信用金庫の法人向け融資の種類や保証人について解説

信用金庫の法人向け融資の種類や保証人について解説 更新日:2025.09.11 公開日:2018.09.04起業のための資金調達 – 日本政策金融公庫からの融資
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会社の事業拡大や新規事業の立ち上げを考えている経営者にとって、資金調達は重要な課題です。特定の地域を事業範囲とする信用金庫は身近な相談先のひとつです。

しかし、信用金庫からの借入も、銀行と同様に厳格な審査があります。また、法人が借り入れを行う際には、代表者の個人保証や会社の資産を担保として求められる可能性があります。

本記事では、信用金庫の法人向け融資の種類から、申し込みの流れ、審査で重視されるポイントまで、詳しく解説します。

信用金庫の法人向け融資の種類

信用金庫の法人向け融資の種類は、保証付融資とプロパー融資に分類されます。保証付融資とプロパー融資の違いは、信用保証協会の保証の有無です。

保証付融資は、信用保証協会が債務保証を行うことで、中小企業が金融機関から円滑に資金を借りられるように支援する制度です。一方、プロパー融資は信用金庫が企業の信用力や事業計画を直接評価し、独自の判断で融資を行うものです。どちらの融資を選ぶかは、資金調達の目的や自社の信用力によって異なります。創業間もない企業や財務基盤が安定していない場合は、信用保証協会の保証がある保証付融資が選択肢となりやすいでしょう。経営実績が豊富で、より柔軟な条件での融資を希望する場合は、プロパー融資が適している可能性があります。信用金庫の担当者と相談し、自社の状況に合った融資プランを検討してください。

保証付融資

保証付融資とは、信用金庫が貸し付けを行う際に、信用保証協会の保証を付けて行う融資です。借主の返済が滞った場合に信用保証協会が金融機関に「立て替え払い」を行うため、信用金庫側のリスクが軽減されます。この制度により、保証人を用意できない中小企業でも融資を受けやすくなります。

信用保証協会の保証を受けるには、借主は所定の信用保証料を支払う必要があります。信用保証料は融資を受ける金額のおおよそ0.5%から2.3%の間で設定されるのが一般的です。

なお、個人事業主への融資との違いとして、法人の場合は代表者が連帯保証人になる必要がある点が挙げられます。個人の借り入れの場合は、一般的に一般社団法人しんきん保証基金による保証を受けることになります。これにより、個人の信用力に応じて、より円滑に融資の審査が進められるようになります。法人の借入は、個人の借入とは保証の仕組みが異なる点を理解しておくことが重要です。

プロパー融資

信用金庫のプロパー融資とは、信用保証協会を利用せず、信用金庫が直接法人に対して行う融資のことです。保証協会に支払う保証料や手数料が不要となり、手続きが簡素化されるため、申し込みから融資実行までの期間を短縮できます。

しかし、プロパー融資は信用保証協会のような公的機関の保証がないため、審査が厳しくなります。審査では、主に以下の点が評価されます。

  • 企業の信用力(決算書や事業計画書)
  • 返済能力
  • 将来性

このように、プロパー融資は、経営状況や財務基盤が良好で、信用力が高い企業向けの融資と言えます。一方で、保証協会の保証を必要としないため、融資の条件や金額について柔軟に交渉できるという利点もあります。企業の信用力を最大限に活用し、経営者自身の自己責任のもとで、企業の成長させるための手段となるでしょう。

信用金庫の借入における法人が信用金庫から借り入れする場合の保証人

法人が信用金庫から融資を受ける際、金融機関は一般的に代表者個人を連帯保証人とすることを求めます。これは、法人と代表者の一体性を考慮し、融資返済の確実性を高めるためです。

しかし、近年では金融庁の方針である経営者保証に関するガイドラインの普及により、代表者保証を不要とするプロパー融資も増えています。代表者保証を外す条件としては、強固な財務体質や事業の収益性、そして透明性の高い経営状況が挙げられます。信用金庫は地域密着型であるため、事業内容や将来性を細かく評価し、個々の状況に応じた柔軟な対応を期待できます。

信用金庫からの借り入れでは、信用保証協会を利用するケースが多く、これにより代表者保証が不要となる場合もあります。信用保証協会の保証が付くことで、信用金庫はリスクを低減できるため、中小企業や小規模事業者が資金調達しやすくなります。この制度を活用することで、代表者個人の負担を軽減した事業運営を目指すことが可能です。

代表者保証の位置づけ

信用金庫が法人融資を行う際、多くのケースで代表者個人が連帯保証人となるのが一般的です。これは、法人の信用力だけでなく、経営者自身の事業に対する責任を明確にするためです。特に、中小企業や設立間もない法人の場合は事業の実態が不明確なことが多く、代表者保証は融資の実行を判断する重要な要素となります。

代表者保証を外す条件は年々緩和傾向にありますが、「事業の収益性や財務状況が安定していること」「企業と経営者の資産が明確に分離されていること」など、いくつかの条件を満たす必要があります。また、融資額に対して十分な担保を提供できる場合も、保証が不要となるケースがあります。

経営者保証ガイドラインの普及により、代表者保証に過度に依存しない融資の取り組みが推進されています。このガイドラインは、事業の将来性や成長可能性を重視し、代表者保証を外すための客観的な条件を提示することで経営者の起業や再挑戦を後押ししています。この動きは中小企業の資金調達の選択肢を広げ、円滑な事業承継にも繋がるでしょう。

保証人を外す条件

法人が融資を受ける際に代表者保証を必須としないケースが増えています。しかし、無条件で保証人を外せるわけではなく、主に財務状況の改善と経営改善への取り組みが判断のポイントとなります。

保証人を外す条件として、金融機関は以下のような要素を総合的に評価します。

保証人を外す条件 詳細
健全な財務内容 債務超過の解消や自己資本比率の向上、安定した利益の継続など
経営改善の進捗 事業計画の実行により収益力が向上しているか、ガバナンス体制が強化されているかなど
事業の透明性 決算書の信頼性や資金使途の明確化

これらの取り組みを計画的に進めることで、金融機関は法人自体の信用力が高まったと判断し、代表者保証の解除を検討します。これらの要素を総合すると、事業の成長が保証人を外すための要素と言えるでしょう。

信用金庫の法人向け融資の申し込みから融資実行までの流れ

信用金庫から法人向け融資を受ける場合、信用金庫の会員資格を有していることが前提となります。この資格は、事業所の所在地や従業員の居住地が信用金庫の営業区域内にあることで得られます。資格要件を満たしているかを確認した上で、窓口にて融資相談を行い、必要書類を提出して審査へと進むのが一般的な流れです。

申し込みから融資実行までの流れは、信用保証協会の保証を受けるかどうかで変わります。保証を受ける場合は、信用金庫と信用保証協会の両方で審査が行われるため、手続きに時間がかかります。一方、信用保証協会の保証を受けず、信用金庫独自の審査(プロパー融資)で完結する場合は、手続きが比較的シンプルです。

いずれの場合も、法人の融資は個人の融資に比べて提出書類が多いため、事前に信用金庫の窓口に確認することが重要です。事業計画書や決算書、会社の登記簿謄本など、会社の状況を正確に伝えるための資料を準備しておく必要があります。さらに、融資の可否は書類だけでなく、日頃からメインバンクとして利用するなど、信用金庫との良好な関係性を築いているかどうかも判断材料となります。

信用金庫経由で保証に申し込む場合

信用金庫経由で保証付き融資を申し込む場合、基本的な流れは以下になります。

  1. 相談・申込
  2. 保証依頼
  3. 審査
  4. 契約・融資実行
  5. 返済

まず、信用金庫の窓口で融資相談を行い、必要書類を提出して申し込みます。その後、信用金庫が信用保証協会に保証を依頼し、両機関による審査が並行して進められます。

この場合、金融機関と信用保証協会の両方の審査が必要となります。信用金庫は主に返済能力や事業計画の実現可能性を評価し、信用保証協会は法人の事業内容や経営状況、資金使途などを細かく審査します。最終的に保証協会の保証承諾が出た後、信用金庫との間で融資契約を締結して融資が実行されます。

信用保証協会が法人の連帯保証人となることで、信用金庫はリスクを抑えつつ融資を提供できます。この仕組みにより、保証人を用意できない中小企業でも、円滑に資金調達を行えるようになります。ただし、保証を受けるためには、保証料の支払いが必要となることを理解しておく必要があります。

プロパー融資に申し込む場合

プロパー融資の申し込みは、一般的な融資の流れと同様に「相談・申込」から始まります。主な流れは以下の通りです。

  1. 相談・申込
  2. 審査
  3. 契約・融資実行
  4. 返済

まずは信用金庫の窓口に相談し、事業計画書や決算書といった必要書類を提出します。この際、金融機関との良好な関係が重要となります。日頃からメインバンクとして取引していると、スムーズな手続きに繋がりやすいでしょう。

次に提出された書類に基づき、信用金庫による「審査」が行われ、事業の将来性や返済能力が厳格に評価されます。審査では特に事業計画書の実現可能性や、経営者の資質が重要な判断材料となります。審査を通過すると、「契約・融資実行」へと進み、その後は計画に沿った「返済」が始まります。プロパー融資は、企業の信用力を証明する上で有効な手段となります。

信用金庫の法人向け融資の審査においてアピールするべきこと

信用金庫の法人向け融資審査は、金融機関としての基本的な審査基準に加えて、地域貢献や事業者との信頼関係を重視する傾向があります。形式的な書類だけでなく、事業に対する熱意や経営者の経歴も重要なアピールポイントとなります。特に、創業期や小規模事業者の場合は、事業の成功を裏付ける明確なビジョンや計画を提示することが重要です。

審査において特に重視されるのは、融資希望額と自己資金のバランスです。自己資金が潤沢にあることは、経営者の計画性と責任感を示すため、審査においてプラスに働きます。また、提出書類以外にも、経営者と融資担当者とのコミュニケーションを通じて事業に対する真摯な姿勢を伝えることも重要です。

これらの要素に加え、日頃から信用金庫との良好な関係性を築くことも審査を有利に進める上で重要となります。定期的な相談や事業報告を行うことで、融資担当者は事業内容や経営者の人柄を深く理解し、信頼関係を構築できます。これらのポイントが銀行と比較した際の信用金庫ならではの審査における重要なポイントと言えるでしょう。

事業計画の実現性

信用金庫の融資審査において、事業計画書は事業の将来性を判断するための重要な資料となります。審査担当者は、事業計画書を通じて収益見込みや返済の見通しを具体的に把握し、計画が現実的であるかを厳しく評価します。そのため、事業計画書は単なる理想ではなく、具体的な根拠に基づいた計画を提示できるようにしましょう。

説得力のある事業計画書を作成するためには、いくつかの重要な項目を盛り込む必要があります。まず、市場分析に基づいた収益予測を示し、その根拠となるデータや分析結果を明確に記載します。次に、競合他社との差別化を図るための具体的な戦略を提示し、事業の優位性をアピールします。さらに、資金使途や返済計画を詳細に記述し、計画の実現性を示すことが重要です。

これらの項目を詳細かつ客観的に記載することで、融資担当者は事業の成功可能性を評価できるようになり、融資の判断を肯定的に下しやすくなります。事業計画書は、経営者のビジョンと能力を伝える重要なツールであることを念頭に置くようにしましょう。

財務状況の健全性

信用金庫の融資審査において、財務状況の健全性は返済能力を判断する上で非常に重要です。信用金庫の融資審査において、財務状況の健全性は返済能力を判断する上で非常に重要です。なぜなら、信用金庫は安定した経営基盤を持つ企業を高く評価し、現在の財務状況が健全であることは、将来的な返済能力の証明となるからです。

たとえば、健全な自己資本比率や、安定したキャッシュフローを示すことが有効です。単に売上や利益があるだけでなく、営業活動によるキャッシュフローがプラスであることや、運転資金に過度な負担がかかっていないことを明確にアピールしましょう。融資を受けることで事業計画の実現可能性が高まるだけでなく、企業そのものの体力があることを示せます。

融資を申し込む際には、貸借対照表や損益計算書に加えてキャッシュフロー計算書も用意して財務状況を客観的なデータに基づいて論理的に説明することが重要です。適切な財務情報の提示は、信用金庫との信頼関係を築く上で不可欠であるといえるでしょう。

まとめ

信用金庫から法人が融資を受ける際には、融資の種類から申し込みの流れ、審査のポイントまで、全体像を理解しておくことが重要です。融資には「保証付融資」と「プロパー融資」があり、それぞれ信用保証協会の関与の有無が異なります。

いずれの融資においても、代表者保証や担保が求められるケースはありますが、近年では「経営者保証に関するガイドライン」の普及により、健全な財務状況や透明性の高い経営が証明できれば、保証を外すことも可能です。融資の審査では、事業計画の実現性や財務状況の健全性が重視されます。自己資金のバランスや、経営者の経歴、そして事業への熱意といった定性的な要素も重要な評価ポイントとなります。

信用金庫は地域に密着しているため、日頃から良好な関係性を築いておくことが、スムーズな融資実行に繋がります。事業計画書を綿密に作成し、自社の信用力を最大限にアピールすることが、融資成功の鍵となるでしょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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