初めて起業するなら、できないことがあるのは当たり前!
でも、必要最低限の知識とスキルは必要。
将来起業したいと考えている方は、起業する前にどのような知識が必要でどんなスキルを身につけておけばいいのでしょうか?
起業したいけど、何から学んだらいいのかわからない。
自分に足りないスキルはなんだろう?
そう疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
資格をたくさん持っていたり、高度な技術を持っていてもビジネスで成功するとは限りません。
ここでは、起業するために必要な知識と身につけるべきスキルを紹介します。
1.まずはじめに
「すべてにおいて完璧を求めない」ということです。
初めて起業するわけですから、できないことがあるのは当たり前です。
経営者として、必要最低限の知識とスキルを身につけることは必要です。
ただ、ビジネスの全体像はしっかり把握した上で、自分の弱い部分や苦手な部分は専門家に任せるという手もあります。
頼れる仲間や信頼できる業者をいかに味方につけられるように人脈を作っておくようにしましょう。
2.起業する業界・分野の知識
まずは、起業する業界や分野について、徹底的に分析しましょう。
(1)業界動向・顧客の志向
自分が起業を考えている業界にどのような競合がいるのか知っておくとよいでしょう。
他社の販売プロセスや広告戦略、価格設定、顧客満足度などを徹底的に調査しましょう。
そして、そのビジネスモデルによって成功しているのか、あるいは失敗したのか、できる限り情報を集め、分析します。
情報を裏付る判断材料のひとつとして、統計やアンケートを利用することがあります。
しかし、それだけで全てを判断せず、よりリアルな情報に触れるため「現場」に出ることも検討してみてください。
たとえば、ラーメン店を起業しようと考えているのであれば、
人気のあるお店へ実際に行って客としてラーメンを食べてみたり、行列に並んでいるお客さんになぜこの店を選んだのか、話を聞いてみてもいいかもしれません。
また、業界人が集まるセミナーなどがあれば、積極的に参加してみましょう。
相手を知ることで、独自の強みや対策方法を考え、差別化を図ることが可能になります。
起業した後も業界や顧客の動向は、継続的にチェックすることが必要です。
3.マーケティング
ここでいうマーケティングとは、「製品・販売戦略」のことを指します。
・誰に売るのか?
・何を売るのか?
・いくらで売るのか?
・どこで売るのか?
・どのようにして知ってもらうか?
を考え、あなたのビジネスの枠組みを決めます。
(1)ターゲット層
誰に対してビジネスをアプローチするのか、
あなたの会社の商品を買うことで、利益を得る人は誰なのか、ターゲットを絞ります。
飲食店を例に挙げて考えてみましょう。
「安く、早く、お腹いっぱい食べたい学生」と
「オシャレな空間で写真映えする料理を食べたい女性」とでは、
提供すべきサービスが変わってくるでしょう。
このようにターゲット層を絞ることで、商品のコンセプトや方向性がよりはっきりしてきます。
また、顧客の具体的なニーズを引き出すことにもつながります。
(2)商品作り
商品を検討するときに重要なのは、「お客さまが買いたい商品を販売する」ということです。
時間とお金をかけて、自己満足な商品を作ったとしても売れなければ意味がありません。
そのためには、顧客のニーズを詳細に分析し、本当に必要なものや欲しいものは何なのか、
リアルな「人の声」を聞き、価値ある商品やサービスを提供しましょう。
(3)価格設定
起業したら、あなたは社長として、自社の商品やサービスでどのように収益を出すのかを考える必要があります。
価格は、売上や利益など企業の業績に直結しています。
逆に、顧客にとっては購入に対するハードルになるため、適正な価格を設定することが重要です。
たとえば、低い価格設定により、顧客の購買意欲は上がるかもしれません。
しかし、企業にとっては売上が伸びても、収益が低く赤字続きでは元も子もありません。
反対に、高い価格設定は、企業にとって高い収益を上げるために有効かもしれませんが、
顧客にとっては購入に対するハードルが高くなり、売上が下がるという結果につながる可能性があります。
企業が価格を設定する際には、提供する製品のコストをベースに検討することはもちろんですが、
いくらならお金を払ってもらえるのか、
より高く売るにはどうしたら良いのか、
しっかりと戦略を立てましょう。
また、競合他社の価格設定など市場環境を考慮し、最適の価格を見極められるとよいでしょう。
(4)流通網の構築
どんなに素晴らしい商品を作ったとしても、その商品が実際に店頭に並んでいなければ購入されることはありません。
そこで、ターゲット顧客の行動や特性に応じて、どこで売るのが最適か決定し、流通網を構築する必要があります。
ターゲットが若者であれば、ふらっと立ち寄れるコンビニやいつでもどこでも注文が可能なネットショップが主要な流通網になるかもしれません。
仮に富裕層がターゲットであれば、高級感があり、より上質なサービスを提供している百貨店などが効果的な流通網になるでしょう。
スムーズな商品販売が実施されるようにターゲットとなる顧客の行動を分析して、顧客との接点を増やすことで、売上アップにつながっていきます。
(5)集客の仕組み
事業を拡大、成長させていくためには、「新規顧客の開拓」と「顧客のリピート化」が必要です。
まずは自社の商品やサービスを知ってもらうための情報発信をしましょう。
どんなに良いものを作っても、商品の存在を誰も知らなければ売上は上がりません。
また、お客様が商品を買い、「良い商品だった!」と誰かに伝えたくなるような仕組みがあれば、さらに情報は広まっていくでしょう。
テレビやラジオ、新聞、雑誌、インターネットなど、さまざまなメディアがあります。
目的に応じて使い分けることで、より効果的にアピールすることが可能になります。
4.会計、経理、決算書
お金の知識を持つことは、ビジネスを行っていく上で、とても重要です。
しかし、自分で財務諸表や試算表などの書類を作れる必要はありません。
中身を読むことが出来れば問題ないので、最低限の会計の知識である、
「貸借対照表」と「損益計算書」の見方を抑えておきましょう。
そして正式な書類作成は税理士などの専門家に任せて、
あなたは会社の経営者として
「いくらお金を使って、いくら儲かるのか」を考え、
ビジネスに専念しましょう。
(1)決算書の正体
STEP1:
「貸借対照表」とは、会社の「資産」と「負債」を表したものです。
まずは貸借対照表の右側にある、「負債」と「純資産」を考えます。
起業するにあたり、資源を調達しなければなりません。
そのための必要額が決まれば、自己資金でいくら用意して、銀行や出資者などからいくら借入すればいいのかがわかります。
STEP2:
貸借対照表の左側は、「資産」を表しています。
必要な人材への支払いや機材、車、パソコンなどの設備、店舗や事務所の家賃など、
調達した資金で「なにを購入」し、残っている「現金」はいくらかを示しています。
STEP3:
「いくら使って、いくら利益を得たか」を表したのが、「損益計算書」です。
収益から費用を差し引いて、プラスになれば黒字、マイナスだったら赤字です。
まずは難しく考えず、
「費用がいくらかかり、いくら売上が上がって、結果いくら儲かったのか」を理解しておきましょう。
(2)資金繰り
起業したばかりの会社にとって、「資金繰り」が大事になってきます。
安定した売上が確保できるまでの間も、会社を維持するための費用や広告費など、さまざまなコストが発生します。
また、帳簿上では利益が出ているのに、手元に現金がなく黒字倒産してしまう可能性もあります。
いつ、いくら入ってきて、いくら出て行くのかを見える化し、
正しい情報を把握するために「資金繰り表」を作成することを検討してみてください。
5.人に仕事をしてもらうスキル
自分一人でできる仕事の量は限られています。
最初は自分だけで業務をこなせたとしても、組織を大きく成長させるためには、仕事を割り振り、人に任せることも必要になってきます。
一緒に働く人たちに気持ちよく、事業目的に貢献してもらえるようにしましょう。
同じ志を共有するため、任せた仕事がどんな意味を持ち、どう重要なのか、
また会社への貢献にどうつながるのか、わかりやすく伝える力を身につけましょう。
また、将来、人を雇うときのために、誰がやっても同様の結果が出るルールや作業マニュアルを作り、仕組みを考えるのも経営者の仕事です。
6.ITスキル
インターネットが普及している現代において、
パソコンが苦手だったとしても、自分でビジネスをする上で避けて通ることはできません。
難しいプログラミングの知識を習得する必要はありません。
メールシステムやホームページ、ブログでの情報発信、各種SNSの使い方など、自社にとって最低限必要な操作ができればOKです。
IT業界は常に進化し続けています。
常に業界の動向に関心を持ち、
チャンスだと思う広告宣伝方法などをすぐ実施できるようアンテナを立てておきましょう。
7.法律の知識
事業全体に関わってくる法律や、業界や分野によって重要になってくる法律など、世の中にはさまざまな法律が存在します。
- 民法
- 会社法
- 労働法
- 税法
- 中小企業基本法 など
すべての法律を把握するには、膨大な時間もかかるためすべてを把握するのは現実的には難しいでしょう。
しかし、経営者として、知らなかったでは済まされません。
基本的には弁護士や司法書士、税理士、公認会計士などの専門家に任せ、まずは最低限抑えておくべき法律を学びましょう。
【参考リンク】
・下請法
8.コミュニケーション能力
ビジネスの本質は、「相手の喜ぶことをして、その対価としてお金をもらう」ということです。
そのためには、相手が何を求めているのか、真意を汲み取ることが大切です。
自分の考えや憶測で相手の言っていることをとらえるのではなく、
相手の考えに耳を傾け、相手の状況やニーズ、願望を理解しながら話を進めましょう。
相手の説明が不十分であれば、相手の反応を見ながら、理解できるまで質問を繰り返すことが効果的です。
良好な人間関係を築くことで、仕事を円滑かつ効率的に進めることにつながります。
9.カスタマーケアのスキル
ビジネスをする以上、そこにはお客様がいます。
前述したコミュニケーション能力とも似ていますが、お客様の声を聞き、その真意を汲み取ることが大切です。
お客様からのさまざまニーズや質問に的確に応えることで、
お客様の満足度が上がり、追加購入やリピート利用、知人への紹介などにつながるのです。
新規の顧客獲得だけに注力するのではなく、
事業を有利に展開するためには、いかに固定客を作っていくか考え、戦略を練っていきましょう。
カスタマーケアの中でも特に重要なのが、「スピーディーな対応」です。
現場には、商品に関する一般的な問い合わせもあれば、不具合に対する不満やクレームまで、さまざまな声が寄せられるでしょう。
「すぐに連絡をくれた」や「商品をすぐに交換してくれた」などの迅速な対応が問題の拡大を防ぎ、
結果的にお客様に満足してもらえるということがあるのです。
10.プレゼン能力
どんなに売れる商品や良いサービスを作っても、相手に価値が伝わらず売れなければ意味がありません。
また、資金調達するためにプレゼンする場面が出てくるかもしれません。
ビジネスをする以上、自分の考えていることを相手にわかりやすく的確に伝えるスキルが必要になります。
プレゼンは練習することで上達します。
頭の中でイメージするだけでなく、身振り手振りや声のトーンなど、実際にどんな風に相手に見えているのか、声に出して確認することが大事です。
自分のプレゼンをカメラで撮って確認したり、身近な人を相手にプレゼンして客観的な意見をもらったりすることで、ブラッシュアップしていってください。
11.ライティング能力
自社の商品やサービスを効果的にアピールするには、ホームページやブログ、SNSでの情報発信が不可欠です。
文章を書くのが苦手という方は、まず言葉の引き出しを増やすためにたくさんインプットしましょう。
雑誌やテレビを見ているとき、ホームページを閲覧しているとき、街中で見かける看板やチラシなど、あらゆるものがネタになります。
良いと思ったフレーズや単語があれば、どんどん書き留め、自分オリジナルのネタ帳を作りましょう。
12.マクロを見る力
グローバル化が進む現代では、日本国内の経済情勢や人口の推移、さらに海外の動向に至るまで、
あらゆる事柄から自分のビジネスに影響を受ける可能性があります。
ただニュースを見るのでなく、
世の中はどういった「流れ」で、どういった「変化」が起きているのか、
それが自分のビジネスにどんな「意味」を持っているのか考える癖をつけましょう。
13.論理的な思考力
起業家にとって、「考える力」が非常に重要になってきます。
知識やノウハウをどれだけ身につけても、周りの環境や状況は常に変化していきます。
なぜうまくいかなかったのか原因を考察し、適切に修正をすることで結果につなげていく。
会社経営とは、この繰り返しです。
わからないからと言って嘆いたり右往左往するのではなく、物事を客観的に捉え、自分の頭で論理的に考え、活路を見いだす力が必要です。
14.進みながら考えるスキル
事業を成長させるためには、現場でスピーディーに対応する行動力が何よりも大切です。
計画を立てることももちろん大切ですが、
「準備が整ってから…」と考え続けて何もしなければ、事業の発展はありません。
まず、やってみる。
行動するからこそ、計画通りに行かないことが判明したり、何が必要なのか、新しいアイデアが生まれてくるのです。
15.まとめ
いかがでしたでしょうか?
起業するためには最低限抑えておくべき知識やスキルがあります。
ただ冒頭でも書いたとおり、初めからすべて自分で出来る人はいませんし、実際の経験から身につくこともたくさんあります。
「やる気」と「熱意」があれば、今のあなたに知識やスキルがなかったとしても心配はいりません。
あとはひとつずつ実際にやってみて、結果を確認して、より良いものに改善していく。
この繰り返しです。
まずは一歩、踏み出してみてください。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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