【融資失敗例】飲食店創業の為に500万円融資希望…なぜおちた!?

【融資失敗例】飲食店創業の為に500万円融資希望…なぜおちた!? 更新日:2018.08.22 公開日:2018.08.22起業のための資金調達 – 飲食(飲食店・外食・デリバリー)
日本政策金融公庫からの融資に失敗した事例

日本政策金融公庫の融資に失敗してしまった理由とは?

今回は成功事例でなく、融資をしてもらえなかった方の紹介をさせて頂きます。
この記事をご覧の方の中にも、他の金融機関からの借り入れが複数ある状態で月々の返済が大変になっておられる方もいらっしゃるのではないしょうか。
今回、融資アドバイザーへご相談下さいましたIさんも同じ悩みをお持ちでした。
しかし、ご自身の状況を言いづらく、融資アドバイザーに隠したまま融資面談に臨みました。
結果、融資審査は否決になってしまいました。
今回はIさんの事例を基に、みなさんが資金調達をする上で参考になればと思います。
 

Iさんのご状況

 

  • 飲食店でのご経験20年(店舗責任者)
  • 創業の為の自己資金通帳に200万円、退職金の600万円はいる予定であった。
  • ご自身で取引先を探して、関係値を作っていた。
  • 他の金融機関から借入が600万円、住宅ローン2,200万円あった。
  • 金融機関への返済が過去に何度も遅滞していた。
  • 融資面談直近でも金融機関への返済も遅れていた。

 

Iさんは日本政策金融公庫から運転資金と物件取得費として500万円の融資を希望されておられました。

融資審査でポイントとなる自己資金としてご自身が貯められた200万円がきちんと通帳に入っており、

創業する場所や、仕入れ先も自身で関係値を作り計画的に準備を進めてきておられました。

しかし、Iさんの融資審査は否決になりました。

 

1.融資審査において個人の信用情報は最重要ポイント!

 

金融機関が融資審査を行う上の判断基準は、事業計画から見える経営者の返済能力と個人の信用情報です。

Iさんは、創業に向けて経験も十分に積まれており、自己資金もしっかりと用意されていました。

過去の経験も申し分なく、自己資金もしっかりと確保できているということで、事業計画書上では経営者としての返済能力をしっかりとアピールできる状況が整っているように感じました。

本来であれば、融資が成功する確率がとても高いです。

しかしIさんの場合には、融資は否決となってしまいました。

融資が否決となってしまった大きな要因は「個人の信用情報」です。

Iさんは私たち融資アドバイザーにも日本政策金融公庫の融資担当者にも隠していることがあったのです。

 

(1)他の金融機関からの借入額

Iさんは、当初私たちに他の金融機関からの借入額を600万円とおっしゃっていらっしゃいました。

しかし、日本政策金融公庫の担当者が通帳や信用情報から調査を行ったところ

600万円をはるかに上回る借入をされていることがわかりました。

他の金融機関からの借入自体は利用目的が明確になっており、所得に対して月々の返済に無理がない状態であれば融資審査にそれほど影響することはありません。

しかし、Iさんの場合には、収入に対してあきらかに返済額が多いという状態でした。

 

(2)借入に対する返済遅延

返済遅延とは、金融機関からの借入金の返済やクレジットカードなどの支払いが滞ってしまう状況を言います。

これらの情報はCIC等で簡単に調べることが出来ます。

日本政策金融公庫の担当者も借入申込者の信用情報を必ず確認しています。

返済遅延や滞納があるという方は、貸したお金をきちんと返してくれない可能性がある方という見方をされてしまいます。

今回のIさんも、度重なる遅延や滞納がありました。当然、ご本人はご存知だったのですが、

融資審査に不利に働くのではと言う理由から返済遅延に関しても私たちにはっきりとお伝えいただくことが出来ませんでした。

 

2.個人の信用情報は内緒にしても確認されている。

 

日本政策金融公庫は他の金融機関と連携を取り合っている為、情報を共有することができます。

ご相談者様の・預金残高・借入残高・返済実績・金融事故がないかを確認します。

ご相談者が金融機関に不利になる情報を隠そうとしても、日本政策金融公庫の融資担当者には把握されてしまいます。

ご相談者の支払・返済実績から延滞や遅延があれば、融資審査にはマイナスの影響を与えてしまいます。

過去に1回だけの返済遅延では「うっかり支払忘れる」という事はあり得ても何度も続くようであれば「貸しても返済してもらえないかも」という判断をされてしまいます。

 

ご自身で個人の信用情報を調べることも出来ます。

 

リンク:個人信用情報 CIC / JICC / JBA

CIC 株式会社シー・アイ・シー 

JICC 日本信用情報機構 

JBA 一般社団法人全国銀行協会 

 

3.融資アドバイザーに隠さない

 

融資アドバイザーは相談者の味方です。

融資面談において、事業の計画を作成する際に相談者様のご事情も織り込みながら作成します。

今回は、他の金融機関からの返済額を事業計画上で織り込み、返済能力をアピールできる計画が立つかどうかも大きなポイントでした。

大きな借入があっても返済能力を説明できることが可能な計画が見込めていたなら状況は変わっていたかもしれません。

場合によっては、他からの資金調達の提案もできた為です。

しかし、融資アドバイザーに隠されてしまうと正しく事業計画を作成できません。

結果、日本政策金融公庫の融資審査では不利に働いてしまうこともあります。

懸念点は、全て融資アドバイザーに相談しておくことをオススメします。

 

まとめ

今回、ご相談いただけたIさんですが融資審査に通ることが出来ませんでした。

過去の返済履歴から確認できる返済遅延と直近の返済の遅延も大きく影響をしていました。

個人の信用情報の傷は、金融機関側が最重要視するところといっても過言ではありません。

事業での返済能力を確認できたとしても、他の金融機関への返済実績から「融資をしても返済する気が無い人」なのだと判断されてしまっては融資をしてもらえません。

この場合、資金調達する上で、融資での調達は非常に難しくなってしまいます。

現状において融資での資金調達の方法が難しい場合も、他の手立てで資金調達方法をお手伝いできるかもしれません。

気になることは、融資アドバイザーに気兼ねなくご相談されてみてはいかがでしょうか。

 

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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