寿司屋を独立開業することは、世界中で寿司を握る第一歩を踏み出すようなものです。
なぜなら、寿司職人は世界中で求められています。日本で成功し、ニューヨークやハワイ、オーストラリアなどに店を出す寿司屋オーナーもいますよね。
とは言え、実際に寿司屋を開業するのにはどれくらいの資金が必要なのでしょうか?また、必要な準備や手続きについても知りたいですよね。寿司屋を独立開業する予定の方は、是非本記事をご参考いただければ幸いです。
1. まず個人でやるかフランチャイズでやるのか決める
寿司屋を開業するにあたり、まず決めたいのは個人かフランチャイズかという点です。つまり、自分の店を出すのか、もしくはスシローやくら寿司のようなチェーン展開している会社とフランチャイズ契約を結ぶのかということ。個人でやる場合は、店の敷金礼金から厨房設備、皿一枚から全て自分で計画して購入します。しかし、フランチャイズの場合は必要設備や研修など親会社側でいろいろと準備してくれます。
こう考えると、フランチャイズの方がラク?と感じますよね。しかし、フランチャイズの場合は最初に100万円ほどの加盟金が必要です。また、研修費用や厨房設備なども用意はしてくれますが無料ではなく、200万円ほどを親会社に支払います。そして、売上の一部をロイヤリティという形で月間売上の5%程度を支払わなくてはいけません。
2.寿司屋の開業に必要な資金はいくら?
では、個人の場合での寿司屋の開業資金についてみていきましょう。
①トータルでは最低1,000万円は必要
300万円ほどでも開業できる移動販売の場合と違い、寿司屋の開業費用は最低でも1,000万円はかかります。「え!そんなに」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
②寿司屋は結構、設備資金がかかる
寿司屋の開業で一番お金がかかるのは設備資金です。寿司屋の店内設備は他の飲食店と違い、独特です。まず、あの「へいらっしゃい!」という声が発せられるカウンター。あのカウンターを新品で購入するなら60万円です。
また、寿司屋でお酒を提供しない店はないですよね。ビールサーバーはビール会社から提供されるとして、製氷機やリーチインショーケースといったお酒を並べる大型冷蔵庫も必要です。細かくみていくと、最低700万円は起業に必要です。
【寿司屋開業に必要な設備費用の目安】
- 厨房機器費用:250万円
- 厨房工事費用:200万円
- カウンター:60万円
- 業務用エアコン:50万円
- 看板工事費:60万円
- 調理機器費用:50万円
- 合計:670万円
ちなみに、この中にシャリを作ってくれる酢飯ロボは含まれていません。最近では酢飯をロボットに作らせる店もあるようですね。中古の家庭用で5万円から、業務用の新品で最も高価なものでは80万円します。
③物件取得費用が約238万円
物件取得費用とは、寿司屋を構える店舗の保証金や不動産仲介手数料です。保証金は敷金・礼金という言葉でも使われます。だいたい家賃の2.5ヶ月分ぐらいが目安で、不動産仲介手数料は不動産業者に支払うもので家賃1か月分ぐらいです。
【物件取得費の目安】※家賃25万円の場合
店舗の保証金:62.5万円(家賃の2.5ヶ月分)+不動産仲介手数料:25万円=87.5万円
これに加え、毎月の家賃(今回は25万円で想定します)×6か月分を起業前に準備します。なぜなら、最初の半年は売り上げがなかなか安定しないからです。
87.5万円+(25万円×6か月=150万円)=237.5万円
④広告宣伝費に28万円
広告宣伝費はチラシやティッシュなどの販促品の発注費用です。最近ではプリントパックなどの印刷通販で1枚1円ぐらいから注文できますよね。オープニングの告知では、最低5万枚以上のチラシをまきましょう。チラシの印刷代のみではなく、それを配布するポスティングバイトの人件費も必要です。
【広告宣伝費の目安】
チラシ印刷代:5万円(5万枚)+ ポスティングバイト代:22.5万円(1枚4.5円の場合)=27.5万円
⑤1,000万円と別に300万円ぐらいの運転資金を用意する
開業に必要なのは設備資金、物件取得費用、広告宣伝費ですが、それとは別に運転資金も用意しましょう。半年~1年間、売り上げが安定しなくても安心できるように、300万円ほど準備するのがベストです。なぜなら、全く余裕資金がない状態での開業は金融機関からの評価が低くなるので、融資の審査も厳しくなるからです。
3.寿司屋の開業に必要な準備は?
①食品衛生責任者の手続き
寿司屋を開業するには、食品衛生責任者を店に一人は置かなければいけません。。食品衛生責任者になるには、以下いずれかの資格を持った上で講習会(一日で完了)に参加する必要があります。
栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、と畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者(注1)の有資格者。
引用:食品衛生責任者養成講座|トップ―ページ
②開業手続き
今までサラリーマンをやっていて、脱サラで寿司屋を開業するのであれば、税務署に開業届を提出します。税務署は、寿司屋を開業する場所を管轄する税務署です。開業後、1か月以内が期限ですので、忘れずに申告しましょう。
③日本政策金融公庫で融資を受ける
寿司屋を開業したいが、自己資金が1,000万円もない!こんな場合は、公的機関である日本政策金融公庫での融資を検討しましょう。
融資に成功するポイントは、必要資金の約半分ほどの自己資金をもっていること。1,000万円のうち500万円を自分で用意できれば、残り500万円は融資でまかなうことができます。
まとめ
寿司屋を開業するには最低1,000万円は必要で、物件や見積もり次第では2,000万円かかる場合もあります。しかし、その分寿司屋では高級路線のイメージをうまく保てると、ブランド戦略で原価率を抑えて売上をたてることができます。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup » https://inqup.com/