レンタルオフィスや貸会議室の開業で融資は受けられるの?
レンタルオフィスや貸会議室は近年増加傾向にある事業の一つです。レンタルオフィスや貸会議室などはスペースを貸すというビジネスモデルの事業ですが、このような何かを貸すという事業を「シェアリングエコノミー」と言います。 スペース以外にも、モノのシェアやお金のシェア、移動手段のシェアなどシェアリングエコノミー事業は注目のビジネスです。 今回は、スペースをレンタルするレンタルオフィスや貸会議室の開業に必要な手続きや費用についてご紹介したいと思います。
1.レンタルオフィスと貸会議室
まずは、レンタルオフィスと貸会議室についてご紹介します。
(1)レンタルオフィスとは
レンタルオフィスは期間や時間などでオフィス用のスペースを貸してくれるサービスです。一般的な貸事務所との違いは、オフィスとして必要なデスクや情報通信機器などがあらかじめ備えられているという点です。
利用者側には、初期費用の軽減や法人口座開設が可能、事業拡大や縮小に伴う事務所移転が容易、立地が良いケースが多いなどのメリットがあります。
近年、レンタルオフィスの需要も増えており、レンタルオフィスを専門に扱う企業や、事業のひとつとして行う企業も増えています。
(2)貸会議室
貸会議室は時間単位でスペースを貸してくれるサービスですが、会議はもちろん、セミナーや講習会、企業の採用試験などその使われ方は様々です。
貸会議室という呼ばれ方から企業向けと思われがちですが、個人で利用することも可能です。
2.レンタルオフィスや貸会議室の開業に必要な費用はどれくらい?
どれくらいの規模のレンタルオフィスや貸会議室を開業するかにもよりますが、レンタルオフィス・貸会議室で一番、費用がかかる部分は物件の取得費用と言えます。
【100坪(坪単価/共益費込20,000円)の賃貸オフィス物件を借りて開業する場合】
保証金(敷金) | 1,200万円(賃料×6ヶ月)~2,400万円(賃料×12か月) |
前払い賃料 | 200万円(賃料1か月) |
仲介手数料 | 200万円(賃料1か月) |
物件取得費用だけでも、1,600万円~2,800万円の費用がかかりますね。もちろん、賃料によってこの金額は変動します。
これに内外装費用や什器備品などの費用も必要になります。少なくとも、プラス1,000万円の費用は必要になると考えると、2,600万円~3,800万円の費用が開業するために必要な費用となります。
レンタルオフィスと貸会議室では利用用途が異なり、どちらか一方で開業する場合、貸会議室の方が初期費用は抑えることが出来ます。
利用者のニーズにもよりますが、レンタルオフィススペースと貸会議室スペースを併設させるという方法もあります。
レンタルオフィスや貸会議室の場合、それなりの広さの物件が必要となります。すでにビルなどと所有している方が、ビルの一部でレンタルオフィスや貸会議室事業を行う場合は、物件取得費がかからないため、費用を抑えることが出来ます。
3.レンタルオフィスや貸会議室の開業に伴う手続きは?
レンタルオフィスや貸会議室の開業に伴う特別な資格等はありませんが、消防法適用となるため、火災報知器やスプリンクラー等の消防設備の設置が必要となります。
どのようなレイアウトでどのような消防設備が必要かなどは、所轄の消防署に事前に確認しておくようにしましょう。
消防設備以外にも、廊下の幅、避難経路の確保なども定められています。少しでもオフィスや会議室スペースを多く取ろうとして、消防法や建築基準法に違反してしまうと、営業どころではなくなり、再工事などの費用が発生してしまいます。
4.レンタルオフィスや貸会議室の開業費用の融資は可能?
レンタルオフィスや貸会議室を開業するにはかなりの費用が必要となります。日本政策金融公庫から融資を受ける場合には、以下の点がポイントとなります。
ポイント1:認定支援機関を経由する
日本政策金融公庫の融資を受ける場合、ご自身で融資の手続きを行う方法と認定支援機関を経由する方法があります。この2つの大きな違いは「経営力強化資金」という制度を利用できるかできないかという点です。
経営力強化資金という制度を使うことで、支店決裁権の上限が1,000万円から2,000万円に引き上げることができます。高額な資金の融資が必要な場合には、認定支援機関を経由して支店決裁権を上げることが融資成功に繋がるポイントとなります。
経営力強化資金は認定支援機関を経由しないと利用することが出来ない制度なので、高額な融資を希望される場合には認定支援機関を経由して融資の申し込みを行いましょう。
中小企業経営力強化資金に関しては下記記事も併せてご確認ください。
ポイント2:自己資金の準備
自己資金は貯金などご自身で準備されて資金を言います。これは、事業が軌道に乗るまでの間の余剰資金としての判断材料になります。
基本的には借入希望額の1/10は自己資金が必要と言われますが、高額な融資を受けたいという方の場合には少なくとも100万円~200万円程度の自己資金の準備はされておいた方が良いと言えます。
ポイント3:人脈
経営者となられる方の過去の経験なども融資には必要な条件となりますが、その中でも、どのような人脈があり、どのように集客を得ることができるかをきちんとアピールする必要があります。融資を受ける際には、日本政策金融公庫の担当者との面談がありますので、その際に顧客リストなどを提出することができるように準備を進めておきましょう。
創業時の日本政策金融公庫から融資を受ける場合「創業計画書」を作成する必要があります。創業計画書の書き方については下記にポイントを記載しています。ご確認ください。 |
まとめ
レンタルオフィスや貸会議室は今後、働き方改革など働き方の多様化によって需要が高まる可能性が十分にある事業です。開業に伴う費用の融資をお考えの場合には、上記でご紹介したポイントを踏まえ、認定支援機関などの融資のプロにご相談されることをお勧めします。資金調達ノートでは、融資の専門家検索や融資に関するQ&Aを紹介するページもご用意しています。是非、上手に活用していただければと思います。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup » https://inqup.com/