日本政策金融公庫への申請サポートを行政書士に依頼する場合の判断基準を解説

日本政策金融公庫への申請サポートを行政書士に依頼する場合の判断基準を解説 更新日:2025.07.02 公開日:2019.01.08起業のための資金調達 – 日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫 行政書士

日本政策金融公庫から融資を受けたいと考えている人の中には、行政書士に融資サポートを依頼するかどうか検討している人もいるかもしれません。

行政書士は行政に提出する書類作成が主な業務ではありますが、書類作成の強みを生かして金融機関の融資支援をおこなっている事務所もあります。

当記事では、日本政策金融公庫への申請サポートを行政書士に依頼する場合の判断基準を解説します。行政書士に依頼するかどうか悩んでいる人は参考にしてみてください。

判断基準は融資の難易度と準備状況

行政書士に依頼するかどうかは、融資審査の難易度と申請準備の状況を判断軸として検討してみてください。融資の難易度が高いと想定されるケースや、十分な申請準備ができないケースでは、専門家によるサポートが有効となりえるからです。

【行政書士に依頼する場合の判断基準の目安】

項目 依頼を検討したほうがいいケース 依頼しなくてもいいケース
融資の難易度 ・自己資金が少ない
・信用情報に不安がある
・融資希望額が大きい
・自己資金が十分にある
・信用情報に問題がない
・融資希望額が小さい
準備状況 ・書類の作成経験がない
・準備の時間が取れない
・融資希望日が迫っている
・過去に申請経験がある
・準備する時間に余裕がある

融資成功率を高めたい場合や準備に不安がある場合は、専門家である行政書士に依頼することも検討の余地があります。依頼を検討したほうがいいケースの詳細を解説するため、行政書士への依頼を迷っている人は参考にしてみてください。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。8,000件以上の融資サポートの実績から無料診断できるため、専門家による融資サポートに興味がある人は無料診断を試してみてください。

金融機関から融資を受けられる?
無料診断

自己資金や信用情報に不安がある場合

自己資金や信用情報に不安がある場合は、行政書士による融資サポートを検討する余地があります。日本政策金融公庫の審査では、自己資金や信用情報が融資判断に影響する関係上、それらの点で懸念事項があると審査において不利になる可能性があるからです。

【自己資金や信用情報における懸念事項の有無の例】

項目 懸念事項がある 懸念事項がない
自己資金 自己資金が1割未満または0円での申請 創業資金の3割以上を用意している
信用情報 延滞履歴や事故情報がある 延滞履歴や事故情報がない

たとえば、自己資金が必要な創業資金の1割にも満たない場合、資金計画の実現性が疑われる可能性があります。その場合は行政書士の支援を受けて、資金調達の根拠や計画の妥当性を補足することにより、審査通過の可能性を高められます。

また、信用情報に過去の延滞履歴があると、返済能力に対する不安要素として扱われることがあります。その場合行政書士は、信用情報の内容に応じて対策を提案したり、事業の安定性を伝える資料の作成を行ったりすることで、不安材料を補う支援をしてくれます。

行政書士に依頼することにより、自己資金額や信用情報にもとづいた申請サポートをしてくれます。「事業計画書の改善」や「資金計画の妥当性の説明強化」など、審査で不利になりやすい点を補うための工夫をしてくれるため、不安を抱えたまま申請を進めるのが難しい人は利用を検討してみましょう。

高額な資金を希望している場合

高額な資金を希望している場合は、行政書士による融資サポートを検討する余地があります。高額な融資案件の場合、資金使途や返済能力に対する判断が厳しくなる傾向があるため、申請書類の完成度が重要になるからです。

日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」によると、開業時の平均借入額は約780万円とされています。これを上回る1,000万円超の融資を希望する場合、資金の必要性や返済見込みについて、より明確な説明が求められる傾向にあります。

たとえば、内装費や設備投資に800万円以上を充てたい場合、それが本当に妥当かどうかを説明できなければ審査で不利になります。行政書士に依頼することにより、資金の使い方や収支計画が整理され、審査を通過する確率をあげられる可能性があります。

希望する融資額が高額かどうか判断したい場合は、まずは専門家に相談する方法もあります。行政書士のほか、商工会議所やよろず支援拠点の無料相談を活用することにより、融資希望額の多寡を客観的に判断できるため、自身の希望額が高額かどうか知りたい人は無料相談を活用することも検討してみてください。

書類の作成に不慣れな場合

書類の作成に不慣れな場合は、行政書士による融資サポートを検討する余地があります。日本政策金融公庫の審査では、「創業計画書」「企業概要書」「資金繰り表」など、事業者の状況によってさまざまな書類の作成を依頼されるからです。

たとえば、創業融資を受けるときは「創業計画書」を作成します。数字の整合性や売上見込みの根拠などを具体的に示す必要があるため、経験のない人が作成すると「要点が抜ける」「主観的な表現になる」など、融資担当者に伝わりにくい書類になる可能性があります。

また、公庫から「資金繰り表」の作成依頼を受けることもあります。資金の出入りを月単位で示す資料であり、正確かつ実現可能性の高い数値を記載することが求められるため、経験のない人が作成すると収支のバランスが不自然になり、信頼性を損なうリスクがあります。

書類の作成は押さえるべき要点があるため、不慣れな人にとっては作成に時間がかかる可能性もあります。行政書士は書類作成の専門家のため、一人では書類作成が難しいと感じる場合は行政書士への依頼も検討してみましょう。

準備する時間がない場合

準備する時間がない場合は、行政書士による融資サポートを検討する余地があります。日本政策金融公庫の融資では、複数の書類を作成や準備する必要があるため、対応にまとまった時間がかかるからです。

【日本政策金融公庫の融資における必要書類の例】

  • 最近2期分の決算書(個人事業主の場合は確定申告書)
  • 最近の試算表
  • 借入申込書
  • 見積書(設備資金の場合)
  • 物件契約書
  • 送金先口座の写し
  • 登記簿謄本(法人の場合)
  • 創業計画書(もしくは企業概要書)
  • 本人確認書類
  • 許認可証

たとえば、飲食店を開業する場合は、内装工事の見積書や物件契約書なども求められることがあり、必要書類が多岐にわたります。本業と並行してこれらの資料を集め、計画書まで整えるのは負担が大きく、対応が遅れると開業スケジュールにも影響します。

また、融資希望日が迫っている場合は、準備の遅れがそのまま融資実行の遅れにつながる可能性があります。「物件の契約期限」「設備工事の着手時期」など、資金が必要な時期が決まっている場合は、急いで書類を準備する必要があります。

行政書士によっては、必要書類の洗い出しや準備の優先順位づけ、計画書の作成支援まで任せることができます。時間の余裕がない人であれば、行政書士に一括して支援を依頼することも検討してみましょう。

行政書士に依頼できること

日本政策金融公庫の融資に申し込む上で、行政書士にサポート依頼できることはいくつかあります。行政書士は、行政へ提出する書類作成の専門家のため、とくに融資における書類面でのサポートを強みとしている傾向にあります。

【行政書士に依頼できることの例】

項目 内容
事業計画書等の作成支援 「創業計画書」「企業概要書」「資金繰り表」などの書類作成を支援
融資申請書類の準備 必要書類のリスト化や用意するための手続きを支援
面談対策 面談に向けてのアドバイスや模擬面談の実施
金融機関とのやりとり 融資条件の交渉や書類の提出代行などをおこなう
許認可の申請 開業に必要な許認可申請をおこなう

たとえば、「創業計画書」や「資金繰り表」を自力で作成しようとすると、記載すべき内容や根拠の示し方に迷うことがあります。行政書士に依頼することにより、必要な情報を整理しながら、融資担当者に伝わりやすい形に整えてもらえるため、書類の説得力を高めやすくなります。

また、公庫とのやりとりや面談対策に不安がある場合も、事前に想定質問への回答を準備したり、模擬面談を通じて伝え方を確認できたりする支援があります。こうした準備を専門家と進めることにより、面談当日に自信をもって対応できる可能性があります。

許認可が必要な業種であれば、申請手続きも行政書士に依頼できます。「建設業許可」「古物商許可」など、開業にあたり許認可の取得が必要な場合は、行政書士に併せて依頼できることも留意しておきましょう。

行政書士の費用相場

行政書士を依頼する場合の費用相場は、事務所の報酬体系によって異なります。詳細はそれぞれの事務所に問い合わせることになりますが、報酬体系と費用の目安として以下の表を参考にしてみてください。

【行政書士の報酬体系と費用の目安例】

項目 内容
着手金 契約時に発生する初期費用。3万円〜10万円程度
成功報酬 融資が受けられた場合に支払う。融資額の2~5%が目安
パック料金 書類作成から面談対策まで一律料金で一括支援。15万円程度が目安
時間制報酬 1時間あたり5,000~10,000円での相談対応

たとえば、融資額が1,000万円の場合、2%〜5%の成功報酬型なら20万〜50万円程度の支払いが発生します。融資の成否に関わらず、書類作成から面談対策までを含めて固定料金を設定している事務所もあるため、依頼する事務所によってかかる費用は大きく異なります。

また、着手金と成功報酬の併用や、時間単位での相談料金を採用している事務所もあります。料金体系やサービス内容にばらつきがあるため、費用の総額だけでなく、何にいくらかかるのかを確認してから契約することが重要です。

報酬体系に加えて、サポート体制やサポートの質も事務所によってさまざまです。費用の安さだけで判断せず、見積もりを取得し、サービス内容に納得したうえで依頼するようにしましょう。

行政書士に依頼するときの留意点

行政書士に依頼するときは、いくつかの留意点を押さえておきましょう。行政書士の業務範囲は多岐にわたるため、事前に留意点をよく確認することにより、サービス内容に対する認識のズレを防げます。

【行政書士に依頼するときの留意点】

項目 内容
専門分野を確認する 融資支援の実績がある行政書士かどうかを確認する
報酬体系を確認する 料金の内訳や支払いのタイミングを確認する
サポート範囲を確認する 書類作成以外のサポートもおこなっているか確認する

留意点のひとつは、「専門分野を確認すること」です。行政書士の中には許認可申請や遺産手続きなどを専門に扱う人もいるため、日本政策金融公庫の融資サポート実績があるかどうかを確認しておく必要があります。

もうひとつの留意点は、「サポート範囲を確認すること」です。「書類作成のみ」「面談対策」など、行政書士によってサポート範囲は異なるため、自身が依頼したい範囲をカバーしてくれるかどうか確認しておく必要があります。

行政書士に依頼することにより、書類の質や準備の精度は高められますが、融資が100%通るとは限りません。サポートの有無にかかわらず、最終的な審査は日本政策金融公庫が総合的に判断するため、その前提を踏まえつつ、行政書士にサポートを依頼するかどうか検討してみてください。

なお、当サイトを運営する「株式会社SoLabo(ソラボ)」は中小企業庁の認定を受けた認定支援機関です。8,000件以上の融資支援実績があるため、日本政策金融公庫から融資を受けたい人は株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも検討してみてください。

金融機関から融資を受けられる?
無料診断

まとめ

行政書士に依頼するかどうかは、融資審査の難易度と申請準備の状況を判断軸として検討してみてください。融資の難易度が高いと想定されるケースや、十分な申請準備ができないケースでは、専門家によるサポートが有効となりえるからです。

日本政策金融公庫の融資に申し込む上で、行政書士にサポートを依頼できることはいくつかあります。行政書士は、行政へ提出する書類作成の専門家のため、とくに融資における書類面でのサポートを強みとしている傾向にあります。

行政書士に依頼することにより、書類の質や準備の精度は高められますが、融資が100%通るとは限りません。サポートの有無にかかわらず、最終的な審査は日本政策金融公庫が総合的に判断するため、その前提を踏まえつつ、行政書士にサポートを依頼するかどうか検討してみてください。

資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

融資支援実績 6,000件超独立・開業・事業用資金の資金調達を
ソラボがサポートします。

  • 独立するための資金調達をしたい
  • 金融機関から開業資金の融資を受けたい
  • 手元資金が足りず資金繰りに困っている

中小企業庁の認定を受けた認定支援機関である株式会社SoLabo(ソラボ)が、
あなたの資金調達をサポートします。

ソラボのできること

新規創業・開業の相談受付・融資支援業務、既存事業者の融資支援業務(金融機関のご提案・提出書類作成支援・面談に向けたアドバイス・スケジュール調整等)

今すぐ融資の無料診断