融資を受ける際担保を入れれば金利は下がるのが通常です。
担保は通常では不動産や有価証券などのイメージがありますが、年金という国から支給される資金については担保としてみなされるのでしょうか?
今回の記事では、65歳から受け取れる年金が融資の際に担保になるのかというテーマでまとめていきたいと思います。
1. 老齢年金を担保にして融資は通るのか?
年金と一言で言っても老齢年金・障害年金・遺族年金など種類があります。まずは65歳以上から受給できる老齢年金が担保にできるかというテーマでお話します。
①事業融資、カードローン、クレジットカードでは不可
年金は現在一部受給を除いて65歳から受給がスタートします。この年齢がネックとなり、事業融資、カードローン、クレジットカードでは担保代わりに老齢年金を利用することができません。お金を貸す側としては100%元本も金利も返済してもらわないと困るのですが、日本人の平均寿命は現在83歳。75歳の方に融資をして10年返済で契約したとしても完済されるまでに最悪の場合、他界してしまい残債を回収できないというケースもありえるのです。
ちなみに、年金を担保にするという発想は保険の解約返戻金を担保にするという発想に少し似ています。生命保険の契約者としてその解約返戻金の範囲内でお金を借りるという制度は「契約者貸付制度」と言われています。年金の場合も、次の項でご紹介しますがある機関を通すと年金受給額の範囲内でお金を借りることが可能です。
②独立行政法人:福祉医療機構の年金担保貸付制度とは
年々、年金の受給は減っています。年金額は毎月19万円程度で生活はできるが、急な物入りでどうしても80万円が必要になった。こんな方は意外に多くいらっしゃるのでないでしょうか。高齢者だから通常のカードローンなどには申し込み自体ができない、というお悩みが最近よく寄せられているのはそのせいかもしれません。
前項で年金を担保にはできないとお伝えしましたが、唯一国の認める独立行政法人:福祉医療機構で年金担保貸付を行っています。融資を受けられる対象者は以下の通りです。
・厚生年金保険年金証書
(厚生年金基金および企業年金連合会から支払われるものは対象となりません。)
・国民年金・厚生年金保険年金証書
・船員保険年金証書 (厚生年金保険とみなされ融資の対象となります。ただし、平成22年1月1日以降の事故による船員保険の障害・遺族年金は対象になりません。)
・国民年金証書
(無拠出制の老齢福祉年金、特別障害給付金および国民年金基金は対象となりません。)
・労働者災害補償保険年金証書(石綿健康被害救済法に基づく特別遺族年金は対象となりません。)
各種共済年金および恩給は、対象になりません。
そして、ここが重要ポイントなのですが生活保護受給中の方はご利用がいただけません。
ちなみに年金証書とは年金支給のための手続きを行い受給資格が確認された際に発行される細長い証書です。年金手帳を持っていても年金担保貸付制度は利用できません。
使途目的 |
医療費、介護費、福祉費、住宅改修費、教育資金、事業費、冠婚葬祭、債務の返済、生活必需品の購入など |
融資金額 |
・10~200万円以内で1万円単位 ・毎月の返済額の15倍以内(毎月2万円返済する場合は30万円が融資限度額です) |
返済方法 |
毎月支給の年金額から自動引き落とし (毎月年金が19万円で返済額3万円の場合は、年金担保貸付を完済するまでは毎月年金額が16万円に自動的に減額されます) |
担保 |
年金証書。年金担保貸付の審査に通過した際は、年金証書を福祉医療機構が預かり代わりに年金証書預かり証をお渡しします。 |
融資利率 |
年金担保融資:2.1% 労災年金担保融資:1.4% |
連帯保証人 |
必要(審査あり) 保証料は必要ですが、信用保証制度を利用して保証人なしで利用することも可能です。 |
年金担保貸付の詳細については、以下のURLにてご確認ください。
※上記をクリックすると独立行政法人:福祉医療機構のページにリンクします
2. 遺族・障害年金も担保になる
年金担保貸付での対象の年金ですが、遺族・障害年金も対象となります。その代わり、以下の年金については対象外となります。
- 国民年金基金
- 厚生年金基金
- 共済年金
- 恩給
国民年金基金については自営業の方やタレント・モデルの方で加入されている方も多いですよね。恩給とは官公庁などに一定年数以上勤務したあとに退職または亡くなった方に国から支給される金銭で、共済年金とは国家公務員や地方公務員の加入する年金です。恩給と共済年金を担保にした融資は、日本政策金融公庫で利用が可能です。
3.破産していても大丈夫?
過去に自己破産歴があっても年金の受給資格ははく奪されません。そのため、現在年金の受給者であれば過去に自己破産歴のある人でも借り入れができる可能性があります。
しかしながら、その逆も考えてみましょう。過去に自己破産しても年金の受給資格が消えないということはつまり、年金担保融資の返済ができなくなっても自己破産はできない=借入残高はチャラにならないという仕組みがあるのです。
4. 起業時の融資「日本政策金融公庫」での年金担保は
担保については公的には「お客さまのご要望をお伺いします」となっていますが、まず年金を受け取る年齢になって起業の融資自体が通るのかは一考を必要とします。
日本政策金融公庫での融資の金利は元々1~2%と非常に低いため、よほど自信のある不動産などの担保を入れるというケース以外では担保を入れるメリットはあまりありません。
まとめ
年金担保融資は高齢者にとって頼れる融資です。しかし、国の公的機関での融資ですのでギャンブル性のある借り入れや粉飾については年金受給者であっても審査は否決となります。
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