そのお電話を受ける時には、受付担当が「こちら、事業性融資のお手伝いをしている会社でして」という説明を毎回しています。 いま、私はこの会社にいるので「事業性融資」の意味を分かっていますが、一般的なひとであれば「事業性融資」という言葉に馴染みがないのではないでしょうか。
そこで今回は、「事業性融資とは何?」というテーマでシンプルに内容を説明していきたいと思います。
1.事業性融資とは?
①事業向け融資の1種である
事業性融資とは、ひとことで言うと「事業向けの設備資金と運転資金を貸してくれる融資」の中で、事業内容や将来性を考慮して審査してくれるタイプの融資です。
文章でこう書くと、何だかわかったような?わからないような気がしますので、図で説明していきますね。
事業向け融資では、設備資金か運転資金の2種類を銀行などから借りることができます。設備資金とは、その名の通り設備を購入するための資金です。
例えば、製造工場そのものであったり、飲食店の場合はお店の中のグリドルであったり、ピザを焼くための窯だったり。通常、設備資金は運転資金よりも高額なため、借りた金融機関に返す機関も運転資金よりは長めに設定されています。
(運転資金よりもプラス2~5年長い)
これに対し、運転資金とは毎月あなたの会社やお店を経営するための使う資金です。例えば、小売店を経営している場合は品物を仕入るための資金やアルバイトさんを雇うための資金、光熱費や店舗家賃が運転資金となります。
②一般的な融資と審査方法が異なる「事業性融資」
事業性融資ではない一般的な事業向け融資では、主に決算書の内容(=財務データ)と保証人・担保の内容によって融資をするかどうかが決められています。
しかし、決算書の内容と保証人・担保のみで融資を判断する場合、逆に言えば「決算書の内容さえ良ければ融資に通ってしまう」や「どんなに成長性があり事業内容が素晴らしくても、融資には落ちてしまう」といった懸念点が発生しました。
一般的な事業向け融資の良い点と悪い点は以下となります。
【一般的な事業向け融資の良い点】
- 企業の財務データを元に融資の判断するため、公正な審査ができる
- 財務データを元に審査するため、貸す側の金融機関の貸し倒れリスクが低くなる
【一般的な事業向け融資の悪い点】
- 今現在は決算書の内容が良くない事業で将来的に成長する事業は融資を受けられない
- 事業内容を考慮せずにお金のデータのみで判断するため、社会的に必要な融資でも審査で落としてしまうことがある
③事業性融資は平成25年6月の「日本再興戦略」をきっかけに始まった
日本ではこれまで長い間、決算書の内容次第で融資をするかしないかを決めていました。その方が画一的な審査ができ、工数(時間)もかからなかったからです。
しかし、「これでは優良な事業が日本では起業されなくなる」と現状を危惧した金融庁は、平成25年6月に「日本再興戦略」を閣議決定し、その中で「事業性評価に基づく融資をするべき」という内容を盛り込んだのです。
2.事業性融資は丁寧な審査だから書類がたくさん必要になる
事業性融資の審査では、金融機関は「事業計画」や「創業計画」といった計画書を事業者に提出させます。これは、決算書の内容だけではなく事業内容を正確に把握するためです。
まとめ
事業性融資についてご説明いたしました。
事業性融資では計画書などの提出書類が多いのですが、その分、決算書のデータだけで融資の合否を判定するものではありません。
事業性融資を取り扱っている金融機関は日本政策金融公庫です。
当サイトには日本政策金融公庫の事業性融資の攻略法を網羅していますので、ぜひ他の記事もご参照なさってください。
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