利用しやすい助成金!平成29年改正のキャリアアップ助成金~人材育成コース~とは?
有期契約従業員のキャリアアップのための措置を実施することで利用可能な「キャリアアップ助成金」は平成29年に内容が改正され3つのコースから8つのコースへ拡充され、より利用しやすくなりました。
今回はキャリアアップ助成金のコースの一つである【人材育成コース】についてご紹介します。
※こちらの助成金はH30/4/1より人材開発助成金に整理統合されました。
※キャリアアップ助成金(人材育成コース)は現在、人材開発支援助成金特別育訓練コース)に統合されました。※
1.キャリアアップ助成金の人材育成コースとは?
人材育成コースでは、有期契約の従業員に対し一般職業訓練または有期実習型訓練を実施した場合に助成金を受給することができます。
有期契約従業員に職業訓練を実施することで、従業員の能力向上、会社の生産性向上を目指し、受給額は訓練の実施時間、対象の従業員人数に応じて決まります。
支給要件や受給額、申請方法を確認しましょう。
2.時給対象の従業員要件は?
キャリアアップ助成金の人材育成コースの対象となる従業員は、以下2つの要件いずれかを満たす必要があります。
(1)一般職業訓練対象の従業員
以下7つの要件全てに当てはまる従業員が一般職業訓練の対象となります。
①一般職業訓練実施の事業主の事業所で、訓練終了日または支給申請日に雇用保険の被保険者である従業員
②一般職業訓練実施の事業主から元々雇用されている有期契約従業員か、新規雇用の有期契約の従業員等であること
③助成金を申請する日に会社を離職していない従業員
④正規雇用の従業員として雇用することを約束して雇用されていない従業員
⑤実施される一般職業訓練の内容や趣旨を理解している従業員
⑥育児休業中訓練を、育児休業期間中に受講開始する従業員
⑦訓練実施の事業主または取締役の3親等以内の親族でない従業員
(2)有期実習型訓練対象の従業員
以下5つの要件全てに当てはまる従業員が有期実習型訓練の対象となります。
①有期自習型訓練実施の事業主から元々雇用されている有期契約の従業員か、新規雇用の有契約従業員等であり、以下2つのどちらにも該当する従業員
・ジョブカード作成アドバイザーが、「職業能力形成の機会に恵まれなかった」と判断され、有期実習型訓練に参加が認められジョブカードを作成した者
・正規雇用の従業員等として雇用すると約束されていない従業員
②有期実習型訓練実施の事業主の事業所で訓練終了日か支給申請日に雇用保険の被保険者である従業員
③実施される有期実習型訓練の内容や趣旨を理解している従業員
④公共職業訓練・求職者支援訓練・若者チャレンジ訓練・実践型人材養成システム・他の事業主が実施する有期実習型訓練を終了して6ヶ月以内でない従業員
⑤訓練実施の事業主・取締役の3親等以内の親族で名従業員
3.受給対象の事業主要件とは?
助成金を申請する事業主は、実施する訓練に応じていくつかの要件を満たす必要があります。
(1)一般職業訓練対象の事業主
一般職業訓練を実施する事業主は以下9つの要件を満たす必要があります。
①有期契約の従業員を雇用、または新規の有期契約従業員を雇入れる事業主
②受給対象の従業員に向け、職業訓練計画を作成し労働局長の認可を得た事業主
③認可を得た職業訓練計画に沿って職業訓練を実施する事業主
④受給対象従業員の訓練期間中、賃金支払いを適正に実行した事業主
⑤以下2つのいずれかに該当する事業主
・受給対象従業員が自ら受講する中長期的キャリア形成訓練費用の一部を負担する事業主
・受給対象従業員が自ら受講する中長期的キャリア形成訓練の実施期間中の賃金を支払う事業主
⑥以下3つの書類を整備している事業主
・職業訓練実施状況が明確になる書類
・職業訓練の経費負担が明確になる書類
・対象従業員の賃金支払い状況が明確になる書類
⑦職業訓練計画の提出日の前日より6ヶ月前から、助成金支給申請書の提出日までの期間に事業所内の雇用保険被保険者を会社都合で離職させていない事業主
⑧職業訓練計画の提出日の前日より6ヶ月前から、助成金支給申請書の提出日までの期間で、受対象の従業員数を雇用保険被保険者数でわった割合が6%を超えている事業主
(2)有期実習型訓練対象の事業主
有期実習型訓練を実施する事業主は以下8つの要件を満たす必要があります。
①有期契約従業員等を鞏、新規雇用する事業主
②受給対象の従業員に向けて職業訓練計画を作成し労働局長の認可を得た事業主
③認可を受けた職業訓練計画に沿って職業訓練を実施した事業主
④訓練実施期間中に対象従業員の賃金を適切に支払う事業主
⑤以下3つの書類を用意する事業主
・職業訓練実施状況が明確になる書類
・職業訓練の経費負担が明確になる書類
・対象従業員の賃金支払い状況が明確になる書類
⑥職業訓練計画の提出日の前日より6ヶ月前から、助成金支給申請書の提出日までの期間に事業所内の雇用保険被保険者を会社都合で離職させていない事業主
⑦職業訓練計画の提出日の前日より6ヶ月前から、助成金支給申請書の提出日までの期間で、受対象の従業員数を雇用保険被保険者数でわった割合が6%を超えている事業主
⑧生産性要件を満たす事業主
4.受給対象の訓練とは?
キャリアアップ助成金の人材育成コースを受給するためには
・一般職業訓練
・有期実習型訓練
のいずれかを対象従業員に対し実施する必要があります。
(1)一般職業訓練
Off-JTであって以下4つの要件すべてを満たす訓練を指します。
①1コース当たりの実施期間が1年以内であること
②1コース当たりの訓練時間数が20時間以上であること
③職業訓練が通信制でないこと
④次の3つのどれかに該当する訓練であること
【図】
※育児休暇中の訓練の場合、従業員の自らの意思で職業訓練を実施する場合には、10時間以上の訓練時間で、通信制の訓練も受給対象になります。
※中長期的キャリア形成訓練の場合、専門的な訓練であれば実施期間が1年以上に限らず、通信制の職業訓練も受給対象になります。
(2)有期実習型訓練
正社員として雇用された経験が少ない非正規の従業員に対し、一般職業訓練とOJTを組み合わせて実施する職業訓練のこと。
受給対象となる訓練の基準として、以下いくつかの条件に当てはまる必要があります。
・会社でのOJTと教育訓練期間が実施するOFF-JTを組み合わせて実施する訓練であること
・訓練期間が3か月以上6ヶ月以下であること
・6ヶ月あたりに換算した訓練時間が425時間以上であること
・訓練時間においてOJTがしめる割合が1割以上9割以下であること
・訓練が終了した場合にジョブカードを作成する訓練であること
※OFF-JT・OJTとは?
【OFF-JT】生産ライン・就労の場所で普段の生産活動とは別に実施される職業訓練
【OJT】訓練に適した指導者のもとで業務に関する実践的な技術や知識に関する職業訓練
5.受給額はいくら?
キャリアアップ助成金の人材育成コースは、対象従業員1人における訓練時間に応じて受給額が変化します。また、受給額の上限は1年度1事業所につき1,000万円までです。
6.助成金申請の流れ
(1)キャリアアップ計画作成・提出
雇用保険を適用している各事業所にキャリアアップ管理者を設置し、キャリアアップ計画を作成。作成した計画を管轄の労働局に提出し、労働局長の認可を得る。
(2)訓練計画届作成・提出
認可を得たキャリアアップ計画に沿って訓練計画届を作成し、管轄の労働局へ提出・認可を受けます。
作成した訓練計画はキャリアアップ計画と同時に労働局に提出することができ、職業訓練開始日の前日から1ヶ月前の日までに提出する必要がある。
(3)キャリアコンサルティング実施
職業訓練の対象従業員はジョブカードを作成し、ジョブカード作成アドバイザーからの面接で訓練の必要性を確認
(4)訓練実施
作成した訓練計画届に沿って職業訓練を実施する。訓練計画届の提出をした日から6ヶ月以内に訓練を始め、訓練開始日の次の日から1ヶ月以内に【訓練開始届】を管轄労働局長へ提出する。
(5)訓練終了・受給申請
職業訓練実施期間が終了日の翌日から2か月以内に、管轄の労働局へ助成金申請書を提出
(6)助成金受給
審査に通過した場合、助成金が支給される
7.助成金や補助金は取得までに時間がかかる?
助成金や補助金は、すぐに取得できるものはほとんどありません。
中でも、1年から1年半経過後に取得できるものが多いです。
助成金申請が実行される前に、資金繰りが悪くなってしまう会社が多い傾向があります。
そこで、多くの経営者が助成金とは別に、
金融機関や日本政策金融公庫からの借入もご検討することを推奨しています。
中でも、政府が100%出資している日本政策金融公庫については、
下記サイトで詳しく説明されていますので、情報収集しておくと万が一に備えられるでしょう。
まとめ
今回はキャリアアップ助成金の人材育成コースについてご紹介しました。
平成29年に改正され、より活用しやすくなった本助成金では有期契約の従業員に対し要件を満たす職業訓練を実施することで受給可能です。
活用できる助成金を大いに活用し、従業員の労働意欲向上、会社の生産性向上を目指しましょう。
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