初めての融資はいくらまで受けられる?融資の種類やするべき準備を解説

初めての融資はいくらまで受けられる?融資の種類やするべき準備を解説 更新日:2025.08.19 公開日:2018.03.01起業のための資金調達 – 日本政策金融公庫からの融資
初めての融資

新規事業を始めたり事業を拡大したりする場合、融資を検討するケースもありますよね。しかし、どの金融機関から融資を受けたらよいのか、融資はいくらまで受けられるのか等把握していない人もいらっしゃるでしょう。

本記事では、初めて融資を受けることを検討している人に向け、初めての融資に向いている金融機関や融資限度額の目安などを解説します。融資限度額の決定要因や融資を受けるために必要な準備に関しても紹介するので、スムーズな資金調達の実現に役立ててください。

初めての融資に向いている金融機関

初めての融資に向いている金融機関は、おもに以下の3種類です。

  • 日本政策金融公庫
  • 信用金庫・信用組合
  • 地方銀行

特に創業期の企業や小規模事業者は、これらの機関から融資を受けるケースが多くなっています。これら3種類の金融機関は、それぞれ異なる特徴があるため、自身の状況や事業計画に合わせて選ぶことが重要です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府が100%出資している政策金融機関です。日本政策金融公庫には、事業計画の実現可能性や経営者の熱意評価してくれる点や、無担保・無保証での融資が充実している点に特徴があります。

具体的な融資制度には、以下のようなものがあります。

融資制度の種類 貸付条件 概要
新創業融資制度 【融資限度額】
7,200万円(うち運転資金4,800万円)
【返済期間】
設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)
【利率】
基準利率による
新規事業を始める方や、事業開始後まもない方を対象とした制度。
女性、若者/シニア起業家支援資金 【融資限度額】
7,200万円(うち運転資金4,800万円)
【返済期間】
設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)
【利率】
基準利率による
女性、若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)の起業を支援する制度。
中小企業経営力強化資金 【融資限度額】
直接貸付 7億2千万円
【返済期間】
設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金 7年以内(うち据置期間2年以内)
【利率】
基準利率による
税理士などの専門家の支援を受けて事業計画を策定する事業者向けの制度。

日本政策金融公庫の金利は、「融資制度」「用途」「融資期間」「担保の有無」などによって異なる利率が適用されます。「基準金利」とは、契約日および月単位の契約応当日に設定する利率です。

日本政策金融公庫の融資は、返済期間が比較的長く設定されていますが、計画的な返済が求められます。また、融資審査は厳格に行われるため、事業計画書をしっかりと作成して事業への理解を深めることが重要です。

日本政策金融公庫は、全国に152の支店があります。初めての融資を検討する際は、まずお住まいの地域の窓口に相談してみましょう。

信用金庫・信用組合

初めて融資を受けるなら、地域密着型の金融機関である信用金庫や信用組合を検討してみましょう。信用金庫や信用組合は、規模の大小に関わらず地域事業者のサポートに力を入れており、親身な相談が期待できます。

信用金庫や信用組合は、特定の地域で事業を行う会員・組合員のために設立された非営利法人です。大手銀行とは異なり、地域経済の活性化を目的として、融資基準も柔軟に対応してくれる傾向にあります。

初めての融資では、信用保証協会が保証人となる「信用保証付き融資」が利用できます。「信用保証付き融資」は、経営者の個人保証の負担を軽減し、融資を受けやすくする利点があります。

地域との結びつきを大切にする信用金庫・信用組合は、事業の状況を細かく把握してくれるため、初めての融資でも親身に相談に乗ってくれるでしょう。

地方銀行

地方銀行は、本店がある都道府県とその隣接地域に店舗を展開している地域密着型の金融機関です。メガバンクが大企業を主な融資先としているのに対し、地方銀行は中小企業や地域経済の活性化に力を入れています。

地方銀行は、日本政策金融公庫や信用金庫と比べると、より幅広い事業規模に対応しています。融資の審査基準や金利設定も、地域の特性や事業者の状況を考慮して決定されることが多く、画一的な審査になりにくいのが特徴です。

さらに、地方銀行は、事業の成長段階に応じて様々な融資商品を提供しています。そのため、起業初期だけでなく、事業拡大や新たな設備投資の際にも相談しやすい金融機関です。地方銀行は、公庫や信用金庫では満たせない要件の融資を必要とする場合に選択肢として有力になります。

初めて融資を受ける方が地方銀行を検討する際は、地域の専門家である地方銀行の担当者と相談することで、スムーズな資金調達を実現できる可能性が高まるでしょう。

融資額の決定要因

融資額は、金融機関が借り手の返済能力と信用力を総合的に判断して決定されます。融資額の決定要因として、以下が挙げられます。

融資額の決定要因 詳細
財務状況 売上や利益の推移、キャッシュフローの健全性、自己資本比率 など
事業計画 事業計画書の作成
自己資金 融資希望額の3割前後の自己資金
信用情報 過去の借入や返済履歴など
担保 不動産(土地・建物)、保証人 など

希望する融資額を得るためには、説得力のある事業計画書を作成することが重要です。事業の将来性を明確に示し、数値的な根拠を提示することで、金融機関からの信頼を得られるでしょう。

また、「自己資金」の割合が高いほど経営者の熱意や責任感が評価され、返済の確実性を示す指標にもなります。さらに、「担保」となる不動産や保証人をつけることで、金融機関は万が一の返済不能リスクを軽減できます。

自己資金を十分に準備し、日頃から財務状況を健全に保つことも重要です。これらの要因を総合的に高める努力が、希望額での融資実現に繋がります。

融資を受けるために必要な準備

融資の審査を通過するためには、事前の準備が重要です。特に以下の準備は、審査担当者に事業の信頼性を示すための基礎になります。

準備項目 主な内容 目的
事業計画書 売上予測、経費見積り、根拠資料 事業の実現性を示す
自己資金 総事業費の2〜3割 本気度と返済可能性の裏付け
面談対策 背景説明、数値根拠の簡潔説明 信頼性と一貫性の確保
信用情報確認 延滞や誤記録の有無を確認 信用力の維持

初めての融資申請では、提出する情報がすべて評価対象となります。提出内容を事前に確認しておくことで、一貫性のある明確な説明が可能となり、審査が円滑に進むでしょう。

事業計画書の作成

事業計画書は、事業内容や資金計画を具体的に説明するためのものです。融資担当者は、事業計画書を通して返済能力を判断します。この書類は、事業の実現可能性と将来性を示す根拠となり、融資審査の基礎を形成します。

事業計画書の「概要」部分には、以下の説明を含める必要があります。

      • 会社の基本情報(会社概要、経営理念、事業の目的など)
      • 提供する製品やサービス
      • 対象市場と市場規模
      • 競合との差別化要因

融資担当者に事業全体を迅速に把握してもらえるように、これらの項目を網羅的に記載してください。わかりやすく具体的な記述を心がけることで、その後の詳細な説明への理解を深めることができるでしょう。

自己資金の準備

自己資金の準備は、事業の信頼性と返済能力を金融機関に示すものです。金融機関は、自己資金の額を通じて事業主がどれだけ事業に対する事前準備をしているかを見極めます。そのため、自己資金は、事業計画の実現可能性や予期せぬリスクへの対応力を測る重要な指標となるのです。

自己資金には、普通預金や定期預金などが含まれます。これらは創業費用の一部を自己で賄うための具体的な資金源です。

【自己資金の例】

        • 普通預金、定期預金
        • 退職金
        • 株式、投資信託(換金性考慮)

株式や投資信託は価値が変動するため、融資を申し込む時点でいくらの資金になるか不確実です。そのため、融資を申し込む前に希望する融資額の3分の1程度を目安に現金化しておくと、金融機関からの評価も高まるでしょう。

自己資金の確保は、融資審査を有利に進める上で重要です。また、事業運営における予期せぬ事態への備えともなります。十分な自己資金は、金融機関からの信頼構築に繋がり、事業の安定的なスタートを支える基盤となるでしょう。

融資担当者との面談対策

初めての融資を受ける際は、融資担当者との面談対策を行うようにしましょう。融資担当者との面談は、提出書類だけでは伝わりにくい事業主の熱意や事業への理解度を直接確認する機会だからです。

たとえば、事業計画書に記載された売上予測や資金使途などの主要な数値を正確に把握し、質問に対して正確に説明できるように準備しましょう。事業に対する深い理解度と計画の実現可能性を示すことができます。

また、融資担当者から想定される質問、例えば事業のリスクや競合との差別化ポイントについて、具体的な回答を事前にシミュレーションしておきましょう。落ち着いて論理的に説明し、信頼感を高めることにつながります。

なお、面談時には金融機関へ質問を用意することも有効です。事業主の能動的な姿勢を示すとともに、融資に関する不明点を解消でき、より具体的な融資条件の確認にも役立つでしょう。

信用情報の確認

初めて融資を受ける場合、事前に信用情報を確認しておくようにすることも重要です。信用情報は過去の金融取引履歴を示す客観的な記録であり、金融機関が融資審査の際に申込者の返済能力や信用度を判断する根拠となるからです。

たとえば、信用情報機関に登録された延滞情報や債務整理の記録は融資審査に直接影響を与える可能性があります。事前に問題を把握すると、必要に応じて金融機関に説明する準備ができます。

また、クレジットカードの利用状況や複数のローン契約の有無なども信用情報として記録されています。これらの情報が多すぎる場合、返済能力に懸念を持たれることがあるため、事前に整理しておくことが推奨されます。

なお、信用情報の確認は、自身が認識していない取引履歴が登録されている可能性を発見する機会にもなります。定期的な確認は、健全な金融履歴を維持し、将来の融資に備える上で役立つでしょう。

融資申請から実行までの流れ

融資申請から実行までの流れは以下の5ステップです。

                              1. 相談・申し込み
                              2. 必要書類の準備・提出
                              3. 面談
                              4. 審査
                              5. 契約・融資実行

融資を申し込む際は、希望する金融機関に相談・申し込みを行います。次に、事業計画書や決算書など、金融機関から指定された必要書類を準備し提出します。この書類をもとに、金融機関の担当者と面談を行い、事業内容や計画について詳しく説明する機会が設けられます。

書類提出と面談を経て、金融機関は融資の可否や融資額を決定する審査を行います。審査にかかる期間は金融機関や融資の種類によって異なりますが、一般的には1週間から1ヶ月程度が目安です。審査を通過した場合、融資条件を確認し、契約を締結します。契約が完了すると、指定した口座に融資額が実行されます。

融資の手続きを円滑に進めるためには、事前の準備が重要です。特に、事業計画書は融資担当者が事業の将来性を判断する重要な資料となるため、具体的な根拠や数値目標を盛り込み、説得力のある内容に仕上げることが求められます。必要書類は漏れなく、正確に準備しておくようにしましょう。

まとめ

初めての融資を受ける場合、事前の準備と情報収集が重要です。初めての融資に向いている金融機関は、「日本政策金融公庫」「信用金庫」「地方銀行」です。これらの金融機関はそれぞれ特徴が異なるため、自身の事業計画に合った選択が重要です。

また、融資限度額は事業計画の妥当性や自己資金の割合、返済能力といった複数の要因によって決まります。希望する融資額を得るためには、説得力のある事業計画書を作成し、日頃から健全な経営を心がけてください。

融資を成功させるためには、以下の準備を行いましょう。

                                      • 事業計画書の作成
                                      • 自己資金の準備
                                      • 担当者との面談対策
                                      • 信用情報の確認

これらの準備が、融資申請をスムーズに進め、事業の信頼性を高めることにつながるでしょう。本記事で紹介した内容を参考に、初めての融資の準備を始めてください。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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