出資による資金調達のポイントとは?
資金調達の一つでもあるベンチャーキャピタルですが、実際にどのように進めていき、資金調達をするのか、詳しいことを知っている方も少ないと思います。 今回は、ベンチャーキャピタルの利用方法から、仕組みまで、詳しく解説していきます。 新しい資金調達方法としてベンチャーキャピタルを利用することも、会社の発展に繋がる第一歩になるかもしれません。
1.ベンチャーキャピタルの仕組み
ベンチャーキャピタルとは、将来発展していく見込みのある企業(主にベンチャー企業)をターゲットとし、起業への出資・経営コンサルティングを行う会社です。
ベンチャーキャピタル側の利益としては、出資を行う企業の株式等を引き受け、投資を行う為、利益はゼロに等しいのではないかと思われがちですが、実際には出資を行う企業が上場後に株式を公開し、その株をベンチャーキャピタルが売却します。
出資額と売却額の差額こそが、ベンチャーキャピタル側の利益となるのです。
差額を大きくするためには、企業がどれだけ発展しているのか、という事が鍵になるため、ベンチャーキャピタルは企業の経営コンサルティングを行い、事業の立て直しを図るのです。
ベンチャーキャピタルの仕組みが分かったところで、実際にどのように進めていけばいいのかについてご説明していきます。
2.ベンチャーキャピタルを利用する手順について
①事業計画書の作成・修正
ベンチャーキャピタルに対してアプローチを行う前に、企業側が行う事として、事業計画書の作成が必要です。
既に用意されている物でも、改善する点は無いか、もう一度見直しを行うようにしましょう。
その理由として、ベンチャーキャピタルが出資を行うかどうするかは、事業計画書に記載されている項目が重要視され、決定されるものでもあります。
事業計画書に記載する最低限の項目と、その中でも特に重要とされる点はしっかりと押さえ、出資を受けるための事業計画書作成・修正に力を入れましょう。
②ベンチャーキャピタルへアプローチを行う
事業計画書を作成して待っていても、ベンチャーキャピタルからの出資は受けられません。
まずは、自らがベンチャーキャピタルに対してアプローチを行う必要があります。
今回は、そのアプローチ方法として、3つをご紹介します。
(1)知り合いからの紹介
同業者や創業者はもちろんの事、友人、上司等、ベンチャーキャピタルとつながりを持つ人は比較的多く、まずは身近な人から話を聞いてみると良いでしょう。
また、「誰から紹介を受けたのか?」という事もベンチャーキャピタル側は、重視する傾向にあります。
その理由として、過去にその人から紹介を受けた会社が発展し成功をしていたら、「その人から紹介を受けた会社」となり、出資を行う審査の段階で有利になるからです。
(2)直接連絡をする
電話・メール等でベンチャーキャピタルに問い合わせ、接触をする方法もあります。
接触をし、面会の機会が取れるのなら、事業計画書を持参し、事業計画書に沿ってしっかりと説明ができるようにしておきましょう。
(3)ピッチコンテストへ参加
ピットコンテストというのは、起業したてのスタートアップ企業を対象としたプレゼンテーション大会の事を指します。
このコンテストの審査員として呼ばれる傾向にあるのが、投資家・著名人・ベンチャーキャピタル等です。
そのため、自社を知ってもらうには絶好の場とも言え、大きなチャンスとなります。
短時間で、自社の思いや事業の事をどれだけ伝えることができるか、がポイントとなります。
ピッチコンテストは色々なところで開催されているため、ベンチャーキャピタルの利用を考えている人は、一度調べてみると良いでしょう。
▪出資が決まる確率は極めて低い
“30社近くのベンチャーキャピタルと接触をし、出資を受けられるのはそのうちの1社”という気持ちでいた方が良いでしょう。
出資を受けることはなかなか難しいことであり、決まらない可能性があるからです。
その為、できるだけ多くのベンチャーキャピタルと接触を行うことが大切です。
▪自社と似ている企業へ出資しているベンチャーキャピタルを選ぶ
ベンチャーキャピタルにも、得意・不得意の分野があり、全ての業種を完璧に知り尽くしているわけではありません。
その為、自社に近い事業を行っている企業へ出資をしているベンチャーキャピタルであれば、「出資をして、このくらいの回収はできるだろう」という判断基準にもなります。
接触をしようとしているベンチャーキャピタルが、どのような企業に対して出資を行っているのか、という事も分かると良いでしょう。
③要求を受けた書類の提出
ベンチャーキャピタルへ接触を行い、面会の約束等が取れた場合には、必要書類の持参・提出を求められることになります。
約束をした段階で求められるか、面会後に改めて求められるか、タイミングは様々です。
要求を受けることになる必要書類の例は、以下の通りです。
書類の提出後、出資の見込みがある場合は、再度面談・書類の追加提出・書類の修正等の連絡を受けることもあります。
④ベンチャーキャピタルによる調査・分析
提出した書類や面談以外に、ベンチャーキャピタルが実際の状況を知るためにも「市場動向調査」「業界動向調査」「事業計画書の妥当性調査」「会計士による財務調査」を独自で行い、結果をみたうえで最終判断を行います。
⑤出資条件の決定
④の調査結果後、「出資委員会の審査」にかけると判断された場合は、出資の条件が設定されることになります。
その条件というのは以下のようなものです。
▪現状の企業価値はいくらか ▪株価の設定金額 ▪株をどのくらい共有し、所持するか ▪出資額をどうするか ▪出資の時期 |
条件が決定され、出資契約書が提示される流れとなります。
この条件に対して、自社の考えが考慮されることもあれば、されないこともあり、条件によっては、交渉をするという形をとることも可能です。
▪「代表者への株式買取請求・損害賠償請求」
出資は融資と異なり、経営が失敗をしても自社に大きな負担はなく、返済をする必要はありませんが、「代表者への株式買取・損害賠償請求」という条項を契約書に記載してくるベンチャーキャピタルが無いとは言えません。
契約書は隅から隅までしっかりと確認をするようにしましょう。
▪「重要事項に関する事前協議・事前承認事項」
ベンチャーキャピタルは経営コンサルティングを行う為、色々な面で口を出してきます。
出資を受ける側なので、口を出されることは仕方ないことではありますが、必要以上に多くの事に関して口を出されるのでは、経営自体が上手くいかなくなってしまいます。
経営陣のみで判断させてほしい点があれば、外してもらうように交渉しましょう。
⑥出資委員会による審査
契約内容が決定した段階で、後は最終審査でもある、ベンチャーキャピタルの中で行われる出資委員会の審査を待つのみです。
この審査にかかる期間は、約1~2カ月程度と見ておくと良いでしょう。
⑦出資の実行
出資委員会の審査が通った段階で、出資契約を結び、実際に出資を受けることができます。
3.ベンチャーキャピタル利用の必要性
ここまでのお話で、ベンチャーキャピタルの仕組みから利用する手順までが分かりましたが、どんなことにもメリット面があるように、デメリット面も存在します。
デメリットとして挙げられることが以下のような事・・・
特に三つ目の「間接費用」に関しては、名もない企業が無理な上場を目指しても、その後の維持が困難となる可能性が大いにあるため、急激な上場を目指すよりは、状況を見ながら、徐々に発展を目指していく方法をとる方が良いと言えます。
デメリット面も考えたうえで、本当に利用するべきかどうかを、改めて考えてみると良いでしょう。
まとめ
経営者としては、ベンチャーキャピタルも資金調達方法の一つとして考えられるという事を、覚えておくと良いでしょう。
デメリット面もありますが、それ以上に出資や経営コンサルティングも受けられるのならば、まずは利用者の声を聞くなどし、一歩踏み出してみるのもいいかもしれません。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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