日本政策金融公庫からの融資を検討している人の中には、「自分の事業は融資の対象になるのだろうか」と不安に思う人もいるかもしれません。業種によっては、そもそも融資の対象外とされている場合もあるため、申し込み前に確認しておくことが大切です。
当記事では、日本政策金融公庫で融資の対象外となる業種について解説します。対象となるかどうか気になる人は参考にしてみてください。
日本政策金融公庫では一部の業種が融資の対象外となる
日本政策金融公庫は中小企業や小規模事業者を対象とした融資をおこなっていますが、一部の業種は融資の対象外としています。日本政策金融公庫は国民生活の向上に寄与する目的のもと運営しているため、その趣旨にそぐわない業種や事業は融資の対象外となります。
【対象外となる業種の例】
- 公序良俗に反する業種
- 投機的な業種
- 金融業や保険業の一部
日本政策金融公庫が特定の業種を対象外とするのは、融資した資金が社会的に健全な用途で使われることを重視しているためです。とくに接待を伴う飲食業や風俗関連などは、公序良俗に反するとされ、公共性の高い公的融資の趣旨に合わないため除外されています。
また、投機的な業種や金融業・保険業の一部も対象外とされています。日本政策金融公庫は「中小企業や小規模事業者が安定的に事業を営み、地域経済に貢献すること」を支援する趣旨があるため、市場変動の激しい業種や、地域経済への効果が限定的な事業は融資の対象となりません。
なお、日本政策金融公庫の国民生活事業の公式サイト上では、融資対象外に関する記載は見当たりませんでした。時代の変遷に伴って業種形態も複雑化しているため、明確な線引きはされていないものの、上記にあげた業種は公庫の事業目的にそぐわないため原則として対象外となる点を留意しておきましょう。
事業性が認められないと対象外になる可能性がある
日本政策金融公庫では、事業性が認められないと融資の対象外となる可能性があります。日本政策金融公庫は地域経済の活性化を支援し、国民生活の向上に寄与することを目的としているため、その趣旨にそぐわない事業は事業性が認められないと判断される場合があります。
【事業性に懸念をもたれる例】
項目 | 具体例 |
---|---|
継続性がない | ・期間限定イベントの出店 ・月の作業時間が10時間にも満たない動画配信者 |
収益性がない | ・利益が見込めないNPO活動 ・単体では収益化が見込めない物件の賃貸業 |
社会性がない | ・不正な買い占めによる転売業 ・個人で完結する成果報酬型の事業 |
事業性が認められない例として、継続性や収益性が不十分な事業があります。期間限定のイベント出店や、週1〜2日のハンドメイド販売のように、事業として安定的に収益を上げられない場合は、融資の対象外と判断される可能性が高くなります。
また、社会性が乏しい事業も事業性が認められにくくなります。個人で完結する成果報酬型の事業や、不正な買い占めを伴う転売業など、地域経済や国民生活への貢献が見込めない事業は、融資対象外となる場合があります。
事業性の有無は、特定の業種や職業によって判断されるものではありません。同じ業種であっても、実績や計画内容を見て、事業性がある場合とない場合とに分けられます。事業性がないと判断された場合は、融資の審査前に断られる可能性があるため留意しておきましょう。
事業性の説明は日本政策金融公庫への提出書類内に記載する
事業性に関する説明は、日本政策金融公庫への提出書類内で記載することを検討してみましょう。事業性が認められるかどうか定かではない場合は、企業概要書や創業計画書などの公庫へ提出する書類に記載することにより、審査担当者へ事業性をアピールすることができます。
【提出書類の記入例】
項目 | 記入例 |
---|---|
企業概要書 (すでに開業している人が提出する書類) |
週末(土日)を中心にカフェを営業。平日は仕込み・仕入れ・新メニュー開発を行い、Instagramを中心としたSNSでの集客を実施。近隣イベントへの出店も継続予定。 |
創業計画書 (これから創業する人が提出する書類) |
アクセサリーを中心としたハンドメイド作品の製作・販売を行う。初年度はオンラインショップを主軸とし、月1回のイベント出展を組み合わせる。将来的には常設店舗の展開を視野に入れる。 |
提出書類に記載する際は「継続性」と「収益性」を意識しましょう。カフェの例であれば、平日も仕込みや集客に充てている点や、イベント出店を通じて新規顧客を獲得し続ける点が継続性の裏付けとなります。また、ハンドメイド販売ではネットショップとイベント出展を組み合わせ、複数の販路を確保していることが収益性を示す材料になります。
あわせて「社会性」を補足することも重要です。地域のニーズに応える点や、顧客や雇用につながる展望を示すと、公庫からの評価が得やすくなります。カフェなら「地域イベントとの連携による交流拠点」、ハンドメイドなら「女性の活躍や地域クラフト文化の発信」といった形で、社会性を盛り込むと事業性が伝わりやすくなります。
日本政策金融公庫に初めて融資を申し込む場合は、必ず事業内容を確認されます。企業概要書や創業計画書などの提出書類から事業内容を把握するため、事業性があると認められるかどうか心配な人は、継続性や収益性、社会性を意識した説明を盛り込むことを検討してみてください。
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まとめ
日本政策金融公庫は中小企業や小規模事業者を対象とした融資をおこなっていますが、一部の業種は融資の対象外としています。日本政策金融公庫は国民生活の向上に寄与する目的のもと運営しているため、その趣旨にそぐわない業種や事業は融資の対象外となります。
日本政策金融公庫では、事業性が認められないと融資の対象外となる可能性があります。同じ業種であっても、実績や計画内容を見て、事業性がある場合とない場合とに分けられます。事業性がないと判断された場合は、融資の審査前に断られる可能性があるため留意しておきましょう。
事業性に関する説明は、日本政策金融公庫への提出書類内で記載することを検討してみましょう。事業性が認められるかどうか定かではない場合は、企業概要書や創業計画書などの公庫へ提出する書類に記載することにより、審査担当者へ事業性をアピールすることができます。
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