キッチンカーでの開業を検討している人の中には、開業資金の目安が知りたい人もいますよね。また、具体的には、どのような費用がかかるのかを知りたい人もいるでしょう。
キッチンカーでの開業においては、「車両購入費」「外装改造費」「内装設備費」などの費用がかかります。希望条件にもよりますが、もっとも費用がかかるのは車両まわりとなるため、それらの項目の内訳から開業資金の目安を図ることは可能です。
当記事では、キッチンカーでの開業に必要な資金を解説していきます。
もっとも費用がかかるのは車両まわり
キッチンカーでの開業においては、もっとも費用がかかるのは車両まわりです。開業資金が気になる人は、まずは車両まわりの費用を確認してみましょう。
【車両まわりの費用】
- 車両購入費
- 内装設備費
- 外装改造費
車両まわりの費用として挙げられるのは、「車両購入費」「内装設備費」「外装改造費」です。その他にもかかる費用はありますが、キッチンカーでの開業資金が知りたい人は、まずは車両まわりの費用としてそれぞれの項目を確認してみましょう。
車両購入費
キッチンカーを利用して開業する際、車両まわりの費用として挙げられるのは車両購入費です。選択するメーカーや車種など、車両購入費は希望条件にもよりますが、機能が充実すればするほど、車種が新しければ新しいほど、販売価格が高くなる点は自家用車と同じです。
【同型の車種による販売価格の一例】
項目 |
販売価格 |
A社 |
75万円~ |
B社 |
87万円~ |
C社 |
97万円~ |
たとえば、同型の車種だったとしても販売会社ごとに販売価格は異なります。メーカーやディーラーなどにもよりますが、車両の座席数や走行時のアシスト機能など、搭載される機能が増えれば増えるほど、販売価格も上昇する傾向があります。
また、同型の車種だったとしても新車と中古車では、それぞれ販売価格が異なります。とくに、中古車の場合は走行距離が短ければ短いほど、販売価格は高くなる傾向があるため、中古車を考える場合は走行距離といった条件も考慮することになります。
なお、キッチンカー専門の販売店を利用することにより、キッチンカーとして完成された車両を購入できます。担当者に相談することもできるため、車両購入費に関する情報が知りたい人は、最寄りにあるキッチンカー専門の販売店を探してみることも検討してみましょう。
車両購入費は車両グレードによっても異なる
キッチンカーに利用する車両の購入費は、車両グレードによっても異なります。誤発信抑制機能や車線逸脱警報機能などの搭載設備は、車両グレードが関係してくるからです。
たとえば、車両グレードが上がれば上がるほど、走行時の運転支援機能やバックカメラなどの機能は増える傾向があります。また、車両グレードが上がれば上がるほど、2輪駆動から4輪駆動といったようにタイヤ周りの機能も向上する傾向があります。
なお、搭載設備はメーカーによっても異なります。似たようなグレードだったとしても同等の搭載設備を備えているとは限らないため、車両購入費が気になる人は複数のメーカーの車種を確認したのち、相見積もりを取ることを検討してみましょう。
外装改造費
キッチンカーを利用して開業する際、車両まわりの費用として挙げられるのは外装改造費です。キッチンカーの車両を用意するときには、キッチンカーの改造を専門としている業者に調理スペースを取り付けてもらうことになります。
たとえば、軽トラックを活用する場合には、荷台に調理スペースをつくることになる関係上、外枠から着手することになります。骨組みやフレームから設計しなければならず、その分の材料費や人件費がかかる傾向があります。
また、ワンボックスワゴンを活用する場合には、部分架装が必要となります。販売カウンターをつくることになるため、「跳ね上げ扉にするための改造」や「オーニングを取り付けるための改造」を行うことになります。
なお、外装改造費を抑えたい場合には、自ら改造する方法もあります。それ相応の知識や費用は必要ですが、自ら改造することにより外装改造費を抑えることはできるため、DIYに慣れている人や関連する知識がある人は自ら改造することも検討してみましょう。
外装改造費は外装デザインの方法によっても異なる
キッチンカーの外装改造費は、外装デザインの方法によっても異なります。外装デザインの方法は塗装とラッピングの2通りあるのですが、それぞれかかる手間は異なるからです。
塗装による方法では、マスキングのような下処理が必要です。ラッピングよりも耐久性はありますが、ヘッドライトやホイールなど、ひとつひとつのパーツにマスキングを行うことになるため、その分の手間や費用が発生することになります。
一方、ラッピングによる方法では、印刷した特殊フィルムを車体に貼ることになります。塗装よりも耐久性は劣る傾向がありますが、ヘッドライトやホイールなど、ひとつひとつのパーツにマスキングを行うことはないため、その分の手間や費用はかかりません。
塗装とラッピングでは、それぞれメリットとデメリットが異なります。費用面を優先するならラッピングの選択肢もありますが、耐久性を優先するなら塗装の選択肢もあるため、選択する際はメンテナンスの手間も考慮することを検討してみましょう。
内装設備費
キッチンカーを利用して開業する際、車両まわりの費用として挙げられるのは内装設備です。キッチンカーの車両を用意するときには、調理スペースに加え、想定しているメニューを販売するための内装設備を設けることになります。
たとえば、キッチンカーとしてケバブを販売する場合には、縦型グリルを搭載することになるため、その分の費用がかかることになります。同様に、キッチンカーとしてたこ焼きを販売する場合には、鉄板を搭載することになるため、その分の費用が必要となります。
また、内装設備の購入後は、その購入した内装設備を調理スペースに取り付けることになります。流し台や食器棚のような大型機器は、車両本体に固定しつつ、配線や水道管の整備なども必要になるため、専門業者に依頼する場合はその分の費用も発生します。
なお、内装設備に関しては、出店する地域の保健所が定める衛生基準を満たしていなければいけません。保健所の衛生基準と照らし合わせながら準備することにより、内装設備にかかる費用の目安が図れるため、保健所の担当者に相談してみることも検討してみましょう。
内装設備は自ら取り付けることもできる
キッチンカーの内装設備は、自ら取り付けることも可能です。それ相応の知識や費用は必要ですが、専門業者に依頼するよりも費用を抑えられる可能性があるため、DIYに慣れている人や関連する知識がある人にとっては検討する余地があります。
たとえば、シンクやガスコンロのような内装設備は、専門業者に取り付けてもらうことが可能です。専門業者に取り付けてもらう場合は時間短縮となる可能性もありますが、依頼料としてその分の費用は発生することになります。
一方、シンクやガスコンロのような内装設備は自ら取り付ければ、かかる費用は内装設備の購入費用や機材道具のレンタル費用となります。自ら取り付けを行う場合は手間も時間もかかりますが、専門業者に依頼する費用は抑えられます。
ただし、内装設備を自ら取り付ける場合には、それ相応の知識が必要です。事故や怪我につながるおそれもあるため、知識や経験を要するものは専門業者に依頼することを検討してみましょう。
そのほかにも費用はかかる
キッチンカーを利用して開業する際、車両まわりのほかにもかかる費用があります。キッチンカーを利用した開業においては、必ず発生する費用もあるため、まずは一例としてそれぞれの項目を確認してみましょう。
【車両まわり以外に必要となる費用の一例】
- 飲食店営業許可の取得費用
- 食品衛生責任者の取得費用
- 保険の加入料
たとえば、キッチンカーを利用した開業においては、飲食店営業許可を取得することになります。その際、飲食店営業許可を取得するための費用がかかることになりますが、金額は都道府県やその地域によっても異なります。
また、キッチンカーを利用した開業においては、保険に加入することになります。加入料は保険の内容や種類によっても異なりますが、自賠責保険は加入することになるため、その分の加入料はかかることになります。
その他に関しては、燃料代やメンテナンス代といった費用も考えられます。車両まわり以外の費用もかかることになるため、開業資金に含めるかどうかを考えつつ、思い当たる費用は後から確認する目的としてメモに残しておくことを検討してみましょう。
交渉次第となる費用もある
キッチンカーを利用して開業する際、交渉次第となる費用もあります。相場となる金額はありますが、具体的な金額は交渉により決まる場合があるため、キッチンカーでの開業を検討している人は予備知識として覚えておきましょう。
たとえば、出店料は交渉次第となる可能性があります。相場は出店する場所や出店する地域により異なる点に加え、具体的な金額を提示されることもありますが、出店料は土地や建物の管理者との話し合いにより決まる場合があります。
なお、出店料に関しては、出店時間や出店期間によっても異なる傾向があります。交渉次第だったとしても希望条件をすり合わせることになるため、キッチンカーでの開業を検討している人は予備知識として覚えておきましょう。
開業資金を貯めている人は運転資金も用意しておく
開業資金を貯めている人は、開業後の費用として運転資金を貯めることも検討しておきましょう。キッチンカーを利用しての開業後、順調に利益を上げられるとは限らず、軌道に乗るまでにある程度の期間がかかることも想定できるからです。
【運転資金の一例】
項目 |
具体例 |
変動費 |
・食材費 ・人件費 ・水道光熱費 |
固定費 |
・通信費 ・駐車場代 ・各種ローン |
運転資金は変動費と固定費に分けられますが、それぞれの区分けは状況や考え方にもよります。食材費は変動費に含まれ、通信費は固定費に含まれる傾向がありますが、人件費は人数や時間が固定されているかどうかにもよるため、一概に言えない部分もあります。
また、キッチンカーを利用した開業においては、駐車場代や各種ローンといった費用も想定しておく必要があります。とくに、車両本体を購入する際にローンを活用した場合には、その分の費用も運転資金に含めることになります。
なお、運転資金の目安が知りたい人は、まずは資金計画を立てることを検討してみてください。資金計画を立てることにより、運転資金に加え、開業資金の目安を図ることもできるため、キッチンカーでの開業を考えている人は資金計画を立てることを検討してみましょう。
飲食サービス業の廃業率は高めの傾向がある
飲食サービス業は開業件数が多い一方で、廃業件数も多い傾向があります。キッチンカーでの開業を検討している人は、廃業に追い込まれないためにも運転資金を用意することを検討しておきましょう。
経済産業省が発表している「平成24年度経済センサス活動調査」では、廃業事業所は「卸売業、小売業」がもっとも多く、その次は「宿泊業、飲食サービス業」でした。また、個人経営に絞った場合には、もっとも多かったのは「宿泊業、飲食サービス業」でした。
あくまでも同調査における結果ですが、飲食サービス業は開業件数が多い一方で、廃業件数も多い傾向があります。キッチンカーでの開業を検討している人は、廃業に追い込まれないためにも運転資金を用意することを検討しておきましょう。
開業資金の目安が知りたい人は資金計画を立ててみる
開業資金の目安が知りたい人は、資金計画を立てることを検討してみてください。資金計画を立てることにより、運転資金の目安に加え、開業資金の目安を図ることもできるからです。
【資金計画のイメージ】
必要となる資金 |
内訳 |
金額 |
設備資金 |
・内装費 ・外装費 ・車両購入費 |
・60万円 ・40万円 ・300万円 |
運転資金 |
・食材費 ・人件費 ・水道光熱費 |
・20万円 ・10万円 ・10万円 |
資金計画を立てる際、まずは設備資金と運転資金の内訳を算出します。内訳を算出後、設備資金と運転資金のそれぞれを合計した金額が開業資金の目安となります。
設備資金と運転資金のそれぞれの金額を算出した後は、資金調達の方法を考えることになります。資金調達の方法はいくつかありますが、キッチンカーに限らず、開業においては自己資金と借入資金に分けて考える傾向があります。
これらはあくまでも一例ですが、資金計画を立てることにより、運転資金の目安に加え、開業資金の目安を図ることができます。そして、資金計画は事業計画の一部となるため、資金計画を立てる場合は事業計画書を作成することも検討してみましょう。
事業計画書の作り方がわからない人は専門家に相談してみる
事業計画書の作り方がわからない人は、専門家に相談することも検討してみてください。専門家に相談することにより、事業計画書の作り方に加え、キッチンカーを利用した経営のアドバイスがもらえる可能性もあります。
【相談先の一例】
- 商工会議所
- よろず支援拠点
相談先の候補として挙げられるのは、「商工会議所」や「よろず支援拠点」です。これらの相談先は経営課題の支援も行っているため、事業計画書の作り方に関するアドバイスに加え、キッチンカーを利用した経営のアドバイスをもらえる可能性もあります。
ただし、専門家に相談する場合は依頼料として所定の費用がかかる可能性もあります。セミナーや説明会に参加する場合は事前予約が必要になることもあるため、専門家に相談してみたい人はそれらの点を留意しておきましょう。
まとめ
キッチンカーを利用して開業する際、もっとも費用がかかるのは車両まわりです。とくに、「車両購入費」「内装設備費」「外装改造費」といった費用がかかることになるため、まずは開業資金を知る目的としてこれらの項目を確認してみましょう。
また、開業資金を貯めるときは、開業後の費用として運転資金を貯めることも検討してみてください。開業後、順調に利益を上げられるとは限らず、軌道に乗るまでにある程度の期間がかかることも想定できます。
なお、開業資金の目安が知りたい人は、まずは資金計画を立てましょう。資金計画は事業計画の一部ですが、資金計画を立てることにより開業資金の目安を図ることができるため、キッチンカーでの開業を検討している人は資金計画を立てることを考えてみてください。
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平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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