

財務諸表の数字から計算して〇〇率を求めるのが定量的分析だとすると、定性的分析は数字では表せない時代や経済の流れから分析します。 

例えば、震災が続き今後は〇〇が売れなくなると見込まれるため、融資は許可するが融資額を控えめにしておこう、というものが定性的分析として位置します。 

 まとめ

銀行が企業に融資をするかは主に財務諸表と言われる貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つから分析します。分析方法は主に定量的分析が採用されていて、財務諸表に記載された数字から〇〇率を求め、融資の決定を行います。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。