2019年10月1日からついに、日本において軽減税率が導入されます。
軽減税率とは、外食など一部の商品税率を10%にし、それ以外を8%で据え置きとする2種の税率を並行して使う仕組みを言います。
もしも事業者であるあなたが消費税8%と10%の商品を並行して販売する予定なら、中小企業庁が実施する補助金で今のうちに新レジ等を導入することをおすすめします。
本記事では、軽減税率対策補助金の期限までに事業者がやるべきことを簡潔にまとめます。
【やるべきこと①】今使っているレジが軽減税率対応レジなのかを確認する
「補助金が出るから、レジをとりあえず全部新しくしちゃお~!」と舞い上がる必要はありません。最近レジを変えた事業所であれば、既に軽減税率対応レジである可能性もあるからです。しかも、補助金は確かに出ますがレジにかかるお金が100%負担されるわけではありません。
レジはカシオやクローバー電子などさまざまなメーカーが販売していますが、軽減税率対応のレジであれば、上記の画像のように、2種類の税率で計算されたレシートを出すことができます。
「今使っているレジが軽減税率対応なのかどうやって調べればいいの?」と思う方、実は簡単です。軽減税率対策補助金のサイト上にある以下のページで、型番検索ができるからです。または、使用しているレジの説明書やリース業者で確認できます。
※上記URLをクリックすると、軽減税率対策補助金の公式ページにリンクします
利用方法ですが、単に軽減税率対応レジ(長いので、以下軽減レジとします)を購入するだけであれば、型番検索ページで「A-1型」をクリックしましょう。
クリックすると、全然関係ない文章が長く続き、「え、、このページって型番検索できるんじゃないの、、?」と少々不安になります。大丈夫です。下の方にスクロールしていただくと。
こちらの画像のように小さく「A-1型の対象製品型番検索はこちら」とさりげなくリンクが貼られています。筆者はクローバーのN100LCで検索してみました。
「検索する」をクリックすると。
ガ~ン!「該当する結果はありません」というメッセージが表示されてしまいました。安いレジは対応していないんですかね。
このように、お店や事務所で使っているレジが非軽減レジなのであれば、早急に軽減税率対策補助金を使って軽減レジを購入することをおすすめします!費用の3/4まで、1台あたり20万円(※1事業者最高200万円まで)まで補助されますからね。
【やるべきこと②】軽減税率対策補助金について詳しく知る
①軽減税率対策補助金の概要
2019年10月1日から始まる軽減税率を背景に、軽減税率対応レジを使う必要で条件に当てはまる中小企業・小規模事業者に対し「軽減レジ購入等にかかる費用の3/4まで」、「軽減レジ1台あたり20万円まで」をキャッシュバックしてくれる有難い補助金です。
②軽減税率対策補助金の3つの型
申請には、以下の3つの型があります。あなたが申請する場合は、以下の3つの中から一つ選んで申請します。小規模事業者(小売業、サービス業で従業員数5名以下など)の場合は、A型が多いのではないでしょうか。店舗数が全国に広がるコンビニやスーパーなどはA型のPOSレジを利用してますよね。C型は請求書を日常的に出す中規模以上の事業者に向いています。
【軽減税率対策補助金の3つの型】
型名 |
補助対象内容 |
A型:複数税率対応レジの導入支援 |
POS機能のない複数税率対応レジまたは※区分記載請求書対応券売機の導入または改修 |
B型:受発注システムの導入・改修等支援 |
EOSやEDIのようにオンラインで受発注できるシステムの導入または改修 |
C型:請求書管理システムの導入・改修等支援 |
軽減税率対象商品を販売し、軽減税率に対応した請求書システムを導入・改修する |
【軽減税率対策補助金の11の申請タイプ】
A型~C型までのどの型で補助金を申請するかを決めたら、今度はA型~C型の各型の中で分けられている申請タイプを決めなくてはいけません。
A型 |
A-1(レジ・導入型)A-2(レジ・改修型)A-3(モバイルPOSレジシステム) A-4(POSレジシステム)A-5(券売機)A-6(商品マスタの設定) |
B型 |
B-1(受発注システム・指定事業者改修型)B-2(受発注システム・自己導入型) |
C型 |
C-1(請求書管理システム・指定事業者改修・導入型)C-2(請求書管理システム・ソフトウェア自己導入型)C-3(請求書管理システム・事務機器改修・導入型) |
A型で6つの申請タイプ、B型で2つの申請タイプ、C型で3つの申請タイプがあります。補助金を申請するには、全部で11の申請タイプから選ぶことになります。 申請タイプにより、事業者自身でなく以下のように代理申請業者かシステムベンダーが代理申請しなければいけない場合があります。
A-2(レジ・改修型) A-4(POSレジシステム) A-5(券売機) A-6(商品マスタの設定) |
代理申請業者による代理申請が必要 |
B-1(受発注システム・指定事業者改修型) C-1(請求書管理システム・指定事業者改修・導入型) C-3(請求書管理システム・事務機器改修・導入型)
|
・代理申請業者による代理申請が必要(B-1) ・システムベンダーまたは代理申請協力店等による代理申請が必須(C-1,C-3) |
③軽減税率補助金を使うための要件
軽減税率補助金を使える事業者については、8つの要件が設けられています。前文を載せると長いので省略しますが、要点は以下の5点です。難しい要件ではないため、多くの事業者はクリアできるのではないでしょうか。
- (1)日本国内で事業を行う個人又は法人であること
- (2)軽減レジを利用する必要がある事業をしていること
- (3)軽減レジを補助金で買ってすぐに売ったりしない。継続的に利用すること
- (4)補助金をもらったあとも、補助金事務局からの依頼があれば調査に協力すること
- (5)風俗営業や暴力団と今も将来も関係がないこと
また、要件はこれだけではなく、大前提として軽減税率対策補助金をもらうには以下の締め切りを守る必要があります。
A-1(レジ・導入型)A-2(レジ・改修型)A-3(モバイルPOSレジシステム)A-4(POSレジシステム)、B-2型(受発注システム・自己導入型) |
①2016年3月29日から2019年9月30日までに導入・改修・支払いを完了させること(リース契約の場合は契約日・リース開始日の期限) ②2019年12月16日までに事後申請すること |
A-5(券売機)A-6(商品マスタの設定)、C-1(請求書管理システム・指定事業者改修・導入型)C-2(請求書管理システム・ソフトウェア自己導入型)C-3(請求書管理システム・事務機器改修・導入型) |
①2019年1月1日~9月30日までに導入・改修し支払い完了すること ②2019年12月16日までに事後申請すること |
B-1(受発注システム・指定事業者改修型) |
①2019年6月28日までに交付申請書を提出 ②2019年9月30日までに導入・改修し支払い完了 ③2019年12月16日までに完了報告書を提出 |
上記を見れば、申請タイプによって締め切りと対象の導入・改修期間が微妙に異なることが分かります。B-1(受発注システム・指定事業者改修型)では先に申請書を提出しますが、その他の申請タイプでは先に軽減レジの導入・改修・支払いを済ませて事後申請します。
なお、要件の全文については以下の軽減税率対策補助金の公式ページの「詳細はこちら」をクリックしてご覧ください。
http://kzt-hojo.jp/applicant/cash_registration/
※上記URLをクリックすると、軽減税率対策補助金の公式ページへリンクします
④軽減税率対策補助金でキャッシュバックされる金額と上限
軽減税率対策補助金は先にお金が振り込まれるものではなく、あなたが軽減レジを買って店などに導入したあとに一部の費用が振り込まれます。
軽減レジで対象となる製品と補助上限額はレジ1台につき20万円までで、軽減税率対策補助金全体では1事業者につき200万円までです。補助金の上限額については以下のように補助率が決まっています。
①レジ本体(電子レジスター 軽減税率対応) ②レジ付属機器(バーコードスキャナやPOSプリンタなど) ③レジ専用ソフトウェア(PC-POCシステムなど) |
・①~③の合計額で3万円未満の場合で4/5 ・レジを2台以上または①~③の合計額で3万円以上の場合で3/4
|
④レジ設置に要する経費(運搬費、人件費など) |
3/4 |
例えば、Aさんがレジと周辺機器で5万円のレジを導入するとしましょう。1台20万円以下のレジが要件ですので、要件は満たしていますね。そして、1事業者につき上限200万円まで申請できるため、200万円を5万円のレジで割って台数を求めてみましょう。
200万円÷5万円=40台
消費税や手数料や運搬料などをすべて除き単純計算した場合、Aさんの事業では1台5万円のレジが40台購入できることになりました。1台あたり3万円以上の場合の補助率は3/4ですので、
200万円×3/4=150万円
補助額は150万円で、自費が50万円という計算になりました。とってもオトクですね。
【やるべきこと③】申請タイプと業者を決めてレジを導入・改修する
軽減税率対策補助金は前述したように、11の申請タイプに分かれます。レジが1台しかない個人事業主などは申請タイプの決定に迷うことはありませんが、ある程度レジの台数が多い場合やPOSレジを使っている場合は「せっかく補助金が出るから、iPad導入しちゃおうかな~」など、どの申請タイプにするか迷うかもしれません。
そこで、代理申請協力店を活用してみましょう。軽減税率対策補助金の公式ページには、代理申請協力店検索ができるページが用意されています。
※上記URLをクリックすると、軽減税率対策補助金の公式ページにリンクします
例えば、東京都の千代田区でカシオのレジを導入しようかな~と言う場合。東京都と選択して千代田区を空欄に入れ、メーカー名をカシオ計算機に選択して検索します。
すると、4つの代申請業者が検索されます。軽減税率対策補助金でレジが欲しいが何をしたらよいかわからないかたは、まず検索後の画面に表示された申請業者に「軽減税率対策レジの導入を検討しているのですが」と問い合わせてみるとよいでしょう。
レジの導入・改修をした際の領収書は補助金を受け取るための大切な書類です。なくさないようにしっかり保管しましょう。
【やるべきこと④】軽減税率対策補助金の申請書をダウンロードする
申請書は基本的に①申請書と②証拠書類(購入したレジの領収書など)の2種類だけで、非常にシンプルです。申請書以外に、飲食料品を購入した商工である仕入れ請求書のコピーや振込口座が確認できる通帳コピーなど最低でも5点~18点の添付書類が必要です。
例えば、A-1型の場合は以下の5点が最低必要な添付書類が必要です。
- レジ購入時の領収書等の費用明細(リースの場合は不要)
- 飲食料品等を記載した仕入れ請求書
- 振込口座が確認できる通帳等
- 個人事業主の本人確認書類(法人の場合は不要)
- 外食当での軽減税率対象商品の取り扱いの申請書(設置した店舗が外食等である場合)
申請書は、軽減対策補助金の公式ページからダウンロードできます。該当の申請タイプの「詳細はこちら」をクリックしたあと、左側の「提出書類・申請書ダウンロード一覧」をクリックしましょう。
※上記URLをクリックすると、軽減税率対策補助金の公式ページにリンクします
上記の申請書のページには、PDFによる記入例も閲覧できます。
【やるべきこと⑤】申請書を期間内に提出する
申請タイプによって期間は異なりますが、いずれのタイプにしても申請書は以下の住所に郵送します。
〒115-8691 赤羽郵便局私書箱4号
軽減税率対策補助金事務局 申請係
不明点がある場合はそのまま送らず、以下のフリーダイヤルに問合せをしてから送った方がベターです。
0120-398-111(受付時間:9:00~17:00 土日祝除く)
※フリーダイヤルにかけられない場合は有料で0570-081-222
※IP電話からの場合は03-6627-1317
まとめ
軽減税率対策補助金の導入・改修・支払いは2019年9月30日までが締め切りです。申請書は同年12月16日までの事後申請の場合が多いですが、B-1型の場合は既に締め切りは過ぎています。
なるべく早めに動き、オトクに軽減税率対応レジを取得しましょう。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
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