副業として日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイントを解説

副業として日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイントを解説 更新日:2025.07.23 公開日:2017.12.06起業のための資金調達 – 日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫 副業

企業に勤務しながら副業を始めたいと考えている人の中には、日本政策金融公庫からの融資を検討している人もいるかもしれません。日本政策金融公庫は副業であっても融資の対象となるため、融資を受けるためのポイントが知りたい人もいるでしょう。

当記事では、副業として日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイントを解説します。副業ならではのポイントが気になる人は参考にしてみてください。

ポイントは事業性があると認められること

副業として日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイントは、「事業性」が認められることです。単なる収入補填や趣味の延長ではなく、収益を生む事業としての実態が求められるため、副業として公庫から融資を受けたい人は事業性の判断基準を確認してみましょう。

【事業性の判断基準の例】

  • 投機的でないこと
  • 収益性があること
  • 継続の見込みがあること

事業性の判断基準として「投機的でないこと」「収益性があること」「継続の見込みがあること」を挙げています。副業の場合はとくにこれらのポイントを確認される傾向にあるため、副業として日本政策金融公庫から融資を受けたい人はそれぞれの詳細を確認してみてください。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。8,000件以上の融資サポートの実績から無料診断できるため、日本政策金融公庫から融資を受けられるか気になる人は無料診断を試してみてください。

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投機的でないこと

日本政策金融公庫は投機的な業種への融資は実施していません。収益が偶発的に得られる副業は投機的と判断される可能性があるため、融資の対象とならない可能性があります。そのため、日本政策金融公庫から副業として融資を受ける人は自身のやりたいことが投機目的と判断されるかどうかを確認しておきましょう。

【投機的と判断されるもの】

  • 株式投資
  • 仮想通貨取引
  • FX

たとえば、株式投資に使うための資金は融資の対象となりません。株式投資はタイミングに収益が依存する関係上、事業としての継続性や収益の確実性が説明しにくく、ギャンブル性の高い資金使途と判断されるため融資対象とはなりません。

株式投資やFXは、スマートフォンやパソコンがあればすぐに始められるため、副業として検討する人もいるかもしれません。しかし、こうした活動は価格変動による利益を狙うものであり、投機的な収益モデルと判断されるため融資は受けられないことを留意しておきましょう。

収益性があること

日本政策金融公庫から副業として融資を受けるには、その副業単体で収益が見込めるかどうかが重要です。勤務収入があることは加点要素にはなりますが、収益の出ない副業に融資は認められないため、副業の事業単体で収益性があることを説明することになります。

たとえば、売上の見込みが乏しく赤字が継続している事業は、収益性がないと判断される可能性があります。創業時であれば、事業内容や収入の仕組みに不透明な点があると、収益力の根拠が弱い計画と判断される可能性があります。

一方で、申込者に安定した勤務収入がある場合、それは副業の初期段階での生活費の裏付けとして評価されることがあります。収入源が一つではないという点で、事業が軌道に乗るまでの資金繰りに安心感があると判断されるケースもあります。

副業として融資を受けたい場合は、事業単体の収益モデルを示すようにしましょう。そのうえで、毎月の勤務収入による補てんが可能な点を伝えることを検討してみてください。

継続の見込みがあること

副業として日本政策金融公庫から融資を受けるためには、その事業を長期的に継続する意思があるかどうかを確認される傾向があります。長期間にわたり返済を続けていく関係上、そもそも事業が継続していく前提がなければ、融資の対象として見なされにくくなるためです。

たとえば、明確な目標や計画がない場合は事業継続の見込みが低いと判断されます。「空き時間にやれる範囲で」「数ヶ月だけ試してみたい」といった姿勢では、事業として成り立たせていく意思があるか懸念される可能性があります。

また、公庫の返済期間は5年〜7年程度が目安となります。副業であっても融資を受ける以上、少なくとも返済期間中は事業を継続できる前提であるかが確認されるため、勤務先との両立方法や収益化のプロセスなど、将来的な見通しを説明できる状態が求められます。

なお、必ずしも副業をいずれ本業にしなければならない訳ではありません。副業を本業に発展させる前提がなければ融資を受けられない規定はないため、副業として事業を継続的に成長させる姿勢を見せるようにしましょう。

副業として融資を受けたい人は勤務先の就業規則を確認しておく

副業として融資を受ける際には、勤務先の就業規則を事前に確認しておきましょう。日本政策金融公庫は、申込者が副業を行うことに対して法的・制度的な問題がないことを融資の前提としているため、就業規則で副業が禁止されている場合は融資を受けられない可能性があります。

会社によって副業に関する就業規則は異なります。「申請をすれば副業可能」「利益が競合しなければ問題ない」といった柔軟なケースもあれば、「いかなる副業も認めない」と定めている企業もあるため、公庫への融資申込を行う前に、勤務先の副業に関する取り扱いを把握しておくことが重要です。

日本政策金融公庫の審査時には、副業許可の確認を目的とした書類の提出を求められる場合があります。「就業規則の該当箇所のコピー」「会社に提出した副業申請書の写し」など、融資判断の材料として、勤務先に許可を得ている書類を依頼される可能性もあります。

なお、副業の許可を得ずに融資を申し込むことは避けましょう。仮に融資が実行されたとしても、社内規定違反によって懲戒処分や退職に至るリスクがあり、結果として事業継続にも支障をきたすおそれがあるため、勤務先のルールを確認し、正当な形で副業を進める準備をしておきましょう。

日本政策金融公庫の審査項目も押さえておく

副業として融資を受ける際のポイントを押さえた人は、審査項目も確認してみてください。「事業性の有無」が副業として融資を受ける場合のポイントとなりますが、日本政策金融公庫の融資はさまざまな観点から総合的に判断されるため、そのほかの審査項目も押さえておく必要があります。

【日本政策金融公庫の審査項目】

申込者の状況 審査項目の例
創業時の場合 自己資金、事業計画、経験
副業を開始している場合 実績、資金使途、今後の見通し

日本政策金融公庫の審査項目は「創業時の場合」「副業を開始している場合」によって異なります。副業として日本政策金融公庫から融資を受けたい人はそれぞれの状況に応じて審査項目を確認してみてください。

創業時の場合

創業時に日本政策金融公庫から融資を受けたい場合は、いくつかの審査項目を押さえておきましょう。とくに副業として融資を受けたい場合は、本業よりも稼働時間が制限される傾向にあるため、事業計画の内容や自己資金の準備状況を慎重に確認される可能性があります。

【創業時における審査項目の例】

項目 具体例
自己資金 自身が準備した資金はあるか?
借入に依存しないだけの資金が用意できたか?
事業計画 勤務先と両立可能か?
収益が確保できる計画か?
経験 開業に向けて経験を積んできたか?
知識を身に付けてきたか?

創業時における審査項目のひとつは「自己資金」です。創業にかかる資金の3割程度の自己資金を用意することが目安となるため、副業として融資を受けたい場合も同程度の自己資金を準備しておきましょう。

創業時における2つめの審査項目は「事業計画」です。副業の場合は稼働時間や稼働日数が制限される傾向にあるため、「勤務先と両立可能な事業内容か」「収益が見込める事業内容か」などを確認される可能性があります。

なお、業界経験や知識が不十分な場合は、審査に影響を与えるおそれがあります。未経験で開業する場合、創業への熱意や業界知識を勉強中であることを伝えることにより、経験不足をカバーすることを検討してみてください。

副業を開始している場合

すでに副業を開始している人が日本政策金融公庫から融資を受けたい場合は、いくつかの審査項目を押さえておきましょう。創業段階とは異なり、すでに事業が始まっているため、決算書や確定申告書から分かる収益状況や今後の成長見込みを踏まえた上で審査される傾向にあります。

【副業を開始している場合の審査項目の例】

項目 具体例
実績 直近の決算では収益が出ているか?
売上は拡大傾向にあるか?
資金使途 資金が必要になった経緯は?
事業に関係のない使い道ではないか?
今後の見通し 今回の資金調達による業績への影響は?
収益から返済が見込めるか?

副業を開始している場合の審査項目のひとつは「実績」です。「直近の確定申告は黒字か」「売上は増加しているか」など、数字上の実績から事業の安定性や返済能力を判断される可能性があります。

副業を開始している場合のもうひとつの審査項目は「資金使途」です。「設備の買い替え」「人件費の補てん」など、事業を成長させるために必要な資金の使い道であるかどうかを判断される可能性があります。

副業がすでに始まっている場合、今後の見通しも数字の面から説明することを意識しましょう。現状の収益状況に基づいた売上見込みや利益予測を立てることにより、副業の収益から返済できると根拠付ける材料となるため、実績に基づいた見通しを立てることを検討してみてください。

まとめ

副業として日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイントは、「事業性」が認められることです。単なる収入補填や趣味の延長ではなく、収益を生む事業としての実態が求められるため、副業として公庫から融資を受けたい人は事業性の判断基準を確認してみましょう。

副業として融資を受ける際には、勤務先の就業規則を事前に確認しておきましょう。日本政策金融公庫は、申込者が副業を行うことに対して法的・制度的な問題がないことを融資の前提としているため、就業規則で副業が禁止されている場合は融資を受けられない可能性があります。

副業として融資を受ける際のポイントを押さえた人は、審査項目も確認してみてください。「創業時の場合」「副業を開始している場合」によって審査項目は異なるため、副業として日本政策金融公庫から融資を受けたい人はそれぞれの状況に応じて審査項目を確認してみてください。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
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