日本政策金融公庫に提出する企業概要書の書き方を解説

日本政策金融公庫に提出する企業概要書の書き方を解説 更新日:2025.08.29 公開日:2018.01.26起業のための資金調達 – 日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫 企業概要書

日本政策金融公庫から融資を検討している人の中には、提出書類のひとつである「企業概要書の書き方」で悩んでいる人もいるかもしれません。企業概要書は融資担当者がその企業を初めて知る重要な資料となるため、書くときの留意点が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、日本政策金融公庫に提出する企業概要書の書き方を解説します。日本政策金融公庫から融資を受けたい人は参考にしてみてください。

創業後に初めて公庫から融資を受ける場合は企業概要書を提出する

日本政策金融公庫から創業後に初めて融資を受けるときは、企業概要書を提出します。企業概要書とは、事業の沿革や取扱商品など、公庫が用意したフォーマットに沿って事業の概要が分かるように記入する書類のことです。

創業計画書と企業概要書の違い

※日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード」を参考に株式会社SoLaboが作成

日本政策金融公庫には創業計画書というフォーマットの書類もあるため混同されやすいです。創業計画書はこれから創業する人が記入する書類のため、「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」などの項目がありますが、企業概要書はそれらの項目がありません。

企業概要書は、融資担当者がその事業の概要を理解することを目的に作成します。「取扱商品」「従業員数」「取引先との条件」など、項目を漏れなく記入することにより、融資担当者が面談前に事業の概要を把握しやすくなります。

なお、企業概要書には事業の数字の部分は記入しません。これまでの実績や今後の計画は「決算書」「資金繰り表」などの資料を別途依頼されることになるため、日本政策金融公庫から融資を受けたい人は留意しておきましょう。

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企業概要書の書き方

企業概要書を書くときは、まず企業概要書の記入項目を確認するところから始めましょう。企業概要書の項目は6つに分かれており、該当しないもの以外、すべて記入することになります。

【企業概要書の記入項目】

  1. 企業の沿革・経営者の略歴等
  2. 従業員
  3. 関連企業
  4. お借入の状況
  5. 取扱商品・サービス等
  6. 取引先・取引関係等

6つの項目に分かれていますが、それぞれの項目の中には複数の記入箇所がある項目もあります。単に「記入欄を埋める」ことを目的にせず、自社の特徴や強みを端的に整理して書き込むことが大切になるため、それぞれの項目の詳細を確認してみましょう。

企業の沿革・経営者の略歴等

企業概要書の項目のひとつは「企業の沿革・経営者の略歴等」です。ここでは会社がどのように歩んできたか、経営者がどのような経験や資格を持っているかを整理します。沿革と経歴を明確に記載することで、事業の継続性や信頼性を伝えられます。

【企業の沿革・経営者の略歴等の記入項目】

項目 内容例
企業の沿革 設立年月日
主要な事業の開始時期
組織変更の有無
経営者の略歴 学歴や勤務歴
過去の事業経験
取得資格
実際経営者や後継(予定)者 実際経営者の有無
後継(予定)者の有無
その人の氏名や関係性
許認可等 建設業許可や飲食業許可などの営業に必要な免許
知的財産権等 商標登録
特許権
意匠権

企業の沿革を記載するときのポイントは、事業の成り立ちや変遷を時系列で整理することです。設立年月日や主要な事業開始時期、組織変更の有無などを簡潔に書きましょう。また、経営者の略歴は学歴・勤務歴、過去の事業経験、取得資格を具体的に記載することで、事業を担う人物の実力や信頼性を示せます。

実際経営者や後継者がいる場合は、その人物の詳細や関係性も記入します。とくに、実際経営者がいる場合は、なぜ経営者と実際経営者が異なるのか事情も確認される可能性があるため、あらかじめ書類に記載しておくことも検討しましょう。

許認可や知的財産権がある場合はそれらも記入します。事業の合法性や強みを裏付ける要素となるため、面談時に許認可証や特許証を持参することも検討してみてください。

従業員

企業概要書の項目のひとつは「従業員」です。常勤役員の人数(法人の場合)、従業員の総数、家族が手伝っているかどうか、さらにパート・アルバイトの人数などを分けて記入します。これは、事業がどのような体制で運営されているかを示す重要な情報になるため、正確に書きましょう。

【従業員数の記載例】

項目 記載例
常勤役員の人数(法人の方のみ) 1名(代表取締役)
従業員数 3名
従業員数のうち、家族従業員の数 1名(妻が経理を担当)
従業員数のうち、パート従業員の数 2名(週3日勤務)

従業員数の記載は、単に「人数」を伝えるだけではなく、事業の規模感や安定性を判断する材料となります。たとえば、家族中心の経営であれば意思疎通のしやすさが強みになりますし、外部従業員を多く雇っていれば、組織的に事業を回していることが伝わります。

また、パート・アルバイトを含めた体制を記載することで、人件費の水準や売上とのバランスを示すことができます。融資担当者は「今の人員体制で今後も事業を継続できるのか」「売上規模に見合った雇用なのか」といった視点で確認するため、実態に即して整理しておくことが大切です。

日本政策金融公庫は事業規模に対して人員が適切かどうかを確認しています。常勤役員や従業員の人数、家族やパートの構成を明確に示すことで、組織体制や事業運営の安定性を判断してもらいやすくなるため、数字の内訳を整理して記載することが、審査担当者への説明力を高めるポイントです。

関連企業

企業概要書の項目のひとつは「関連企業」です。関連企業とは、資本関係や人事関係その他の事情により、会社の経営に関して相互に影響が及ぶ会社のことを指します。もし関連企業がある場合は、融資申込企業と関連企業との関わりを必ず確認されます。

たとえば、夫と妻がそれぞれ会社を経営している場合、それらは関連企業同士とみなされます。夫の会社が融資を申し込んだ場合は、妻の会社と資金のやり取りや取引の有無も明らかにした上で審査がおこなわれます。

関連企業がある場合、日本政策金融公庫は関連企業の財務状況も一体となって審査する傾向にあります。そのため、関連企業の決算書や法人謄本なども提出する可能性があることを留意しておきましょう。

お借入の状況

企業概要書の項目のひとつは「借入の状況」です。カードローンや奨学金など、個人で借りているお金があるかどうか確認するため、個人事業主の場合は本人の借入、法人の場合は代表者個人の借入をそれぞれ記入します。

【個人が借入している例】

  • 銀行カードローン
  • クレジットカードのリボ払い
  • 日本政策金融公庫の教育ローン
  • 信用金庫の個人向け融資
  • 奨学金
  • 消費者金融からの借入
  • 車や住宅購入のローン

借入の状況を記載するときは、種類や金額、返済期間を具体的に書きます。たとえばカードローンやクレジットカードのリボ払いがある場合は、利用残高や月々の返済額も整理して記載することにより、個人の返済負担がどの程度かを明確に伝えられます。

また、奨学金や車・住宅ローンなど長期返済の借入についても記載しましょう。公庫の教育ローンや信用金庫などの個人向け融資も含め、全ての借入を把握して総合的に返済能力を判断しているため、正確に整理して書くことがポイントです。

なお、借入の状況を裏付けるために「返済予定表」の提出を求められる傾向があります。カードローンやリボ払いの場合、正確な借入明細が分からない可能性もあるため、事前にカード会社に確認し、詳細が分かるものを用意しておきましょう。

取扱商品・サービス等

企業概要書の項目のひとつは「取扱商品・サービス等」です。ここでは、どのような商品・サービスを扱っているのかを中心に、単価や営業日数、販売戦略などを整理します。日本政策金融公庫にとっては、事業の収益構造や成長可能性を理解するうえで重要な項目です。

【取扱商品・サービスの記入項目と記載ポイント】

項目 記載ポイント
事業内容 業種や事業の特徴を簡潔に書く。担当者が一目で事業の全体像を理解できるようにする。
取扱商品・サービスの内容 主力商品や提供サービスを具体的に列挙する。他社との差別化ポイントや人気商品、それぞれの商品やサービスの売上シェアを記載する
単価 客単価・受注単価を示す。根拠や算出方法があれば補足する。
営業日数(飲食・小売業等) 月の営業日数・定休日・営業時間を記載する。繁忙期や閑散期があれば補足する。
売上の季節変動 月ごとの売上推移や季節要因を説明する。売上に波がある業種は特に丁寧に書く。
主な設備 導入している機械やシステムを列挙する。事業運営に不可欠な設備はアピールポイントになる。
セールスポイント 自社の強みや独自性を簡潔にまとめる。競合と比較して選ばれる理由も書くと効果的。
販売ターゲット・販売戦略 想定顧客層や販路を具体的に記載する。集客・販売の工夫も盛り込む。
競合・市場など企業を取り巻く状況 同業他社の状況や市場環境を客観的に説明する。自社のポジションや将来性も示す。
悩みや苦労している点、欲しいアドバイス等 経営上の課題や相談したい点を率直に記載する。支援機関に期待することがあれば書く。

取扱商品・サービス等を記載する際のポイントは、事業の収益モデルが相手に伝わるかどうかです。主力商品やサービスを具体的に書くことで、どの部分で収益を上げているのかが明確になります。また、単価や営業日数、売上の季節変動を合わせて示すことで、その事業の月間や年間の流れがイメージしやすくなります。

さらに、セールスポイントや販売戦略、競合状況の記載は、自社の強みや市場での立ち位置を理解してもらうために不可欠です。強みと課題の両方を整理することで、より現実的かつ前向きな事業計画として信頼を得やすくなります。

業種によっては、一般的なフォーマットだけでは十分に事業の特徴が伝わらない場合があります。たとえば、不動産賃貸業なら「利回り」や「空室率」、建設業なら「受注の内訳(公共工事と民間工事の割合)」や「案件ごとの利益率」などを盛り込むと、融資担当者がビジネスモデルを具体的に理解しやすくなるため、業種に応じたポイントを押さえて書くようにしましょう。

取引先・取引関係等

企業概要書の項目のひとつは「取引先・取引関係等」です。ここでは、どのような取引先とどのような条件で取引をしているかを示します。融資担当者は記載されている情報から、売上の安定性や取引先の信用力、回収リスクを判断しています。

【取引先・取引関係等の例】

項目 内容
取引年数と取引シェア 主要取引先との付き合い年数や、売上に占める割合を記載。長期取引や高シェアは安定性の証明になる。
掛取引の割合 売上の現金取引と掛取引の比率を示す。掛取引が多い場合は、相手先の信用度や自社の与信管理体制も補足することを検討する。
手形割合 手形取引の有無や割合を明記。手形サイトが長い場合は資金繰りへの影響を確認される可能性がある。
回収・支払の条件 売掛金の回収条件(例:月末締め翌月末払い)や仕入先への支払条件を具体的に示す。回収と支払のタイミングのズレが大きい場合は、資金繰り表を使って補足することも検討する。

主要取引先との取引年数や売上シェアは、事業の安定性を判断する材料になります。長期にわたり高いシェアを持つ取引先がある場合、売上の継続性が見込みやすく、融資判断でもプラスに働きます。掛取引や手形の割合も重要で、多い場合は回収リスクが高まるため、相手先の信用力や自社の管理体制を明確にすることが求められます。

さらに、回収・支払条件の具体的な記載もポイントです。支払サイトと回収サイトのズレが大きい場合は、資金繰りへの影響が懸念されるため、補足資料として資金繰り表や見込表を添付すると安心です。これらの情報を整理して提示することで、事業の実態を正確に伝えられ、融資担当者の理解が深まります。

取引先との取引内容を裏付ける資料として、預金通帳の提示を求められる可能性があります。「売上先からの入金に遅れはないか」「外注先への支払い遅れはないか」などを確認される場合があるため、取引条件は実態にもとづいたものを書くようにしましょう。

企業概要書を書くときの留意点

企業概要書を書くときの留意点は、融資担当者に事業のイメージが具体的に伝わるように書くことです。担当者は面談前に企業概要書に目を通すため、書類だけでその企業の特徴や強みが把握できるように書くことを意識しましょう。

【企業概要書を書くときの留意点】

  • 具体的な説明がなく強みが伝わらない
  • 数字や根拠がなく、説得力に欠ける

具体的な説明が不足していると、融資担当者は「この企業の強みは何か」が分からず、審査でプラス評価を得にくくなります。たとえば「外構工事がメイン」とだけ書くよりも、「住宅の新築に伴う外構工事を中心に、造成工事や駐車場舗装にも対応」「地元工務店からの継続的な依頼が全体の6割」といった説明を加えることで、得意分野や主要な受注ルートが具体的に伝わります。

また、数字や根拠が欠けていると、担当者にとっては単なる自己評価に見えてしまい、信頼性を損なう恐れがあります。売上推移や顧客数の増減、原価率や利益率といった定量的な数値を交えて説明することで、書類全体の説得力が大きく高まります。こうした数値は客観的な根拠となり、融資判断を後押しする材料になります。

企業概要書は単なる形式的な書類ではなく、融資担当者に自社の強みや将来性をアピールできる「プレゼン資料」の役割を担っています。作成する際は「担当者がこの内容だけで企業の姿をイメージできるか」を意識して書いてみてください。

まとめ

日本政策金融公庫から創業後に初めて融資を受けるときは、企業概要書を提出します。企業概要書とは、事業の沿革や取扱商品など、公庫が用意したフォーマットに沿って事業の概要が分かるように記入する書類のことです。

企業概要書を書くときは、まず企業概要書の記入項目を確認するところから始めましょう。単に「記入欄を埋める」ことを目的にせず、自社の特徴や強みを端的に整理して書き込むことが大切になるため、それぞれの項目の詳細を確認していきましょう。

企業概要書を書くときの留意点は、融資担当者に事業のイメージが具体的に伝わるように書くことです。担当者は面談前に企業概要書に目を通すため、書類だけでその企業の特徴や強みが把握できるように書くことを意識しましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
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