エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの違いを知っていますか?

エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの違いを知っていますか? 更新日:2018.02.16 公開日:2018.02.16起業のための資金調達 – エンジェル投資家・vcからの資金調達
エンジェル投資家 ベンチャーキャピタル 違い

二つの資金調達方法の違いとは何か?

起業家にとっては有難い資金調達方法でもある、「エンジェル投資家」と「ベンチャーキャピタル」ですが、一見どちらも同じ方法に思えますが、実は中身は違うものなのです。 今回は、似ている二つの資金調達方法の違いについてご説明していきます。

1.「エンジェル投資家」と「ベンチャーキャピタル」の違いは?

これらの資金調達方法の特徴は、将来発展していく見込みがある企業に対して、投資家やベンチャーキャピタル会社が出資を行い、企業側は出資を受け、事業の発展に努めるというところです。

違いが分からず、利用する際に困った人もいるのではないでしょうか?

そこで、どんなところが違うのか、一つずつ順を追ってご説明していきます。

 

(1)出資者

まずは出資者の違いです。

エンジェル投資家は個人であり、個人的に投資を行うものになります。

投資を行う企業との距離も近く、個人的な資金を使って投資を行う為、経営の仕方を左右される場合があります。

無関心というよりは、一緒に作りあげていくという意識が比較的強いという特徴です。

その半面、ベンチャーキャピタルは投資会社であり、投資家が出資した資金を、法人として代わりに投資を行うものです。

法人として投資を行う事業の為、ある程度の距離を保ち、過度な口出しや投資を行う企業を乗っ取るなどの事はありませんが、数字に対しては非常に厳しいです。

 

エンジェル投資家 ベンチャーキャピタル 違い 図1

 

(2)ステージ

次に企業が成長していくステージの違いです。

エンジェル投資家は、起業したばかりの最初の成長時期に必要な、成長資金を集める為に向いていて、投資する側も、ある程度の設定金額で、ハイリスク・ハイリターンを目指します。

ベンチャーキャピタルは、最初の成長は作り上げ、それを拡大していく為に必要な、拡大資金をまとめて集める為に向いていて、投資する側も、まだ先の見えないエンジェル投資家よりも比較的リスクを少なくし、それなりにリターンを目指します。

しかし、この境界線をハッキリと分けることは難しく、あくまで傾向的にこうなっている、という事だけ覚えておいてください。

 

エンジェル投資家 ベンチャーキャピタル 違い 図2

 

(3)審査

次に審査での違いです。

エンジェル投資家に審査というものはなく、出資を行うかは投資家の個人的なレベルで決定されます。

企業や経営者のプレゼンを聞き、「魅力的だ」「熱い思いに共感した」という理由で出資が決定されることもよくあります。

ベンチャーキャピタルには法人として投資を行い、出資には会社の経営が関わります。

扱う金額も大きい為、金融機関と同じような審査が行われます。

 

エンジェル投資家 ベンチャーキャピタル 違い 図3

 

(4)出資金額

次に投資側が出資を行う金額の違いです。

エンジェル投資家は、個人的な資金を使い投資を行う為、出資する金額は少額である傾向があります。

目安は、500万~数千万円となっています。

ベンチャーキャピタルは、顧客でもある複数の投資家から資金を集め、出資を行う為、リターンの確実性が求められ、審査も当然厳しくなりますが、エンジェル投資家に比べると、出資する金額は高くなります。

目安は1億~数億円となり、大きな違いがあることが分かります。

 

エンジェル投資家 ベンチャーキャピタル 違い 図4

 

2.どちらの資金調達方法が良いのか?

それぞれの方法で違いが分かったところで、どちらが良いのかという最終判断は、企業の経営状態、経営者の想いにより変わってきます。

判断するポイントとして、以下の事もご参考にし、検討してみて下さい。

 

▪ステージ・金額で判断

起業したばかりで事業も安定せず、売上も確実に獲得できていないのであれば、エンジェル投資家からの一定の金額で出資を受け、まずは安定させることを目指すと良いでしょう。

経営は安定していて、売上も確実に獲得できている状態ならば、ベンチャーキャピタルからまとまった金額の出資を受け、事業の拡大に努めると良いでしょう。

 

▪業種・成長率で判断

エンジェル投資家が出資を行う企業として多い業種は、医療機器・ヘルスケアなどの医療関係、ソフトウェアなどのインターネット関係です。

エンジェル投資家が好むものが、ハイリスク・ハイリターンのものであり、これらの業種は形になるまでのリスクをエンジェル投資家が背負うものになる為、まずは相談をし、決定をするようにしましょう。

ベンチャーキャピタルにもターゲットとする業種によって銀行系ベンチャーキャピタル・政府系ベンチャーキャピタル・保険系ベンチャーキャピタル等、色々な分野に分かれています。

利用する際は、どんな業種に対してどんな出資をしているベンチャーキャピタルなのか、という所も判断基準として考えておくと良いでしょう。

 

▪自社の評価で判断

どちらの資金調達方法でも、まずは投資家の目に留まる事、評価されることが大前提です。

身近な判断のみで決めるのではなく、色々な方面から見た時の、自社の立ち位置を知ることが大事です。

自社の今までの実績や事業計画、成長具合などから判断するのも良いでしょう。

 

まとめ

順を追って見ていくと、二つの資金調達方法の違いが見えてくることが分かります。

まずは成長段階、安定させるためにエンジェル投資家から出資を受け、事業が軌道に乗ってきた段階で、ベンチャーキャピタルや金融機関からの出資を受けるという事も、成功する為の一つの手でもあります。

エンジェル投資家とベンチャーキャピタルの違いをしっかりと理解し、成功を目指した資金調達ができるようにしていきましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
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