建設労働確保育成助成金とは
建設労働確保育成助成金とは、中小建設事業主や中小建設事業主団体等を対象とした、雇用の改善、技能向上のための助成制度です。助成を受けるための要件、受給額をご紹介します。
建設労働確保育成助成金の支給要件と受給額
建設労働者確保育成助成金は、建設事業主やその団体等が実施する労働者の雇用環境改善や職業訓練に対して、経費や賃金の一部を助成する制度です。労働者が集まらない、また一人前に育てるまでに時間がかかるなどお困りの事業主は、ぜひ助成制度の活用をご検討ください。
平成29年度からの変更点は、大きく2つあります。まず、4月1日から若年・女性労働者向けトライアル雇用助成コースが新設されました。これまで建設業にあまりいない女性や就業経験が不足している若者が、現場作業(左官、大工、鉄筋工、配管工など)に従事する場合、事業主が適切な指導・監督を実施するための制度です。ミスマッチを防ぎ、トライアル期間が終わったのちに常勤雇用となることを目的にしてします。なお、設計、測量、経理、営業などについては対象となりませんのでご注意ください。
次に、生産性の向上が認められる場合については、労働関係助成金が割増されることになりました。ここでいう生産性とは、(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数 で算出されます。この割増助成金を受けるためには、3年前に比べて6%以上伸びていることが要件となります。そのため、損益計算書、総勘定元帳などの提出も必要です。なお、対象期間中に、事業主都合による離職者がいないことが条件になります。
これ以外の細かな変更点として、計画届の届出期間の変更や様式及び添付書類の変更などもあげられます。過去に同一コースを受けたからと安心せずに、助成を受けようとするコースの内容について、あらためて書式や提出期限を確認するようにしましょう。
建設労働確保育成助成金の支給要件と支給額について
平成29年4月時点で公表されている建設労働確保育成助成金の内容は主に13種類あります。ここでは、その概要をご説明します。
(1) 建設労働者確保育成助成金:認定訓練コース(経費助成)
概要:中小建設事業主または職業訓練法人などが、職業能力開発促進法による認定訓練を行った場合、経費の一部が助成されます。原則1か月前までに計画届の届出と、認定訓練終了後の支給申請手続きが必要です。※H30/4/1より人材開発支援助成金の建設労働者認定訓練コースへ整理統合されました。
支給額:広域団体認定訓練助成金の支給または認定訓練助成事業補助金の交付をうけている訓練の場合、経費の1/6
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:なし
(2)建設労働者確保育成助成金:認定訓練コース(賃金助成)
概要:中小建設事業主が、雇用する建設労働者に有給で認定訓練を受けさせた場合、賃金の一部が助成されます。認定訓練終了後に、支給申請手続きが必要です。
支給額:建設労働者1人あたり日額4,750円
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり 6,000円
(3)建設労働者確保育成助成金:技能実習コース(経費助成)
概要:中小建設事業主または中小建設事業主団体が、雇用する建設労働者に有給で技能実習を受けさせた場合、経費の一部が助成されます。原則1週間前までに計画届の届出と、技能実習終了後の支給申請手続きが必要です。
支給額:中小建設事業主 雇用保険被保険者数20人以下 3/4(東北被災3県は10/10)
中小建設事業主 雇用保険被保険者数21人以上 3/5(東北被災3県は4/5)
中小建設事業主団体 4/5(東北被災3県は10/10)
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり
雇用保険被保険者数20人以下 9/10
雇用保険被保険者数21人以上 3/4
概要:中小以外の建設事業主または建設事業主団体が、雇用する女性建設労働者に有給で技能実習を受けさせた場合、経費の一部が助成されます。原則1週間前までに計画届の届出と、技能実習終了後の支給申請手続きが必要です。
支給額:中小以外の建設事業主 経費の9/20
中小以外の建設事業主団体 経費の1/2
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり 中小以外の建設事業主3/5
(4)建設労働者確保育成助成金:技能実習コース(賃金助成)
概要:中小建設事業主が、雇用する建設労働者に有給で技能実習を受けさせた場合、賃金の一部が助成されます。原則1週間前までに計画届の届出と、技能実習終了後の支給申請手続きが必要です。
支給額:中小建設事業主 雇用保険被保険者数20人以下 1人あたり日額7,600円
中小建設事業主 雇用保険被保険者数21人以上 1人あたり日額6,650円
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり
中小建設事業主 雇用保険被保険者数20人以下 1人あたり日額9,600円
中小建設事業主 雇用保険被保険者数21人以上 1人あたり日額8,400円
(5)建設労働者確保育成助成金:雇用管理制度助成コース
概要:制度導入及び目標達成の助成を受けた中小建設事業主が、若年者及び女性の入職率に係る目標を達成した場合に助成されます。評価時入職率等算定期間の終了後に、支給申請手続きが必要です。平成29年度から、対象事業主と算定対象者が変更になりました。
支給額:計画終了から1年経過後達成時に57万円、3年経過後達成時に85.5万円
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり
計画終了から1年経過後達成時に72万円、3年経過後達成時に108万円
(6)建設労働者確保育成助成金:登録基幹技能者の処遇向上支援助成コース
概要:中小建設事業主が、雇用する登録基幹技能者の賃金テーブル又は資格手当を増額改定した場合に助成されます。増額改定日の1か月前の前日までに、増額改定整備計画の提出と認定、および賃金算定期間終了後に支給申請が必要です。
支給額:1人あたり年額9.5万円
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり 12万円
(7)建設労働者確保育成助成金:若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(事業主経費助成)
概要:建設事業主が、若年及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を
行った場合、経費の一部が助成されます。事業実施の原則2か月前までに計画届を提出し事業終了後に支給申請が必要です。支給額の上限があります。
支給額:中小建設事業主 3/5
中小建設事業主以外 9/20
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり
中小建設事業主 3/4
中小建設事業主以外 3/5
(8)建設労働者確保育成助成金:若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(事業主団体経費助成)
概要:建設事業主団体が、若年及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行った場合、経費の一部が助成されます。事業実施の原則2か月前までに計画届を提出し、事業終了後に支給申請が必要です。支給額の上限があります。
支給額:中小建設事業主 2/3
中小建設事業主以外 1/2
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:なし
(9)建設労働者確保育成助成金:若年・女性労働者向けトライアル雇用助成コース
概要: 中小建設事業主が、若年者又は女性を建設技能労働者等として一定期間試行雇用し、トライアル雇用助成金の支給決定を受けた場合に助成されます。トライアル雇用終了日の翌日から起算して原則2か月以内に、支給申請が必要です。
支給額:1人あたり1か月単位で最長3か月間、月額最大4万円まで
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:なし
(10)建設労働者確保育成助成金:建設広域教育訓練コース(推進活動経費助成)
概要:広域的職業訓練を実施する職業訓練法人が、建設工事の作業に係る職業訓練の推進のための活動を行った場合、経費の一部が助成されます。支給額の上限があります。
支給額:経費の2/3
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:なし
(11)建設労働者確保育成助成金:建設広域教育訓練コース(施設設置等経費助成)
概要:広域的職業訓練を実施する職業訓練法人が、認定訓練の実施に必要な施設または設備の設置や整備を行った場合、経費の一部が助成されます。支給額の上限があります。
支給額:経費の1/2
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:なし
(12)建設労働者確保育成助成金:作業員宿舎等設置助成コース
概要:中小建設事業主が、被災三県(岩手県、宮城県、福島県)に所在する作業員宿舎、作業員施設、賃貸住宅を賃借した場合、経費の一部が助成されます。原則2週間前までに計画届の提出と、事業終了後に支給申請が必要です。支給額の上限があります。
支給額:経費の2/3、ただし賃貸住宅は1人最大1年間かつ月額3万円まで
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:なし
(13)建設労働者確保育成助成金:女性専用作業員施設設置助成コース
概要:中小元方建設事業主が、自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借した場合、経費の一部が助成されます。原則2週間前までに計画届の提出と、事業終了後に支給申請が必要です。支給額の上限があります。
支給額:支給対象経費の3/5
生産性を向上させた場合の労働関係助成金割増:あり 3/4
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