金融機関からの融資やクラウドファンディングなど、資金調達する方法にはいくつかありますが、出資を受けたいと思っている人もいますよね。
今回は、資金調達手段のひとつである、エンジェル投資家からの出資で資金調達する方法を解説します。
エンジェル投資家とは?
エンジェル投資家とは、「起業家に出資をする個人投資家」のことを指しています。
起業家の事業立ち上げにあたって、必要な資金などのサポートをしてくれます。
元々は、演劇業界で劇団や駆け出しの役者を支援する人のことを「エンジェル」と呼んでいたのが始まりです。その後、ビジネス業界において「起業家に投資する人」の意味で使われるようになりました。
起業したばかりで実績も資金もない起業家にとって、支援をしてくれる人が天使(エンジェル)のようだというところから「エンジェル投資家」の名がついた、という説もあります。
(1)ベンチャーキャピタル(VC)との違い
ベンチャーキャピタルとは、投資家や金融機関など、他者から集めたお金を用いて、将来有望と思われる企業などに対し、株式などを取得することで投資を行い、株式公開後に取得した株を売却することで利益を得る組織のことです。
まず、審査が違います。エンジェル投資家は個人投資家なので、基本的には自分が応援したいと思った起業家に対して支援をすることになります。
一方、ベンチャーキャピタルは、銀行などから融資を受ける場合と同様、明確な審査基準があります。
また、融資額にも違いがあり、ベンチャーキャピタルの場合、1億円以下の投資は基本的には行いません。1件あたりの融資額が、少なくても2~3億円規模の投資を行う傾向があります。
(2)クラウドファンディングとの違い
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて商品やサービスなどのアイデアを公開し、不特定多数の賛同者から資金を集める方法のことを言います。
そのため、多くの支援金を得るためには、より多くの人の共感を得ることが大切です。エンジェル投資家の場合、個人ですべての資金を提供します。
また、クラウドファンディングで出資する人は学生や主婦、高齢者など、さまざまですので、支援する人から経営的なアドバイス等、資金面以外でのサポートは受けづらい傾向があります。
エンジェル投資家が投資する目的は?
エンジェル投資家としては、企業経営者や引退した元経営者など、起業して成功した人たちである場合があります。
金銭のリターンよりも、自分の経験や資産を活かして、「若い起業家や新しい企業を応援したい!次代を担う人材の育成をしたい!」という目的を持ったエンジェル投資家がいます。
起業家が事業で安定した実績を得られるように、人脈を活かして第一線で活躍する経営者を紹介したり、経営に関する助言やこれまでに蓄積してきたノウハウ、自分が苦労したことに対して支援したりと、精神的なアドバイスまでもらえることが多く、心強い味方になってくれる可能性も考えられます。
投資額の相場はいくら?
投資額としては、500万円から2,000万円で行われる場合があります。
多額の融資を受ける必要がない事業であれば、エンジェル投資家に申し込むのもひとつの選択肢として考えてみるのも良いでしょう。
エンジェル投資の仕組み
エンジェル投資家からの資金を受け入れる方法として、いくつか挙げられます。
まず、株式会社の場合、よく使われる方法は、第三者割当増資と転換社債型新株予約権付社債(CB)です。
第三者割当増資では、会社がエンジェル投資家に新株を引き受ける権利を与えることで資金を受け入れ、増資します。転換社債型新株予約権付社債は、一定の価格で株に転換する権利が付いている社債です。
株に転換するか、普通の社債に比べて利回りは低いですが、株に転換せずに社債として持ち続けるか、投資家側で選択できます。株に転換するまでは、会計上は負債として計上します。
また、どちらの方法を取る場合でも株主総会での特別決議が必要とされています。
なお、株式会社以外の法人の場合、会社法や自社の定款など、確認をしておきましょう。
合同会社を例に挙げると、基本的に「出資者=経営者」であり、出資額にかかわらず同等の議決権を持つとされています。
エンジェル投資家に自分の会社の経営権を握られないよう、定款で経営を行う社員を指名したり、議決権割合について定めたり、対応が必要となることも考えられます。
エンジェル投資が広がってきた背景
日本のエンジェル投資家は、アメリカなどに比べると少ないと言われています。
しかし、大手企業をけん引してきたベテランの経営者やIT業界で成功した著名人など、エンジェル投資家として出資する人が増えてきたこともあり、「エンジェル投資」という言葉が聞かれるようになりました。
また、創業して間もない企業を支援した個人投資家に対して税制優遇をする「エンジェル税制」を国が導入したことも、エンジェル投資を後押しする要因となっています。
エンジェル税制では、大きく分けて2つの優遇措置があります。
ただし、エンジェル税制の対象企業となるには、設立してからの経過年数や従事する社員の人数など、いくつかの要件を満たすことや手続きが必要になります。
エンジェル投資家から資金調達をしたいと考えているのであれば、まずはその対象要件を満たす企業になる必要があります。
対象要件が気になる人は、中小企業庁の公式サイト「エンジェル税制の対象要件」を確認してみてください。
エンジェル投資家から資金調達!メリットとデメリット
投資家から出資を受けるためには?
エンジェル投資家への3つのアプローチ方法
では、どのようにしたらエンジェル投資家と出会えるのでしょうか。エンジェル投資家と出会う方法を3つ挙げます。
(1)投資家に直接連絡する
まず、経営者に手紙やメール、SNSなどで直接連絡をする方法です。
文面は丁寧かつ簡潔に要件を伝えましょう。そして、面談の機会を申し込みます。
ただし、必ず返事がくるとは限りませんが、事業に対する真剣さや熱意を持って伝えることで、投資家に興味を持ってもらえることもあります。
(2)イベントやセミナーなどで接触する
金融機関や人材企業、全国各地の自治体、経済団体などが開催する起業家と投資家のイベントやセミナーに参加してエンジェル投資家を探します。
直接会って話ができるという点が最大のメリットです。
そのような場に積極的に参加することで、日頃から投資家との人脈を作っておきましょう。
(3)マッチングサイトを利用する
起業家とエンジェル投資家を繋ぐマッチングサイトがいくつかあります。
コネクションの少ない事業者にとって、サイトを通じて手軽にエンジェル投資家を探すことができるようになりました。
エンジェル投資家のプロフィールや経営経験など、サイトに掲載されている情報を参考にしながら、自分の事業を直接投資家に提案できる機会が得られます。
具体的な事業計画や事業への熱意をうまくアピールすることができれば、エンジェル投資家からの資金調達ができる可能性が高まります。
また、サイトによっては、会費や成功報酬などの費用がかかるものもありますので、確認してから利用しましょう。
エンジェル投資家を選ぶチェックポイント!
前述したとおり、エンジェル投資家は資金の出資だけでなく、精神的なアドバイザーとして長い付き合いになることがあります。
出資を受ける際には、直接会って話をし、お互いのことをよく理解した上で、今後も気持ちよく付き合える人を選ぶようにしましょう。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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