企業主導型保育事業助成金とは?
結婚して子育てをしながら仕事を続ける女性。家庭での育児のために育休をとる男性。自分の親の介護のために介護休暇をとる人々。最近の日本では、少子高齢化のあおりを受け、一人で何役もの役割をこなさなければいけない「両立の時代」に突入しています。
両立支援等助成金は、そんな両立をする従業員を支援するための助成金で厚生労働省が管轄です。しかし、その中の一つ「事業所内保育施設コース」については平成28年4月から新規受付を停止しています。
本記事では、事業所内に保育施設コースを作りたい企業が使える他の助成である内閣府主導の企業主導型保育事業をご紹介します。
1.保育園に入れない!企業主導型保育事業の拡がる可能性
自分の親が遠方に住んでいる、または介護が必要。そして旦那の帰りが残業でいつも遅いなど、現代の母親はこんな状況下でありながら仕事も続けなければいけない方が大勢いらっしゃいます。
保育園に子供を入れるための活動=「保活」という言葉も定着するほど、首都圏を中心に保育園の数や保育士の数は足りていません。行政は盛んに保育施設の増加を勧めていますが、中小企業としても「企業主導型保育事業」を行うことで日本の少子化や自社の離職率低下に貢献できます。
※上記URLをクリックすると、(公)児童育成協会の企業主導型保育事業ポータルサイトにリンクします
これからご紹介する「企業主導型保育事業」は条件に合う事業所が本業である事業を行い、同時に以下の保育事業を手掛ける場合、認可保育園並みの高額な助成金を受け取れる制度です。
嬉しいポイントとして、保育士ではなくとも「子育て支援研修」を受けた方であれば保育士補助者として認められ、さらには助成金額のアップがあります。また、防犯対策としてカメラなどの備品を購入する場合も助成強化の対象となります。
2.企業主導型保育事業助成金の概要
①どんな助成金?
企業の中に保育施設や保育サービスを設置することにより、小さな子供のいる家庭も安心して働ける環境を作り、仕事と家庭の両立を目指す目的の事業に対して支払われる助成金です。
認可保育園を利用する場合は自治体の定める点数制を用いており、激戦区では夫婦共に正社員でないと子供を保育園に入れることはできません。しかし、この企業主導型保育事業の場合は親が一定の就労条件を満たし、あとは利用枠に空きさえあれば入園できるので親としては嬉しい限りです。
②4つのポイント
企業主導型保育事業には、以下4つのポイントを抑える必要があります。
- 1.多様な就労形態に対応した保育サービスの拡大を支援するための仕組みであること
- 2.市区町村による計画的整備とは別枠で整備可能であり、設置の際や利用の際に市 区町村の関与を必要としないこと
- 3.地域枠も自由に設定できること(利用定員の50%以内)
- 4.運営費や施設整備については、子ども・子育て支援新制度の小規模保育事業等の 公定価格に準じた支援が行われること
この中で注目すべきは2.そして3.です。認可保育園の場合は行政の計画や予算に応じた設置をする必要がありますが、企業主導型保育事業の場合は企業側に意思決定がゆだねられています。
この制度を利用すれば認可保育園が作れない地域であろうとも、即企業内に保育園を作ることは可能なのです。また、利用者は企業で働く従業員だけでなく定員の50%以内であれば地域の方向けの利用枠を設けることも可能です。
例えば、
企業内の子ども | 地域の子ども |
50% | 50% |
のように、地域の子どもも定員の50%以内であれば利用できるような利用規約を作ることも可能です。待機児童の多いエリアに企業内保育所を設置すれば、それだけで地域に対する貢献度は高まり、その事業所のイメージは格段にアップするでしょう。
③行政の管理下にない!
企業主導型保育事業では、行政の認可保育園のような選考基準を満たす必要はなく、あくまで企業内で設置する基準を満たせばよいのです。
通常の保育施設を作るよりもハードルが低い点は実施企業にとってはメリットとなるでしょう。
④(公)児童育成会から認可保育園と同程度の助成金が受け取れる
企業主導型保育事業と似たような制度で「事業所内保育事業」というのもあるのはご存知ですか?事業所内保育事業の場合、自治体の基準を満たす必要があるのです。
しかし、企業主導型保育事業の場合は独自の基準を満たせばOKです。助成金は公益財団法人「児童育成会」から整備費・運営費などとして受け取れます。
⑤申請のための条件
この助成金をもらうには、事業主側が以下の条件を満たす必要があります。
- 子ども・子育て拠出金を負担している事業主であること
- これから事業(保育事業のこと)を始めるためまたは新たに定員を増やすために自ら事業所内保育を設置する事業主
- 上記の2点を満たす事業所と利用契約を終結して保育事業を新たに実施・または定員を増やす事業所
- 上記2点を満たす事業所の空き定員の枠を利用し、利用契約を終結して保育事業(本業とは別)として活用する事業所
ちなみに、助成金申請の手続きで13桁の法人番号が必要ですので、法人登記は必須です。
子ども・子育て拠出金とは、厚生年金を納める従業員を雇う事業主であれば全員が対象となっている税金です。以前は「児童手当拠出金」という名前でしたが、平成27年からこの名前に変更になりました。つまり、普通の事業所であればたいていは条件を満たしています。
普通の事業所が事業所内に乳児室や屋外遊技場などの保育施設を新規で作成する、または既にあるものの定員を増やすための追加設置をする場合に助成金がもらえます。この助成金をもらうパターンは全部で3つあります。
文章にすると長く分かりづらいので、図にしてみました。この助成金の特徴は、パターン2、3のように自社だけでなく他の企業と連携することができる点です。例えば、大企業をバックに持つ子会社が本社と連携して保育事業を行う、というのもアリなのです。
⑥いくらもらえるの?
認可保育園並みの助成が受けられます。認可保育園の助成額は、運営費と設備費で計算方法が異なります。
【運営費の場合】
以下5つのポイントで助成額は算出されます。
- どの地域で保育事業を行うのか
- 何人の乳幼児を保育するのか
- 何歳の子を保育するのか
- 何時から何時まで空いている保育施設なのか
- 保育士は何名いるのか
例えば、利用する子供の年齢が小さいほど助成額は大きく、子供の年齢が大きくなれば助成額は小さくなります。具体的にいくらもらえるかと言うと、例えば東京特別区の場合は定員20名で11時間オープン、保育士比率100%の保育施設を作る場合は3,300万円以上の助成金を受け取れます。運営費だけなので、保育施設にはとてもお金がぁぁるのですね。
【設備費の場合】
人口密度、定員という2つのポイントで基本単価を算出し、あとは実際にかかった工事費用の3/4までを助成します。こちらも、何千万円単位の助成がされます。
⑦申請に必要な書類と申請先
この助成金の申請は電子申請と紙の申請と2つの申請が必要です。まずは以下のポータルサイトからメールアドレスを登録し、企業IDを発行するところからスタートです。
※上記URLをクリックすると、企業主導型保育事業ポータルサイトにリンクします
その後の流れは、企業の基本情報を入力し、その後システム登録に必要な事項を入力します。ここまで終わると、紙の申請用紙の送付に手続きは移ります。用紙は以下のURLからダウンロードできます。
※上記URLをクリックすると、企業主導型保育事業ポータルサイトにリンクします
⑧締め切りと今後の募集の流れ
平成30年度の企業主導型保育事業の募集は定員に達したため終了しました。しかし、西日本などの豪雨被害を受けた地域の募集は再開するそうです。詳細は、ポータルサイトをご覧ください。
この助成金は、既に18回も続いているため定番の助成金と言えるでしょう。毎年、6月に募集が開始されています。次年度に向け、是非今から情報収集を始めましょう。
まとめ
事業所内保育事業の新規受付がストップしていても、企業主導型保育事業の新規募集はまだ可能性があります。今のうちに、情報収集をしあなたの事業所のイメージアップや離職率低下に向けて準備をしましょう。
企業主導型保育園を開業する方は、
助成金がでるタイミングがずれ、資金繰りがかなり悪化してしまうケースがあります。
資金繰りが悪化する前に、上手に資金調達しておく必要があります。
資金調達方法で、事業主がもっとも利用しやすいのが、日本政策金融公庫からの融資です。
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平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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