日本政策金融公庫に融資を申し込んだ人の中には、公共料金の領収書の提出を求められた人もいるかもしれません。なぜ融資の審査で公共料金の領収書が必要なのか、どのような目的で確認されるのか疑問に感じている人もいるでしょう。
当記事では、日本政策金融公庫が公共料金の領収書を求める理由を解説します。領収書がない場合の対応方法も紹介するため、公共料金の領収書を依頼された人は参考にしてみてください。
日本政策金融公庫が公共料金の領収書を求める理由
日本政策金融公庫の審査では、融資の申込者に公共料金の領収書を求めることがあります。水道やガス、電気代などの公共料金の領収書を持参するよう依頼された場合は、公庫の審査担当者が以下の理由から依頼している可能性があります。
【公共料金の領収書を求める理由の例】
- 実態確認のため
- 支払振りの確認のため
公共料金の領収書を求める理由として、「実態確認」「支払振りの確認」をおこなおうとしている可能性があります。公共料金の領収書が依頼されている以上、融資審査における判断材料となるため、それぞれの理由について確認していきましょう。
なお、担当者によっては2種類の公共料金の領収書を数か月分持参するよう依頼する場合もあるため、公共料金の領収書を依頼された場合は、どれくらいの量を持参すべきか事前確認することも検討してみてください。
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実態確認のため
日本政策金融公庫は公共料金の領収書を通じて、申込者の事業所や居住地の実態確認をおこなっている可能性があります。領収書に記載された情報と申込書類の内容を照合することにより、申込内容の整合性を判断する材料として活用しているためです。
【公共料金の領収書の確認項目の例】
確認項目 | 確認目的 |
---|---|
契約者名 | 申込者との一致確認 |
使用場所の住所 | 事業所・居住地の実在性 |
料金や使用量 | 実際の使用実態 |
公共料金の領収書では、契約者名や使用住所が確認できます。とくに新規開業や事業拡大の申込では、提出された事業所の所在地で実際に稼働しているかどうかが審査で重視されるため、公共料金の使用実績がひとつの判断材料となります。
また、自宅兼事業所や申込者の居住地確認においても、公共料金の領収書は重要な役割を果たします。住民票だけでは実際の居住実態まで把握できないため、継続的な公共料金の支払実績により実際に生活している事実を確認する意図があります。
ただし「引っ越したばかり」「まだ事務所を契約していない」などの理由から公共料金の領収書がない場合もあります。公共料金の契約が完了していない状況や、契約直後で領収書が発行されていない場合は、担当者に他の代替手段を確認してみましょう。
家族名義の場合は担当者に事前確認する
公共料金の領収書が家族名義の場合は、担当者に事前確認しましょう。申込者本人の名義でない領収書は、居住実態の確認において追加の説明や書類提出が必要となる可能性があるためです。
たとえば、配偶者名義で公共料金を契約している場合、居住実態に懸念を持たれる可能性があります。担当者の判断によっては、戸籍謄本などの婚姻の事実を確認できる追加書類の提出を求められることがあります。
また、親名義で公共料金を契約している場合も同様です。申込者が実際にその住所に居住していることを証明する必要があるため、担当者の判断によっては住民票などの追加資料が必要になることがあります。
なお、公共料金の支払いが本人名義でない理由も確認される可能性があります。本人名義で支払いできない理由があるならば、審査に影響する可能性もあることを留意しておきましょう。
支払振りの確認のため
日本政策金融公庫は公共料金の支払状況を通じて、申込者の資金管理能力や継続的な支払能力を確認している可能性があります。公共料金は生活に不可欠なサービスであり、その支払状況から申込者の経済状況や資金繰りの実態を把握できるためです。
【公共料金の支払い状況に関する確認項目の例】
確認項目 | 確認目的 |
---|---|
領収書の日付 | 直近まで支払いが継続されているかの確認 |
支払方法の記載 | 口座振替やコンビニ払いなど支払い手段の確認 |
請求金額・支払金額 | 過不足なく支払いがされているかの確認 |
明細の継続性 | 毎月継続的に支払いが行われているかの確認 |
たとえば、領収書の日付を確認されることがあります。これは、申込者が公共料金を直近まで途切れなく支払っているかを見極めるためです。支払いが継続していることは、安定した生活基盤を持っているという判断材料になります。
また、支払方法を確認されることがあります。口座振替やクレジットカード払いが選択されていれば、計画的に支払いを管理している可能性が高いと判断されることがあります。支払い方法もまた、資金管理の習慣を知る手がかりとして見られることがあります。
公共料金の支払い状況は、申込者の生活実態や支払能力を示す重要な資料です。領収書を提出する際は、日付や支払方法などの項目が確認されることを念頭に、できるだけ正確かつ直近のものを準備しましょう。
滞納している場合は審査に影響する
公共料金を滞納している場合は、融資審査に影響する可能性があります。公共料金は日常生活に必要な支出であり、それらが安定的に支払われていない場合、返済能力や資金管理に不安があると判断される傾向にあるからです。
たとえば、電気料金や水道料金の支払いが遅れている場合、事業運営に必要な資金が不足していると判断される可能性があります。生活に不可欠な公共料金を支払えない状況は、融資の返済能力についても懸念を持たれる要因となることがあります。
また、滞納の理由や期間によっても審査への影響度が変わることがあります。一時的な資金繰りの問題であれば説明により理解を得られる場合もありますが、長期間の滞納や繰り返しの延滞がある場合は審査が厳しくなる可能性があります。
公共料金の滞納がある場合は、申込前に支払いを完了させることが望ましいです。やむを得ない事情で滞納している場合は、理由を明確にして担当者に相談し、今後の支払計画を示すようにしましょう。
領収書がない場合や紛失した場合の対応
公共料金の領収書がない場合や紛失した場合は、代替手段を検討しましょう。日本政策金融公庫では、公共料金の支払実績や使用実態が確認できれば、必ずしも領収書原本でなくても審査を進められることがあるためです。
【代替手段の例】
項目 | 具体例 |
---|---|
領収書が発行されない場合 | ・預金通帳(口座振替) ・クレジットカード明細(カード決済) |
領収書を紛失した場合 | ・支払い証明書(300円~1,000円程度) |
たとえば、口座振替で公共料金を支払っている場合、預金通帳の引落記録で支払実績を確認できます。通帳には支払日や金額が明記されているため、継続的な支払状況を証明する資料として活用できる可能性があります。
また、クレジットカードで決済している場合は、カード会社から発行される利用明細書が有効です。明細書には公共料金の項目が記載されており、支払方法や支払状況を客観的に示す書類として認められることがあります。
公共料金の領収書を紛失してしまった場合は、各事業者に支払い証明書の発行を依頼できます。手数料は300円から1,000円程度かかりますが、過去の支払実績を正式に証明できるため、公共料金の領収書を紛失してしまった場合は証明書を取得することも検討してみてください。
まとめ
日本政策金融公庫が公共料金の領収書を求める理由は、申込者の実態確認と支払能力の確認をおこなうためだと考えられます。領収書に記載された住所や契約者名により居住実態を把握し、継続的な支払状況から資金管理能力や経済状況を判断する材料として活用しています。
家族名義の領収書や滞納がある場合は、審査に影響する可能性があるため事前の確認や対応が重要です。担当者に状況を説明し、必要に応じて追加書類の提出や支払いの完了をおこなうことにより、審査への影響を軽減できる場合があります。
領収書がない場合や紛失した場合でも、預金通帳やクレジットカード明細などの代替書類で対応できる可能性があります。公共料金の領収書提出を求められた際は、必要に応じて代替手段を取ることにより、スムーズに手続きを進められるよう意識してみましょう。
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平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
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