介護事業を開業する際のスムーズな融資の方法とは?

介護事業を開業する際のスムーズな融資の方法とは? 起業のための資金調達 – 接骨院・介護・福祉・医療
介護 融資

介護事業で起業しようとするなら、全額自己資金ではなく融資をオススメします。

なぜなら、介護事業は今後ますます融資を受けやすいジャンルのビジネスだからです。

今回の記事では、介護事業をできるだけスムーズに行うための効率的な融資の受け方について解説します。

 1.業種ごとに異なる介護開業資金

①訪問介護で必要となる開業資金とは?

通所できない方のために専門スタッフが利用者の自宅まで車で向かう介護サービスです。業種は以下の5つがあります。

 1.訪問介護(ホームヘルパー)

2.訪問入浴

3.訪問看護

4.夜間対応型訪問介護

5.訪問リハビリテーション

 いずれの場合も、介護保険の適用事業ですので開業できれば介護保険を利用したお客様を多数獲得できることになります。しかし、そのためには開業時に用意する設備が法令(介護保険法)の審査基準を満たしていなくてはなりません。

 (1)訪問介護の設備で必要となる資金:200~400万円

では、その法令で定められている訪問介護事業の設備と平均金額をまず見ていきましょう。 

設備概要

具体例

平均金額

事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画(利用申込の受付、相談等に対応できるもの)を有していること

・事務室(事務スペース)最低1名の常駐スタッフと机とイスと書棚が置けるスペース。最低6畳ぐらい。

・相談室(相談スペース)

最低1名のスタッフと相談者が座れるスペースが必要。事務室とつなげてパーテーションでも可。単体の場合は4条程度。事務室とつなげる場合は最低10畳ぐらい。

・東京都中央区の貸事務所の場合:

10坪6.8万円~

20坪9.7万円~

 

・契約時の必要資金:

(20坪9.7万円の場合)

初月と翌月の家賃+敷礼金2か月+仲介手数料1か月=48.5万円

 

・改装費用

※階層が不要の場合もあり

50(看板のみ)~150万円(手洗い、個室トイレ)

・訪問介護の提供に必要な設備及び備品を備え付けていること

【事務用品】

・鍵のかかる書棚

・電話機

・FAX

・PC

・プリンター

【衛星用品】

・個室トイレ

・手指を消毒するための設備(手洗い石鹸液、爪ブラシ、使い捨てペーパータオル、手指消毒剤)

【介護用品・その他】

・車イス

・事業所専用の車両

【事務用品】

=トータルで10万円ぐらい

 

【衛星用品】

・トイレの改装費

50万円※手洗い場含め

・その他備品で1万円

 

【介護用品・その他】

・車イス

20~40万円。

・事業用の車両

80~150万円

大きく負担となるのはまず事務所の取得費用です。次いで車イス、車両にも合計で100万円以上はかかります。

 元々貸事務所にトイレがついていれば問題ありませんが、共用のトイレしかない物件の場合は改装をするという話になる場合もあります。少なく見積もると約200万円、多く見積もると400万円ぐらいが開業時に必要な設備資金です。

 (2)訪問介護の人員雇用でひと月に必要となる資金:120万円

人員基準

平均月給

・介護福祉士、実務者研修修了者(450H)、介護職員初任者研修修了者(130H)

・旧介護職員基礎研修修了者(500H)

・旧訪問介護員1級(230H)又は

旧2級課程修 了者(130H)

訪問介護員1名につき

20万6千円~

 

公益財団法人「介護労働安定センター」の調査によると、訪問介護員の常勤労働者率は28%、短時間労働者が68%とパート勤務者が多い状況です。

 公益財団法人介護労働安定センター|平成17年度 介護労働実態調査について

※上記URLをクリックすると、公益財団法人介護労働安定センターの公式ページにリンクします

 例えば、10名で訪問介護業を始める場合は常勤3名で21万円×3=63万円、パート勤務者7名(例、時給1150円×月間で70時間勤務=80,500円)だと56万3,500円の計算で、ひと月の人件費は約120万円となります。

 ②通所介護(デイサービス)で必要となる資金とは?

次に、デイサービスで必要となる資金について触れていきましょう。デイサービスとは、ご自身で歩ける方に介護施設まで通ってきて頂き、どこでスタッフが身の回りの世話や心身機能の向上のための特訓、娯楽の提供を行う事業です。             

 デイサービスを開業する場合、法令で定められている要件は以下の通りです。

職種

人員に関する基準

資格の有無

管理者

専属の常勤者1名(事業所ごと)

必要なし

生活相談員

介護の単位ごと、提供時間ごとに専従できるもの1名以上

下記いずれか1名

・社会福祉士

・社会福祉主事

看護職員

介護の単位ごと、提供時間ごとに専従または密接かつ適切に連携できるもの1名以上

下記いずれか1名

・看護師

・準看護師

介護職員

介護の単位ごと、提供時間ごとに利用者の数が15名以上の場合は1名以上、15名を超える場合はそれ以上の介護職員が必要

必要なし

昨日訓練指導員

介護の単位ごと、提供時間ごとに専従できるもの1名以上

以下のいずれかの要件を満たす者

・理学療法士

・作業療法士

・言語聴覚士

・看護師

・準看護師

・柔道整復師

・あん摩マッサージ指圧師

訪問介護よりも、デイサービスの方が求められる職種が幅広いことがこの表により分かります。訪問介護の場合は介護福祉士や旧介護職員基礎研修修了者などで開業できるのですが、デイサービスの場合は社会福祉士、看護師、理学療法士などの専門職の方を雇用しなければいけません。このため、必要となる人件費は訪問介護の時よりも多めに見積もる必要があります。

 次に、デイサービスで必要とされる設備についてみていきましょう。 

設備に関する基準

内容

平均金額

食堂・機能訓練室

それぞれ必要な広さを有すること

合計した面積が、3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上であること

狭隘な部屋を多数設置することにより面積を確保することは不可

・東京都中野区の物件の場合

80坪 45万円~

100坪 55万円~

 

・契約時の必要資金:

初月と翌月の家賃+敷礼金2か月+仲介手数料1か月=225万円

 

・改装費用

300~400万円

静養室

利用定員に対して、(複数の利用者が同時に利用できる)適当な広さを確保すること

専用の部屋を確保すること

相談室

遮へい物の設置等により相談の内容が漏えいしないよう配慮されていること

事務室

職員、設備備品の配置できる広さを確保すること

トイレ

介助を要する者の使用に適した構造・設備とすること

(複数設置で、車いすを使用できることが望ましい)

ブザー、呼び鈴等通報装置が設置されていること

厨房

(食事を提供する場合)

環境衛生に配慮した設備とすること

(保存食の保存設備を設置することが望ましい)

浴室

(入浴介助を行なう場合)

手すり等を設置し、利用者の利便・安全に配慮し、介助浴を基本とする

 デイサービスで必要な備品ですが、訪問介護で必要なものに追加し厨房設備が必要になります。訪問介護の資金(151万円)×3+厨房設備(200万円)で合計は653万円となります。

 2.共通で必要なその他の資金とは

①法人設立費用

介護事業で開業するのであれば、個人事業主ではなく法人設立をオススメします。介護保険適用外の事業(介護タクシーや介護事業向けのクリーニング、配食)などもありますが、介護保険適用のメイン事業であれば法人でないと認定されないためです。

 法人には株式会社やNPO法人など種類がさまざまありますが、いずれも事業所を行いたい地域を管轄する法務局へ行き法人の登記申請を行う必要があります。

 ・株式会社の場合

定款に貼る収入印紙、公証人に払う手数料、定款の謄本手数料、登録免許税で合計21~25万円です。

 ・NPO法人の場合

0円で設立可能です。

②オープンのためのチラシなどの宣伝費用

介護事業は地域密着型のビジネスです。高齢者はネットよりも折込みチラシや地元のフリーペーパーの広告をよく見ているため、ぱど(フリーペーパー)などへの広告掲載や折込みを利用しましょう。

 25万部を依頼するのに最低で必要な広告依頼料は最低で25万円ほどです。

 3.自己資金で足りない分は日本政策金融公庫から融資を受ける

介護事業を開業するのに必要なお金は設備の取得費(家賃、敷礼金など)、備品、人件費だけではなく、法人の設立費用も必要です。また、開業後すぐに軌道にはのらないため最低6か月分の運転資金が必要です。

 経費のあまりかからない訪問介護の場合でも、開業時には以下の費用が必要です。

  • 1.設備と備品:200~400万円
  • 2.ひと月の人件費:120万円
  • 3.法人設立費用:NPO法人の場合は0円
  • 4.運転資金6か月分:(家賃9.7万円+光熱費8万円+人件費120万円)×6

826.2万円

 自己資金が300万円の場合は、残りの526.2万円は日本政策金融公庫の融資を受けることでまかなうという計画がたてられます。また、介護で各種受けられる助成金や補助金についてはこの計算には含めていないため、助成金などが支給されるともう少し初期費用は抑えられます。

 4.スムーズに融資を受けるには?

日本政策金融公庫で融資を受けるには、まずは書類作成が最も大切です。この書類作成がきちんとできるかにより、融資の可能性も大幅に変化します。

法人が、創業融資を受けるために必要な書類は?

 詳細な書類に関する記事は、上記のURLを参考にしてください。書類作成では開業後に稼げる資金や経費をまとめる経計算書も添付しますが、本記事のように設備費、人件費、運転資金、宣伝費などの項目ごとに記載します。記載するためには、実際に不動産会社へ見積依頼をしてから作成しましょう。提出する書類の数値が現実的でないと、スムーズな融資は受けられません。

 まとめ

今後ますます伸びる介護業界ですが、施設や人員について法令基準を満たす必要があります。自己資金だけでは開業するのが難しい部類のビジネスですので、足りない資金については公的融資を効率的に利用しましょう。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。