美容室の数が年々増加するなかで、売上を上げていくための施策!
厚生労働省の報告によると、平成28年度の美容室の数は243,360施設で前年度比1.3%の増加となっており、美容師の人数も509,279人で0.9%増です。
美容室を経営している方の多くが、「客数の減少」を課題として挙げています。
お客様が減れば、その分売り上げも下がります。
このように美容室が数多くオープンしていくなかで売上をアップさせていくためには、どのような方法があるのでしょうか?
1.顧客が美容室に求めているものとは?
まずは、美容室に行く目的を考えてみましょう。
一番の目的は、何と言っても自分に合った髪型になることです。
安ければ何でもいいのであれば、1,000円カットもあります。
美容室の1回あたりの利用金額の平均が女性は6,429円、男性も4,067円という統計を見ると、安ければ満足!というわけではないということでしょう。
髪の傷みやくせ毛、枝毛など、髪に対して悩みを抱えている方は多いです。
髪質によってシャンプーやトリートメントを変えたり、頭皮マッサージを行ったり、普段の生活の中でも髪の毛のケアをしている方が増えています。
美容師さんはこうした悩みを解決してくれるのはもちろんですが、ホームケアの方法など的確なアドバイスもしてくれるため、高いお金を払っても美容室に行くのです。
また、お客様の中には美容師さんとの会話を楽しみにして来店する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身もそうですが、毎回同じ美容師さんを指名して髪を切ってもらっています。
それは髪を切ってもらっている間も世間話などで楽しみたい、という理由からです。
美容業は、「技術」や「接客サービス」に加え、お客様は長時間をお店の中で過ごすため「お店の雰囲気」も顧客獲得のためには重要なポイントになってきます。
2.売上を上げるためには?
美容室の月の売上は、次の式にあてはめて出すことができます。
売上を上げるためには、
「顧客数を増やす」か「平均単価を上げる」必要があります。
また、売上のほとんどが常連客から作られるため、上記の式には記載していませんが、「来店回数を増やす」ことも重要です。
自宅や職場から近いところで美容室を探す方が大半ですので、引っ越しなどやむを得ない理由であれば仕方ありませんが、それ以外の客離れは原因を見極め、解消しなければなりません。
一度、離れてしまった顧客は戻ってくる可能性が低く、売上が大きく下がってしまうことも考えられます。
3.美容室の売上を上げるための施策
では、売上を上げるには具体的にどのような方法があるのか見ていきましょう。
美容室は地域密着型なので、いかに固定客を作り、リピートしてもらうかがポイントになります。
(1)リピート対策
①ポイントカード
再来店するほどお得になる仕組みを作ることで、新規顧客のリピート率を上げることが可能です。
カードの有効期限が短く設定されていたり、20回来店してやっと500円の割引など、達成まで長くかかったりすると、あまりメリットが感じられず、効果がありません。
「3回来店の法則」と言われるように、一定期間内に3回来店があれば、あなたのお店に定着したと考えられるため、まずは3回リピートしてもらうための魅力的な特典を設定しましょう。
②LINE@
InstagramやFacebookなどのSNSは口コミを広めるために活用します。
LINE@の場合、情報発信はもちろんですが、お問い合わせなど一対一で手軽にやり取りすることができるのが特徴として挙げられます。
同様の手段としてメルマガもありますが、LINEの月間アクティブユーザー数は7,300万人以上と非常に多く、開封率も高いツールなので、これから始めるのであればLINE@がオススメです。
無料版は1か月1,000通までメッセージを送ることが可能で、週1で配信を考えているのであれば、250人まで送ることができます。
250人以上顧客のいる美容室がほとんどだと思いますので、月額5,000円の有料版も検討すると良いでしょう。
③ニュースレター
折込チラシとは違い、ニュースレターは顧客とのコミュニケーションを取るためのツールです。
お得な情報や新商品の紹介よりも、美しい髪になるためのケア方法や簡単ヘアアレンジなど、髪に関する豆知識を盛り込んだ内容にしましょう。
売り込み色が強くチラシとみなされ、読まれずに捨てられてしまってはせっかく配布しても意味がありません。
あなたのお店を思い出してもらうことが大事ですので、ファンサービスの一環と捉え、実施していきましょう。
(2)離客対策
一度行った美容室を変えたり、リピートしないのには、どのような理由があるでしょうか。
引っ越しなどのやむを得ない理由ももちろんあるでしょう。
問題なのは、自分のイメージした通りの仕上がりにならなかったなど技術面の不満やスタッフの態度が悪かったなどの接客面での不満など、ネガティブな理由の場合です。
早急にスタッフの教育を行うことが必要になります。
「スタッフの感じが悪かった」「思った通りの髪型にしてくれなかった」など、マイナスの口コミが増えれば、客離れだけでなく新規顧客の獲得も難しくなってしまいます。
技術を磨いたり、正しい美容の知識を勉強したりすることで、お客様ひとりひとりに合わせた施術やアドバイスを行うことができ、信頼に繋がるのです。
(3)発信する情報を見直す
顧客が美容室に求めるものが何なのか、しっかりと考慮した上で、適切な情報を発信することが集客率アップのカギです。
安さや手軽さをウリにしている美容室は数多くありますが、美容師の技術やここでしか体験できない施術などをアピールしていくことで、他店舗との差別化ができ、集客数が増加する可能性もより高くなります。
(4)顧客数を増加させる方法
①チラシ
ターゲットの年齢層が高い場合、インターネットでの宣伝より効果が得られる可能性があります。
世間話をしながらお店の近隣でチラシ配りを行うことで、印象付けることができるでしょう。
チラシの反響率は0.1%程度と言われていますので、最低3回は試してみても良いかもしれません。
②ホットペッパービューティー
美容室を検索するときに利用されるのが、ホットペッパービューティーなどの予約・口コミサイトです。
競合が多い地域ほど、自社のホームページを検索上位に表示させるのは非常に困難です。
SEO対策を地道にしていくより、ホットペッパーに掲載する方が手っ取り早く集客を行えるかもしれません。
ただし、ホットペッパービューティーなどのユーザーの中には、とにかく安いクーポンを探して美容室を転々としている方も含まれていますので注意が必要です。
値引きが多いときにしか反応がないということも考えられます。
他店との価格競争になってしまうと、結局客単価が上がらず集客が多少増加しても売上が伸びないので、技術やサービス内容でアピールしていきましょう。
③Googleマイビジネス
自分の住んでいる地域や職場の近くで美容室を探す場合、「地名+美容室」でGoogle検索する方も多いでしょう。
Googleマイビジネスに美容室の情報を登録すると、ユーザーが検索した際、地図上に表示させることができ、目に留まる機会も増えますので登録は必須です。
住所や営業時間など、店舗の情報は正確に記載し、掲載内容を充実させましょう。
④Instagram
画像や動画で情報を発信することができるInstagramは、美容室と相性の良いツールです。
若い世代を中心にハッシュタグ検索でお店の情報を探すという使い方もされています。
施術後のSNAP写真やヘアアレンジのHOW TO動画をアップすることでユーザーとの接点を持ち、集客アップに繋がります。
今の時代にマッチしておりうまくいけば、ホームページを作成するより高い効果が期待できるでしょう。
⑤Facebook
若年層にはInstagramやTwitterがよく利用されていますが、一定の年齢層の方はFacebookを好んで利用する傾向にあります。
地域を限定した広告配信が可能ですので、コンテンツ表示型の広告を出稿するなど、うまく活用して露出を増やしていきましょう。
(5)客単価を上げる
①お試しプラン
ヘッドスパやトリートメントなど、試してみたいなぁと思っていても実際どのくらい良いのかわからないからとためらっている方もいらっしゃいます。
そのような方にアプローチするため、新しい商品や設備を導入したときには、お試しプランを設定し、まずは良さを実感してもらいましょう。
体感することで次の利用の検討に繋がり、結果として売上アップの可能性が高くなります。
②シャンプーなどの商品を選定
薄毛や髪の傷み、頭皮の悩みなど、お客様それぞれ何かしらの悩みを抱えていることが多いです。
その悩みを解決するため、お客様の髪や頭皮の状態に合ったシャンプーやトリートメントをオススメし、販売するのも良いでしょう。
商品の単価はそれほど高くありませんが、消耗品で定期的に補充が必要になるので、来店のきっかけになります。
③キャンペーンの活用
安易な値下げは固定客離れを引き起こしますので、注意が必要です。
値下げをするのであれば、最も売り出したいプランに限定して一定の期間だけ提供するようにしましょう。
既存のお客様がそのキャンペーンを気に入ったら、継続した利用に繋がります。
4.美容室の価値を上げることが大事!
売上を上げるための方法を説明してきましたが、何と言っても重要なのは美容師の技術と施術の際のお客様とのコミュニケーションです。
カットの技術はもちろん、シャンプーやブローの仕方、シャンプー後のマッサージなど、磨くべきスキルはたくさんあります。
また、お客様によってはカットをしてもらっているときに会話を楽しみたい方もいれば、逆に会話が苦手な方もいらっしゃるので、お客様に合わせた接客を心掛けましょう。
5.制度を上手く活用しましょう
売上を上げるには、お客様を増やす必要があり、そのためには施術を行うスタッフも増やさなければなりません。
広告を掲載したり、新しく従業員を雇ったり、販促活動にはお金がかかります。
手持ち資金がないから…と諦めてしまう経営者の方も多いかもしれませんが、美容室が利用できる助成金や日本政策金融公庫などからの資金調達など、活用できる制度があるかもしれませんので、一度専門家に相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
美容室の売上をアップさせる方法を紹介しましたが、すべて一度にやる必要はありません。
やらなくてはいけないと無理にすべてを始めてしまうと、結局続かずモチベーションが下がるという悪循環になりかねません。
できないものは最初からやらないという選択をし、やれることに集中するのも時には大切です。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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